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35 ルイス視点あり
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私が目を覚ました時あれはすべて夢だったのではないか・・・とボーッとした頭で考えていると、横から「ヴィー目が覚めた?調子はどう?」と優しい口調のルイス兄様が心配そうに顔を覗き込んできた。
足の痛みと、頭の痛みに現実に引き戻された。
そうだった・・・
頭から水をかけられ、男女関係なくマーガレット王女と彼のことで責められたんだった。
「まだ痛みはありますが大丈夫ですよ」っと安心させたくて笑顔を作ってみた。
「ヴィーまだ熱があるんだ。夜中も魘されていたんだから無理しなくて笑わなくていい」
「ずっと付いてくれていたの?」
「ふふん、父上とリアムから私が付き添いの権利を勝ち取ったんだ」
そんな自慢げに言わなくても・・・ルイス兄様ってば大人気ないわよ。
「まだ熱は下がってないよ。もう少し寝なさい」
ルイス兄様の手で優しく、ゆっくりと頭を撫でられると心まで癒されるようでスーッと眠気が・・・
~ルイス視点~
「ヴィーゆっくり休め」
優しく頭を撫でていると安心したのかすぐに眠りについたヴィーの寝顔は幼い頃とそう変わらない。
うちのヴィーは産まれた時から可愛いかった。
ベビーベッドに寝かされているヴィーを覗けば天使のような寝顔。起きていればニコッて笑顔を見せる子だった。
離乳食が始まると『あ~う~』とヨダレを垂らしながら次々催促するヴィーがこれまた可愛くて父上とついつい食べさせ過ぎた。
それが続いたせいか少々ぽっちゃりな姿も幼児らしくて可愛いかった。
「に~たま、に~たま」と呼びながら私の元までよちよち歩きで来ると、手を伸ばして抱っこを強請る姿も可愛くて・・・。
いま思えばあまり泣かない子だったな。
ヴィーが泣くとしたら私やリアムが擦り傷や切り傷を作ったり、熱を出した時ぐらいだったか。
「た~いのと~てけ~」たぶん痛いの飛んでいけって言っていたのだろう。
私たちが熱を出せば小さいながらも看病しているつもりだったのだろう。
母上や使用人が伝染るからと引き離そうとするのに、小さな手でベッドのシーツを掴み離れなかった。
日々、話せる言葉が増え、転ばずに歩けるようになり、そして私たちに笑顔を見せるヴィーが可愛くて、愛しくてこの世のすべての悪意や危険から守ってあげたいと・・・、その為に私たちが出来ることは何がある?
とリアムと真剣に考えていたな。
今ではどこに出しても恥ずかしくない令嬢に育ったが、実際のヴィーは意外と口も悪かったりする。
隠していても兄様にはバレバレだぞ。
『ヴィーは我が家の大切な宝物』なんだ。
そのヴィーに悪意を向けたのがマーガレット王女だ。
アレクシスのことは最初からどうでもよかった。
それはリアムも同じだ。
本来、私よりもリアムの方が敵対した者には厳しい。
あの時リアムがヴィーに味方したのも、家族全員から反対されることで、ヴィーがムキにならないように、冷静に考えられるようにする為だ。
まあ、母上はアレクシスを信じていたから仕方がない。
私たちも昔からアレクシスのことは知っていたからな。
昔からヴィーに会わせてくれと何度も言ってきたが、自分から動こうとはしなかった。
本当にヴィーに会いたければ、手紙を書くなり、親に頼むなりできたはずだ。
結局アイツは口だけなんだよ。
10年間もたった1人を思い続けた俺凄い!と自分に酔っているだけだ。
だから、ヴィーとの距離が離れた事にすら気付かない。
マーガレット王女が留学して来なかったとしても、自分に酔っているだけの男の本性をヴィーなら何れ見破っていただろう。
マーガレット王女もアレクシスも大きな勘違いをしている事に気付いた時が見物だな。
でも、ヴィーが無事で本当によかった・・・
あの夜を思い出す・・・
『帰りたくないなぁ・・・このまま消えちゃいたいなぁ・・・』
消え入りそうな小さな声で月を見上げるあの子を見つけた時、本当に今にも消えてしまいそうで、思わずあの子の腕を掴んでしまった。
その時に決めたんだ。
この子を自由にしてあげようと・・・
凛とした表情でアレクシスに警告してくれたスカーレット王女。
国にとって害悪にしかならない妹を切り捨て幽閉すると断言する姿も王女として立派だと思った。
実はトライガス王国の第二王女の問題行動は、スカーレット王女が我が国に来る前から私も王太子殿下も知っていた。
もちろん、国王や宰相である父上や、他の重鎮の方々も知っていた。
トライガス王国の王妃がマーガレット王女を産むと同時に亡くなったのは有名な話しだ。
母の温もりも、声も知らない娘を不憫に思い甘やかしたのは国王だ。
だが、当時まだ2歳だったスカーレット王女だって母の温もりも声も覚えていないだろうに、スカーレット王女よりも6歳年上の王太子殿下のスペアとして厳しい教育を受けさせられてきた。
周りに大切にされ、何でも思い通りにしてきたマーガレット王女と、遊ぶことも甘えることも許されずスペアとして詰め込まれる教育、スカーレット王女が甘えられる相手は兄の王太子だけだったと言う。
これは、2年前にアンドリュー王太子殿下がトライガスに訪問した際に、バレリオ王太子殿下から聞き、内密に相談を受けていたからだ。
『妹を救ってくれ。あの子をこの国から解放するのを手伝ってくれ』
詳しく聞けば当時17歳だったスカーレット王女の婚約者を15歳だったマーガレット王女が唆し、奪い、婚約を破棄されたそうだ。
これが最初の犠牲者。
スカーレット王女は別に元婚約者に思いを寄せていた訳では無いが、今も寝取られ王女だと陰で蔑まれているらしい。
マーガレット王女は姉から婚約者を奪い取ると、元婚約者をあっさりと捨ててしまったそうだ。
そこからはスカーレット王女から聞いたままだ。
マーガレット王女にとって、人から大切な人を奪い取る遊び。
奪い取ると遊びは終わり、そして次の遊び相手を見つける。
それが何度も繰り返される。
国民にもマーガレット王女の愚行の噂は流れている。
そこでだ、マーガレット王女への貴族からの苦言に聞き耳を貸さない国王を、国民からも信用されなくなった国王を退位させ、まだ若い王太子を国王にと推す声が上がり始めたんだ。
そのタイミングでマーガレット王女がアレクシスを狙って留学すると言い出した。
さすがに問題ばかりを起こす王女の留学には反対の声が多くあがった。
あまりの声の多さに仕方なく他国で同じことをしたら幽閉させると国王も認めた。
これを機に自国だけでなく他国でまで問題を確実に起こすだろうマーガレット王女の留学に許可を出した国王に責任を取らせ退位させるとバレリオ王太子を中心に水面下で動き出した。
あと少しであの子を自由にしてあげられる・・・。
足の痛みと、頭の痛みに現実に引き戻された。
そうだった・・・
頭から水をかけられ、男女関係なくマーガレット王女と彼のことで責められたんだった。
「まだ痛みはありますが大丈夫ですよ」っと安心させたくて笑顔を作ってみた。
「ヴィーまだ熱があるんだ。夜中も魘されていたんだから無理しなくて笑わなくていい」
「ずっと付いてくれていたの?」
「ふふん、父上とリアムから私が付き添いの権利を勝ち取ったんだ」
そんな自慢げに言わなくても・・・ルイス兄様ってば大人気ないわよ。
「まだ熱は下がってないよ。もう少し寝なさい」
ルイス兄様の手で優しく、ゆっくりと頭を撫でられると心まで癒されるようでスーッと眠気が・・・
~ルイス視点~
「ヴィーゆっくり休め」
優しく頭を撫でていると安心したのかすぐに眠りについたヴィーの寝顔は幼い頃とそう変わらない。
うちのヴィーは産まれた時から可愛いかった。
ベビーベッドに寝かされているヴィーを覗けば天使のような寝顔。起きていればニコッて笑顔を見せる子だった。
離乳食が始まると『あ~う~』とヨダレを垂らしながら次々催促するヴィーがこれまた可愛くて父上とついつい食べさせ過ぎた。
それが続いたせいか少々ぽっちゃりな姿も幼児らしくて可愛いかった。
「に~たま、に~たま」と呼びながら私の元までよちよち歩きで来ると、手を伸ばして抱っこを強請る姿も可愛くて・・・。
いま思えばあまり泣かない子だったな。
ヴィーが泣くとしたら私やリアムが擦り傷や切り傷を作ったり、熱を出した時ぐらいだったか。
「た~いのと~てけ~」たぶん痛いの飛んでいけって言っていたのだろう。
私たちが熱を出せば小さいながらも看病しているつもりだったのだろう。
母上や使用人が伝染るからと引き離そうとするのに、小さな手でベッドのシーツを掴み離れなかった。
日々、話せる言葉が増え、転ばずに歩けるようになり、そして私たちに笑顔を見せるヴィーが可愛くて、愛しくてこの世のすべての悪意や危険から守ってあげたいと・・・、その為に私たちが出来ることは何がある?
とリアムと真剣に考えていたな。
今ではどこに出しても恥ずかしくない令嬢に育ったが、実際のヴィーは意外と口も悪かったりする。
隠していても兄様にはバレバレだぞ。
『ヴィーは我が家の大切な宝物』なんだ。
そのヴィーに悪意を向けたのがマーガレット王女だ。
アレクシスのことは最初からどうでもよかった。
それはリアムも同じだ。
本来、私よりもリアムの方が敵対した者には厳しい。
あの時リアムがヴィーに味方したのも、家族全員から反対されることで、ヴィーがムキにならないように、冷静に考えられるようにする為だ。
まあ、母上はアレクシスを信じていたから仕方がない。
私たちも昔からアレクシスのことは知っていたからな。
昔からヴィーに会わせてくれと何度も言ってきたが、自分から動こうとはしなかった。
本当にヴィーに会いたければ、手紙を書くなり、親に頼むなりできたはずだ。
結局アイツは口だけなんだよ。
10年間もたった1人を思い続けた俺凄い!と自分に酔っているだけだ。
だから、ヴィーとの距離が離れた事にすら気付かない。
マーガレット王女が留学して来なかったとしても、自分に酔っているだけの男の本性をヴィーなら何れ見破っていただろう。
マーガレット王女もアレクシスも大きな勘違いをしている事に気付いた時が見物だな。
でも、ヴィーが無事で本当によかった・・・
あの夜を思い出す・・・
『帰りたくないなぁ・・・このまま消えちゃいたいなぁ・・・』
消え入りそうな小さな声で月を見上げるあの子を見つけた時、本当に今にも消えてしまいそうで、思わずあの子の腕を掴んでしまった。
その時に決めたんだ。
この子を自由にしてあげようと・・・
凛とした表情でアレクシスに警告してくれたスカーレット王女。
国にとって害悪にしかならない妹を切り捨て幽閉すると断言する姿も王女として立派だと思った。
実はトライガス王国の第二王女の問題行動は、スカーレット王女が我が国に来る前から私も王太子殿下も知っていた。
もちろん、国王や宰相である父上や、他の重鎮の方々も知っていた。
トライガス王国の王妃がマーガレット王女を産むと同時に亡くなったのは有名な話しだ。
母の温もりも、声も知らない娘を不憫に思い甘やかしたのは国王だ。
だが、当時まだ2歳だったスカーレット王女だって母の温もりも声も覚えていないだろうに、スカーレット王女よりも6歳年上の王太子殿下のスペアとして厳しい教育を受けさせられてきた。
周りに大切にされ、何でも思い通りにしてきたマーガレット王女と、遊ぶことも甘えることも許されずスペアとして詰め込まれる教育、スカーレット王女が甘えられる相手は兄の王太子だけだったと言う。
これは、2年前にアンドリュー王太子殿下がトライガスに訪問した際に、バレリオ王太子殿下から聞き、内密に相談を受けていたからだ。
『妹を救ってくれ。あの子をこの国から解放するのを手伝ってくれ』
詳しく聞けば当時17歳だったスカーレット王女の婚約者を15歳だったマーガレット王女が唆し、奪い、婚約を破棄されたそうだ。
これが最初の犠牲者。
スカーレット王女は別に元婚約者に思いを寄せていた訳では無いが、今も寝取られ王女だと陰で蔑まれているらしい。
マーガレット王女は姉から婚約者を奪い取ると、元婚約者をあっさりと捨ててしまったそうだ。
そこからはスカーレット王女から聞いたままだ。
マーガレット王女にとって、人から大切な人を奪い取る遊び。
奪い取ると遊びは終わり、そして次の遊び相手を見つける。
それが何度も繰り返される。
国民にもマーガレット王女の愚行の噂は流れている。
そこでだ、マーガレット王女への貴族からの苦言に聞き耳を貸さない国王を、国民からも信用されなくなった国王を退位させ、まだ若い王太子を国王にと推す声が上がり始めたんだ。
そのタイミングでマーガレット王女がアレクシスを狙って留学すると言い出した。
さすがに問題ばかりを起こす王女の留学には反対の声が多くあがった。
あまりの声の多さに仕方なく他国で同じことをしたら幽閉させると国王も認めた。
これを機に自国だけでなく他国でまで問題を確実に起こすだろうマーガレット王女の留学に許可を出した国王に責任を取らせ退位させるとバレリオ王太子を中心に水面下で動き出した。
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