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あっ、頭の包帯取れてる!
立ち止まったドルチアーノ殿下に合わせて、友人たちもこちらに振り向いた。
「ドルチアーノ殿下、この間は助けていただきありがとうございました。殿下のお怪我の具合は如何でしょうか?」
「やあ!久しぶりだねヴィクトリア嬢。僕の怪我なんて大した事なかったから気にしないで。それよりヴィクトリア嬢はもう大丈夫なの?」
「はい!この通り!」
「そうみたいだね。また君の元気な姿を見られて僕も嬉しいよ」
ん~・・・だいぶ慣れたけど以前の殿下と比べると口調も態度も全然違うのよね~
ルイス兄様も本来のドルチアーノ殿下は穏やかで優しい人だと言っていたけど本当だったのね。
「それとあの時皆様にもご協力頂いたと聞きました。どうもありがとうございました」
ドルチアーノ殿下の友人達に笑顔でお礼を伝えた。
「私たちは何もしていないよ」
まあ!謙遜して!皆様のニッコリ笑顔も爽やかだわ!
『っう・・・か、かわ・・・』??
『こんな近くで・・・』???
何やらぶつぶつ言っているけど何なんだろう?
そのままチェルシー達が合流するまでドルチアーノ殿下達と話していると「ヴィー!」と後ろから私の名を呼ぶ声がした・・・
振り向かなくても分かる。
私を『ヴィー』と呼ぶ男はこの学院には1人しか居ない。
あっ、目の前のドルチアーノ殿下の眉間に皺が・・・
殿下の友人たちも私の後ろに目を向けたのが分かる。
はぁ、と小さく溜息を吐いて振り向けば予想通りハイアー様が立っていた。
取り敢えず無難に挨拶だけはしとこう。
「ごきげんよう」
「・・・挨拶などどうでもいい!」
私が2週間近く休んでいたの知らないの?
・・・知らないのか。
知っていたらまずは体調を労る言葉が出るはずだもの。
「そうですか・・・何か私に御用でもありましたか?」
「噂は本当だったんだな!」
この間の件か?
でもなんでそんなに怒っているのよ!
「噂?」
「ああ、ヴィーが沢山の男を侍らせている阿婆擦れだってな!」
あ、阿婆擦れ?
「おい!アレクシス!」
いいのよ、とドルチアーノ殿下を手で止めた。
「・・・どなたからそんな噂を?」
「ま・・・そ、そんなのは誰でもいい!」
ふ~んマーガレット王女ね。
「心当たりなどありませんが?」
「今も男を侍らしているではないか!」
お前が言うな!
しかも、相手はこの国の王子よ!
それにこんなに近くにいるのにいちいち怒鳴らなくても聞こえてるって!
他の生徒も見ているんだよ?
皆んなの冷たい視線が向けられているのはアンタだよ?
「・・・素直に認めれば許してやったものを」
許してやる・・・だと?
何で話していただけで責められるのかな?
しかも!赤の他人のバカに!
そろそろキレてもいいかな?
いいよね?
うん!私が許す!
キレるまで・・・あと10秒!
カウント開始!
10・9・8・7・
「君がそんな事を続けるなら俺にも考えがある。あとで後悔するなよ!」
6・5・まで数えたところで彼は背を向けて去って行った・・・
くそ!
カウント5秒にしておけばよかった!!
く~~無念!
「ヴィクトリア嬢大丈夫かい?」
「「「・・・ディハルト嬢」」」
「皆様、お見苦しいところをお見せして申し訳ございません」
そんな同情した目で見ないで?
私、怒鳴られても意外と平気なの!
だって図太いからね!
私ブラック会社で揉まれに揉まれた経験があるからね!
怒鳴られることなんて日常茶飯事だったのよ?
「大丈夫です!それに後悔するのはあの方ですわ!それよりも殿下達のことまであのように言われ・・・申し訳ございません」
「ヴィクトリア嬢は何も悪くないよ。気にしないで」
「そうですよ。ディハルト嬢は被害者ですよ」
なんて優しいの殿下とその友人たち!
あの子達が言っていたように彼は私を自分の婚約者だと思っているのかもしれない。
それをマーガレット王女に言ったと・・・
なるほどね~
婚約者がいると思い込んでいるのに、マーガレット王女とイチャイチャするとか・・・
・・・ないわ~
なんだか彼がアホ過ぎて面白くなってきちゃった。
可笑しくて笑っちゃう。
ふふふっ・・・帰ったらまた報告しなくちゃ!
ちょうどそこへチェルシー達も合流したので、心配してくれる殿下達に再度お礼を言ってその場で別れた。
結局私たちは食堂に向かわず、少し離れたカフェでランチをとる事にした。
ここは何故だかあまり人気がなく、生徒の利用が少ないので、聞かれたくない話しをするのに適した場所なんだよね。
「彼、終わったわね」
「ええ、ドルチアーノ殿下と優秀だと評判の方たち、それも皆さま伯爵家、侯爵家、公爵家のご子息をヴィーに侍る男だと言うなんて信じられない!」
「きっと1つのことしか見れない視野の狭い人だったのよ」
「ヴィーが次にアイツに絡まれた時は私が出る!」
アリス、ジュリア、マーリン、そしてチェルシー。
「ふふふっ、本当に愚かな人よね。いつ勘違いに気付くのかしら?さあ!あんな人のことは忘れて楽しいランチタイムにしましょう!」
彼はもうマーガレット王女しか見えていないようだ。
余談だがチェルシー達も、ハイアー様が怒鳴りだした時に、あの場に来ていたそうで乱入しようとしたチェルシーを3人で必死に止めていたそうだ。
立ち止まったドルチアーノ殿下に合わせて、友人たちもこちらに振り向いた。
「ドルチアーノ殿下、この間は助けていただきありがとうございました。殿下のお怪我の具合は如何でしょうか?」
「やあ!久しぶりだねヴィクトリア嬢。僕の怪我なんて大した事なかったから気にしないで。それよりヴィクトリア嬢はもう大丈夫なの?」
「はい!この通り!」
「そうみたいだね。また君の元気な姿を見られて僕も嬉しいよ」
ん~・・・だいぶ慣れたけど以前の殿下と比べると口調も態度も全然違うのよね~
ルイス兄様も本来のドルチアーノ殿下は穏やかで優しい人だと言っていたけど本当だったのね。
「それとあの時皆様にもご協力頂いたと聞きました。どうもありがとうございました」
ドルチアーノ殿下の友人達に笑顔でお礼を伝えた。
「私たちは何もしていないよ」
まあ!謙遜して!皆様のニッコリ笑顔も爽やかだわ!
『っう・・・か、かわ・・・』??
『こんな近くで・・・』???
何やらぶつぶつ言っているけど何なんだろう?
そのままチェルシー達が合流するまでドルチアーノ殿下達と話していると「ヴィー!」と後ろから私の名を呼ぶ声がした・・・
振り向かなくても分かる。
私を『ヴィー』と呼ぶ男はこの学院には1人しか居ない。
あっ、目の前のドルチアーノ殿下の眉間に皺が・・・
殿下の友人たちも私の後ろに目を向けたのが分かる。
はぁ、と小さく溜息を吐いて振り向けば予想通りハイアー様が立っていた。
取り敢えず無難に挨拶だけはしとこう。
「ごきげんよう」
「・・・挨拶などどうでもいい!」
私が2週間近く休んでいたの知らないの?
・・・知らないのか。
知っていたらまずは体調を労る言葉が出るはずだもの。
「そうですか・・・何か私に御用でもありましたか?」
「噂は本当だったんだな!」
この間の件か?
でもなんでそんなに怒っているのよ!
「噂?」
「ああ、ヴィーが沢山の男を侍らせている阿婆擦れだってな!」
あ、阿婆擦れ?
「おい!アレクシス!」
いいのよ、とドルチアーノ殿下を手で止めた。
「・・・どなたからそんな噂を?」
「ま・・・そ、そんなのは誰でもいい!」
ふ~んマーガレット王女ね。
「心当たりなどありませんが?」
「今も男を侍らしているではないか!」
お前が言うな!
しかも、相手はこの国の王子よ!
それにこんなに近くにいるのにいちいち怒鳴らなくても聞こえてるって!
他の生徒も見ているんだよ?
皆んなの冷たい視線が向けられているのはアンタだよ?
「・・・素直に認めれば許してやったものを」
許してやる・・・だと?
何で話していただけで責められるのかな?
しかも!赤の他人のバカに!
そろそろキレてもいいかな?
いいよね?
うん!私が許す!
キレるまで・・・あと10秒!
カウント開始!
10・9・8・7・
「君がそんな事を続けるなら俺にも考えがある。あとで後悔するなよ!」
6・5・まで数えたところで彼は背を向けて去って行った・・・
くそ!
カウント5秒にしておけばよかった!!
く~~無念!
「ヴィクトリア嬢大丈夫かい?」
「「「・・・ディハルト嬢」」」
「皆様、お見苦しいところをお見せして申し訳ございません」
そんな同情した目で見ないで?
私、怒鳴られても意外と平気なの!
だって図太いからね!
私ブラック会社で揉まれに揉まれた経験があるからね!
怒鳴られることなんて日常茶飯事だったのよ?
「大丈夫です!それに後悔するのはあの方ですわ!それよりも殿下達のことまであのように言われ・・・申し訳ございません」
「ヴィクトリア嬢は何も悪くないよ。気にしないで」
「そうですよ。ディハルト嬢は被害者ですよ」
なんて優しいの殿下とその友人たち!
あの子達が言っていたように彼は私を自分の婚約者だと思っているのかもしれない。
それをマーガレット王女に言ったと・・・
なるほどね~
婚約者がいると思い込んでいるのに、マーガレット王女とイチャイチャするとか・・・
・・・ないわ~
なんだか彼がアホ過ぎて面白くなってきちゃった。
可笑しくて笑っちゃう。
ふふふっ・・・帰ったらまた報告しなくちゃ!
ちょうどそこへチェルシー達も合流したので、心配してくれる殿下達に再度お礼を言ってその場で別れた。
結局私たちは食堂に向かわず、少し離れたカフェでランチをとる事にした。
ここは何故だかあまり人気がなく、生徒の利用が少ないので、聞かれたくない話しをするのに適した場所なんだよね。
「彼、終わったわね」
「ええ、ドルチアーノ殿下と優秀だと評判の方たち、それも皆さま伯爵家、侯爵家、公爵家のご子息をヴィーに侍る男だと言うなんて信じられない!」
「きっと1つのことしか見れない視野の狭い人だったのよ」
「ヴィーが次にアイツに絡まれた時は私が出る!」
アリス、ジュリア、マーリン、そしてチェルシー。
「ふふふっ、本当に愚かな人よね。いつ勘違いに気付くのかしら?さあ!あんな人のことは忘れて楽しいランチタイムにしましょう!」
彼はもうマーガレット王女しか見えていないようだ。
余談だがチェルシー達も、ハイアー様が怒鳴りだした時に、あの場に来ていたそうで乱入しようとしたチェルシーを3人で必死に止めていたそうだ。
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