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目覚めてもまだ真っ暗だけれど、お友達が言っていたことは本当だった。
だって私を心配するお父様とお兄様の声も聞こえるし、2人が温かい手で私の手を握ってくれる。
お医者様が"胃がびっくりするからスープから慣らしてから、少しづつ固形物を食べるような食事にするからね"と教えてくれた。
温かくて味のついたスープも久しぶり。
食事の度にどっちが食べさせるかで、お父様とお兄様がスプーンの取り合いをする声が聞こえるの。
それに真っ暗なのは目に包帯が巻かれているからですって。
それもお医者様が教えてくれたの。
長く暗闇にいたから少しづつ明るさに慣らしていくのですって。
また目が見えるようになるのなら、お父様とお兄様のお顔を一番に見たいわ。
もうベットにも座れるし、声も普通に出るようになった。
スープから今は柔らかい固形物になったの。
その頃には明るいか暗いかが分かるようになってきた。
もうすぐ包帯も取れるってお医者様が教えてくれた。
ベスが毎日身体をタオルで拭いてくれる。
閉じ込められている間、毎日コップ一杯の水しか与えられなかったから、身体なんて拭けなかった。すごく汚れていたと思うの。
髪だって最初は梳かすのが大変そうだった。
早く温かいお風呂に入りたい。
今日は待ち望んだ目の包帯を取る日。
お医者様が包帯を取っていく。
「ゆっくり目を開けてみて下さい」
まず最初に見えたのは私の手を握る大きな手。
そして次に目に涙を浮かべたお父様とお兄様のお顔。
「ユティ」横を向くと大好きなジル兄様の整った綺麗なお顔。
「ジル兄様・・・」
安心したのと同時に涙がでた。
うわ~ん・・・・・13歳なのに子供のように大声で泣いてしまった。
抱きしめて背中を優しく撫でてくれる。
そうジル兄様は私が泣くと、いつもこうしてくれていた。
「辛かったね。もう大丈夫だよ」
大丈夫、大丈夫、と泣き止むまで背中を撫でながら繰り返し言ってくれた。
やっと泣き止んだ私に「ユティ、お父様も抱きしめたいのだが」「お兄様もユティを抱きしめたいよ」なんだか可笑しくて笑ってしまった。
2人に手を伸ばすとお父様もお兄様も泣いちゃった。
ずっと気になっていた事を聞いてみた。
だって忙しいはずのお父様がずっと側にいてくれたもの。
「お父様お仕事は?」
「お兄様留学は?」
「ユティが見つかったからね。もう離れたくないから外交の仕事は辞めたんだよ」
「僕はもう卒業して帰ってきたんだよ」
???
お父様はともかくお兄様が卒業するのは、まだ半年以上先だったと思う。
混乱している私にお父様が教えてくれた。
私は知らない間に14歳になっていた。
それは仕方ないよね。
ずっと暗闇の中にいたから月日なんて分からないもの。
でも知りたい。
怖いけれど、なぜこんな事になったのか知りたい。
だって私を心配するお父様とお兄様の声も聞こえるし、2人が温かい手で私の手を握ってくれる。
お医者様が"胃がびっくりするからスープから慣らしてから、少しづつ固形物を食べるような食事にするからね"と教えてくれた。
温かくて味のついたスープも久しぶり。
食事の度にどっちが食べさせるかで、お父様とお兄様がスプーンの取り合いをする声が聞こえるの。
それに真っ暗なのは目に包帯が巻かれているからですって。
それもお医者様が教えてくれたの。
長く暗闇にいたから少しづつ明るさに慣らしていくのですって。
また目が見えるようになるのなら、お父様とお兄様のお顔を一番に見たいわ。
もうベットにも座れるし、声も普通に出るようになった。
スープから今は柔らかい固形物になったの。
その頃には明るいか暗いかが分かるようになってきた。
もうすぐ包帯も取れるってお医者様が教えてくれた。
ベスが毎日身体をタオルで拭いてくれる。
閉じ込められている間、毎日コップ一杯の水しか与えられなかったから、身体なんて拭けなかった。すごく汚れていたと思うの。
髪だって最初は梳かすのが大変そうだった。
早く温かいお風呂に入りたい。
今日は待ち望んだ目の包帯を取る日。
お医者様が包帯を取っていく。
「ゆっくり目を開けてみて下さい」
まず最初に見えたのは私の手を握る大きな手。
そして次に目に涙を浮かべたお父様とお兄様のお顔。
「ユティ」横を向くと大好きなジル兄様の整った綺麗なお顔。
「ジル兄様・・・」
安心したのと同時に涙がでた。
うわ~ん・・・・・13歳なのに子供のように大声で泣いてしまった。
抱きしめて背中を優しく撫でてくれる。
そうジル兄様は私が泣くと、いつもこうしてくれていた。
「辛かったね。もう大丈夫だよ」
大丈夫、大丈夫、と泣き止むまで背中を撫でながら繰り返し言ってくれた。
やっと泣き止んだ私に「ユティ、お父様も抱きしめたいのだが」「お兄様もユティを抱きしめたいよ」なんだか可笑しくて笑ってしまった。
2人に手を伸ばすとお父様もお兄様も泣いちゃった。
ずっと気になっていた事を聞いてみた。
だって忙しいはずのお父様がずっと側にいてくれたもの。
「お父様お仕事は?」
「お兄様留学は?」
「ユティが見つかったからね。もう離れたくないから外交の仕事は辞めたんだよ」
「僕はもう卒業して帰ってきたんだよ」
???
お父様はともかくお兄様が卒業するのは、まだ半年以上先だったと思う。
混乱している私にお父様が教えてくれた。
私は知らない間に14歳になっていた。
それは仕方ないよね。
ずっと暗闇の中にいたから月日なんて分からないもの。
でも知りたい。
怖いけれど、なぜこんな事になったのか知りたい。
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