【完結】野垂れ死ねと言われ家を追い出されましたが幸せです

kana

文字の大きさ
上 下
16 / 71

16

しおりを挟む
「お異母姉様!」

はぁここ最近何度ため息をついたか⋯⋯

「私はランベル公爵家の娘ですよ。貴女のような妹などおりません。何度も言わせないで下さい」

「エリザベス!いい加減にしろ!」

王子殿下が間に入るのも何度目かしら?
最近は彼から話しかけて来なくなったと言うのに、エリザベスが執拗い。

「君のは亡くなっているはずだろ?大体生きていたとしてもエリザベスの方がじゃないか!姉妹の定義も知らないのか?」

「だってぇ~。ランベル様が亡くなったに似ているのですものぉ~。」

そうだね。本人だもの。
だから何?今さらフォネス家の人間に何か出来るとでも?それこそ私に生きていられたら困るのはフォネス家の方なのに⋯⋯馬鹿だから分からないんだろうね。注意されてもまだ自分を異母姉だと認めない。
それに大好きだなんて馬鹿なだけじゃなくて嘘つきなのね。

「⋯⋯それがどうした?似ているからと君がランベル嬢を呼びする理由にはならない!」

「この人はお異母姉様よ⋯⋯間違いないの。わたくしには分かりますわ!」

「⋯⋯そのの名前は?」

「え?えっと⋯⋯フ、フロ、フロ⋯⋯う~ん何年も前だから忘れちゃったっ!えへへっ」

可愛子ぶっても無駄だ。
それに名前すら覚えてないってどうなんだ?

「大好きなだったのに名前も覚えていないのか?」

うわーエリザベスを見下ろす殿下の目が怖くない?
まあ、私は関係ないね。

「我が家から抗議文を送らせてもらいます」

「是非そうしてくれて構わない。⋯⋯それとエリザベス、何度も抗議文の来るような令嬢は王家に迎えることは出来ないと知っているな?」

当然ね。

「え?なんで?ロイド様?」

「王子妃教育で最初に習っただろ?」

「し、知りませんわ!」

絶対に教えられているはず。
エリザベスが覚えていないだけでしょう。
いや、覚える気がなかっただけかも。

「⋯⋯君は最初から王子妃になるつもりがなかったのか?」

そう取られても仕方がない。
エリザベスは婚約者に選ばれたからと安心していたようね。
適正もない、努力もしないなら白紙に戻されても文句は言えない。

「婚約してから二年。王子妃教育も進んでいない。⋯⋯このままだとエリザベスを王家に迎えられないと分かるだろ?」

「い、いや!ロイド様!な、何でそんな意地悪を言いますの?」

「嫌なら努力するんだ。それが出来ないなら⋯⋯降りてもらう」

さすがにエリザベスでも、何を降りてもらうかは理解してるよね?

「私はこれで失礼しますがフォネス嬢、次はありませんからね」

睨むだけで謝りもしない。
どんな教育を受けているんだか!あの親だ、甘やかすだけで碌な教育はしていないことは想像がつく。
これで私に関わってこなくなればいいけれど⋯⋯

取り敢えず帰ったら父様に報告ね。









「なるほどね~やっぱりフォネス家って賢い奴が居ないんだね」

今日も帰ったらロー兄様が来ていた。だから父様と一緒に話を聞いてもらうことにした。

「あの家は財政状況が悪く、王子の婚約者に宛てがわれている金が無くなれば一気に没落することは目に見えている。何がなんでも王族との婚約を逃したくはないだろう」

「没落?私がいた頃は贅沢な暮らしをしていたよ」

「ああ、それはね。姉上が嫁ぐ時の契約で毎年フォネス伯爵家に我が家が援助をしていたからなんだよ。例え姉上が亡くなってもがいたからね、君が何不自由なく過ごせるように続けていたんだよ。まさかその金をには一切使わず、自分たちで使い込むなんてね。自分が金持ちになったと勘違いしていたようだよ」

「まあ、その援助が無くなれば碌に働いていないフォネス伯爵家が困ることになるのは当然だ」

「彼はねが亡くなっても永遠に援助が続くと思っていたようなんだ。自分に都合のいい頭をしているよね」

どれだけ厚かましいんだ!

どうも自分で死亡届を出したにも関わらず、お金が振り込まれないことに憤慨してスティアート公爵家、つまりロー兄様のところに催促に来たそうだ。
私が死んでからもずっとお金を貰えると思っていたらしい。
⋯⋯馬鹿だ。
貰えないと理解すると、今度は私を探し出そうとしたとか⋯⋯
やっぱり馬鹿だ。
もし見つかったとしても、嘘の死亡届を提出したことを罪に問われるとは思わなかったのだろうか?貴族の生死の虚偽は重罪だと子供でも知っているのに。
私の遺体を確認もせずに届けを出したのは、あの状態の私なら確実に野垂れ死ぬと思っていたんだろうね。

「フローラが生きているなら我がスティアート公爵家で引き取る」と、伝えてからはロー兄様に催促をしなくなったらしい。

当然だ!

まあ、生きていたら私への仕打ちがロー兄様にバレると焦ったんだろうけど、もう遅いんだよね。私が受けてきた仕打ちを全て話しちゃったもんね。


「王家でもフォネス家の娘エリザベスの評価は低い。このまま婚約を継続するのは難しいだろう」

だとしたら、フォネス伯爵家は没落するのも時間の問題ね。






私を溺愛する父様と、ロー兄様が私への仕打ちを許すほど甘い人ではないことを、天国から地獄へと突き落とす計画を立てていたことを、この時の私は何も知らなかった⋯⋯
しおりを挟む
感想 463

あなたにおすすめの小説

記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話

甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。 王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。 その時、王子の元に一通の手紙が届いた。 そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。 王子は絶望感に苛まれ後悔をする。

初耳なのですが…、本当ですか?

あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た! でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

〖完結〗幼馴染みの王女様の方が大切な婚約者は要らない。愛してる? もう興味ありません。

藍川みいな
恋愛
婚約者のカイン様は、婚約者の私よりも幼馴染みのクリスティ王女殿下ばかりを優先する。 何度も約束を破られ、彼と過ごせる時間は全くなかった。約束を破る理由はいつだって、「クリスティが……」だ。 同じ学園に通っているのに、私はまるで他人のよう。毎日毎日、二人の仲のいい姿を見せられ、苦しんでいることさえ彼は気付かない。 もうやめる。 カイン様との婚約は解消する。 でもなぜか、別れを告げたのに彼が付きまとってくる。 愛してる? 私はもう、あなたに興味はありません! 設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。 沢山の感想ありがとうございます。返信出来ず、申し訳ありません。

婚約者を想うのをやめました

かぐや
恋愛
女性を侍らしてばかりの婚約者に私は宣言した。 「もうあなたを愛するのをやめますので、どうぞご自由に」 最初は婚約者も頷くが、彼女が自分の側にいることがなくなってから初めて色々なことに気づき始める。 *書籍化しました。応援してくださった読者様、ありがとうございます。

【完結】愛したあなたは本当に愛する人と幸せになって下さい

高瀬船
恋愛
伯爵家のティアーリア・クランディアは公爵家嫡男、クライヴ・ディー・アウサンドラと婚約秒読みの段階であった。 だが、ティアーリアはある日クライヴと彼の従者二人が話している所に出くわし、聞いてしまう。 クライヴが本当に婚約したかったのはティアーリアの妹のラティリナであったと。 ショックを受けるティアーリアだったが、愛する彼の為自分は身を引く事を決意した。 【誤字脱字のご報告ありがとうございます!小っ恥ずかしい誤字のご報告ありがとうございます!個別にご返信出来ておらず申し訳ございません( •́ •̀ )】

うたた寝している間に運命が変わりました。

gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。

【完結】お世話になりました

こな
恋愛
わたしがいなくなっても、きっとあなたは気付きもしないでしょう。 ✴︎書き上げ済み。 お話が合わない場合は静かに閉じてください。

処理中です...