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いつも通り学園に到着してリアとエドと合流してから教室に向かった。
ほかのクラスの人達も私たちのクラスの前で何やら騒いでいる。
3人で首を傾げながら教室に近付くとほかのクラスの生徒たちが私たちを見てそっと道を開けてくれたが、様々な目を向けられた。
蔑むような目、信じられないと言うような目、同情するような目・・・。
いったい何が教室で起こっているの?
教室に入るなり一番に目に付いたのは"ユティフローラ・ラグーナ侯爵令嬢は偽物だ!" と黒板に大きく書かれていた文字だった。
え?意味がわからないのだけれど?
誰かの嫌がらせだろうがタチが悪い。
何を根拠にこんな事を?
クラスメイト達も困惑の顔をしている。
「皆様、こんな出鱈目を信じないで下さいね。私は間違いなくラグーナ侯爵家の父と母の娘ですわ」
にっこり笑って毅然とした態度で断言してみせた。
「これは悪質ですわね」
「ああ、書いた犯人を見つけて処罰を受けさせよう」
エドは大きめの声を出して周りを見渡している。
「誰か怪しい人物を見かけた方はいませんか?」
私の問いかけにおずおずと手を挙げて出てきたのは、クラスメイトのロイス・フィンデル侯爵家の子息だった。
「僕が登校してきた時、一学年の校舎から走って出てくる令嬢3人を見ましたが、何学年の方かはよく分かりません」
ありがとうございますとフィンデル様にお礼を言って、その場は皆んなに解散してもらったが、何処からそんな出鱈目な噂が出たのか気になった。
でも以前から『偽物のくせに』だとか『目障りだ』と聞こえてたのは私のことで間違いないだろうけれど、何かしら根拠があって先輩方は言っているのよね?
それも赤いリボンの2年の令嬢方。
この学園は学年ごとに校舎が違うから調べるのも大変かも?
これは帰ったらお父様やお兄様に相談した方がいいわね。
そんな事を考えながらも授業を受けて移動教室から帰ってきた時にも黒板に"偽物はラグーナ侯爵家から出て行け!" と大きく書かれた文字・・・
リアとエドも手伝ってくれて一緒に消したけれど、気分はよくない。
今日のランチは食堂には行かず、カフェで軽食を頼みテラスで食べることにした。
「ねえ、偽物ってユティを指していると思うけれど、わたくしの両親はユティがユティのお母様と見た目も髪色も瞳の色もそっくりだと言っていたのに、勘違いしているにしては悪質よね」
「ああ、俺の両親も同じ事を言っていた。それに、レグルス殿もユティに髪の色以外は似ているよな」
「ええ、生まれた時からラグーナ侯爵家で育っているのに、偽物だなんて誰が言い出したのかしら?」
3人で考えても分かることなどなく、暫くは身の安全の為1人で行動しないと約束してから教室に戻った。
(足を引っ掛けられたこともあるものね)
教室に戻るなり、クラスメイトのナルシ伯爵令嬢が話しかけてきた。
ナルシ嬢が小さな声で『誰に聞かれるか分からないので空き教室で話せませんか?』と言われ、まだ次の予鈴まで時間があったこともあり、リアとエドも一緒に空き教室に移動した。
空き教室に入ってからもナルシ令嬢は小さな声で話す。
「わたくしには2年生に姉がいます。以前も食堂でラグーナ様に足を引っ掛けた令嬢も、その時に陰口を言っていたのも赤いリボンの2年生でした」
私たちも黙って頷く。
「それで、今日の黒板のイタズラが気になり姉に昼休憩の時に聞いてきたのです」
うんうんそれで?
「姉が言うには下位貴族の令嬢たちの間で庶子のラグーナ様がラグーナ侯爵家の本当の娘を追い出したと噂になっているそうです。高位の貴族の方は男女ともに相手にしていないそうですが」
はあ?何故そんなデマカセが?
「はあ?」
声に出したのはリアだった。
「なるほど・・・だから偽物なのか」
エドは冷静だけれど、リアは美しい顔が怒りで真っ赤になっている。
「では、本当の娘だと名乗っているのは何処のどなたかしら?」
私もエドを見習って冷静にならないとね。
「ビアンカ・オルト男爵令嬢です。オルト嬢がラグーナ様にラグーナ侯爵家から追い出されたと言い触らしているそうです。高位の貴族の方は男女ともに相手にしていないそうですが、下位貴族の方たちが・・・」
貴族名鑑で覚えていたけれど名前しか知らないわね。
でも、オルト嬢の話しを鵜呑みにしない高位貴族の方はさすがね。
「男爵家の令嬢がそれだけの事を言うからには何かしら証拠でもあるのかしらね」
うっすらと微笑むリアの顔は美しいけれど怖いわ。
「庶子と思われているから『汚らわしい』って言われたのね」
私は間違いなくお父様とお母様の娘だけれど、庶子の方に対して汚らわしいと思ったことなど一度もないわ。
「調べて話していただいて、ありがとうございますナルシ様。この事は帰ってからお父様に相談します」
そこで予鈴が鳴ったこともあり4人で教室に戻る事にした。
それにしても私に追い出されたなどと、バレる嘘をつくなんてオルト嬢って思い込みの激しい人なのかしら?
その日の夕食後、お茶をしながらお父様とお兄様に今日の出来事を話した。
ほかのクラスの人達も私たちのクラスの前で何やら騒いでいる。
3人で首を傾げながら教室に近付くとほかのクラスの生徒たちが私たちを見てそっと道を開けてくれたが、様々な目を向けられた。
蔑むような目、信じられないと言うような目、同情するような目・・・。
いったい何が教室で起こっているの?
教室に入るなり一番に目に付いたのは"ユティフローラ・ラグーナ侯爵令嬢は偽物だ!" と黒板に大きく書かれていた文字だった。
え?意味がわからないのだけれど?
誰かの嫌がらせだろうがタチが悪い。
何を根拠にこんな事を?
クラスメイト達も困惑の顔をしている。
「皆様、こんな出鱈目を信じないで下さいね。私は間違いなくラグーナ侯爵家の父と母の娘ですわ」
にっこり笑って毅然とした態度で断言してみせた。
「これは悪質ですわね」
「ああ、書いた犯人を見つけて処罰を受けさせよう」
エドは大きめの声を出して周りを見渡している。
「誰か怪しい人物を見かけた方はいませんか?」
私の問いかけにおずおずと手を挙げて出てきたのは、クラスメイトのロイス・フィンデル侯爵家の子息だった。
「僕が登校してきた時、一学年の校舎から走って出てくる令嬢3人を見ましたが、何学年の方かはよく分かりません」
ありがとうございますとフィンデル様にお礼を言って、その場は皆んなに解散してもらったが、何処からそんな出鱈目な噂が出たのか気になった。
でも以前から『偽物のくせに』だとか『目障りだ』と聞こえてたのは私のことで間違いないだろうけれど、何かしら根拠があって先輩方は言っているのよね?
それも赤いリボンの2年の令嬢方。
この学園は学年ごとに校舎が違うから調べるのも大変かも?
これは帰ったらお父様やお兄様に相談した方がいいわね。
そんな事を考えながらも授業を受けて移動教室から帰ってきた時にも黒板に"偽物はラグーナ侯爵家から出て行け!" と大きく書かれた文字・・・
リアとエドも手伝ってくれて一緒に消したけれど、気分はよくない。
今日のランチは食堂には行かず、カフェで軽食を頼みテラスで食べることにした。
「ねえ、偽物ってユティを指していると思うけれど、わたくしの両親はユティがユティのお母様と見た目も髪色も瞳の色もそっくりだと言っていたのに、勘違いしているにしては悪質よね」
「ああ、俺の両親も同じ事を言っていた。それに、レグルス殿もユティに髪の色以外は似ているよな」
「ええ、生まれた時からラグーナ侯爵家で育っているのに、偽物だなんて誰が言い出したのかしら?」
3人で考えても分かることなどなく、暫くは身の安全の為1人で行動しないと約束してから教室に戻った。
(足を引っ掛けられたこともあるものね)
教室に戻るなり、クラスメイトのナルシ伯爵令嬢が話しかけてきた。
ナルシ嬢が小さな声で『誰に聞かれるか分からないので空き教室で話せませんか?』と言われ、まだ次の予鈴まで時間があったこともあり、リアとエドも一緒に空き教室に移動した。
空き教室に入ってからもナルシ令嬢は小さな声で話す。
「わたくしには2年生に姉がいます。以前も食堂でラグーナ様に足を引っ掛けた令嬢も、その時に陰口を言っていたのも赤いリボンの2年生でした」
私たちも黙って頷く。
「それで、今日の黒板のイタズラが気になり姉に昼休憩の時に聞いてきたのです」
うんうんそれで?
「姉が言うには下位貴族の令嬢たちの間で庶子のラグーナ様がラグーナ侯爵家の本当の娘を追い出したと噂になっているそうです。高位の貴族の方は男女ともに相手にしていないそうですが」
はあ?何故そんなデマカセが?
「はあ?」
声に出したのはリアだった。
「なるほど・・・だから偽物なのか」
エドは冷静だけれど、リアは美しい顔が怒りで真っ赤になっている。
「では、本当の娘だと名乗っているのは何処のどなたかしら?」
私もエドを見習って冷静にならないとね。
「ビアンカ・オルト男爵令嬢です。オルト嬢がラグーナ様にラグーナ侯爵家から追い出されたと言い触らしているそうです。高位の貴族の方は男女ともに相手にしていないそうですが、下位貴族の方たちが・・・」
貴族名鑑で覚えていたけれど名前しか知らないわね。
でも、オルト嬢の話しを鵜呑みにしない高位貴族の方はさすがね。
「男爵家の令嬢がそれだけの事を言うからには何かしら証拠でもあるのかしらね」
うっすらと微笑むリアの顔は美しいけれど怖いわ。
「庶子と思われているから『汚らわしい』って言われたのね」
私は間違いなくお父様とお母様の娘だけれど、庶子の方に対して汚らわしいと思ったことなど一度もないわ。
「調べて話していただいて、ありがとうございますナルシ様。この事は帰ってからお父様に相談します」
そこで予鈴が鳴ったこともあり4人で教室に戻る事にした。
それにしても私に追い出されたなどと、バレる嘘をつくなんてオルト嬢って思い込みの激しい人なのかしら?
その日の夕食後、お茶をしながらお父様とお兄様に今日の出来事を話した。
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