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~伯父様(ロベルト陛下)視点~
深夜になっても私はフレンシアの傍から離れられなかった。
フレンシアの最後の言葉が今も頭から離れない。
『ロ⋯⋯ベル⋯トにい⋯さまは⋯⋯無事⋯⋯です⋯か』
私の無事を聞いて『よかった』と笑顔のままこの国には無い美しい紫色の瞳を閉じてしまった。
痛かっただろうに、苦しかっただろうに⋯⋯まだ7歳の子供が自分よりも王太子の無事を確認することを優先するなんて⋯⋯フレンシア。
お転婆すぎてフランチェスカ様に叱られると、真っ先に私のところに逃げてきていたフレンシア。
いつも太陽のように明るく無邪気な笑顔のフレンシア。
可愛い可愛い私の妹のフレンシア。
ずっとひとりっ子だった私は、12歳も年の離れたブラッディが生まれたと聞いた時はもう嬉しくて嬉しくて走ってブラッディに会いに行った。
当たり前だけれどベッドで眠るブラッディはとても小さくて恐る恐る手を伸ばせば、しっかりと私の指を握ったあの瞬間、兄になったのだと自覚した。"この子を私が守ってあげなければ"と。
普段から言葉数が少ない母上と人懐こいフランチェスカ様は私から見ても本当に仲が良かった。
嬉しいことに私が15歳の時にもう一人弟が誕生した。このヒューガもブラッディと同じく私に懐いてくれた。ヒューガは私を見つけるとすぐに手を伸ばして抱っこを催促する甘えん坊だった。本当に弟とは可愛い存在だと思っていた。
私が18歳の時、執務室に侍従が慌てて入室してきた。ヒューガが亡くなったと言う。
そんなのは嘘だと私がヒューガの元に行った時にはフランチェスカ様とブラッディの泣き声が、ヒューガの死が現実だと物語っていた。
ヒューガは池に浮かんでいるのを発見された時には手遅れだったと⋯⋯まだ足元もおぼつかない3歳児が侍女や護衛騎士に見つからず一人で池にけるか?とまずは暗殺を疑った。
その後の調査で不慮の事故と判断されたが私は納得がいかなかった。
その数ヶ月後、妹のフレンシアが生まれた。
初めての女の子だったからか泣き声すらも愛しく感じた。
その頃にはブラッディを王位にとの声が上がりだした。
そして⋯⋯ブラッディに毒が盛られた。
犯人はブラッディの乳母の娘だったが、裏に誰かがいたのは確実だと判断された。
まず疑われたのは母上だった。
それはフランチェスカ様が否定してくれたが、疑いが晴れた訳ではなかった。
私が26歳、ブラッディは14歳、フレンシアが7歳の時だ。
王太子としての執務に追われる中、何とか時間を作りブラッディとフレンシアを連れて視察という名のお忍びで街に繰り出した。もちろん護衛も十分に連れていた。
そこでフレンシアとブラッディが狙われた。
フレンシアは私の身が無事だと知ると笑顔で息を引き取った⋯⋯まだ7歳だった。
お転婆で素直で笑顔の可愛い私の妹が⋯⋯取り押さえた犯人を許す気なんて最初からなかった。
フランチェスカ様は泣き叫び、糸が切れたように動かなくなった。
ブラッディは顔面蒼白で泣き続け、休ませるために父上がブラッディを寝室に連れて行った。
それまでどんなに声をかけても反応しなかったフランチェスカ様が突然驚くべきことを発した。
『あの人よ、あの人がヒューガのことも、ブラッディに毒を盛るよう指示したのも、フレンシアを殺したのも!』
信じられなかった。
父上は私たちを分け隔てなく大切にしていれていた。そんな父上が我が子を?
『ええ、あの人は異常なほどフランチェスカ様に執着しているわ。フランチェスカ様が愛する者が自分以外に存在することが許せないのよ』
母上までがフランチェスカ様に同意していた。
『わたくしは見てしまいましたの。フレンシアの死を確認して彼は微かに笑いましたの。それで確信しましたわ』
まさか!と信じられないまま、フランチェスカ様は父上に復讐するために気の長くなるような計画を短時間で立てた。
フランチェスカ様の言葉を確信したのはブラッディがカクセア王国に行くと言い出した時だ。
引き止めない父上を不審に思いチラリと見た時だ⋯⋯うっすらと笑っている姿を見てしまったからだ。
『必ず、必ずブラッディが安心して過ごせる場所にする。何年かかっても私が本当の黒幕を見つける。だから帰ってくるんだ。⋯⋯私にはもうお前しか弟妹はいないんだ。私も必ず力をつける、だからお前も強くなって帰って来い』
それからは父上を退位させる為に国の重鎮や議会の委員を味方につけるために動いた。
長かった⋯⋯ブラッディを呼び戻すまでに12年もかかってしまった。
私が国王になってからは父上の周りを私の影を配置しすべてを報告させた。
報告書から明らかになる父上の異常性に、復讐の為とはいえそばにいるフランチェスカ様が心配だった。
帰ってきたブラッディは立派な大人になっていた。
だが、少しするとすべてを諦めたような生気のない目をするようになった。
それから目に生気が戻ったと思ったら娘と暮らすから臣籍降下すると言い出し、取り潰しとなったバルドラ公爵家の屋敷を取り壊し、新たに急ピッチで屋敷を建てる手配までする始末だった。
娘だと?
初耳だし、年齢を聞けばブラッディが17歳の時の子だと言うし、さらに詳しく聞けば虐待をされていたと言う。しかも『野垂れ死ね』と言われ家を追い出されたと⋯⋯それがロイドが選んだ令嬢のフォネス伯爵家だとか⋯⋯さらに、さらにブラッディの娘がフェリクスの想い人だとか⋯⋯実際初めて会った姪っ子に懐かしいものを感じた。
可愛い姪っ子ちゃんを虐待していた奴らはブラッディとローレンスに任せる。
私はアイツのしっぽを一日でも早く掴みフランチェスカ様をアイツの執着から解放してあげたい。
結局、アイツを捕らえるのにさらに約五年の歳月がかかってしまった。が、前国王がフランチェスカ様を独り占めするためにヒューガとフレンシアだけでなく何人もの犠牲があったことを公表など出来るはずもなく、取り敢えずアイツは老衰と公表したが今は窓のない地下牢でフランチェスカ様に会わせてくれと毎日泣き叫んでいるらしい。
誰が会わせるか!アイツは後悔などすることはないだろう。死ぬまで泣き叫んでいろ!
待たせたね。ヒューガ、フレンシア、兄様は仇を取ったよ。
深夜になっても私はフレンシアの傍から離れられなかった。
フレンシアの最後の言葉が今も頭から離れない。
『ロ⋯⋯ベル⋯トにい⋯さまは⋯⋯無事⋯⋯です⋯か』
私の無事を聞いて『よかった』と笑顔のままこの国には無い美しい紫色の瞳を閉じてしまった。
痛かっただろうに、苦しかっただろうに⋯⋯まだ7歳の子供が自分よりも王太子の無事を確認することを優先するなんて⋯⋯フレンシア。
お転婆すぎてフランチェスカ様に叱られると、真っ先に私のところに逃げてきていたフレンシア。
いつも太陽のように明るく無邪気な笑顔のフレンシア。
可愛い可愛い私の妹のフレンシア。
ずっとひとりっ子だった私は、12歳も年の離れたブラッディが生まれたと聞いた時はもう嬉しくて嬉しくて走ってブラッディに会いに行った。
当たり前だけれどベッドで眠るブラッディはとても小さくて恐る恐る手を伸ばせば、しっかりと私の指を握ったあの瞬間、兄になったのだと自覚した。"この子を私が守ってあげなければ"と。
普段から言葉数が少ない母上と人懐こいフランチェスカ様は私から見ても本当に仲が良かった。
嬉しいことに私が15歳の時にもう一人弟が誕生した。このヒューガもブラッディと同じく私に懐いてくれた。ヒューガは私を見つけるとすぐに手を伸ばして抱っこを催促する甘えん坊だった。本当に弟とは可愛い存在だと思っていた。
私が18歳の時、執務室に侍従が慌てて入室してきた。ヒューガが亡くなったと言う。
そんなのは嘘だと私がヒューガの元に行った時にはフランチェスカ様とブラッディの泣き声が、ヒューガの死が現実だと物語っていた。
ヒューガは池に浮かんでいるのを発見された時には手遅れだったと⋯⋯まだ足元もおぼつかない3歳児が侍女や護衛騎士に見つからず一人で池にけるか?とまずは暗殺を疑った。
その後の調査で不慮の事故と判断されたが私は納得がいかなかった。
その数ヶ月後、妹のフレンシアが生まれた。
初めての女の子だったからか泣き声すらも愛しく感じた。
その頃にはブラッディを王位にとの声が上がりだした。
そして⋯⋯ブラッディに毒が盛られた。
犯人はブラッディの乳母の娘だったが、裏に誰かがいたのは確実だと判断された。
まず疑われたのは母上だった。
それはフランチェスカ様が否定してくれたが、疑いが晴れた訳ではなかった。
私が26歳、ブラッディは14歳、フレンシアが7歳の時だ。
王太子としての執務に追われる中、何とか時間を作りブラッディとフレンシアを連れて視察という名のお忍びで街に繰り出した。もちろん護衛も十分に連れていた。
そこでフレンシアとブラッディが狙われた。
フレンシアは私の身が無事だと知ると笑顔で息を引き取った⋯⋯まだ7歳だった。
お転婆で素直で笑顔の可愛い私の妹が⋯⋯取り押さえた犯人を許す気なんて最初からなかった。
フランチェスカ様は泣き叫び、糸が切れたように動かなくなった。
ブラッディは顔面蒼白で泣き続け、休ませるために父上がブラッディを寝室に連れて行った。
それまでどんなに声をかけても反応しなかったフランチェスカ様が突然驚くべきことを発した。
『あの人よ、あの人がヒューガのことも、ブラッディに毒を盛るよう指示したのも、フレンシアを殺したのも!』
信じられなかった。
父上は私たちを分け隔てなく大切にしていれていた。そんな父上が我が子を?
『ええ、あの人は異常なほどフランチェスカ様に執着しているわ。フランチェスカ様が愛する者が自分以外に存在することが許せないのよ』
母上までがフランチェスカ様に同意していた。
『わたくしは見てしまいましたの。フレンシアの死を確認して彼は微かに笑いましたの。それで確信しましたわ』
まさか!と信じられないまま、フランチェスカ様は父上に復讐するために気の長くなるような計画を短時間で立てた。
フランチェスカ様の言葉を確信したのはブラッディがカクセア王国に行くと言い出した時だ。
引き止めない父上を不審に思いチラリと見た時だ⋯⋯うっすらと笑っている姿を見てしまったからだ。
『必ず、必ずブラッディが安心して過ごせる場所にする。何年かかっても私が本当の黒幕を見つける。だから帰ってくるんだ。⋯⋯私にはもうお前しか弟妹はいないんだ。私も必ず力をつける、だからお前も強くなって帰って来い』
それからは父上を退位させる為に国の重鎮や議会の委員を味方につけるために動いた。
長かった⋯⋯ブラッディを呼び戻すまでに12年もかかってしまった。
私が国王になってからは父上の周りを私の影を配置しすべてを報告させた。
報告書から明らかになる父上の異常性に、復讐の為とはいえそばにいるフランチェスカ様が心配だった。
帰ってきたブラッディは立派な大人になっていた。
だが、少しするとすべてを諦めたような生気のない目をするようになった。
それから目に生気が戻ったと思ったら娘と暮らすから臣籍降下すると言い出し、取り潰しとなったバルドラ公爵家の屋敷を取り壊し、新たに急ピッチで屋敷を建てる手配までする始末だった。
娘だと?
初耳だし、年齢を聞けばブラッディが17歳の時の子だと言うし、さらに詳しく聞けば虐待をされていたと言う。しかも『野垂れ死ね』と言われ家を追い出されたと⋯⋯それがロイドが選んだ令嬢のフォネス伯爵家だとか⋯⋯さらに、さらにブラッディの娘がフェリクスの想い人だとか⋯⋯実際初めて会った姪っ子に懐かしいものを感じた。
可愛い姪っ子ちゃんを虐待していた奴らはブラッディとローレンスに任せる。
私はアイツのしっぽを一日でも早く掴みフランチェスカ様をアイツの執着から解放してあげたい。
結局、アイツを捕らえるのにさらに約五年の歳月がかかってしまった。が、前国王がフランチェスカ様を独り占めするためにヒューガとフレンシアだけでなく何人もの犠牲があったことを公表など出来るはずもなく、取り敢えずアイツは老衰と公表したが今は窓のない地下牢でフランチェスカ様に会わせてくれと毎日泣き叫んでいるらしい。
誰が会わせるか!アイツは後悔などすることはないだろう。死ぬまで泣き叫んでいろ!
待たせたね。ヒューガ、フレンシア、兄様は仇を取ったよ。
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