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「ユティもう友達ができたんだね」

馬車に乗り込むと隣に座るお父様が頭を撫でてくる。

「ええ!こんなに早くお友達が出来て嬉しいわ」

「マキュリー公爵夫妻もオーラント公爵夫妻もとてもいい人達だよ。4人とも私が学園に通っていた時の先輩なんだ」

「そうでしたのね」
 
「今でも仲良くさせてもらっているよ」

「私、エミリア様ともエドワード様とも、もっと仲良くなりたいわ」
 
「こんなに可愛いユティなんだ。きっと仲良くなれるよ」

可愛いは関係ないと思うんだけどな。
お父様って親バカね。








「驚いたねミルティーア様かと思ったよ」

「本当に・・・生き写しのよう」

「お父様達はユティフローラ様のお母様をご存知なんですの?」

「ええ知っているわ。素敵な女性だったのよ」

「母上、過去形ですか?」

「2年ほど前に亡くなったのよ。余りお身体が丈夫ではない方だったの」

「そうですか」

「ラグーナ侯爵家には留学していた嫡男がいたな」

「社交の場でご子息をお見かけしましたわ。ロイド様とは違った魅力の持ち主でしたわ」

「ええ!わたくしもお会いしましたわ。ご兄妹そっくり!あれはロイド様以上に騒がれるわね」

「エドワード貴方そんな無愛想だとユティフローラちゃんとお友達になれないわよ」

「・・・今日知り合ったばかりです。何を言っているんですか」

「2人ともユティフローラ嬢に惹かれる子息も多いことだろう。公爵家の名を使ってもいい守ってあげなさい」

「儚くて可愛らしいユティフローラ様ですもの、わたくしが守って差し上げますわ」

「わかりました」







私たちが帰ったあとそんな会話がされた事など知らなかった。




邸に着いて迎えに出ていた執事に着替えが済んだらお兄様の書斎まで来るようにと伝えられた。

急いでベスに手伝ってもらって春らしいワンピースに着替えお兄様の部屋のドアをノックした。

「ただいまお兄様!私もうお友達ができたのよ」

やだ、お客様がいたのね。

「し、失礼いたしました」

「ユティ畏まらなくていいよ。彼は友達のルーカス。ルーカス・ウォッチだ。」

ルーカス・ウォッチ・・・子爵家の次男ね。

「初めまして。ユティフローラ・ラグーナと申します。兄がお世話になっております」

「君の兄に世話になっているのは俺の方だよ。よろしくユティフローラ嬢」

「ユティ、ルーカスは私と同じソルトレグス帝国の学院に留学していた時からの友人だよ」

「まあ!それではジル兄様ともお知り合いなの?」

「そうだよ。それでルーカスには私の秘書をお願いしてたんだよ。これから忙しくなるからね」

「明日からここで働くことになった」

秘書というより護衛騎士のようなガッチリした体格だわ。
お兄様が秘書にするぐらいだから優秀なんでしょうね。

「ユティも困った事があればルーカスに相談したらいいよ」

「わかりました。ルーカス様よろしくお願いします」

「様はいらない。ルーカスと呼んでくれ」

「はい、ルーカス」


あら!凛々しいお顔立ちなのに、笑うと可愛らしい感じになるのね。

それからルーカスも交えてエミリア様のご家族やエドワード様のご家族の報告をしたりと、楽しい時間を過ごせたわ。
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