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ウインティア王国編
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本当にアランが何を言っているのか分からない様子のセルティ嬢にエリーが諭すように話しかける。
「貴女に指示され私に麻痺毒が混入された口紅を使おうとしたメイドがどうなるか分かる?」
「ええ、処刑されるのでしょう?」
コイツは何も感じないのか?
「・・・じゃあ、メイドの家族はどうなると思う?貴女の専属侍女は姉のメイドに貴女の手紙を届けていただけよ?病弱な弟は?」
「一緒に処刑されますわね?」
顔色ひとつ変えず平然と答えるセルティ嬢・・・本当に他人事だと思っている。
「関係の無い姉弟を巻き込んでも何も思わないの?」
「わたくしのおかげで病弱な弟がこれまで生きられたことに感謝されているでしょうし、家族揃って処刑されるのなら、それは幸せなことではないのでしょうか?」
・・・これがエリーの言った『サイコパス』と言うものなのか?
「では、私が麻痺に患っていたら?その時の私の気持ちは?私の周りにいる大切な人たちの気持ちはどう思うの?」
「ウォルシュ嬢が麻痺毒に罹ってもわたくしがルフラン殿下の伴侶となるのでご安心下さいませ。それと大切な人たちの気持ちでございますか?・・・そうですわね、動かないウォルシュ嬢を喜んでお世話するのでは?」
驚愕?戦慄?・・・・・・誰も言葉を発せない。
『良心の欠如』確かにセルティ嬢の言動から人の痛みや罪悪感など理解できていないようだ。
「なら、貴女のご家族がどんな処罰を受けると思いますか?」
「何故わたくしの家族が処罰を受けますの?わたくしは当然のことをしただけですのよ?それに我が家は公爵家、王族の次に力がありますのよ?それは何をしても許されると言うことですわ」
いつまでもコイツの言い分を聞いていたら、こっちまでおかしくなりそうだ。
「いい加減にしろ!罪を犯したら誰だって処罰を受けるのは当然だ!それに貴族も平民もない!それは王族でもだ!」
「ルフラン殿下まで何を仰いますの?わたくしは貴方の妻になりますのよ。つまり未来の王妃ですわ」
ダメだ・・・コイツには何を言っても無駄だ。
「・・・気持ち悪い。こんな人間は生きていてはダメだ」
今まで一言も話さなかったガルが突然言葉を発したと思ったら俺たちに笑顔を向けた。
「俺は一度道を踏み外した人間だ。そんな俺を受け入れ友達だと言ってくれたことをすげぇ感謝しているし、お前たちといることが本当に楽しかったんだ」
おい!何を言い出すんだ?
ガルやめろ!
「コイツは生きていたら存在するだけで害になる。だから俺があの世に連れていくわ、今までありがとうな」
何処に隠し持っていたのか短剣でセルティ嬢に刃を向けて切りかかって行った。
「そこまでだ!」
部屋に響いたのは陛下・・・父上の声だった。
ガルの刃先はセルティ嬢の喉元でピタリと止まった。
「ガルザーク剣をおろせ」
陛下の言葉に悔しそうに従ったガルを俺は殴りつけた。
「ガル!お前は何をやっているんだ!」
「だが!コイツはいつかまた必ずお前たちに牙を剥く!」
ああ、そうだろうな。
「今コイツを処分しても、また同じような人間が現れた時に、俺たちを守るのがお前の役目だろう?」
手を差し出してガルを立たせてやる。
「お願いガル。貴方は私たちの大切な友人だわ。彼女なんかのために人生を棒に振らないで」
「そうだね。エリー嬢の言う通りだよ。君は次代を繋ぐ私たちにまだまだ必要だよ」
「ルフラン殿下を支えるのに、僕と側近になるんだろ?」
「そうね、ガルの役目はルフラン殿下とエリーを守るだけじゃないわ。この国も一緒に守りましょう?これからもずっとわたし達と、ね」
次々にエリー、ゾルティー、アラン、レイにかけられる言葉にガルが涙を流しながら何度も頷いていた。
「セルティ嬢、君のやったことは許されるものではない!」
父上と一緒にこの部屋に入ってきたのは、宰相のノットー伯爵と、タイロン騎士団長ガルの父親だった。
「隣の部屋からずっと会話を聞かせてもらった」
ウォルシュ家の"マジックミラー"をこの部屋にも取り付け、今回の様子をこの3人にも見てもらっていた。
「宰相と騎士団長ならどのような処罰を与えるのが相応しいか述べてみよ」
「それならばアラン殿の述べた処罰でよろしいのではないでしょうか」
「私も同意見です」
「お待ち下さい!わたくしはたった今タイロン子息に殺されそうになったのですよ?処罰はタイロン子息にこそ相応し「黙れ!犯罪者の意見など必要ない!」
セルティ嬢の言葉を遮り次に陛下が言い渡した言葉にコイツは満面の笑みを浮かべた。
それがお前への処罰だと気付くのは何時になるのだろうか・・・
「貴女に指示され私に麻痺毒が混入された口紅を使おうとしたメイドがどうなるか分かる?」
「ええ、処刑されるのでしょう?」
コイツは何も感じないのか?
「・・・じゃあ、メイドの家族はどうなると思う?貴女の専属侍女は姉のメイドに貴女の手紙を届けていただけよ?病弱な弟は?」
「一緒に処刑されますわね?」
顔色ひとつ変えず平然と答えるセルティ嬢・・・本当に他人事だと思っている。
「関係の無い姉弟を巻き込んでも何も思わないの?」
「わたくしのおかげで病弱な弟がこれまで生きられたことに感謝されているでしょうし、家族揃って処刑されるのなら、それは幸せなことではないのでしょうか?」
・・・これがエリーの言った『サイコパス』と言うものなのか?
「では、私が麻痺に患っていたら?その時の私の気持ちは?私の周りにいる大切な人たちの気持ちはどう思うの?」
「ウォルシュ嬢が麻痺毒に罹ってもわたくしがルフラン殿下の伴侶となるのでご安心下さいませ。それと大切な人たちの気持ちでございますか?・・・そうですわね、動かないウォルシュ嬢を喜んでお世話するのでは?」
驚愕?戦慄?・・・・・・誰も言葉を発せない。
『良心の欠如』確かにセルティ嬢の言動から人の痛みや罪悪感など理解できていないようだ。
「なら、貴女のご家族がどんな処罰を受けると思いますか?」
「何故わたくしの家族が処罰を受けますの?わたくしは当然のことをしただけですのよ?それに我が家は公爵家、王族の次に力がありますのよ?それは何をしても許されると言うことですわ」
いつまでもコイツの言い分を聞いていたら、こっちまでおかしくなりそうだ。
「いい加減にしろ!罪を犯したら誰だって処罰を受けるのは当然だ!それに貴族も平民もない!それは王族でもだ!」
「ルフラン殿下まで何を仰いますの?わたくしは貴方の妻になりますのよ。つまり未来の王妃ですわ」
ダメだ・・・コイツには何を言っても無駄だ。
「・・・気持ち悪い。こんな人間は生きていてはダメだ」
今まで一言も話さなかったガルが突然言葉を発したと思ったら俺たちに笑顔を向けた。
「俺は一度道を踏み外した人間だ。そんな俺を受け入れ友達だと言ってくれたことをすげぇ感謝しているし、お前たちといることが本当に楽しかったんだ」
おい!何を言い出すんだ?
ガルやめろ!
「コイツは生きていたら存在するだけで害になる。だから俺があの世に連れていくわ、今までありがとうな」
何処に隠し持っていたのか短剣でセルティ嬢に刃を向けて切りかかって行った。
「そこまでだ!」
部屋に響いたのは陛下・・・父上の声だった。
ガルの刃先はセルティ嬢の喉元でピタリと止まった。
「ガルザーク剣をおろせ」
陛下の言葉に悔しそうに従ったガルを俺は殴りつけた。
「ガル!お前は何をやっているんだ!」
「だが!コイツはいつかまた必ずお前たちに牙を剥く!」
ああ、そうだろうな。
「今コイツを処分しても、また同じような人間が現れた時に、俺たちを守るのがお前の役目だろう?」
手を差し出してガルを立たせてやる。
「お願いガル。貴方は私たちの大切な友人だわ。彼女なんかのために人生を棒に振らないで」
「そうだね。エリー嬢の言う通りだよ。君は次代を繋ぐ私たちにまだまだ必要だよ」
「ルフラン殿下を支えるのに、僕と側近になるんだろ?」
「そうね、ガルの役目はルフラン殿下とエリーを守るだけじゃないわ。この国も一緒に守りましょう?これからもずっとわたし達と、ね」
次々にエリー、ゾルティー、アラン、レイにかけられる言葉にガルが涙を流しながら何度も頷いていた。
「セルティ嬢、君のやったことは許されるものではない!」
父上と一緒にこの部屋に入ってきたのは、宰相のノットー伯爵と、タイロン騎士団長ガルの父親だった。
「隣の部屋からずっと会話を聞かせてもらった」
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「宰相と騎士団長ならどのような処罰を与えるのが相応しいか述べてみよ」
「それならばアラン殿の述べた処罰でよろしいのではないでしょうか」
「私も同意見です」
「お待ち下さい!わたくしはたった今タイロン子息に殺されそうになったのですよ?処罰はタイロン子息にこそ相応し「黙れ!犯罪者の意見など必要ない!」
セルティ嬢の言葉を遮り次に陛下が言い渡した言葉にコイツは満面の笑みを浮かべた。
それがお前への処罰だと気付くのは何時になるのだろうか・・・
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