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私には前世の記憶がある。が、それだけだ。
前世の小説やゲームによくある異世界転生ってやつだが、私は悪役令嬢でもなければヒロインでもない。
それどころか、ここは小説やゲームの世界でもない。と、思う・・・
この国カサンドリア王国の第3王子ドルチアーノ殿下の婚約者候補にあがった時には、断罪ものの世界かと焦ったが、17歳で婚約者候補を辞退出来るならば悪役令嬢になることも無く、真っ当に生きていれば断罪されることもない事に気が付いた。
まあ、最初から嫌われていたし、私も奴が気に食わなかったから、婚約者候補を辞退できてホッとしている。
あの17歳の誕生日パーティーは身内だけとはいえ盛り上がった。
私を溺愛するお父様もお母様もお兄様達も婚約者候補を辞退出来たことを一緒に喜んでくれた。
私が候補を辞退したことはまだ学院で知っている者は殆どいないだろう。
元々私が選ばれるとは誰も思っていないだろうから気にする者もいない。
お父様やお兄様達は黙っていれば、私への婚約の申し込みがこないからこのままでいいと言っているが、本当にそれでいいのか?
公爵令嬢だよ?
教育は受けているんだよ?
私はドルチアーノ殿下以外なら我が家の為なら政略結婚も受け入れるよ?
「ヴィクトリアはずっとお父様と一緒にいようね」
お父様・・・
「そうだよ私が面倒見るから嫁に行かずにここにいればいいんだよ」
ルイス兄様・・・
「僕もヴィーとずっと一緒にいたいな」
リアム兄様・・・
「この3人のことは気にしなくていいのよ?ヴィーに好きな人が出来たらその人と幸せになれば」
お母様・・・
「私は・・・お父様やお兄様達とずっと一緒にいたいです」
「「「ヴィー!」」」
ルイス兄様が抱きしめてくれて、リアム兄様は頭を撫でてくれた。
お父様は涙目だ・・・
お母様は呆れているようだけれど仕方ないよね?
だってこんなにも大事にしてくれているんだよ?
生まれた時から前世の記憶があった。
生まれた時はぼんやりとしか見えなかったけれど金色と銀色は何となく分かった。
それに声だけは聞こえていて『僕の娘は世界一可愛い』と言っているのは父親で、『僕がお兄様だよ可愛いヴィー』これは兄、『ヴィー?』舌っ足らずなこれも兄?抱いてくれているのは母親?
毎日何度も優しく声をかけてくれた。
目が見えはじめた時は驚いた。
お父様は銀髪にエメラルドのよう緑の瞳、お母様は金髪にサファイアのような青い瞳。
お兄様2人は銀髪にお母様と同じ瞳の色。顔は2人ともお父様とよく似ていた。
で、この4人に共通するのは、とんでもない美形だと言うこと。
まだ手足をバタバタと動かすことしか出来ない私は期待した。
これだけ美形の両親と兄達が可愛いと褒めてくれるのだから、私は相当な美少女だと鏡を見るのを楽しみにしていた。
そして、ハイハイが出来るようになると真っ直ぐに鏡を目指した。
なに?!
すっごく可愛い赤ちゃんがその鏡には映っていた。
マジ?これが私?
お父様や兄達と同じ銀髪に、お母様と兄達と同じサファイアのようにキラキラしたブルーの瞳。顔は可憐で儚げなお母様似。
このまま成長すれば将来安泰じゃん!
そりゃあ両親も兄達もメロメロになるよ!
異世界転生バンザイ!
神様ありがとう!
私幸せになります!
一瞬、悪役令嬢やざまぁされる小説や乙女ゲームが頭に過ぎったが、前世日本人で普通に社会人として過ごした記憶のある私が、傲慢で我儘になる典型的な悪役令嬢になるはずもなく、優しい家族に囲まれ甘えん坊になってしまった自覚はあるがすくすくと育った。
離乳食が始まると、私を食べさせるのはお父様か上のお兄様。
この世界の食べ物が美味しくて素直に口を開けて何でもパクパクと食べた。
だって美味しいのもあるが、私が口を開けるとお父様もお兄様も喜ぶんだもの。
3歳になる頃には下のお兄様も食べさせてくれるようになった。
なんにせよよく食べた自覚はあるが、毎日鏡を見るから自分が太っていることに全く気づかなかったんだ。
だって、お父様やお兄様達が顔を見れば『可愛い可愛い』と絶賛してくれるものだから、変な自信がついていたのもある。
それにお父様も上のお兄様も軽く抱き上げてくれるからね。
だから初めてのお茶会でドルチアーノ殿下に『デブ、ブス』と言われてショックを受けてしまったのだ。
周りを見渡せば同じ年頃の令嬢たちにクスクスと笑われていた。
オカシイ美少女だったはずなのに・・・
私の自信は砕け散った・・・。
それからはお父様やお兄様達に食べさせて貰うのはやめて、自分で食べるようになった。
もちろんマナー教育は5歳から受けていたから自分で食べることも出来た。
が、自分で食べようとするとお父様やお兄様達が悲しそうな顔をするんだよね。
でも、このまま甘えると更に太ることは目に見えていた。
後に、私が太るほど食べさせていたのは、私を奪われること心配したお父様と上のお兄様の作戦だったことが分かった。
人並みの食事量にし、朝昼晩の3食プラス3時のおやつだけにすれば、何もしなくても服がブカブカになるのは早かった。
前世の小説やゲームによくある異世界転生ってやつだが、私は悪役令嬢でもなければヒロインでもない。
それどころか、ここは小説やゲームの世界でもない。と、思う・・・
この国カサンドリア王国の第3王子ドルチアーノ殿下の婚約者候補にあがった時には、断罪ものの世界かと焦ったが、17歳で婚約者候補を辞退出来るならば悪役令嬢になることも無く、真っ当に生きていれば断罪されることもない事に気が付いた。
まあ、最初から嫌われていたし、私も奴が気に食わなかったから、婚約者候補を辞退できてホッとしている。
あの17歳の誕生日パーティーは身内だけとはいえ盛り上がった。
私を溺愛するお父様もお母様もお兄様達も婚約者候補を辞退出来たことを一緒に喜んでくれた。
私が候補を辞退したことはまだ学院で知っている者は殆どいないだろう。
元々私が選ばれるとは誰も思っていないだろうから気にする者もいない。
お父様やお兄様達は黙っていれば、私への婚約の申し込みがこないからこのままでいいと言っているが、本当にそれでいいのか?
公爵令嬢だよ?
教育は受けているんだよ?
私はドルチアーノ殿下以外なら我が家の為なら政略結婚も受け入れるよ?
「ヴィクトリアはずっとお父様と一緒にいようね」
お父様・・・
「そうだよ私が面倒見るから嫁に行かずにここにいればいいんだよ」
ルイス兄様・・・
「僕もヴィーとずっと一緒にいたいな」
リアム兄様・・・
「この3人のことは気にしなくていいのよ?ヴィーに好きな人が出来たらその人と幸せになれば」
お母様・・・
「私は・・・お父様やお兄様達とずっと一緒にいたいです」
「「「ヴィー!」」」
ルイス兄様が抱きしめてくれて、リアム兄様は頭を撫でてくれた。
お父様は涙目だ・・・
お母様は呆れているようだけれど仕方ないよね?
だってこんなにも大事にしてくれているんだよ?
生まれた時から前世の記憶があった。
生まれた時はぼんやりとしか見えなかったけれど金色と銀色は何となく分かった。
それに声だけは聞こえていて『僕の娘は世界一可愛い』と言っているのは父親で、『僕がお兄様だよ可愛いヴィー』これは兄、『ヴィー?』舌っ足らずなこれも兄?抱いてくれているのは母親?
毎日何度も優しく声をかけてくれた。
目が見えはじめた時は驚いた。
お父様は銀髪にエメラルドのよう緑の瞳、お母様は金髪にサファイアのような青い瞳。
お兄様2人は銀髪にお母様と同じ瞳の色。顔は2人ともお父様とよく似ていた。
で、この4人に共通するのは、とんでもない美形だと言うこと。
まだ手足をバタバタと動かすことしか出来ない私は期待した。
これだけ美形の両親と兄達が可愛いと褒めてくれるのだから、私は相当な美少女だと鏡を見るのを楽しみにしていた。
そして、ハイハイが出来るようになると真っ直ぐに鏡を目指した。
なに?!
すっごく可愛い赤ちゃんがその鏡には映っていた。
マジ?これが私?
お父様や兄達と同じ銀髪に、お母様と兄達と同じサファイアのようにキラキラしたブルーの瞳。顔は可憐で儚げなお母様似。
このまま成長すれば将来安泰じゃん!
そりゃあ両親も兄達もメロメロになるよ!
異世界転生バンザイ!
神様ありがとう!
私幸せになります!
一瞬、悪役令嬢やざまぁされる小説や乙女ゲームが頭に過ぎったが、前世日本人で普通に社会人として過ごした記憶のある私が、傲慢で我儘になる典型的な悪役令嬢になるはずもなく、優しい家族に囲まれ甘えん坊になってしまった自覚はあるがすくすくと育った。
離乳食が始まると、私を食べさせるのはお父様か上のお兄様。
この世界の食べ物が美味しくて素直に口を開けて何でもパクパクと食べた。
だって美味しいのもあるが、私が口を開けるとお父様もお兄様も喜ぶんだもの。
3歳になる頃には下のお兄様も食べさせてくれるようになった。
なんにせよよく食べた自覚はあるが、毎日鏡を見るから自分が太っていることに全く気づかなかったんだ。
だって、お父様やお兄様達が顔を見れば『可愛い可愛い』と絶賛してくれるものだから、変な自信がついていたのもある。
それにお父様も上のお兄様も軽く抱き上げてくれるからね。
だから初めてのお茶会でドルチアーノ殿下に『デブ、ブス』と言われてショックを受けてしまったのだ。
周りを見渡せば同じ年頃の令嬢たちにクスクスと笑われていた。
オカシイ美少女だったはずなのに・・・
私の自信は砕け散った・・・。
それからはお父様やお兄様達に食べさせて貰うのはやめて、自分で食べるようになった。
もちろんマナー教育は5歳から受けていたから自分で食べることも出来た。
が、自分で食べようとするとお父様やお兄様達が悲しそうな顔をするんだよね。
でも、このまま甘えると更に太ることは目に見えていた。
後に、私が太るほど食べさせていたのは、私を奪われること心配したお父様と上のお兄様の作戦だったことが分かった。
人並みの食事量にし、朝昼晩の3食プラス3時のおやつだけにすれば、何もしなくても服がブカブカになるのは早かった。
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