上 下
47 / 71

47

しおりを挟む

「ルナ、あんな顔をする人間には気をつけるのよ」

「ええ、わかっているわ」

アリーも王族だけに様々な経験があるのだろう。

本当いやな感じだなんだよね~

フェイの卒業パーティーでアリスト様のフェイへの気持ちに気付いてからは学園で見かけても会釈すらされなくなった。それどころか睨まれていたのに⋯⋯最近のアリスト様はニヤニヤして私を見るのよね。

私はあの目に似たもの知っている。
⋯⋯フォネス伯爵夫人が私に何かしてくる時の⋯⋯何か企んでいる時に見せていたものだ。

これは警戒するに越したことはないないわね。
何をしてこようがアリスト様が私を害することは出来ないわ。
今の私には相談できる人がいる。頼れる人がいる。信じられる人がいる。守ってくれる人もいる。

もう一人じゃないのよ!





あれから何日も経つのにアリスト様は何もしてこない。
そのくせニヤニヤ見てくるのよね。
もう気持ち悪いとしか言いようがない。
余裕があるのかも知れないけれど、周りのことは見えていないようだ。他の生徒たちも何かを察しているようで彼女を避けるように遠巻きに見ている。
そりゃあ不気味だよね。
綺麗な人だと思っていたけれど私の勘違いだったみたい。
今のアリスト様の歪んだ顔は美しいとは言えないもの。



アリスト様は私の何かを掴んでいる気がする。
だからあんな余裕の顔が出来るのだと思う。
それにエリザベスと一緒に居るところを見ちゃえば、何を掴んだか推測するのは難しくないのよ。

どうせ私が死んだはずのフォネス伯爵家のだって言いたいのでしょう?
そして、父様の娘ではないと思っているのでしょう?
それともロー兄様といかがわしい関係だと思っているとか?
まあ、ロー兄様との噂はクラスメイトたちが教えてくれたんだけどね。
私との噂をロー兄様に教えたら『光栄だね僕の可愛い姪っ子ちゃん』ですって。怒るどころか喜ぶところがロー兄様らしい。
父様は面白くなさそうな顔をしていたけれどね。


さあ、どの手を何時、何処で使ってくる?
でもその前によく考えて?
父様は王族よ?
会ったことはないけれどお祖母様はカクセア王国の王女だったのよ?
(まあ、カクセア王国の王族の血とは大分離れているけれどね)
お母様はスティアート公爵の娘だったのよ?

何を考えているか知らないけれど、やめておいたほうがいいと思うの。

もう、エリザベスがどんな子か分かったでしょう?
話を真に受けない方がいいわよ?
でないと⋯⋯怖い思いをしちゃうかもよ?



何事も起こらないまま夏季休暇に入ろうとしていた。
夏季休暇に入ればすぐに一年生たちのデビュタントが王宮で開かれる。
もちろん私も参加する。
だって、フェイから手紙で『エスコートさせてくれないか?』って誘われたから⋯⋯それに新年の夜会の時のようにドレスだけではなく装飾品までもう準備が出来ているって言われたらね、断るのも申し訳ないし私もフェイには会いたいもの。
もう四、五ヶ月は会っていないのよ。
早く夜会の日が来ないかな~

私をエスコートする気満々だった父様は少し寂しそうだったけれど、アリーが『ブラッディ様は、わたしのエスコートをすればいいわ!それだと寂しくないでしょう?』って、慰めていたわ。

それから、ここぞとばかりに父様にドレスを催促していたわね。
ドレスなんていっぱい持って来ているはずなのにね。




フェイと会うのは卒業式以来だから次の夜会が今から楽しみなんだ。

早く来い来い夏季休暇!





♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

ミス連発の作者ですが、いつも小説を読んでくださりありがとうございます。

エールと感想で十分励みになっていたのにたくさんの『いいね』まで頂いて感謝感激です!
ありがとうございます。

気をつけますがまたミスを犯すかも知れません(◞‸◟ㆀ)
その時は投稿ミスをする度にお詫び投稿致します。

お騒がせして申し訳ございませんでしたm(_ _)m
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

美しい姉と痩せこけた妹

サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――

【完結】用済みと捨てられたはずの王妃はその愛を知らない

千紫万紅
恋愛
王位継承争いによって誕生した後ろ楯のない無力な少年王の後ろ楯となる為だけに。 公爵令嬢ユーフェミアは僅か10歳にして大国の王妃となった。 そして10年の時が過ぎ、無力な少年王は賢王と呼ばれるまでに成長した。 その為後ろ楯としての価値しかない用済みの王妃は廃妃だと性悪宰相はいう。 「城から追放された挙げ句、幽閉されて監視されて一生を惨めに終えるくらいならば、こんな国……逃げだしてやる!」 と、ユーフェミアは誰にも告げず城から逃げ出した。 だが、城から逃げ出したユーフェミアは真実を知らない。

旦那様、離婚しましょう

榎夜
恋愛
私と旦那は、いわゆる『白い結婚』というやつだ。 手を繋いだどころか、夜を共にしたこともありません。 ですが、とある時に浮気相手が懐妊した、との報告がありました。 なので邪魔者は消えさせてもらいますね *『旦那様、離婚しましょう~私は冒険者になるのでお構いなく!~』と登場人物は同じ 本当はこんな感じにしたかったのに主が詰め込みすぎて......

戻る場所がなくなったようなので別人として生きます

しゃーりん
恋愛
医療院で目が覚めて、新聞を見ると自分が死んだ記事が載っていた。 子爵令嬢だったリアンヌは公爵令息ジョーダンから猛アプローチを受け、結婚していた。 しかし、結婚生活は幸せではなかった。嫌がらせを受ける日々。子供に会えない日々。 そしてとうとう攫われ、襲われ、森に捨てられたらしい。 見つかったという遺体が自分に似ていて死んだと思われたのか、別人とわかっていて死んだことにされたのか。 でももう夫の元に戻る必要はない。そのことにホッとした。 リアンヌは別人として新しい人生を生きることにするというお話です。

【完結】恋人との子を我が家の跡取りにする? 冗談も大概にして下さいませ

水月 潮
恋愛
侯爵家令嬢アイリーン・エヴァンスは遠縁の伯爵家令息のシリル・マイソンと婚約している。 ある日、シリルの恋人と名乗る女性・エイダ・バーク男爵家令嬢がエヴァンス侯爵邸を訪れた。 なんでも彼の子供が出来たから、シリルと別れてくれとのこと。 アイリーンはそれを承諾し、二人を追い返そうとするが、シリルとエイダはこの子を侯爵家の跡取りにして、アイリーンは侯爵家から出て行けというとんでもないことを主張する。 ※設定は緩いので物語としてお楽しみ頂けたらと思います ☆HOTランキング20位(2021.6.21) 感謝です*.* HOTランキング5位(2021.6.22)

お父様、お母様、わたくしが妖精姫だとお忘れですか?

サイコちゃん
恋愛
リジューレ伯爵家のリリウムは養女を理由に家を追い出されることになった。姉リリウムの婚約者は妹ロサへ譲り、家督もロサが継ぐらしい。 「お父様も、お母様も、わたくしが妖精姫だとすっかりお忘れなのですね? 今まで莫大な幸運を与えてきたことに気づいていなかったのですね? それなら、もういいです。わたくしはわたくしで自由に生きますから」 リリウムは家を出て、新たな人生を歩む。一方、リジューレ伯爵家は幸運を失い、急速に傾いていった。

一番悪いのは誰

jun
恋愛
結婚式翌日から屋敷に帰れなかったファビオ。 ようやく帰れたのは三か月後。 愛する妻のローラにやっと会えると早る気持ちを抑えて家路を急いだ。 出迎えないローラを探そうとすると、執事が言った、 「ローラ様は先日亡くなられました」と。 何故ローラは死んだのは、帰れなかったファビオのせいなのか、それとも・・・

処理中です...