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完・全・回・復!!
もう足首も痛くないし、普通に歩けるし、なんなら走ることもできる。
捻挫してから10日間、熱が下がっても自力で歩くことを許されず、移動はすべて兄様たちのお姫様抱っこ・・・ホント甘いんだから!
さらに、様子見だと追加で3日間学院を休まされた。
そして今日、久しぶりに登校する。
今日は学院長に話しがあるお父様が送ってくれるそうだ。
ん~あの子達の処罰が決まったのに何の話しがあるのだろう?
一昨日、チェルシー達がお見舞いに来てくれて最近の学院内のことを教えてくれた。
ここのところマーガレット王女の取り巻きたちが学院を休んでいること。
(ああ、公表されてないから理由を知らないんだ)
王女に侍っていた生徒もほとんど居なくなり、寂しそうにする王女にハイアー様が傍に寄り添うようになったこと。
ハイアー様の公開プロポーズを知っている人達からは彼の心変わりの早さに軽蔑されている事。
もう2人の関係を秘密にもしていないんだ・・・
でも、生徒たちも公認なら2人を邪魔する人も居ないだろうし、もう私に言いがかりを付けてくる人も居なくなるよね!
いくらドルチアーノ殿下が箝口令を敷いたと言っても人の口に戸は立てられない。
多少何があったのか噂ぐらい流れていると思っていたんだけど、ハイアー様の耳には入っていないのね・・・彼には教えてくれる友達が居ないのかもしれない。
それからジュリアたちにはあの日何があったのかを簡単に説明した。
ずぶ濡れになる量の水を上からかけられた事。
肩を押されて捻挫した事。
マーガレット王女のデタラメを聞いて言いがかりをつけられた事。
木刀で殴られそうになった事。
ドルチアーノ殿下が助けてくれた事。
ドルチアーノ殿下の登場に顔色を悪くして聞いていたマーリン達も頬を染めていたが・・・チェルシーだけは『リアム殿なら返り討ちにしていたな。殿下もまだまだだな』と厳しい意見を述べていた。
そんな冷静なチェルシーが私は大好きだ。
言いがかりの元となったハイアー様と私の関係をチェルシーに説明した。
チェルシー以外は公開プロポーズも見ていたし、実際少しの間だけれど学院内でも私とハイアー様が仲良くしていた事も知っていたからその辺もチェルシーに説明すると、『はあ?心変わりするにも早すぎるだろ!だからリアム殿がボコボコに・・・ヴィー辛かっただろう?』
チェルシー!そんな哀れんだ目で見ないで?
私は恋になる前に彼を見限っていたし、傷ついてもいないと言うと、皆んなあんな男と縁が切れて良かったねと言ってくれた。
彼とマーガレット王女の逢瀬については話していないけれど、最近の2人の寄り添う姿を見ている彼女たちも何かしら思うところがあったのだろう。
で、その光景をお父様と見てしまった・・・
学院に着いて御者がドアを開ける前に窓からマーガレット王女の肩を抱いて校舎に入って行くハイアー様を・・・
それを見たお父様は、口角は上がっているのに目が笑ってない・・・あら?お母様が偶にする顔と同じね。
でも馬車から降りる私に手を差し出してくれた時にはいつもの優しいお父様の顔になっていた。
校舎に向かって歩く私とお父様を見て、男子生徒たちは尊敬の眼差しで見つめ、女性生徒は頬を染めている子が何人もいた。
『あれが完成形なのね』って声も聞こえた。きっとお父様を見てルイス兄様やリアム兄様の数年後を想像したのだろう。
だって兄様たちは2人ともお父様似だからね。
「何かあれば帰ってきなさい」と言ってお父様とは校舎の入口で別れた。
2年の教室のある階段を上るとチェルシー達が待ってくれていた。
久しぶりの登校に少し緊張していたのか、彼女たちの顔を見てホッと安心の溜め息がでた。
お互い笑顔で挨拶してから教室に入ると、クラスメイト達からも回復を祝う言葉をたくさんかけてもらえた。
中には気遣わしげに見つめてくる人が何人か・・・彼らは私が休んでいた理由を知っているのだろう。
それでも変わらない態度で接してくれるこのクラスの皆んなが好き。
1時間目の授業が始まる頃には休む前と変わらない日常になっていた。
気付けば昼休憩の時間だった。
ここ何日間か退屈な日々を過ごしていたのだと実感した。
だって登校してからここまであっという間に時間が過ぎていたもの。
いつもの5人で食堂に向かっていると、少し先にドルチアーノ殿下とその友人達が見えた。
お礼を言うなら今かも。
チェルシーたちにお礼を言ってくると言って、少し小走りでドルチアーノ殿下の名前を呼んだ。
「ドルチアーノ殿下」
もう足首も痛くないし、普通に歩けるし、なんなら走ることもできる。
捻挫してから10日間、熱が下がっても自力で歩くことを許されず、移動はすべて兄様たちのお姫様抱っこ・・・ホント甘いんだから!
さらに、様子見だと追加で3日間学院を休まされた。
そして今日、久しぶりに登校する。
今日は学院長に話しがあるお父様が送ってくれるそうだ。
ん~あの子達の処罰が決まったのに何の話しがあるのだろう?
一昨日、チェルシー達がお見舞いに来てくれて最近の学院内のことを教えてくれた。
ここのところマーガレット王女の取り巻きたちが学院を休んでいること。
(ああ、公表されてないから理由を知らないんだ)
王女に侍っていた生徒もほとんど居なくなり、寂しそうにする王女にハイアー様が傍に寄り添うようになったこと。
ハイアー様の公開プロポーズを知っている人達からは彼の心変わりの早さに軽蔑されている事。
もう2人の関係を秘密にもしていないんだ・・・
でも、生徒たちも公認なら2人を邪魔する人も居ないだろうし、もう私に言いがかりを付けてくる人も居なくなるよね!
いくらドルチアーノ殿下が箝口令を敷いたと言っても人の口に戸は立てられない。
多少何があったのか噂ぐらい流れていると思っていたんだけど、ハイアー様の耳には入っていないのね・・・彼には教えてくれる友達が居ないのかもしれない。
それからジュリアたちにはあの日何があったのかを簡単に説明した。
ずぶ濡れになる量の水を上からかけられた事。
肩を押されて捻挫した事。
マーガレット王女のデタラメを聞いて言いがかりをつけられた事。
木刀で殴られそうになった事。
ドルチアーノ殿下が助けてくれた事。
ドルチアーノ殿下の登場に顔色を悪くして聞いていたマーリン達も頬を染めていたが・・・チェルシーだけは『リアム殿なら返り討ちにしていたな。殿下もまだまだだな』と厳しい意見を述べていた。
そんな冷静なチェルシーが私は大好きだ。
言いがかりの元となったハイアー様と私の関係をチェルシーに説明した。
チェルシー以外は公開プロポーズも見ていたし、実際少しの間だけれど学院内でも私とハイアー様が仲良くしていた事も知っていたからその辺もチェルシーに説明すると、『はあ?心変わりするにも早すぎるだろ!だからリアム殿がボコボコに・・・ヴィー辛かっただろう?』
チェルシー!そんな哀れんだ目で見ないで?
私は恋になる前に彼を見限っていたし、傷ついてもいないと言うと、皆んなあんな男と縁が切れて良かったねと言ってくれた。
彼とマーガレット王女の逢瀬については話していないけれど、最近の2人の寄り添う姿を見ている彼女たちも何かしら思うところがあったのだろう。
で、その光景をお父様と見てしまった・・・
学院に着いて御者がドアを開ける前に窓からマーガレット王女の肩を抱いて校舎に入って行くハイアー様を・・・
それを見たお父様は、口角は上がっているのに目が笑ってない・・・あら?お母様が偶にする顔と同じね。
でも馬車から降りる私に手を差し出してくれた時にはいつもの優しいお父様の顔になっていた。
校舎に向かって歩く私とお父様を見て、男子生徒たちは尊敬の眼差しで見つめ、女性生徒は頬を染めている子が何人もいた。
『あれが完成形なのね』って声も聞こえた。きっとお父様を見てルイス兄様やリアム兄様の数年後を想像したのだろう。
だって兄様たちは2人ともお父様似だからね。
「何かあれば帰ってきなさい」と言ってお父様とは校舎の入口で別れた。
2年の教室のある階段を上るとチェルシー達が待ってくれていた。
久しぶりの登校に少し緊張していたのか、彼女たちの顔を見てホッと安心の溜め息がでた。
お互い笑顔で挨拶してから教室に入ると、クラスメイト達からも回復を祝う言葉をたくさんかけてもらえた。
中には気遣わしげに見つめてくる人が何人か・・・彼らは私が休んでいた理由を知っているのだろう。
それでも変わらない態度で接してくれるこのクラスの皆んなが好き。
1時間目の授業が始まる頃には休む前と変わらない日常になっていた。
気付けば昼休憩の時間だった。
ここ何日間か退屈な日々を過ごしていたのだと実感した。
だって登校してからここまであっという間に時間が過ぎていたもの。
いつもの5人で食堂に向かっていると、少し先にドルチアーノ殿下とその友人達が見えた。
お礼を言うなら今かも。
チェルシーたちにお礼を言ってくると言って、少し小走りでドルチアーノ殿下の名前を呼んだ。
「ドルチアーノ殿下」
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