85 / 122
ウインティア王国編
85
しおりを挟む
~マイ・ツルギ視点~
ルフランとエリザベートが婚約したパーティーに私は呼ばれなかった。
貴族しか呼ばれないってベッドの中で教えてくれた男に行為の後「だってお前平民だし、教会で保護された孤児だろ?俺たちにとってお前はタダでやらせてくれる都合のいい女なんだよ。貴族の俺たちに抱かれたからって勘違いするなよ」
何?さっきまで甘い言葉を発していた口から、何故こんな酷い言葉が出るの?
「なによそれ!バカにしているの?好きだ愛してるって言ったのは嘘なの?」
「そう言えば簡単に股を開く女だと、みんな言っているさ。お前は誰とでもやる女だろ?実際そうだしな、お前も楽しんだだろ」
みんな?昨日の男も?一昨日の男も?その前の男たちも?
「許さない・・・」
怒りで身体も声も震えた。
「許さなくていいさ、お前に何ができる?孤児のクセに。それにガバガバ過ぎてイマイチなんだよ」
それだけ言って男は部屋から出て行った。
さすがにその日は落ち込んだけれど、次の日学園に行くといつものように私に侍る男たちからは甘い言葉を囁かれる。
昨日の男が最低だっただけよ。
だって私はみんなから愛されるヒロインだもん。
レイチェルのことを休みの間に調べさせたら、前の学院で王子の婚約者だった。なのに婚約破棄されて生徒達から蔑んで嘲笑われていたことが分かったの。
そんな女に騙されているアランが可哀想。
私が目を覚まさせてあげるわ。
レイチェルを嵌めようと動こうとした時、頭の悪そうな女がアランやゾルティーにか弱い女をアピールし始めた。
それも実の姉を意地悪な姉だと周りに印象づけて嵌めたのよ。
まるで悪役令嬢だわ。
参考のためにあの子を観察していたら、次の手に出たみたいね。
それがワザとぶつかろうとしたり、目の前で転んだり私も同じ手を使っていた手。
何も参考にならなかったわ。
そんな下手な演技にに引っかかるようなアランとゾルティーじゃないことは経験済みよ。
女優レベルの私の演技でさえ騙せなかったのよ。
本当にバカな子。
理由は分からないけれどそれから1ヶ月もしない間にその子は学園に来なくなったの。
分不相応だと分かったのね。
私は静かになった学園で噂を流すチャンスを見逃さなかった。
ここぞとばかりにレイチェルが婚約破棄された傷物令嬢で、前の学院では嫌われ者だったことを男たちを使って流させたの。
そう流させたのよ。
なのにレイチェルの噂など一つも聞こえてこないし、アランもレイチェルを隣に置いている。
貴族なんて噂話が好きで、嘘の噂ですら誇張して広げるものじゃないの?
噂を流すようお願いした男の一人にベッドの中で確認した。
「レイチェルの噂流してくれた?騙されているアラン様が可哀想でしょ?」
「マイって本当にバカなんだね」
バカ?
「レイチェル嬢は破棄されたんじゃない」
?
「相手の有責でレイチェル嬢が破棄したんだ」
何を言っているの?
「それにレイチェル嬢が嫌われ者?」
そうよ!
「そんなの嫉妬されてたからだろ。マイなんかレイチェル嬢の足元にも及ばない存在だといい加減気づけよ」
はあ?
「高位貴族で可愛くて上品なレイチェル嬢は完璧令嬢と言われているのに対して、マイは無料奉仕の娼婦と言われているの知らないの?」
また娼婦?
「この国の貴族のなかでウォルシュ侯爵家に手を出すような馬鹿はいない。いたとしたら死にたい奴だけだろうな」
・・・
「そのウォルシュ家にレイチェル嬢は嫁ぐ。手を出せば孤児のお前なんか即抹殺だ」
抹殺?
「それより卒業したらお前行くところあるのか?」
考えたことない・・・
「教会が保護するのは卒業までだろ?」
そんなこと知らない。
「娼館で働けば?天職じゃん」
娼館?私はヒロインよ?
「住むところと食べることには困らないぜ」
そんな・・・
「俺もお前に飽きたし今日で終わりだ。もう声を掛けてくるなよ。じゃあな」
なに?なにを言われたの?
レイチェルに手を出したら抹殺?
抹殺って・・・殺されるってことよね?
待って!
私ヒロインじゃなかったの?
誰からも愛されるヒロインでしょ?
誰かしら攻略対象者をゲット出来ると思っていた。
でもルフランは無理、アランを選べば抹殺、ゾルティーにはコンビに邪魔されて近付けない、レックスはいなくなった、ガルザークとも終わっている・・・
え?まって、まって、まって、誰が私の生活の面倒を見てくれるの?
教会も卒業するまで?
あと半年もないじゃない!
でも何処へ行けばいいの?
誰を頼ればいい?
私に侍っている男たちなら・・・男二人が去っても、まだ他の男がいるわ。
もし、もしも全員がヤルのが目的だったとしたら?
そんなはず・・・本当にない?
なんで!なんでこんな事に?
ヒロインは幸せになるものでしょ?
次の日学園に行って侍る男たちに聞いた。
「卒業したら教会を出ないといけないの。誰か私と結婚してくれる?」
『ごめんね。マイとは結婚出来ないよ』
『割り切った関係だったでしょ』
まだこれは優しく言ってくれた方。
『無理無理!阿婆擦れと結婚なんて無理』
『お前と結婚したら笑いものにされる』
『お前なんかに本気になる奴はいない』
『タダでやれるから相手していただけだ』
私に侍る男はいなくなった。
1人になった私に声をかけてくれる人はいない。
居たとしてもやりたい時だけ。
このままだと本当に娼館で働くことになる。
どうする?どうする?
心を入れ替えたと言って、誰かに擦り寄る?
今更誰に?
・・・攻略対象者の誰かなら?
レイチェルとエリザベートを悪役令嬢に仕立て上げなかったら助けてくれるかもしれない。
そうよ!私はまだレイチェルにもエリザベートにも何もしていない。
生活さえ保証してくれるなら愛人になってあげてもいいわ。
そのうち私に本気になっちゃうかもしれないけど、その時は仕方ないよね。
だって、私はヒロインだもの。
ターゲットはやっぱりアランがいいわね。
ルフランとエリザベートが婚約したパーティーに私は呼ばれなかった。
貴族しか呼ばれないってベッドの中で教えてくれた男に行為の後「だってお前平民だし、教会で保護された孤児だろ?俺たちにとってお前はタダでやらせてくれる都合のいい女なんだよ。貴族の俺たちに抱かれたからって勘違いするなよ」
何?さっきまで甘い言葉を発していた口から、何故こんな酷い言葉が出るの?
「なによそれ!バカにしているの?好きだ愛してるって言ったのは嘘なの?」
「そう言えば簡単に股を開く女だと、みんな言っているさ。お前は誰とでもやる女だろ?実際そうだしな、お前も楽しんだだろ」
みんな?昨日の男も?一昨日の男も?その前の男たちも?
「許さない・・・」
怒りで身体も声も震えた。
「許さなくていいさ、お前に何ができる?孤児のクセに。それにガバガバ過ぎてイマイチなんだよ」
それだけ言って男は部屋から出て行った。
さすがにその日は落ち込んだけれど、次の日学園に行くといつものように私に侍る男たちからは甘い言葉を囁かれる。
昨日の男が最低だっただけよ。
だって私はみんなから愛されるヒロインだもん。
レイチェルのことを休みの間に調べさせたら、前の学院で王子の婚約者だった。なのに婚約破棄されて生徒達から蔑んで嘲笑われていたことが分かったの。
そんな女に騙されているアランが可哀想。
私が目を覚まさせてあげるわ。
レイチェルを嵌めようと動こうとした時、頭の悪そうな女がアランやゾルティーにか弱い女をアピールし始めた。
それも実の姉を意地悪な姉だと周りに印象づけて嵌めたのよ。
まるで悪役令嬢だわ。
参考のためにあの子を観察していたら、次の手に出たみたいね。
それがワザとぶつかろうとしたり、目の前で転んだり私も同じ手を使っていた手。
何も参考にならなかったわ。
そんな下手な演技にに引っかかるようなアランとゾルティーじゃないことは経験済みよ。
女優レベルの私の演技でさえ騙せなかったのよ。
本当にバカな子。
理由は分からないけれどそれから1ヶ月もしない間にその子は学園に来なくなったの。
分不相応だと分かったのね。
私は静かになった学園で噂を流すチャンスを見逃さなかった。
ここぞとばかりにレイチェルが婚約破棄された傷物令嬢で、前の学院では嫌われ者だったことを男たちを使って流させたの。
そう流させたのよ。
なのにレイチェルの噂など一つも聞こえてこないし、アランもレイチェルを隣に置いている。
貴族なんて噂話が好きで、嘘の噂ですら誇張して広げるものじゃないの?
噂を流すようお願いした男の一人にベッドの中で確認した。
「レイチェルの噂流してくれた?騙されているアラン様が可哀想でしょ?」
「マイって本当にバカなんだね」
バカ?
「レイチェル嬢は破棄されたんじゃない」
?
「相手の有責でレイチェル嬢が破棄したんだ」
何を言っているの?
「それにレイチェル嬢が嫌われ者?」
そうよ!
「そんなの嫉妬されてたからだろ。マイなんかレイチェル嬢の足元にも及ばない存在だといい加減気づけよ」
はあ?
「高位貴族で可愛くて上品なレイチェル嬢は完璧令嬢と言われているのに対して、マイは無料奉仕の娼婦と言われているの知らないの?」
また娼婦?
「この国の貴族のなかでウォルシュ侯爵家に手を出すような馬鹿はいない。いたとしたら死にたい奴だけだろうな」
・・・
「そのウォルシュ家にレイチェル嬢は嫁ぐ。手を出せば孤児のお前なんか即抹殺だ」
抹殺?
「それより卒業したらお前行くところあるのか?」
考えたことない・・・
「教会が保護するのは卒業までだろ?」
そんなこと知らない。
「娼館で働けば?天職じゃん」
娼館?私はヒロインよ?
「住むところと食べることには困らないぜ」
そんな・・・
「俺もお前に飽きたし今日で終わりだ。もう声を掛けてくるなよ。じゃあな」
なに?なにを言われたの?
レイチェルに手を出したら抹殺?
抹殺って・・・殺されるってことよね?
待って!
私ヒロインじゃなかったの?
誰からも愛されるヒロインでしょ?
誰かしら攻略対象者をゲット出来ると思っていた。
でもルフランは無理、アランを選べば抹殺、ゾルティーにはコンビに邪魔されて近付けない、レックスはいなくなった、ガルザークとも終わっている・・・
え?まって、まって、まって、誰が私の生活の面倒を見てくれるの?
教会も卒業するまで?
あと半年もないじゃない!
でも何処へ行けばいいの?
誰を頼ればいい?
私に侍っている男たちなら・・・男二人が去っても、まだ他の男がいるわ。
もし、もしも全員がヤルのが目的だったとしたら?
そんなはず・・・本当にない?
なんで!なんでこんな事に?
ヒロインは幸せになるものでしょ?
次の日学園に行って侍る男たちに聞いた。
「卒業したら教会を出ないといけないの。誰か私と結婚してくれる?」
『ごめんね。マイとは結婚出来ないよ』
『割り切った関係だったでしょ』
まだこれは優しく言ってくれた方。
『無理無理!阿婆擦れと結婚なんて無理』
『お前と結婚したら笑いものにされる』
『お前なんかに本気になる奴はいない』
『タダでやれるから相手していただけだ』
私に侍る男はいなくなった。
1人になった私に声をかけてくれる人はいない。
居たとしてもやりたい時だけ。
このままだと本当に娼館で働くことになる。
どうする?どうする?
心を入れ替えたと言って、誰かに擦り寄る?
今更誰に?
・・・攻略対象者の誰かなら?
レイチェルとエリザベートを悪役令嬢に仕立て上げなかったら助けてくれるかもしれない。
そうよ!私はまだレイチェルにもエリザベートにも何もしていない。
生活さえ保証してくれるなら愛人になってあげてもいいわ。
そのうち私に本気になっちゃうかもしれないけど、その時は仕方ないよね。
だって、私はヒロインだもの。
ターゲットはやっぱりアランがいいわね。
199
お気に入りに追加
4,559
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢が死んだ後
ぐう
恋愛
王立学園で殺人事件が起きた。
被害者は公爵令嬢 加害者は男爵令嬢
男爵令嬢は王立学園で多くの高位貴族令息を侍らせていたと言う。
公爵令嬢は婚約者の第二王子に常に邪険にされていた。
殺害理由はなんなのか?
視察に訪れていた第一王子の目の前で事件は起きた。第一王子が事件を調査する目的は?
*一話に流血・残虐な表現が有ります。話はわかる様になっていますのでお嫌いな方は二話からお読み下さい。
婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜
みおな
恋愛
王家主催のパーティーにて、私の婚約者がやらかした。
「お前との婚約を破棄する!!」
私はこの馬鹿何言っているんだと思いながらも、婚約破棄を受け入れてやった。
だって、私は何ひとつ困らない。
困るのは目の前でふんぞり返っている元婚約者なのだから。
大好きだったあなたはもう、嫌悪と恐怖の対象でしかありません。
ふまさ
恋愛
「──お前のこと、本当はずっと嫌いだったよ」
「……ジャスパー?」
「いっつもいっつも。金魚の糞みたいにおれの後をついてきてさ。鬱陶しいったらなかった。お前が公爵令嬢じゃなかったら、おれが嫡男だったら、絶対に相手になんかしなかった」
マリーの目が絶望に見開かれる。ジャスパーとは小さな頃からの付き合いだったが、いつだってジャスパーは優しかった。なのに。
「楽な暮らしができるから、仕方なく優しくしてやってただけなのに。余計なことしやがって。おれの不貞行為をお前が親に言い付けでもしたら、どうなるか。ったく」
続けて吐かれた科白に、マリーは愕然とした。
「こうなった以上、殺すしかないじゃないか。面倒かけさせやがって」
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
【完結】用済みと捨てられたはずの王妃はその愛を知らない
千紫万紅
恋愛
王位継承争いによって誕生した後ろ楯のない無力な少年王の後ろ楯となる為だけに。
公爵令嬢ユーフェミアは僅か10歳にして大国の王妃となった。
そして10年の時が過ぎ、無力な少年王は賢王と呼ばれるまでに成長した。
その為後ろ楯としての価値しかない用済みの王妃は廃妃だと性悪宰相はいう。
「城から追放された挙げ句、幽閉されて監視されて一生を惨めに終えるくらいならば、こんな国……逃げだしてやる!」
と、ユーフェミアは誰にも告げず城から逃げ出した。
だが、城から逃げ出したユーフェミアは真実を知らない。
戻る場所がなくなったようなので別人として生きます
しゃーりん
恋愛
医療院で目が覚めて、新聞を見ると自分が死んだ記事が載っていた。
子爵令嬢だったリアンヌは公爵令息ジョーダンから猛アプローチを受け、結婚していた。
しかし、結婚生活は幸せではなかった。嫌がらせを受ける日々。子供に会えない日々。
そしてとうとう攫われ、襲われ、森に捨てられたらしい。
見つかったという遺体が自分に似ていて死んだと思われたのか、別人とわかっていて死んだことにされたのか。
でももう夫の元に戻る必要はない。そのことにホッとした。
リアンヌは別人として新しい人生を生きることにするというお話です。
貴方もヒロインのところに行くのね? [完]
風龍佳乃
恋愛
元気で活発だったマデリーンは
アカデミーに入学すると生活が一変し
てしまった
友人となったサブリナはマデリーンと
仲良くなった男性を次々と奪っていき
そしてマデリーンに愛を告白した
バーレンまでもがサブリナと一緒に居た
マデリーンは過去に決別して
隣国へと旅立ち新しい生活を送る。
そして帰国したマデリーンは
目を引く美しい蝶になっていた
ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?
望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。
ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。
転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを――
そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。
その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。
――そして、セイフィーラは見てしまった。
目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を――
※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。
※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる