【完結】悪役令嬢はゲームに巻き込まれない為に攻略対象者の弟を連れて隣国に逃げます

kana

文字の大きさ
上 下
92 / 122
ウインティア王国編

92

しおりを挟む
~マイ・ツルギ視点~

「『だから何?』ですって~!何すましてんのよ!」

ムカつく!ムカつく!ムカつく!

「アンタが私のポジションを奪ったのね!ルフランも、ガルザークも、ゾルティーも、そしてアランまで!」

「奪う?何を言っているの?最初から貴女のモノではなかったでしょう?」

・・・この女!

「まだシラを切る気?アンタが転生者ならエリザベートが断罪されて修道院に行くことは知っていたでしょ!」

「ええ、知っていたわ」

「どんな手を使ってストーリーを変えたのよ?アンタは最後まで一人ぼっちだったはずよ!」

「断罪されると分かっていて私が何もしない訳がないでしょう?」

「アンタが悪役令嬢の仕事をしないから!だから私にメロメロになるはずのルフランがアンタなんか選ぶのよ!」

そうよ!本当ならルフランの婚約者は私なのに!

「ふふふ・・・ルフランが貴女にメロメロ?有り得ないわね」

なんなの?どこからそんな自信が出てくるのよ!

「ゲームではそうだったのよ!ヒロインの私は誰からも愛されるのよ!」

「ゲームの世界じゃなくここは現実よ?でもゲームのルフィも、現実のルフィも彼が選んだのは最初から私なのよ」

はぁ?

「ふざけないで!ゲームでルフランとハッピーエンドを迎えたのはヒロインの私だわ!アンタ忘れたの?」

それまでずっと黙って話しを聞いていたレイチェルが、口を出したと思ったら信じられない話を始めた。




『ゲームの真実』?

エリザベートを断罪した後、ルフランが王位継承権を放棄してエリザベートを追いかけて2人が幸せになった?

ヒロインが自作自演でエリザベートを悪役令嬢に仕立て陥れた?
確かにそのつもりだったけれど、エリザベートが学園にいなかったから出来なかったわ。

それより、私が・・・ヒロインの私が死ぬまで牢で過ごす?

何ふざけたこと言ってるのよ!

「レイチェル!アンタまで転生者だなんて嘘をつくな!ゲームにアンタなんていなかったわ!」

そうよ!
レイチェルなんていなかった・・・それがアランの婚約者だなんて・・・ゲームのストーリーを変えたのはレイチェル?

「ねえ、ゲームのヒロインって何もしていないエリザベートを陥れるような人間よ?そしてマイあなたもね」

「それがどうしたって言うのよ?欲しいものを手に入れる為なら他人がどうなろうと知ったことじゃないわ!」

「そんな人間が誰からも愛されると本当にそう思っているの?」

「ヒロインだもの当然よ!」

「じゃあなぜ今あなたの傍に誰もいないの?」

「アランを私のモノにする為に、私が男と手を切ったからよ!」

「手を切った?ふふふっ・・・あなたが見捨てられたの間違いじゃない?」

見捨てられた?

「私が捨てたのよ!アランだってアンタから奪ってやるわ!」

「アランがあなたのしてきたことや性格を知らないとでも?」

してきたこと?
たくさんの男と寝ていたことをアランに知られている?
でも・・・そんなの関係ないわ。

「だから何?私の性格には何も問題なんてないわ!」

「・・・バカと話すのは疲れるわ」

「私をバカにするアンタの方が性格悪いのよ!」

「・・・アランもルフラン殿下もゾル殿下もゲームの内容を知っているの。貴女がエリーを陥れるような女だとね。そんな貴女を誰が好きになるの?」

ゲームの内容を彼らに話したの?

「ヒロインが天真爛漫?純真無垢?フン笑わせるわ」

「そうよ!私は素直に心のままに生きているわ」

「言葉の意味も分からないバカなのね・・・天真爛漫は・・・そうかもね貴女は自由だもの。でも純真無垢は貴女には縁のない言葉よ。意味はね、心に汚れがなく真っ直なこと。純粋で邪な心がなく清らかなこと・・・などね」

「心に汚れ?邪な心?清らか?そんな人間がいたら、それこそ演技しているのよ」

「貴女は転移してくる前から性根が腐っていたのね。貴女に何を話しても時間の無駄だわ」

バカにして!

「そうそう卒業しても貴女をウォルシュ家で雇わないわよ?」

「なんでよ!じゃあ私にどこに行けって言うのよ!」

「ろ・う・や」

「ろうや?・・・牢屋?そんな訳ないでしょ?私はまだ何もしてないもの!」

冗談じゃないわよ!
何の罪で牢屋に入れられるのよ!



「ねえマイさん、貴女はなんの為に転移してきたの?」

「そんなこと知らないわよ!アンタこそなんで転生しているのよ!」


「ルフィを私が幸せにするためよ」

なにを言ってるの?

「私ね、一度はこの国から逃げたの。断罪されるのが分かっていたからね」

「そのまま逃げていればよかったじゃない」

「そうね、でもルフィは私を追いかけてアトラニア王国まで来てくれたの」

何それ、ルフランってストーカーなの?

「真っ直ぐな彼の思い、優しさ、強さに惹かれたわ。そして彼の弱いところも好きなの」

惚気けてんの?

「それでもこの国に帰る勇気はでなかったの・・・レイにゲームの真実を教えてもらうまでは・・・」

レイチェルが余計なことをしたのね!

「ゲームのルフィも、現実のルフィも優しいの。そんな彼が王族の責務を捨ててまで私を選んでくれた」

「ゲームではそうでも、まだ現実では王族のままじゃない!」

「そう。だからルフィが放棄する前に覚悟を決めたのよ。優しいルフィは王族の責務を放棄して平然と過ごせるような責任感のない人じゃないの」

「バカじゃないの?自分が幸せなら誰が不幸になろうがどうでもいいじゃない」

「それは貴女の考えよ。優しいルフィはきっと私の前では平気な顔をするわ。でも心の中は?」

「知らないわよ。王族を辞めるならルフランに興味もないわ」

「私ね、ルフィを愛しているの。王妃なんて柄でも無いけれど、彼の心を守ってあげたい、彼を幸せにしてあげたい。だから覚悟を決めて帰ってきたの。覚悟を決めたからには少しでも彼の力になれる王妃になるわ。貴女が私を悪役令嬢に仕立て上げたとしても、ルフィなら私を信じてくれると分かっていたから・・・ね」

「アンタとルフランの事なんてどうでもいいわよ!そんなことより牢屋ってどういうことなのよ!」

もう何なのよ!

「ふふふっそれは今から説明してあげるわ」

レイチェルから説明?
レイチェルの顔が気持ち悪いんですけど!
しおりを挟む
感想 313

あなたにおすすめの小説

【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。

扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋 伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。 それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。 途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。 その真意が、テレジアにはわからなくて……。 *hotランキング 最高68位ありがとうございます♡ ▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

公爵閣下に嫁いだら、「お前を愛することはない。その代わり好きにしろ」と言われたので好き勝手にさせていただきます

柴野
恋愛
伯爵令嬢エメリィ・フォンストは、親に売られるようにして公爵閣下に嫁いだ。 社交界では悪女と名高かったものの、それは全て妹の仕業で実はいわゆるドアマットヒロインなエメリィ。これでようやく幸せになると思っていたのに、彼女は夫となる人に「お前を愛することはない。代わりに好きにしろ」と言われたので、言われた通り好き勝手にすることにした――。 ※本編&後日談ともに完結済み。ハッピーエンドです。 ※主人公がめちゃくちゃ腹黒になりますので要注意! ※小説家になろう、カクヨムにも重複投稿しています。

悪役令嬢は推し活中〜殿下。貴方には興味がございませんのでご自由に〜

みおな
恋愛
 公爵家令嬢のルーナ・フィオレンサは、輝く銀色の髪に、夜空に浮かぶ月のような金色を帯びた銀の瞳をした美しい少女だ。  当然のことながら王族との婚約が打診されるが、ルーナは首を縦に振らない。  どうやら彼女には、別に想い人がいるようで・・・

いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!

夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。 しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。 ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。 愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。 いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。 一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ! 世界観はゆるいです! カクヨム様にも投稿しております。 ※10万文字を超えたので長編に変更しました。

公爵令嬢は、どう考えても悪役の器じゃないようです。

三歩ミチ
恋愛
*本編は完結しました*  公爵令嬢のキャサリンは、婚約者であるベイル王子から、婚約破棄を言い渡された。その瞬間、「この世界はゲームだ」という認識が流れ込んでくる。そして私は「悪役」らしい。ところがどう考えても悪役らしいことはしていないし、そんなことができる器じゃない。  どうやら破滅は回避したし、ゲームのストーリーも終わっちゃったようだから、あとはまわりのみんなを幸せにしたい!……そこへ攻略対象達や、不遇なヒロインも絡んでくる始末。博愛主義の「悪役令嬢」が奮闘します。 ※小説家になろう様で連載しています。バックアップを兼ねて、こちらでも投稿しています。 ※以前打ち切ったものを、初めから改稿し、完結させました。73以降、展開が大きく変わっています。

隠れ蓑婚約者 ~了解です。貴方が王女殿下に相応しい地位を得るまで、ご協力申し上げます~

夏笆(なつは)
恋愛
 ロブレス侯爵家のフィロメナの婚約者は、魔法騎士としてその名を馳せる公爵家の三男ベルトラン・カルビノ。  ふたりの婚約が整ってすぐ、フィロメナは王女マリルーより、自身とベルトランは昔からの恋仲だと打ち明けられる。 『ベルトランはね、あたくしに相応しい爵位を得ようと必死なのよ。でも時間がかかるでしょう?だからその間、隠れ蓑としての婚約者、よろしくね』  可愛い見た目に反するフィロメナを貶める言葉に衝撃を受けるも、フィロメナはベルトランにも確認をしようとして、機先を制するように『マリルー王女の警護があるので、君と夜会に行くことは出来ない。今後についても、マリルー王女の警護を優先する』と言われてしまう。  更に『俺が同行できない夜会には、出席しないでくれ』と言われ、その後に王女マリルーより『ベルトランがごめんなさいね。夜会で貴女と遭遇してしまったら、あたくしの気持ちが落ち着かないだろうって配慮なの』と聞かされ、自由にしようと決意する。 『俺が同行出来ない夜会には、出席しないでくれと言った』 『そんなのいつもじゃない!そんなことしていたら、若さが逃げちゃうわ!』  夜会の出席を巡ってベルトランと口論になるも、フィロメナにはどうしても夜会に行きたい理由があった。  それは、ベルトランと婚約破棄をしてもひとりで生きていけるよう、靴の事業を広めること。  そんな折、フィロメナは、ベルトランから、魔法騎士の特別訓練を受けることになったと聞かされる。  期間は一年。  厳しくはあるが、訓練を修了すればベルトランは伯爵位を得ることが出来、王女との婚姻も可能となる。  つまり、その時に婚約破棄されると理解したフィロメナは、会うことも出来ないと言われた訓練中の一年で、何とか自立しようと努力していくのだが、そもそもすべてがすれ違っていた・・・・・。  この物語は、互いにひと目で恋に落ちた筈のふたりが、言葉足らずや誤解、曲解を繰り返すうちに、とんでもないすれ違いを引き起こす、魔法騎士や魔獣も出て来るファンタジーです。  あらすじの内容と実際のお話では、順序が一致しない場合があります。    小説家になろうでも、掲載しています。 Hotランキング1位、ありがとうございます。

記憶を失くした悪役令嬢~私に婚約者なんておりましたでしょうか~

Blue
恋愛
マッツォレーラ侯爵の娘、エレオノーラ・マッツォレーラは、第一王子の婚約者。しかし、その婚約者を奪った男爵令嬢を助けようとして今正に、階段から二人まとめて落ちようとしていた。 走馬灯のように、第一王子との思い出を思い出す彼女は、強い衝撃と共に意識を失ったのだった。

処理中です...