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~ランベル公爵(父様)視点~
愛する子を失い、失いかけ、また失ってしまった母上は俺のことも、ヒューガやフレンシアのことを忘れてしまった。
だが今の方が母上にとっては幸せなのかもしれない。
俺も母上と同じ世界に行けたらと何度も思った。
俺は15歳になった。
可愛がっていたフレンシアが亡くなり、ロベルト兄上もあの事件以来少し雰囲気が変わった気がする。
ただ俺を気にかけてくれし、変わらず今も優しい。
母上は相変わらず夢の中で生きている。
この国では理由がない限り貴族は学園に通うことを義務付けられている。
王族で健康に問題のない俺が学園に通うのを拒否することは出来なかった。
学園に通いだしても、周りは媚を売る奴、無断で体に触れてくる女、煩わしいだけで誰も相手にしなかった。
そのうち誰も俺に近づかなくなった時には二年になっていた。
漸く周りが静かになった頃、シルフィーナの存在に気づいた。
いや、シルフィーナのことは知っていた。
俺と同じようにいつも一人でいた。
誰かに嫌がらせされているようにも見えなかった。
それどころか、男女関係なくシルフィーナを見守っているようにすら見えた。
シルフィーナ・スティアート。公爵家の令嬢だ。
俺の、婚約者第一候補だと以前聞いていた。
その話が流れたのは何度も命を狙われた俺が、婚約者などを決めてしまえば相手まで狙われるのではないかと怖くなってしまったからだ。
実際バルドラが処刑されてからも俺は二度命を狙われた。
だから俺は大切な者を作る気はなかったのに⋯⋯
一度気になり始めたら、何故か気づけばシルフィーナを目で追っていた。
一人なのに寂しそうに見えない。
いつも背筋を伸ばし長い銀髪を靡かせ真っ直ぐ前を向いて歩く姿を美しいと思った。
花壇に咲く花を見て微笑み、青い空を見て眩しそうに手を伸ばし、一人を満喫しているように見えた。
敢えて誰もそばに置かない俺とは違う。
だからこれは憧れ⋯⋯シルフィーナに惹かれているわけじゃない。そう自分に言い聞かせていた。
ある日、たまたま使用されることがなくなったばかりの校舎の裏に足を伸ばした。
近くにカフェも花壇もない殺風景な場所だが、大きな木の幹が絡み合うようにあるだけの根元でシルフィーナが昼寝をしていた。
すやすやと気持ち良さそうに眠るシルフィーナに近づきたくて隣に座った。心臓が煩いくらいドキドキしていた。
突然予鈴が鳴った。
その音でシルフィーナはパチリと目を覚まし、覗き込むようにして寝顔を見ていた俺と目が合うと「あら!殿下もお昼寝ですか?さあ早く立って下さい、遅刻しますよ」と手を差し出してきた。
勝手に隣に座り、寝顔まで見られていたのに怒るわけでも、恥ずかしがるわけでもない自然体の彼女の言葉にただ頷いて手を伸ばした。
次の日から昼休みはその場所で二人で過ごした。
何も話さない日もあり、シルフィーナの弟の自慢話で休憩が終わる日もあった。
見かけによらずシルフィーナは意外とお喋りで、表情もコロコロと変わる。
この頃にはシルフィーナが俺の特別な存在だと気づいていた。
だからこそ気持ちを伝えるのが怖かった。
⋯⋯巻き込みたくない。
俺を狙っている者にシルフィーナまでが狙われたら?
大切だからこそ伝えられない。
このままでいい。彼女だけは巻き込みたくない。
だが⋯⋯翌日学園の帰り道でシルフィーナの乗った馬車が荒くれ者に襲われたと本人から教えられた。犯人は捕縛済みで怪我もないと。
シルフィーナ自身は初めてではないとケロッとした顔で言っていたが俺は怖くて堪らなかった。
彼女を失っていたかもしれない。
ここで彼女と過ごしているのを黒幕に知られているかも知れない。とそう思うともうダメだった。
その日、王宮に帰るなり父上とロベルト兄上にこの国を出ることを伝えた。
父上には反対はされなかった。
だがロベルト兄上は違った。
『必ず、必ずブラッディが安心して過ごせる場所にする。何年かかっても私が本当の黒幕を見つける。だから帰ってくるんだ。⋯⋯私にはもうお前しか弟妹はいないんだ。私も必ず力をつける、だからお前も強くなって帰って来い』
そこまで言ってくれる兄上に俺は返事が出来なかった。
必要最低限の荷物をまとめ明朝には出発するつもりだった。
ただ、最後にもう一度だけでいいからシルフィーナに会いたかった。
シルフィーナは突然訪問した俺を笑顔で迎えてくれた。
その日は父親のスティアート公爵は息子を連れて領地に視察に行っていて留守だった。
応接間に通され、別れの挨拶をするだけ。その言葉が中々口から出なかった。俺の様子がおかしいと気づいたのだろう。
部屋の外で待機していた侍女に「あとは私がするからもう休んでいいわ。殿下のお見送りも私がするわ」と言って外させた。
突然手を引かれ歩き出したシルフィーナに次に案内されたのは彼女の部屋だった。そこまでに誰にも合わなかったは偶然か?
女性の部屋に初めて入り、女性と密室で二人きりになるのも初めての俺は緊張でパニックになっていたのだと思う。
だが「さあ話して下さい。何かあったのでしょう?そんな顔色で⋯⋯」
彼女が言い終わる前に耐えていた言葉が次々に溢れた。何度も命を狙われたこと、弟と妹を亡くしたこと、母上の今の状態。
「シルフィーナを愛しているから君を巻き込むのが怖い⋯⋯だから俺はこの国を出ることにしたんだ」
俺の目元をハンカチで押さえ、優しく微笑んだシルフィーナの次の言葉に俺は抱きしめていた。
「⋯⋯待っています。私は貴方が帰ってくるのを待っています。私も⋯⋯殿下を愛しています。だから必ず私のもとに帰ってきて下さい」
この夜、俺たちは結ばれた。
たった一夜だ。
それでも俺はこの日を忘れたことはなかった。
17歳で母上の母国カクセア王国に旅立ち、帰ってきたのが4年前。俺が29歳の時だ。
この時にシルフィーナの死と、フォネス伯爵との結婚、その間に子もいることを知った。
裏切られたと思った。
だが、待たせ過ぎたとも。
絶望⋯⋯何もかもがどうでもよくなった。
ただ毎日寝て起きて仕事をするだけの日々。
何も感じない。
それがある日、そう突然部下のローレンスに強引に連れて行かれた先に痩せ細り、傷だらけの少女がいた。
シルフィーナに似た、俺の瞳の色を持つ、俺たちの娘。
フローラ。
この日、命よりも大切な者が俺にもできたんだ。
シルフィーナあとは任せてくれ。
ルナ必ず父様が君の笑顔を守ってあげるよ。
父様の願いはルナの幸せだけだ。
愛する子を失い、失いかけ、また失ってしまった母上は俺のことも、ヒューガやフレンシアのことを忘れてしまった。
だが今の方が母上にとっては幸せなのかもしれない。
俺も母上と同じ世界に行けたらと何度も思った。
俺は15歳になった。
可愛がっていたフレンシアが亡くなり、ロベルト兄上もあの事件以来少し雰囲気が変わった気がする。
ただ俺を気にかけてくれし、変わらず今も優しい。
母上は相変わらず夢の中で生きている。
この国では理由がない限り貴族は学園に通うことを義務付けられている。
王族で健康に問題のない俺が学園に通うのを拒否することは出来なかった。
学園に通いだしても、周りは媚を売る奴、無断で体に触れてくる女、煩わしいだけで誰も相手にしなかった。
そのうち誰も俺に近づかなくなった時には二年になっていた。
漸く周りが静かになった頃、シルフィーナの存在に気づいた。
いや、シルフィーナのことは知っていた。
俺と同じようにいつも一人でいた。
誰かに嫌がらせされているようにも見えなかった。
それどころか、男女関係なくシルフィーナを見守っているようにすら見えた。
シルフィーナ・スティアート。公爵家の令嬢だ。
俺の、婚約者第一候補だと以前聞いていた。
その話が流れたのは何度も命を狙われた俺が、婚約者などを決めてしまえば相手まで狙われるのではないかと怖くなってしまったからだ。
実際バルドラが処刑されてからも俺は二度命を狙われた。
だから俺は大切な者を作る気はなかったのに⋯⋯
一度気になり始めたら、何故か気づけばシルフィーナを目で追っていた。
一人なのに寂しそうに見えない。
いつも背筋を伸ばし長い銀髪を靡かせ真っ直ぐ前を向いて歩く姿を美しいと思った。
花壇に咲く花を見て微笑み、青い空を見て眩しそうに手を伸ばし、一人を満喫しているように見えた。
敢えて誰もそばに置かない俺とは違う。
だからこれは憧れ⋯⋯シルフィーナに惹かれているわけじゃない。そう自分に言い聞かせていた。
ある日、たまたま使用されることがなくなったばかりの校舎の裏に足を伸ばした。
近くにカフェも花壇もない殺風景な場所だが、大きな木の幹が絡み合うようにあるだけの根元でシルフィーナが昼寝をしていた。
すやすやと気持ち良さそうに眠るシルフィーナに近づきたくて隣に座った。心臓が煩いくらいドキドキしていた。
突然予鈴が鳴った。
その音でシルフィーナはパチリと目を覚まし、覗き込むようにして寝顔を見ていた俺と目が合うと「あら!殿下もお昼寝ですか?さあ早く立って下さい、遅刻しますよ」と手を差し出してきた。
勝手に隣に座り、寝顔まで見られていたのに怒るわけでも、恥ずかしがるわけでもない自然体の彼女の言葉にただ頷いて手を伸ばした。
次の日から昼休みはその場所で二人で過ごした。
何も話さない日もあり、シルフィーナの弟の自慢話で休憩が終わる日もあった。
見かけによらずシルフィーナは意外とお喋りで、表情もコロコロと変わる。
この頃にはシルフィーナが俺の特別な存在だと気づいていた。
だからこそ気持ちを伝えるのが怖かった。
⋯⋯巻き込みたくない。
俺を狙っている者にシルフィーナまでが狙われたら?
大切だからこそ伝えられない。
このままでいい。彼女だけは巻き込みたくない。
だが⋯⋯翌日学園の帰り道でシルフィーナの乗った馬車が荒くれ者に襲われたと本人から教えられた。犯人は捕縛済みで怪我もないと。
シルフィーナ自身は初めてではないとケロッとした顔で言っていたが俺は怖くて堪らなかった。
彼女を失っていたかもしれない。
ここで彼女と過ごしているのを黒幕に知られているかも知れない。とそう思うともうダメだった。
その日、王宮に帰るなり父上とロベルト兄上にこの国を出ることを伝えた。
父上には反対はされなかった。
だがロベルト兄上は違った。
『必ず、必ずブラッディが安心して過ごせる場所にする。何年かかっても私が本当の黒幕を見つける。だから帰ってくるんだ。⋯⋯私にはもうお前しか弟妹はいないんだ。私も必ず力をつける、だからお前も強くなって帰って来い』
そこまで言ってくれる兄上に俺は返事が出来なかった。
必要最低限の荷物をまとめ明朝には出発するつもりだった。
ただ、最後にもう一度だけでいいからシルフィーナに会いたかった。
シルフィーナは突然訪問した俺を笑顔で迎えてくれた。
その日は父親のスティアート公爵は息子を連れて領地に視察に行っていて留守だった。
応接間に通され、別れの挨拶をするだけ。その言葉が中々口から出なかった。俺の様子がおかしいと気づいたのだろう。
部屋の外で待機していた侍女に「あとは私がするからもう休んでいいわ。殿下のお見送りも私がするわ」と言って外させた。
突然手を引かれ歩き出したシルフィーナに次に案内されたのは彼女の部屋だった。そこまでに誰にも合わなかったは偶然か?
女性の部屋に初めて入り、女性と密室で二人きりになるのも初めての俺は緊張でパニックになっていたのだと思う。
だが「さあ話して下さい。何かあったのでしょう?そんな顔色で⋯⋯」
彼女が言い終わる前に耐えていた言葉が次々に溢れた。何度も命を狙われたこと、弟と妹を亡くしたこと、母上の今の状態。
「シルフィーナを愛しているから君を巻き込むのが怖い⋯⋯だから俺はこの国を出ることにしたんだ」
俺の目元をハンカチで押さえ、優しく微笑んだシルフィーナの次の言葉に俺は抱きしめていた。
「⋯⋯待っています。私は貴方が帰ってくるのを待っています。私も⋯⋯殿下を愛しています。だから必ず私のもとに帰ってきて下さい」
この夜、俺たちは結ばれた。
たった一夜だ。
それでも俺はこの日を忘れたことはなかった。
17歳で母上の母国カクセア王国に旅立ち、帰ってきたのが4年前。俺が29歳の時だ。
この時にシルフィーナの死と、フォネス伯爵との結婚、その間に子もいることを知った。
裏切られたと思った。
だが、待たせ過ぎたとも。
絶望⋯⋯何もかもがどうでもよくなった。
ただ毎日寝て起きて仕事をするだけの日々。
何も感じない。
それがある日、そう突然部下のローレンスに強引に連れて行かれた先に痩せ細り、傷だらけの少女がいた。
シルフィーナに似た、俺の瞳の色を持つ、俺たちの娘。
フローラ。
この日、命よりも大切な者が俺にもできたんだ。
シルフィーナあとは任せてくれ。
ルナ必ず父様が君の笑顔を守ってあげるよ。
父様の願いはルナの幸せだけだ。
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