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ウインティア王国編
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エリーの妊娠が発覚してから世間への公表は思っていたより早かった。
これは気付くのが遅かったのが原因だ。
公表する頃にはエリーのお腹は少し膨らんでいた。
意外なことにエリーには悪阻がなく、医師からも順調だと言われている。
妊娠が発覚してから毎日エリーの腹の子に声をかけるのは父親として当然だ。
いつものように手を添えてエリーの腹の子に話しかけていると、手のひらに何かが当たった。
エリーも「いま動いた!」と驚いたような、感動したような顔で俺と目が合う。
やはり、気の所為ではなく我が子の手か足が俺の手に当たったのだ。
俺とエリーの子がここで(腹の中)生きている。
言い知れぬポカポカと暖かい気持ちが湧き上がってくる。
妊娠6ヶ月を過ぎた頃に医師から双子だと知らされた。
何となくそんな気はしていたんだ。
6ヶ月にしてはエリーの腹は大きいし、両手を当ててもどちらの手にも我が子の手足が当たるからな。
これで嬉しさも倍だ。
俺はエリーの妊娠が分かった時から妊娠に関する本を読み漁ったからな。
今はエリーと一緒に育児書を読みながら夜を過ごしている。
子供部屋になる予定の部屋はすでに物で溢れかえっていたが、もう一部屋用意することにした。
王家にとっても、ウォルシュ家にとっても初孫になる俺たちの子の妊娠は両家の親を舞い上がらせてしまった。
父上と母上は忙しい公務の間にカタログを眺めるのが日課になっているし、ウォルシュ夫妻は海外から、どんどん子供用品を送ってくる。
ウォルシュ家はエリーの妊娠に舞い上がっていたが、その2週間後にはレイの妊娠も発覚した。
『うちは2年は2人の時間を楽しむつもりですよ』
ドヤ顔で言っていたアランが俺の執務室に満面の笑みで出勤してくるなり『我が家にも天使が生まれるんです!』と言った。
俺とガルのシラケた視線も気にせず目の前で父上と母上の執務室にあるカタログと同じものを広げていた。
これが"舌の根も乾かぬうちに"ってやつか?
エリーとは違い、レイは悪阻がかなりきついようで妊娠もレイの体調不良から発覚したらしい。
『僕はレイの体調次第で休暇を取りますから!』
もちろんそれは許可を出した。
宣言通り、アランから休みを取る連絡がくるが、昼頃になるとしょんぼりしたアランが出勤して来るのも恒例になっていた。
レイに『悪阻は病気じゃない!仕事に行け!』と追い出されるそうだ。
そして、いつ産まれてもおかしくない時期になると、腰がかなり痛いよで時間さえあればエリーの腰を擦るようになった。
夜は俺が後ろから抱きしめて手を腹に添えて寝ているが、元気な子供たちなのだろう。
大人しく寝ているのかと思えば、突然ボコボコと蹴ってくる。
「こらこら母様が寝ているんだぞ。お前たちも寝なさい」これが毎晩の口癖になりそうになった頃、とうとうエリーに陣痛がきた。
まだ夜も明けてない時間だ。
出産に関する本も頭に入っている。
すぐに産まれることはないことも分かっている。
特に初産は時間がかかることも。
だが、エリーから離れられない。
傍にいても腰を擦ること、手を握ること、励ますことしか男にはできない。
まだ痛みの間隔は10分以上あるが・・・
「ルフィまだ産まれないから大丈夫よ。痛みの間隔が短くなったら呼んでもらうから、それまでは仕事に行って」
「俺はずっとエリーのそばにいるから安心しろ」
「ダメよ。ルフィには仕事があるでしょ。貴方は次期国王になるのよ。優先順位を間違えないで」
ピシャリと言われて寂しいとは思ったが、さすが俺の嫁だと誇らしくも思う。
「・・・分かった。行ってくる」
「ええ、行ってらっしゃい」
エリーの額にキスを落としてから部屋から出た。
医師には何かあればすぐに知らせることを伝えて執務室に急いだ。
少しでも早く仕事を終わらせ、エリーの元に行くつもりだ。
出勤してきたアランとガルにエリーに陣痛がきたことを伝えれば、2人も何時もよりもペースを上げてくれた。
今は何分間隔なんだろう?
集中力を切らせば、すぐにエリーの元に行きたくなる。
だが仕事を途中で放り出せばきっとエリーに怒られる。
今日の分が終わり、アランとガルが行ってこいと言ってくれるが、先程報告に来たエリーの専属侍女からは間隔が6分になったと教えられたばかりだ。
1人で痛みを耐えるエリーを想像するとすぐにでもエリーの元に行って何も出来ずとも支えになってやりたい。
気は焦るが、まだ大丈夫だ。
「悪いが明日以降の分も今日すませる。付き合ってくれ」
2人とも何か言いたげではあるが、付き合ってくれた。
かなり前倒しが出来たところに、侍女がそろそろ産まれそうだと伝えに来た。
エリー、エリー・・・
走ってエリーの元に向かう。
待機室にはすでに父上と母上とゾルティー。
大きくなった腹のレイに、前ウォルシュ夫妻と現ウォルシュ夫妻エリーの両親が待っていた。
ソワソワ落ち着きのない父上を母上が諌め、エリーの父親も同じように妻に叱られている。
後ろから、アランとガルも追ってきていた。
『産まれそうだ』と伝えられて待機室に来てから2時間経っている。
いつの間にかグレイとザックも来ていたようだ。
こんな時男親は何も出来ないんだな。
エリーと子供たちが無事ならそれでいい。
エリー頑張ってくれ!
子供たちも頑張れ!
お願いだ。
無事に産まれてきてくれ。
これは気付くのが遅かったのが原因だ。
公表する頃にはエリーのお腹は少し膨らんでいた。
意外なことにエリーには悪阻がなく、医師からも順調だと言われている。
妊娠が発覚してから毎日エリーの腹の子に声をかけるのは父親として当然だ。
いつものように手を添えてエリーの腹の子に話しかけていると、手のひらに何かが当たった。
エリーも「いま動いた!」と驚いたような、感動したような顔で俺と目が合う。
やはり、気の所為ではなく我が子の手か足が俺の手に当たったのだ。
俺とエリーの子がここで(腹の中)生きている。
言い知れぬポカポカと暖かい気持ちが湧き上がってくる。
妊娠6ヶ月を過ぎた頃に医師から双子だと知らされた。
何となくそんな気はしていたんだ。
6ヶ月にしてはエリーの腹は大きいし、両手を当ててもどちらの手にも我が子の手足が当たるからな。
これで嬉しさも倍だ。
俺はエリーの妊娠が分かった時から妊娠に関する本を読み漁ったからな。
今はエリーと一緒に育児書を読みながら夜を過ごしている。
子供部屋になる予定の部屋はすでに物で溢れかえっていたが、もう一部屋用意することにした。
王家にとっても、ウォルシュ家にとっても初孫になる俺たちの子の妊娠は両家の親を舞い上がらせてしまった。
父上と母上は忙しい公務の間にカタログを眺めるのが日課になっているし、ウォルシュ夫妻は海外から、どんどん子供用品を送ってくる。
ウォルシュ家はエリーの妊娠に舞い上がっていたが、その2週間後にはレイの妊娠も発覚した。
『うちは2年は2人の時間を楽しむつもりですよ』
ドヤ顔で言っていたアランが俺の執務室に満面の笑みで出勤してくるなり『我が家にも天使が生まれるんです!』と言った。
俺とガルのシラケた視線も気にせず目の前で父上と母上の執務室にあるカタログと同じものを広げていた。
これが"舌の根も乾かぬうちに"ってやつか?
エリーとは違い、レイは悪阻がかなりきついようで妊娠もレイの体調不良から発覚したらしい。
『僕はレイの体調次第で休暇を取りますから!』
もちろんそれは許可を出した。
宣言通り、アランから休みを取る連絡がくるが、昼頃になるとしょんぼりしたアランが出勤して来るのも恒例になっていた。
レイに『悪阻は病気じゃない!仕事に行け!』と追い出されるそうだ。
そして、いつ産まれてもおかしくない時期になると、腰がかなり痛いよで時間さえあればエリーの腰を擦るようになった。
夜は俺が後ろから抱きしめて手を腹に添えて寝ているが、元気な子供たちなのだろう。
大人しく寝ているのかと思えば、突然ボコボコと蹴ってくる。
「こらこら母様が寝ているんだぞ。お前たちも寝なさい」これが毎晩の口癖になりそうになった頃、とうとうエリーに陣痛がきた。
まだ夜も明けてない時間だ。
出産に関する本も頭に入っている。
すぐに産まれることはないことも分かっている。
特に初産は時間がかかることも。
だが、エリーから離れられない。
傍にいても腰を擦ること、手を握ること、励ますことしか男にはできない。
まだ痛みの間隔は10分以上あるが・・・
「ルフィまだ産まれないから大丈夫よ。痛みの間隔が短くなったら呼んでもらうから、それまでは仕事に行って」
「俺はずっとエリーのそばにいるから安心しろ」
「ダメよ。ルフィには仕事があるでしょ。貴方は次期国王になるのよ。優先順位を間違えないで」
ピシャリと言われて寂しいとは思ったが、さすが俺の嫁だと誇らしくも思う。
「・・・分かった。行ってくる」
「ええ、行ってらっしゃい」
エリーの額にキスを落としてから部屋から出た。
医師には何かあればすぐに知らせることを伝えて執務室に急いだ。
少しでも早く仕事を終わらせ、エリーの元に行くつもりだ。
出勤してきたアランとガルにエリーに陣痛がきたことを伝えれば、2人も何時もよりもペースを上げてくれた。
今は何分間隔なんだろう?
集中力を切らせば、すぐにエリーの元に行きたくなる。
だが仕事を途中で放り出せばきっとエリーに怒られる。
今日の分が終わり、アランとガルが行ってこいと言ってくれるが、先程報告に来たエリーの専属侍女からは間隔が6分になったと教えられたばかりだ。
1人で痛みを耐えるエリーを想像するとすぐにでもエリーの元に行って何も出来ずとも支えになってやりたい。
気は焦るが、まだ大丈夫だ。
「悪いが明日以降の分も今日すませる。付き合ってくれ」
2人とも何か言いたげではあるが、付き合ってくれた。
かなり前倒しが出来たところに、侍女がそろそろ産まれそうだと伝えに来た。
エリー、エリー・・・
走ってエリーの元に向かう。
待機室にはすでに父上と母上とゾルティー。
大きくなった腹のレイに、前ウォルシュ夫妻と現ウォルシュ夫妻エリーの両親が待っていた。
ソワソワ落ち着きのない父上を母上が諌め、エリーの父親も同じように妻に叱られている。
後ろから、アランとガルも追ってきていた。
『産まれそうだ』と伝えられて待機室に来てから2時間経っている。
いつの間にかグレイとザックも来ていたようだ。
こんな時男親は何も出来ないんだな。
エリーと子供たちが無事ならそれでいい。
エリー頑張ってくれ!
子供たちも頑張れ!
お願いだ。
無事に産まれてきてくれ。
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