上 下
120 / 122
ウインティア王国編

120

しおりを挟む
「ねえレイ、ルフィがすごく良い父親なの。信じられる?」

「あら!アランだって自慢の夫で、素敵なパパよ」

うちも双子だったけれど、私が出産後2ヶ月遅れてアランとレイの間にも男の子の双子が産まれた。
アランそっくりな男の子2人。

親が双子だとその子供も双子になる確率って高いのかしら?



双子の子供たちが生まれてから、昼間は乳母に助けてもらっているけれど、夜は私たちと同じ部屋で親子4人で寝ている。

新生児の頃は、夜中の授乳が本当に大変だったけれど、ルフィってば子供たちが泣くとすぐに起きてあやしてくれるし、お腹が空いている時はオムツを変えて私がお乳を与えられる状態にしてから子供たちを渡してくれていたわ。

いつの間にかお乳を飲まし終われば、ゲップさせるのはルフィの役目になっていたし、私がゲップさせるよりも上手なのよね。

ルフィは前世でいうイクメンってやつね。

離乳食が始まってからは、ルフィがとても嬉しそうに子供たちに食べさせてくれるの。

『子供たちに食べさせてあげられる時期はとても短いからな。王太子らしくないと言われてもこの時間を大切にしたいんだ』

そう言って、口を開ける子供たちに次々食べさせていたわ。

それは、ルフィに限らず陛下も王妃様も同じで、朝晩の食事はルフィが独り占めしちゃうから、昼食には必ず一緒の席で食べるのよね。
王妃様はアディリアを食べさせて、陛下はフェリクスを食べさせるの。

陛下も王妃様もそれはもうデロデロの顔をして2人を可愛がってくれる。

昼間だって、執務の合間に双子の様子を見に来てくれる。

陛下に似たルフィ、ルフィにそっくりなフェリクス。
フェリクスは、まだ若く見える陛下の息子と言われても違和感がないわ。
陛下とルフィとフェリクスが並ぶと遺伝の凄さが分かるのよね。
だって髪の色も瞳の色も3人とも同じなんだもの。

背が高くて体格のいいルフィは2人を同時に抱き上げて『子供を抱きあげられる時期も短いからな』ってよく言っている。

初めて子供たちが熱を出した時は、寝ずに看病していたわ。
双子だからか、いつも一緒にいるからか同時に体調を崩すのよね。

『代われるものなら代わってやりたい』

そう言って熱でぐずる子供たちの世話をするルフィは本当に良い父親だわ。

子供たちもそんな父親の無償の愛を感じるのか2人ともルフィに1番懐いているわ。

だからか、初めて子供たちが喋った言葉は『とーた』だった。
ルフィが執務の合間に顔を出した時、ルフィに抱っこを催促して手を伸ばしながら『とーた』『とーた』と言ったの。

『フェイ!アディ!父様と言ったのか?』

歓喜まって涙目になるルフィが可愛かったわね。

それからすぐに陛下と王妃様のことも『ちぃーちぃ』『ひゃーひゃ』と言うようになった。

歩き始めの最初の一歩もルフィの前でだったわ。

子供たちが生まれてからというもの、無表情だったルフィに笑顔が戻ったの。
まあ、それは私と子供たちの前限定だけどね。

毎日大人に囲まれて生活しているからか、2人とも人見知りもなく、すくすく育ってくれたわ。

最近は背の高いルフィが背をかがめて2人と手を繋いで庭園を散歩する姿が見られるようになり、官僚やメイドたちも暖かく子供たちを見守ってくれている。
その後ろを私とランがついて行くのも日課だ。

私も1年の産休のあと執務に復帰した。

その間は乳母や護衛たちだけでなくランが2人を守ってくれている。

2人ともランが大好きで、ランの背中によじ登ろうとしたり、遊び疲れてランにもたれかかって眠ってしまったり、見ていても微笑ましい。

子供たちが2歳になってから、2人は子供部屋で寝るようにしたの。
乳母とランが付いているからか、フェイもアディも平気そうだった。
母としてはちょっと寂しい・・・

それよりもルフィが寂しさを埋めるためか、私が出産してから子供たちと一緒に寝ていたせいであまり抱き合う回数が少なかったせいか、激しく求められる日々が続いたの。

・・・そりゃあ、妊娠するよね。

でも、双子たちが思いの外手が掛からなかったこともあり、私も次の子供が欲しかったし双子にも弟妹を作ってあげたかったから、ルフィと2人で喜んだ。

ルフィは妊娠が分かってから、私を労ってくれるし、毎日お腹の子に話しかけている。
前回もそうだったけれど、最新の育児書を読破したそうだ。


うん・・・この妊娠でも双子だと分かってしまった。
元気であれば男女どちらが生まれてもいいかな。

大きくなった私のお腹にフェイとアディが話し掛けるの。
「にぃちゃまだよ」「ねぇちゃまよ」はぁ癒されるわ。

アランとレイのところは去年もう1人生まれて男の子が3人になった。
レイは今も妊娠中。
『女の子が生まれるまで頑張るわ!だって娘をアディみたいに着飾りたいもの!』

いや、それは王妃様の趣味みたいなものだから・・・誰にも止められないのよ!



きたわね。
このお腹の痛みも久しぶり。

「もうすぐフェイとアディの弟か妹が産まれるわよ。いい子で待っていてね」

きゃーと喜ぶ子供たちにキスを送って出産に備えるわ。

ふふっルフィも少し前から公務を調整していたし、執務も前倒していたわね。

子供が産まれるのを誰よりも楽しみにしているのはルフィかもしれない。




さて!頑張ってきますか!



☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰☰
いつも読んで頂きありがとうございます。

今回は久しぶりにエリー視点を書いてみました。

次話ルフランに戻ります。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢が死んだ後

ぐう
恋愛
王立学園で殺人事件が起きた。 被害者は公爵令嬢 加害者は男爵令嬢 男爵令嬢は王立学園で多くの高位貴族令息を侍らせていたと言う。 公爵令嬢は婚約者の第二王子に常に邪険にされていた。 殺害理由はなんなのか? 視察に訪れていた第一王子の目の前で事件は起きた。第一王子が事件を調査する目的は? *一話に流血・残虐な表現が有ります。話はわかる様になっていますのでお嫌いな方は二話からお読み下さい。

婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜

みおな
恋愛
 王家主催のパーティーにて、私の婚約者がやらかした。 「お前との婚約を破棄する!!」  私はこの馬鹿何言っているんだと思いながらも、婚約破棄を受け入れてやった。  だって、私は何ひとつ困らない。 困るのは目の前でふんぞり返っている元婚約者なのだから。

婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい

矢口愛留
恋愛
【全11話】 学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。 しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。 クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。 スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。 ※一話あたり短めです。 ※ベリーズカフェにも投稿しております。

【完結】用済みと捨てられたはずの王妃はその愛を知らない

千紫万紅
恋愛
王位継承争いによって誕生した後ろ楯のない無力な少年王の後ろ楯となる為だけに。 公爵令嬢ユーフェミアは僅か10歳にして大国の王妃となった。 そして10年の時が過ぎ、無力な少年王は賢王と呼ばれるまでに成長した。 その為後ろ楯としての価値しかない用済みの王妃は廃妃だと性悪宰相はいう。 「城から追放された挙げ句、幽閉されて監視されて一生を惨めに終えるくらいならば、こんな国……逃げだしてやる!」 と、ユーフェミアは誰にも告げず城から逃げ出した。 だが、城から逃げ出したユーフェミアは真実を知らない。

戻る場所がなくなったようなので別人として生きます

しゃーりん
恋愛
医療院で目が覚めて、新聞を見ると自分が死んだ記事が載っていた。 子爵令嬢だったリアンヌは公爵令息ジョーダンから猛アプローチを受け、結婚していた。 しかし、結婚生活は幸せではなかった。嫌がらせを受ける日々。子供に会えない日々。 そしてとうとう攫われ、襲われ、森に捨てられたらしい。 見つかったという遺体が自分に似ていて死んだと思われたのか、別人とわかっていて死んだことにされたのか。 でももう夫の元に戻る必要はない。そのことにホッとした。 リアンヌは別人として新しい人生を生きることにするというお話です。

前世と今世の幸せ

夕香里
恋愛
幼い頃から皇帝アルバートの「皇后」になるために妃教育を受けてきたリーティア。 しかし聖女が発見されたことでリーティアは皇后ではなく、皇妃として皇帝に嫁ぐ。 皇帝は皇妃を冷遇し、皇后を愛した。 そのうちにリーティアは病でこの世を去ってしまう。 この世を去った後に訳あってもう一度同じ人生を繰り返すことになった彼女は思う。 「今世は幸せになりたい」と ※小説家になろう様にも投稿しています

ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?

望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。 ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。 転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを―― そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。 その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。 ――そして、セイフィーラは見てしまった。 目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を―― ※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。 ※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)

帰らなければ良かった

jun
恋愛
ファルコン騎士団のシシリー・フォードが帰宅すると、婚約者で同じファルコン騎士団の副隊長のブライアン・ハワードが、ベッドで寝ていた…女と裸で。 傷付いたシシリーと傷付けたブライアン… 何故ブライアンは溺愛していたシシリーを裏切ったのか。 *性被害、レイプなどの言葉が出てきます。 気になる方はお避け下さい。 ・8/1 長編に変更しました。 ・8/16 本編完結しました。

処理中です...