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ウインティア王国編
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朝一でエリーの客室まで行ったが・・・
「ルフラン殿下、女性は支度に時間がかかります。ウォルシュ嬢の準備が終わりましたらお呼び致しますのでお部屋でお待ち下さい」
王宮侍女に取り次いでもらえなかった。
「自業自得ですよ兄上」
ゾルティーそんな呆れた目で見ないでくれ。
「確かにちょっと舞い上がっていたかもしれないが・・・」
「数ヶ月後には義理の両親になる2人の前で『純潔は奪わない』などと言われてエリー嬢はさぞ恥ずかしかったでしょうね」
「そ、そういうものなのか?」
「はぁ、明日は兄上の為に皆んなに集まってもらいましょうね。もう少し教育が必要みたいですからね」
ゾルティーはそう言って去って行くが、今さら俺になんの教育が必要なんだ???
婚約式間際にやっとエリーの支度が出来たと連絡が来た。
まずは昨日のことを謝らないとな。
ノックをすると「どうぞ~」とエリーの声が聞こえた。
扉を開けるまでは頭には謝るセリフも入っていたんだ。なのに白いドレスを着たエリーを見た途端頭から抜け落ちて、動けなくなってしまった。
あまりにも美しいエリーはまるで本物の女神のように神々しかった。
普段はしない化粧もほんのりと施され、髪も纏めてアップにされている。
たぶん俺の意識はエリーを見た瞬間からどこかに行っていたのだろう。
「ルフィ似合ってない?」とエリーが俺の袖を引っ張るまで動けなかったのだから。
俺は無意識にエリーを抱きしめようとしていたようだ。
「シワになるって昨日も言ったよね?」
昨日のエリーを彷彿させる目で睨まれてエリーの両手が俺のこめかみに伸びてきた。
「この頭は学習出来ないのかな~」と容赦なくグリグリしてくる。
「痛い、痛い、痛い、ごめんエリー、悪かった。もう覚えたから」
そうだった。
エリーは怒ると手が出ることを忘れていた。
「よかったわねルフィ。また一つ賢くなれたわよ」
女神の顔でニッコリ笑うエリーを見て、二度と、絶対に二度と怒らせないと心に刻む。
「ル、ルフラン殿下、ウォルシュ侯爵令嬢お時間です」
「あら、もうそんな時間なのね。皆さん綺麗にして下さってありがとうございました」
笑顔でお礼を言うエリーはやっぱり女神に見える。
エスコートして教会まで歩く道すがら「昨日は悪かった」と素直に謝る。
「ああ、もういいの気にしていないわ」
さすがエリーだ!切り替えが早い。
「次がないだけよ?気を付けてねルフィ?」
・・・俺は一生エリーに頭が上がらない未来が見えた気がする・・・
~その頃エリーの客室では~
「無表情のルフラン殿下がウォルシュ侯爵令嬢に見蕩れて動けなくなるなんてね」
「すごいわ!ウォルシュ侯爵令嬢!あのルフラン殿下に謝らせるなんて!」
「それにグリグリされてもルフラン殿下が怒らないなんて!それが許されるウォルシュ侯爵令嬢凄すぎる!」
「わたくし、ウォルシュ侯爵令嬢について行くわ!」
「「わたくしも!」」
エリーの評価が上がり、侍女達から報告を受けた母上がさらにエリーを気に入ったことは俺には知らされなかった。
教会の控え室にはウォルシュ侯爵夫妻、前侯爵夫妻、アラン、レイが既に集まっていた。
悔しそうに俺を睨むウォルシュ侯爵以外は着飾って綺麗なエリーを絶賛していた。
教会での婚約式は形だけのものだ。
既に婚約の手続きは終わっているからな。
俺が王族だからこそ、まず先にこの国の大臣たちの前でお披露目するだけだ。
普通の貴族同士なら書面にサインした後、お披露目パーティーで紹介したら終わりだ。
俺達もこの後お披露目パーティーがあるが、ここからが本番だ。
あの日、レイからは実際に元王子と婚約していた頃に使われた手を教え、アランからは王族の婚約者の立場を欲する者からすればエリーは邪魔な存在だということ。
常に警戒し、単独行動はしない、毒見がいない場では水すらも口にするな、たとえ王宮内でも狙われている自覚を持て等の説明したそうだ。
その時エリーは『狙われる覚悟はルフィの側にいたくてウインティア王国に帰ると決めた時から出来ていたの。ただ覚悟が甘かったみたい。教えてくれてありがとう』と言ったそうだ。
そんな前から覚悟を持ってくれていたことに嬉しさと愛しさが込み上げてきた。
俺は自分が優しい人間ではないと自覚している。
エリーを狙う者にはいくらでも冷酷になれる。
人の命を狙うんだ、それが自分に返ってくることを思い知らせてやるまでだ。
命には命で償わせてやる。
婚約式も終わり、パーティーが始まるまではエリーと過ごしたかったのだが、パーティー用の衣装に着替えるため、またエリーの客室に入る手前で追い返されてしまった。
自室に戻っても男の着替えなどものの数分で終わってしまう。
それなら執務でもして時間を潰そうと執務室に入るとすぐにノックされた。
ノックして入ってきたのはゾルティーといつものメンバーにレイもいた。
「兄上、暇なら明日とは言わず今から教育の時間に変更です。女性視点でレイ嬢にも意見を聞かせてもらいましょう」
ゾルティーが晩餐での出来事を皆に話すなり集中砲火を浴びせられた。
「「とうとうやっちゃいましたね」」
俺は何もしていないが?
「ルフラン殿下?エリーは嫁ぐまでウォルシュ家から出しませんよ?」
アランの笑顔が怖いのだが?
結婚するまでは王宮に住ませないって意味だよな。
なぜだ?
「そうよ!本当に一番危険なのはルフラン殿下の側じゃないの?」
お前たちなぜそんな目で俺を見るんだ?
俺はエリーを危険な目にあわせたりしないぞ!
「経験者から言わせてもらえば、このままだと理性のない獣になるのも時間の問題だろうな」
ガルお前まで何を言っているんだ?
「兄上はもう少し相手の立場と気持ちを思いやることを心掛けないとエリー嬢に捨てられますよ?」
す、捨てられるだと?
「ルフラン殿下がエリーをすごく好きなことは分かっているわ。でも親の前で『純潔を奪ったりしない』『毎晩抱きしめて寝る』こんな言葉は使ってはダメよ」
「本心だか?」
何を言っている?
「はぁ、、、、今まで女性とまったく関わらなかった弊害がここで現れましたか」
「エリーは許してくれたぞ」
「ねえルフラン殿下?バカなの?乙女心が分からないなら、黙って皆の意見を聞いて学習しなさい!」
また『学習』しろって言われた。
それから呼ばれるまでレイからは乙女心を、あとの5人からは呆れられながら説明という名の罵声を浴びせられた・・・。
俺はもう気持ちを隠さず素直に言葉で伝えようとしただけなのに・・・
それはエリーと2人の時だけでいいと揃って怒鳴られた。
俺は次期国王なんだが?
だがこの気軽な会話ができる関係がとても心地いいのは確かだな。
「ルフラン殿下、女性は支度に時間がかかります。ウォルシュ嬢の準備が終わりましたらお呼び致しますのでお部屋でお待ち下さい」
王宮侍女に取り次いでもらえなかった。
「自業自得ですよ兄上」
ゾルティーそんな呆れた目で見ないでくれ。
「確かにちょっと舞い上がっていたかもしれないが・・・」
「数ヶ月後には義理の両親になる2人の前で『純潔は奪わない』などと言われてエリー嬢はさぞ恥ずかしかったでしょうね」
「そ、そういうものなのか?」
「はぁ、明日は兄上の為に皆んなに集まってもらいましょうね。もう少し教育が必要みたいですからね」
ゾルティーはそう言って去って行くが、今さら俺になんの教育が必要なんだ???
婚約式間際にやっとエリーの支度が出来たと連絡が来た。
まずは昨日のことを謝らないとな。
ノックをすると「どうぞ~」とエリーの声が聞こえた。
扉を開けるまでは頭には謝るセリフも入っていたんだ。なのに白いドレスを着たエリーを見た途端頭から抜け落ちて、動けなくなってしまった。
あまりにも美しいエリーはまるで本物の女神のように神々しかった。
普段はしない化粧もほんのりと施され、髪も纏めてアップにされている。
たぶん俺の意識はエリーを見た瞬間からどこかに行っていたのだろう。
「ルフィ似合ってない?」とエリーが俺の袖を引っ張るまで動けなかったのだから。
俺は無意識にエリーを抱きしめようとしていたようだ。
「シワになるって昨日も言ったよね?」
昨日のエリーを彷彿させる目で睨まれてエリーの両手が俺のこめかみに伸びてきた。
「この頭は学習出来ないのかな~」と容赦なくグリグリしてくる。
「痛い、痛い、痛い、ごめんエリー、悪かった。もう覚えたから」
そうだった。
エリーは怒ると手が出ることを忘れていた。
「よかったわねルフィ。また一つ賢くなれたわよ」
女神の顔でニッコリ笑うエリーを見て、二度と、絶対に二度と怒らせないと心に刻む。
「ル、ルフラン殿下、ウォルシュ侯爵令嬢お時間です」
「あら、もうそんな時間なのね。皆さん綺麗にして下さってありがとうございました」
笑顔でお礼を言うエリーはやっぱり女神に見える。
エスコートして教会まで歩く道すがら「昨日は悪かった」と素直に謝る。
「ああ、もういいの気にしていないわ」
さすがエリーだ!切り替えが早い。
「次がないだけよ?気を付けてねルフィ?」
・・・俺は一生エリーに頭が上がらない未来が見えた気がする・・・
~その頃エリーの客室では~
「無表情のルフラン殿下がウォルシュ侯爵令嬢に見蕩れて動けなくなるなんてね」
「すごいわ!ウォルシュ侯爵令嬢!あのルフラン殿下に謝らせるなんて!」
「それにグリグリされてもルフラン殿下が怒らないなんて!それが許されるウォルシュ侯爵令嬢凄すぎる!」
「わたくし、ウォルシュ侯爵令嬢について行くわ!」
「「わたくしも!」」
エリーの評価が上がり、侍女達から報告を受けた母上がさらにエリーを気に入ったことは俺には知らされなかった。
教会の控え室にはウォルシュ侯爵夫妻、前侯爵夫妻、アラン、レイが既に集まっていた。
悔しそうに俺を睨むウォルシュ侯爵以外は着飾って綺麗なエリーを絶賛していた。
教会での婚約式は形だけのものだ。
既に婚約の手続きは終わっているからな。
俺が王族だからこそ、まず先にこの国の大臣たちの前でお披露目するだけだ。
普通の貴族同士なら書面にサインした後、お披露目パーティーで紹介したら終わりだ。
俺達もこの後お披露目パーティーがあるが、ここからが本番だ。
あの日、レイからは実際に元王子と婚約していた頃に使われた手を教え、アランからは王族の婚約者の立場を欲する者からすればエリーは邪魔な存在だということ。
常に警戒し、単独行動はしない、毒見がいない場では水すらも口にするな、たとえ王宮内でも狙われている自覚を持て等の説明したそうだ。
その時エリーは『狙われる覚悟はルフィの側にいたくてウインティア王国に帰ると決めた時から出来ていたの。ただ覚悟が甘かったみたい。教えてくれてありがとう』と言ったそうだ。
そんな前から覚悟を持ってくれていたことに嬉しさと愛しさが込み上げてきた。
俺は自分が優しい人間ではないと自覚している。
エリーを狙う者にはいくらでも冷酷になれる。
人の命を狙うんだ、それが自分に返ってくることを思い知らせてやるまでだ。
命には命で償わせてやる。
婚約式も終わり、パーティーが始まるまではエリーと過ごしたかったのだが、パーティー用の衣装に着替えるため、またエリーの客室に入る手前で追い返されてしまった。
自室に戻っても男の着替えなどものの数分で終わってしまう。
それなら執務でもして時間を潰そうと執務室に入るとすぐにノックされた。
ノックして入ってきたのはゾルティーといつものメンバーにレイもいた。
「兄上、暇なら明日とは言わず今から教育の時間に変更です。女性視点でレイ嬢にも意見を聞かせてもらいましょう」
ゾルティーが晩餐での出来事を皆に話すなり集中砲火を浴びせられた。
「「とうとうやっちゃいましたね」」
俺は何もしていないが?
「ルフラン殿下?エリーは嫁ぐまでウォルシュ家から出しませんよ?」
アランの笑顔が怖いのだが?
結婚するまでは王宮に住ませないって意味だよな。
なぜだ?
「そうよ!本当に一番危険なのはルフラン殿下の側じゃないの?」
お前たちなぜそんな目で俺を見るんだ?
俺はエリーを危険な目にあわせたりしないぞ!
「経験者から言わせてもらえば、このままだと理性のない獣になるのも時間の問題だろうな」
ガルお前まで何を言っているんだ?
「兄上はもう少し相手の立場と気持ちを思いやることを心掛けないとエリー嬢に捨てられますよ?」
す、捨てられるだと?
「ルフラン殿下がエリーをすごく好きなことは分かっているわ。でも親の前で『純潔を奪ったりしない』『毎晩抱きしめて寝る』こんな言葉は使ってはダメよ」
「本心だか?」
何を言っている?
「はぁ、、、、今まで女性とまったく関わらなかった弊害がここで現れましたか」
「エリーは許してくれたぞ」
「ねえルフラン殿下?バカなの?乙女心が分からないなら、黙って皆の意見を聞いて学習しなさい!」
また『学習』しろって言われた。
それから呼ばれるまでレイからは乙女心を、あとの5人からは呆れられながら説明という名の罵声を浴びせられた・・・。
俺はもう気持ちを隠さず素直に言葉で伝えようとしただけなのに・・・
それはエリーと2人の時だけでいいと揃って怒鳴られた。
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