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ウインティア王国編

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「エリーおはよう」

「おはようルフィ」

朝からエリーが可愛い!
これが毎朝俺の腕の中で・・・幸せだ。

朝食はエリーの部屋に運んでもらった。

「本当に王宮の食事は美味しいよね」

「これから毎日食べれるようになるぞ」

俺は結婚してどんなに忙しくても公務で留守にしない限り朝と晩はエリーと食事を共にするつもりだ。

朝食を終えてメイドにお茶を準備させてから退室してもらった。

その様子を見ていたエリーの顔が真剣なものに変わった。

「エリー大事な話がある」

頷いたエリーにセルティ嬢が言った言葉を伝える。

黙って話を聞いていたエリーだったが次の言葉に驚きの表情を浮かべた。

『お母様、乙女ゲーム、転生者』

「結婚早々で申し訳ないが今晩アランとレイも呼んでいる」

「え?・・・やだ~どんな顔して会えばいいの?」

想像したのだろう。エリーが真っ赤になっているが、2週間後には俺たちもそうなるんだぞ?

「・・・セルティ嬢の言葉を聞いてから、ずっと嫌な予感がするんだ・・・対策は立てておきたい」

「ルフィそんな不安そうな顔をしないで?」

俺の頬に手を添えて安心させるように微笑むエリーを抱きしめた。
俺は何よりもエリーを失うことが怖い。
エリーを守れるなら俺の命だって差し出す、だから誰も俺からエリーを奪わないでくれ。

「大丈夫よ、あの二人ならきっと力になってくれるわ」

そう言って優しく俺の背中を擦る。

ああ、この温もりを手放したりしない。
エリーだけは何があっても守るよ。




その後、母上を手伝うと言うエリーを王妃の執務室まで送って、俺は自分の執務室に向かった。

部屋では既にガルが書類の振り分けをしていた。
ガルは剣術だけでなく、アランには劣るが頭も優秀なんだよな。

その証拠に俺を見るなり「何かありましたか?」と聞いてきた。
顔には出していないつもりだったんだがな。

俺はガルにもセルティ嬢の言葉を告げた。

眉間に皺を寄せて黙って聞いていたガルが「セルティ嬢の母親のことが気になって学生時代の友好関係を当時同級生だった叔母に聞いたんだ。その叔母の話では一時期、遠方の国から来た留学生の令嬢と親しくしていた時期があったらしいんだ」

「王家も調べたが留学生の話は出でこなかったぞ」

「叔母の話では3ヶ月程で学園を辞めたらしいからな」

「どこの国からの留学生だったんだ?」

「それが20年も前のことで叔母も国までは覚えていないらしいが、学園を辞めた時期が例の2人の令嬢が毒殺されたすぐ後だったから記憶に残っていたらしい」

「確かに気になるな。詳しく調べさせよう。過去の学園の生徒名簿と、入出国の時期を調べれば国と名前と身分は分かるはずだ」

もしかしたらその留学生が鍵を握っているかもしれない。

「聞いたな?直ちにその留学生を調べろ」

『ハッ』

「凄いな影は。気配すら感じなかったぞ」

感心したように言っているが俺はもう1つ気になることがある。

お前最初だけしか敬語を使っていないぞ。

ガルの顔には俺に殴られた跡がまだ薄く残っている。
いや、騎士団長に殴られた跡か?
あの次の日、わざわざ俺の執務室を訪ねてきた騎士団長にお礼を言われた。

『バカ息子の目を覚まさせてくれてありがとうございます。やっと守るという意味が分かったようです』

そう言った騎士団長の顔はいつも厳しい目付きで陛下の隣にいる時とはまったく違う優しい目だったな。


確かにあの日以来ガルの顔付きも変わったが、あれだって俺達のことを考えた上での行動だった。

それにしてもガルは変わったよな。
女にチヤホヤされて鼻の下を伸ばしていた頃とは大違いだ。

俺が編入した時には既に変わっていたが、話しかけてくる訳でもなく離れず近づかず、俺の周りを警戒してくれていたな。

そして、エリー達が編入してきてからは、自然と仲間になっていた。
グレイとザックも付いてきたがな。


俺はエリーとレイさえ了承してくれるならば、今夜アイツらにも乙女ゲームの真相を教えていた方がいいと思っている。

それと、2人に前世の記憶があることもだ・・・
アイツらならきっと受け入れてくれるだろう。







今俺の執務室に集まっているのはゾルティー、申し訳なさそうな顔のエリー、顔の肌艶のいいアラン・・・そして、疲れた顔のレイの5人だ。


俺はもう一度セルティ嬢の言葉を伝えた。
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