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帰ってきたアリーはお泊まりしたはずなのに目の下に隈が出来て疲れた顔をしていた。
「女子会って朝まで語り明かすことだとは思わなかったわ」
そ、そう言うものなんだ。
「ん~気が済むところまでよ。別に朝までではないから安心して、今晩も女子会を開くわよ」
お婆様はヤル気だ。
「ア、アリー今から少し寝たほうがいいと思うの」
「そ、そうね。今晩に備えるわ」
昼食後アリーはお昼寝することになった。
結局、私たちの女子会は外が明るくなるまで続いた。
私はフェイのことを、アリーはロイド殿下のことを目を輝かせて聞き、そして頬を染めてはしゃぐお婆様は乙女のようでとても若々しくて可愛かった。
まあ、王家の女子会と公爵家での女子会で女性陣を味方に、ロイド殿下包囲網が出来上がったのは言うまでもない。
少し強引ではあったけれど、卒業式の前にアリーとロイド殿下の婚約が結ばれた。
もちろん二人はその頃には相思相愛になっていた。
意外なのはロイド殿下で婚約した途端、誰の目にも""アリーを愛している""と分かるぐらいの溺愛ぶりだった。
『ロイドがグイグイくるから恥ずかしくてどう反応していいのか困るの』なんて愚痴は惚気にしか聞こえなかった。
そして今日⋯⋯私はフェイと沢山の人達に祝福されて結婚した。
ここまでくるのに一番困ったのは拗ねてしまった父様を宥めることだった。
意外にもロー兄様から反対されなかったのは、将来生まれるであろう私とフェイの子供に期待していたからだったりする。
まあ、私もひとりっ子だし、父様とロー兄様も早くに兄弟を亡くしていたのもあり、ランベル公爵家とスティアート公爵家の跡継ぎに最低でも二人は欲しいところだ。
「大丈夫よ~フェイ君が頑張れば二人なんてすぐ出来るわよ」
お婆様⋯⋯簡単に言わないで。
「おう!任せろ!」
フェイ⋯⋯父様に聞かれたらまた半殺しにされるわよ。
そうなのだ。父様は婚約は認めたものの学園を卒業後すぐに結婚させる気はなかったようで王家の皆様、特に伯父様とお婆様の勢いに為す術なく父様の反対はキレイに流されたのだ。
そして父様が拗ねた。
でもそんな父様はお婆様の『一から子育てが出来るわよ』の言葉で立ち直った。
まあ、有言実行と褒めるべきか呆れるべきか確かにフェイは頑張った。
いえ、頑張ったのは私の方だろう。
一日働いて帰って来ても、疲れ知らずのフェイは毎晩のように私を飽きることなく抱いた。
もうそれはそれは幸せそうに。
大好きだよ。愛している。大切にする。と⋯⋯
そして結婚して三ヶ月後、私は妊娠した。
最初に気付いたのはお婆様だった。
妊娠を知って大騒ぎするフェイ、父様、ロー兄様。
傍から離れようとしないフェイ。
ベッドで生活されようとする父様。
赤ちゃん用品を手当り次第買ってくるロー兄様。
『いい加減にしなさい!妊娠しても無茶をしなければ普段と同じように過ごせばいいの!貴方たちのしている事はルナちゃんとお腹の赤ちゃんにストレスを与えることよ!三人産んだわたくしが言うのだから確かよ』
まあ、三人ともお婆様に叱られてから大人しくなったけれど、過保護には変わりない。
どんどん大きくなるお腹の中には赤ちゃんが二人いることが分かり、また大騒ぎする過保護三人組。
再度テンションが上がった大人三人組はまたお婆様に叱られていた。
そして今日は朝からお腹に痛みが⋯⋯
この日まで悪阻らしい悪阻もなく、順調にお腹の中で育ってきた我が子たちに、毎日お腹の中で暴れていた我が子たちにやっと会える。
そう思えばお婆様から『すごく痛いから覚悟が必要よ』と言われていても多少の痛みぐらい耐えられると簡単に思っていた。
簡単なんかじゃない~!
こ、この痛みをあと何時間耐えればいいの?
世の母たちは皆こんな痛みに耐えたの?
お母様も、お母様もこの痛みに耐えて私を産んでくれたのね。
『もう少しですよ。頑張って下さい』と女医さんの励ましのあと元気な泣き声が聞こえた。
ほっとするのも束の間『ルナちゃんあとひと踏ん張りですよ』出産に立ち会ってくれていたお婆様の声。
まだ、頑張れる。
早く子供たちに会いたい。
今度聞こえた声はさっきよりもか細い声に不安になる。
「おめでとうございます。二人とも元気な男の子ですよ」
「ルナちゃんよく頑張ったわね」
そう言ってお婆様が目元をハンカチで拭ってくれた。泣いていたのね。
後処置が終わると子供たちを連れて来てくれた。
黒髪で元気に泣いている息子と、スヤスヤと眠っている銀髪の息子。
「可愛い。やっと会えたわね。私がお母様よ」
二人の顔を見て自分で自分を誇らしく思うなんて⋯⋯
その時大きな音をたててドアが開いた。
「「「ルナ!」」」
駆け込んできたのはフェイ、父様、ロー兄様。
私の手を握ってありがとう。と、泣くフェイ。
お疲れ様。と言うロー兄様の瞳にも涙が⋯⋯
私の頭を撫でながらよく頑張ったと褒めたあと、子供たちにを見て目に涙が浮かんでいく父様。
三人とも泣かないでよ~
「女子会って朝まで語り明かすことだとは思わなかったわ」
そ、そう言うものなんだ。
「ん~気が済むところまでよ。別に朝までではないから安心して、今晩も女子会を開くわよ」
お婆様はヤル気だ。
「ア、アリー今から少し寝たほうがいいと思うの」
「そ、そうね。今晩に備えるわ」
昼食後アリーはお昼寝することになった。
結局、私たちの女子会は外が明るくなるまで続いた。
私はフェイのことを、アリーはロイド殿下のことを目を輝かせて聞き、そして頬を染めてはしゃぐお婆様は乙女のようでとても若々しくて可愛かった。
まあ、王家の女子会と公爵家での女子会で女性陣を味方に、ロイド殿下包囲網が出来上がったのは言うまでもない。
少し強引ではあったけれど、卒業式の前にアリーとロイド殿下の婚約が結ばれた。
もちろん二人はその頃には相思相愛になっていた。
意外なのはロイド殿下で婚約した途端、誰の目にも""アリーを愛している""と分かるぐらいの溺愛ぶりだった。
『ロイドがグイグイくるから恥ずかしくてどう反応していいのか困るの』なんて愚痴は惚気にしか聞こえなかった。
そして今日⋯⋯私はフェイと沢山の人達に祝福されて結婚した。
ここまでくるのに一番困ったのは拗ねてしまった父様を宥めることだった。
意外にもロー兄様から反対されなかったのは、将来生まれるであろう私とフェイの子供に期待していたからだったりする。
まあ、私もひとりっ子だし、父様とロー兄様も早くに兄弟を亡くしていたのもあり、ランベル公爵家とスティアート公爵家の跡継ぎに最低でも二人は欲しいところだ。
「大丈夫よ~フェイ君が頑張れば二人なんてすぐ出来るわよ」
お婆様⋯⋯簡単に言わないで。
「おう!任せろ!」
フェイ⋯⋯父様に聞かれたらまた半殺しにされるわよ。
そうなのだ。父様は婚約は認めたものの学園を卒業後すぐに結婚させる気はなかったようで王家の皆様、特に伯父様とお婆様の勢いに為す術なく父様の反対はキレイに流されたのだ。
そして父様が拗ねた。
でもそんな父様はお婆様の『一から子育てが出来るわよ』の言葉で立ち直った。
まあ、有言実行と褒めるべきか呆れるべきか確かにフェイは頑張った。
いえ、頑張ったのは私の方だろう。
一日働いて帰って来ても、疲れ知らずのフェイは毎晩のように私を飽きることなく抱いた。
もうそれはそれは幸せそうに。
大好きだよ。愛している。大切にする。と⋯⋯
そして結婚して三ヶ月後、私は妊娠した。
最初に気付いたのはお婆様だった。
妊娠を知って大騒ぎするフェイ、父様、ロー兄様。
傍から離れようとしないフェイ。
ベッドで生活されようとする父様。
赤ちゃん用品を手当り次第買ってくるロー兄様。
『いい加減にしなさい!妊娠しても無茶をしなければ普段と同じように過ごせばいいの!貴方たちのしている事はルナちゃんとお腹の赤ちゃんにストレスを与えることよ!三人産んだわたくしが言うのだから確かよ』
まあ、三人ともお婆様に叱られてから大人しくなったけれど、過保護には変わりない。
どんどん大きくなるお腹の中には赤ちゃんが二人いることが分かり、また大騒ぎする過保護三人組。
再度テンションが上がった大人三人組はまたお婆様に叱られていた。
そして今日は朝からお腹に痛みが⋯⋯
この日まで悪阻らしい悪阻もなく、順調にお腹の中で育ってきた我が子たちに、毎日お腹の中で暴れていた我が子たちにやっと会える。
そう思えばお婆様から『すごく痛いから覚悟が必要よ』と言われていても多少の痛みぐらい耐えられると簡単に思っていた。
簡単なんかじゃない~!
こ、この痛みをあと何時間耐えればいいの?
世の母たちは皆こんな痛みに耐えたの?
お母様も、お母様もこの痛みに耐えて私を産んでくれたのね。
『もう少しですよ。頑張って下さい』と女医さんの励ましのあと元気な泣き声が聞こえた。
ほっとするのも束の間『ルナちゃんあとひと踏ん張りですよ』出産に立ち会ってくれていたお婆様の声。
まだ、頑張れる。
早く子供たちに会いたい。
今度聞こえた声はさっきよりもか細い声に不安になる。
「おめでとうございます。二人とも元気な男の子ですよ」
「ルナちゃんよく頑張ったわね」
そう言ってお婆様が目元をハンカチで拭ってくれた。泣いていたのね。
後処置が終わると子供たちを連れて来てくれた。
黒髪で元気に泣いている息子と、スヤスヤと眠っている銀髪の息子。
「可愛い。やっと会えたわね。私がお母様よ」
二人の顔を見て自分で自分を誇らしく思うなんて⋯⋯
その時大きな音をたててドアが開いた。
「「「ルナ!」」」
駆け込んできたのはフェイ、父様、ロー兄様。
私の手を握ってありがとう。と、泣くフェイ。
お疲れ様。と言うロー兄様の瞳にも涙が⋯⋯
私の頭を撫でながらよく頑張ったと褒めたあと、子供たちにを見て目に涙が浮かんでいく父様。
三人とも泣かないでよ~
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