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ウインティア王国編
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~アルマ・セルティ公爵令嬢視点~
ドレスとタキシードで着飾った子息子女がわたくしの姿を見て訝しげな顔をしながら会場の中に入って行きますの。
でも仕方がないですわよね。
まだ王家から正式に公表されていませんもの。
この卒業パーティーで初めてわたくしとルフラン殿下のお披露目がされるのですものね。
入口でルフラン殿下の到着を待っていると話しかけてきたのは第二王子のゾルティー殿下でしたわ。
後ろにはゾルティー殿下の側近候補の2人の子息。
相変わらず無表情で気味の悪い方たちだわ。
「おや?セルティ嬢こんな所でどうしたの?誰かを待っているのかな?」
何を仰っているのかしら?
ルフラン殿下の色を纏うわたくしを見て分からないのかしら?
「・・・はい」
昔からゾルティー殿下のことは苦手でしたわ。
彼に会う度に頭の奥で警笛が響いていましたの。これ以上近づくなと・・・
「もしかして私を待っていたのかな?」
有り得ませんわ。
「まさか!」
「でも、今日のセルティ嬢は私の色を纏っているよね?」
確かにゾルティー殿下もルフラン殿下と同じ色ですが、わたくしが貴方に想いを寄せているなどと勘違いされると困りますわ。
ここはしっかりと否定させていただきますわ。
「違いますわ」
これはルフラン殿下の色ですもの。
「おかしいな~その色を身に付けられるのは兄上か僕の婚約者だけだよ?」
もしかしてゾルティー殿下はルフラン殿下の婚約者の交代のことを知らないのかしら?
「ええ、勿論知っておりますわ」
このドレスを見れば分かるでしょうに。
「もしかして兄上を待っているのかな?それなら無駄だよ?」
え?
「連絡の行き違いかな?兄上は王宮でセルティ嬢を待っているはずだよ。早く行った方がいいよ」
ルフラン殿下がわたくしを待っていますの?
「分かりましたわ!急ぎ王宮へ向かいますわ」
ルフラン殿下のいない卒業パーティーなど、意味がないですもの。
我が家の馬車に乗り込み、王宮に着いてから応接室に通されるまではスムーズでしたが、既に3時間以上待たされております。
ゾルティー殿下はルフラン殿下がわたくしを待っていると仰っておりましたのに・・・
何故こんなにも待たされるのでしょうか?
もしかしたら、婚約者変更の手続きに手間取っているのかもしれませんわね。
婚姻式まであと一月しか時間がありません。
婚礼衣装を一から作るのは時間的には無理でしょうから、ウォルシュ嬢の衣装を調整すると仰れるかもしれません。
でも大丈夫なのですよ。
こうなる事は分かっておりましたもの、しっかりセルティ公爵家で準備しておりますわ。
ルフラン殿下には余計な心配は不要だと早くお伝えしとうございます。
全て計画通りなのですわよ。
わたくしこそがあの方に相応しいとやっと認められるのですね。
もう、ルフラン殿下に触れても振り払われなくなるのです。
あの鋭利な眼差しで睨まれることも無くなりますのね。
ウォルシュ嬢を見るような優しい眼差しも、あの大きな手もわたくしのもの。
心も体も全部、全部わたくしのものになるのですわ。
これもルフラン殿下が初めてわたくしに笑顔を見せてくれた日、わたくしの心を奪った日から12年かかって漸くです。
漸く貴方がわたくしを認めるのですね。
早く、一刻も早く会いとうございます。
トントンッ
扉を叩くノックと同時に愛しい方の声が聞こえましたわ。
「失礼する」
現れたルフラン殿下はまるでパーティーにでも行ってきたような衣装を身に纏い優雅にわたくしの前のソファに座られました。
いつにも増して素敵ですわ。
でも、タイロン子息まで何故入室しますの?
ああ!分かりましたわ!
彼が貴方の側近に決まりましたのね。
それで紹介されるのですね。
「お待ちしておりましたわ。ルフラン殿下」
笑顔で迎えて差し上げましたのに緊張していますの?
もう、そのような鋭利な目でわたくしを見なくてもよろしいのですよ。
貴方様のお気持ちは十分分かっております。
さあ早く次のお言葉を下さいな。
ここから始まるのですよ。
共に歩む2人の人生が・・・
ドレスとタキシードで着飾った子息子女がわたくしの姿を見て訝しげな顔をしながら会場の中に入って行きますの。
でも仕方がないですわよね。
まだ王家から正式に公表されていませんもの。
この卒業パーティーで初めてわたくしとルフラン殿下のお披露目がされるのですものね。
入口でルフラン殿下の到着を待っていると話しかけてきたのは第二王子のゾルティー殿下でしたわ。
後ろにはゾルティー殿下の側近候補の2人の子息。
相変わらず無表情で気味の悪い方たちだわ。
「おや?セルティ嬢こんな所でどうしたの?誰かを待っているのかな?」
何を仰っているのかしら?
ルフラン殿下の色を纏うわたくしを見て分からないのかしら?
「・・・はい」
昔からゾルティー殿下のことは苦手でしたわ。
彼に会う度に頭の奥で警笛が響いていましたの。これ以上近づくなと・・・
「もしかして私を待っていたのかな?」
有り得ませんわ。
「まさか!」
「でも、今日のセルティ嬢は私の色を纏っているよね?」
確かにゾルティー殿下もルフラン殿下と同じ色ですが、わたくしが貴方に想いを寄せているなどと勘違いされると困りますわ。
ここはしっかりと否定させていただきますわ。
「違いますわ」
これはルフラン殿下の色ですもの。
「おかしいな~その色を身に付けられるのは兄上か僕の婚約者だけだよ?」
もしかしてゾルティー殿下はルフラン殿下の婚約者の交代のことを知らないのかしら?
「ええ、勿論知っておりますわ」
このドレスを見れば分かるでしょうに。
「もしかして兄上を待っているのかな?それなら無駄だよ?」
え?
「連絡の行き違いかな?兄上は王宮でセルティ嬢を待っているはずだよ。早く行った方がいいよ」
ルフラン殿下がわたくしを待っていますの?
「分かりましたわ!急ぎ王宮へ向かいますわ」
ルフラン殿下のいない卒業パーティーなど、意味がないですもの。
我が家の馬車に乗り込み、王宮に着いてから応接室に通されるまではスムーズでしたが、既に3時間以上待たされております。
ゾルティー殿下はルフラン殿下がわたくしを待っていると仰っておりましたのに・・・
何故こんなにも待たされるのでしょうか?
もしかしたら、婚約者変更の手続きに手間取っているのかもしれませんわね。
婚姻式まであと一月しか時間がありません。
婚礼衣装を一から作るのは時間的には無理でしょうから、ウォルシュ嬢の衣装を調整すると仰れるかもしれません。
でも大丈夫なのですよ。
こうなる事は分かっておりましたもの、しっかりセルティ公爵家で準備しておりますわ。
ルフラン殿下には余計な心配は不要だと早くお伝えしとうございます。
全て計画通りなのですわよ。
わたくしこそがあの方に相応しいとやっと認められるのですね。
もう、ルフラン殿下に触れても振り払われなくなるのです。
あの鋭利な眼差しで睨まれることも無くなりますのね。
ウォルシュ嬢を見るような優しい眼差しも、あの大きな手もわたくしのもの。
心も体も全部、全部わたくしのものになるのですわ。
これもルフラン殿下が初めてわたくしに笑顔を見せてくれた日、わたくしの心を奪った日から12年かかって漸くです。
漸く貴方がわたくしを認めるのですね。
早く、一刻も早く会いとうございます。
トントンッ
扉を叩くノックと同時に愛しい方の声が聞こえましたわ。
「失礼する」
現れたルフラン殿下はまるでパーティーにでも行ってきたような衣装を身に纏い優雅にわたくしの前のソファに座られました。
いつにも増して素敵ですわ。
でも、タイロン子息まで何故入室しますの?
ああ!分かりましたわ!
彼が貴方の側近に決まりましたのね。
それで紹介されるのですね。
「お待ちしておりましたわ。ルフラン殿下」
笑顔で迎えて差し上げましたのに緊張していますの?
もう、そのような鋭利な目でわたくしを見なくてもよろしいのですよ。
貴方様のお気持ちは十分分かっております。
さあ早く次のお言葉を下さいな。
ここから始まるのですよ。
共に歩む2人の人生が・・・
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