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少し残酷な描写があります。
苦手な方は読み飛ばして下さい。


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~フェイ(フェリクス第二王子)視点~



あの女がフォネス伯爵に無茶な要求をしているとの報告はきていた。
ドレスを強請り、それだけでは満足出来なかったのか宝石まで集った。
フォネス伯爵家を外から見れば金が有り余っているように見えたのかもしれないが、禄に働いていないフォネス伯爵が金回りが良かったのはルナの為にスティアート公爵家が大金を支援していたからだ。

そのルナを追い出してしまえば、スティアート公爵家からの支援が止まるのは当然だ。
それでも運良く、タイミング良くか?エリザベスがロイドの婚約者に選ばれた。
今度は王家からロイドの婚約者であるに支度金が支給されたのだが、フォネス伯爵は何を勘違いしたのか自分たちが贅沢をするために使っていた。
まあ、それはいい。

だが、エリザベスの口の軽さによってフローラの死亡届の件でアリスト伯爵令嬢に脅迫されるとは⋯⋯馬鹿な娘を持った己を恨め。

調子に乗ったあの女の要求を聞くために妻と娘の宝飾品を売却しても追いつかなくなったのだろう。
だから、ルナフローラに暗殺者を向けろと命令されて追い詰められた。
そして叔父上に今までの行いを自ら告白し少しでも罪を軽くしようとしたようたが⋯⋯結果は変わらない。変わるわけがない。

⋯⋯もう、フォネス伯爵家は無くなった。
新年の夜会でわざわざそれを公表しなかった。
ロイドとエリザベスの婚約も白紙になったことも⋯⋯一月後にそれは公表される。理由は本当かどうか分からないが『適当でいい』と陛下が言ったとか。

結局、元フォネス伯爵は年末までもたなかった。
痛みと苦しみに耐えかねた奴は自ら舌をかみ切り命を絶った。
まだ罪を償いきれていなかったというのに情けないものだ。
それに比べ妻の方は最後までルナにしたことを反省しないどころか叔父上とスティアート公爵に向かって『あんな子フローラなんか殺しておけばよかった』とほざいたそうだ。
あとでその場にいた者から聞いた話だがその瞬間、元フォネス夫人の右腕と左腕が同時に宙に舞ったそうだ。
叔父上はともかく、一見温厚そうに見えるスティアート公爵だが、剣の腕は叔父上にも劣らないとか⋯⋯所謂天才タイプだそうだ。

今は夫婦仲良くどこかの崖下で眠っているだろう。

エリザベスは隣国との境目にある極寒の地であり規律の厳しい修道院に送られた。
甘い!と抗議したが叔父上曰く貴族の令嬢が送られて三年と生きていた者はいない場所なのだとか。
そこで何が行われるかは聞いていない。が、叔父上の顔を見てロクな場所でないと確証した。

コレで年内でフォネス家は終わった。

そして久しぶりに会ったルナは俺の独占欲丸出しのドレスがよく似合っていた。
楽しくダンスを踊りルナが話があると。
期待に胸がドキドキするが顔には出さないよう平静を装った。が、聞く前にあの女を拘束したと合図があった。

まずはルナを送って、叔父上たちのいる部屋に入った。
手足を縛られ転がっている女が俺に媚びた目を向けている。
そんな目で俺を見ても無駄だ。

俺はルナだけが欲しい。
ルナ以外に興味はない。

ルナに暗殺者を向けるよう命令するような女だ。

さあ、この女をどうしてやろう?




俺たちの会話を聞いて想像でもしたのだろう。怯えてガタガタ震えながらも『ごめんなさい、もうしません。許して下さい』と繰り返し謝っているが、この部屋にいる者で許すと言う者は一人もいない。

俺たちの大切なルナを殺そうとしたんだ。
自分が殺されても文句はないだろう?

この女に俺たちが直接手を下すわけではない。
ある人物に引き渡すだけだ。
よかったな。お前の嫌いな姉に二度と会わなくて済むんだ。両親には修道院に送ったとでも言っておく。

馬鹿な女だ。
他の女と同じように羨んでいるだけなら何もしなかったのに⋯⋯
でも大丈夫だ。安心しろ。
衣はともかく食住はあの人物が与えてくれるらしいぞ。
鎖に繋がれ太陽の日を浴びることは二度とないらしいが、ペットとして一生可愛がってもらえ。


俺に縋るような目を向けても無駄だ。
同情はしない。
ルナに敵意を向けたぐらいなら許してやったさ。
だが、お前は俺の大切なルナを亡き者にしようとしたんだ。
これから生きている限り後悔し続けろ。
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