【完結】悪役令嬢はゲームに巻き込まれない為に攻略対象者の弟を連れて隣国に逃げます

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ウインティア王国編

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明日はエリーとの婚約式だ。


今日は明日の準備のためにエリーが王宮に滞在することになっている。

午前は教会で手順や作法の予行練習を行い、午後からは母上にエリーを奪われてしまった。
エリーに付いて来ていたレイまで母上に連れて行かれた。

俺に母上の執務まで押し付けてだ!

最近はアランとガルにも仕事を手伝わせている。頭脳面でアランに並べるのはエリーぐらいだろう。

ガルは騎士団長の子息で幼い頃から武術を叩き込まれているし、頭も悪くない。
学園での成績も上位だ。

頭脳のアランと護りのガルが卒業後、俺の側近になることが理想だが、ガルはともかくアランからいい返事が貰えるか・・・あのウォルシュ家だからな。

それよりもだ!
今日は夜もエリーと一緒にいられるんだ。
もちろん部屋は別々だが、寝る間際まで一緒だ。

消えてしまった鎖骨の印。
また付けてくれと頼むつもりだ。
印があるのと無いのとでは俺のモチベーションが全く違うからな!
そして出来れば俺もエリーの胸元に印を付けたいのだが許してくれるだろうか。


与えられた執務も終わらせた。
もう母上にエリーを返してもらってもいいよな。

アランを連れて母上の部屋にエリーとレイを迎えに行ったら笑顔の母上と、疲れきった顔のエリーとレイがいた。
部屋には所狭しと並べられたドレスに何をしていたか想像がついた。

「やっぱり女の子はいいわね~エリーちゃんとレイちゃんはタイプが違うから2倍楽しかったわ」

「「私たちも楽しかったです」」

2人ともよく頑張ったな・・・

「エリー晩餐までゆっくりしようか」

「ええ、ありがとうルフィ」

「レイ帰ろうか?」

「分かったわ」

2人を見送ってから庭園をゆっくり手を繋いで歩く。

「疲れただろう?母上がすまない」

「王妃様はとても優しくして下さったのよ。娘が欲しかったって言っていたわ」

「ああ、それは何度も聞かされてきた」

「ふふふ、私とルフィに女の子が生まれたら王妃様が大喜びしそう」

その前にその為の行為を・・・エリーの全てが俺のものに・・・

「ルフィ?」

「い、いや大丈夫だ!」

「ん?何が大丈夫なの?」

「お、俺は男でも女でもエリーとの子供なら絶対に可愛いと思うぞ」

「ルフィにそっくりな男の子がいいな~」

「俺はエリーにそっくりな女の子がいい」

あ~俺のエリーが可愛すぎる。
早く結婚したい。

屈んで額にキスする。

「る、ルフィ!み、みんな見てるから!」

確かに俺とエリーを驚いた顔で見ている文官もメイドもいるな。
でも俺は気にならないし、見せつけたいぐらいだ。

焦って恥ずかしがるエリー。
口を尖らせて拗ねるエリー。
俺はどんなエリーでも大好きだ。



「晩餐の時間には迎えに来るからな」

エリーの泊まる客室まで送ってそう伝えてから自室に戻った。

明日の婚約式は王宮の敷地内にある教会で親族と限られた人間の前だけで行われるが、婚約披露パーティーには国内の貴族がほぼ参加する予定になっている。

この国は18歳が成人だが、王族の婚約や結婚のお披露目の時だけは、成人前の15歳から参加することができる。

まだ婚約者の決まっていない令息令嬢が出会える機会でもある。

父上と母上の時も多少の騒動があったと聞いている。

婚約披露の時に騒いだ人間のいる家は結婚式もその後のお披露目パーティーも参加が出来なくなる。


当然だ。結婚式には海外の王族や来賓も招待される。
そこへ問題のある人間を参加させる訳にはいかないからだ。

何も起こらなければいいのだが・・・




晩餐といっても身内だけだから固くない服装でいいのだが、エリーのシンプルだが生地も身に付けている装飾品も最高級品だと分かる。さすがウォルシュ家だ。

エリーのドレス姿を見るなんて何年ぶりだ?
薄紫色のドレスが背も高くスレンダーなエリーにとても似合っている。
抱きしめようとした俺に「シワになるからダメよ」とキッパリと断られた。

なんでだよ!
たぶん俺の顔は不服そうな顔になっていたのだろう。

「晩餐が終わってからなら抱きしめてもいいからね」
エリーが小さな声で耳元で囁いてから「後でね」って照れた笑顔を見せられたら俺は我慢するしかないだろう?

エスコートしながらも横を歩く着飾ったエリーを見てしまう。
エリーって本当に綺麗だよな。
見た目はもちろんだが、姿勢がいいんだよ。

「明日のドレスはね、王妃様のデザインなんですって。すごく綺麗なのよ」

「俺はまだ見てないから知らないんだ」

「じゃあ明日のお楽しみね」

エリーならどんなドレスでも着こなせるだろうな。



晩餐の席でも母上のテンションが高かった。

「エリーちゃん!もうこのまま王宮に住めばいいんじゃない?」

ナイスだ母上!

「そうだ!エリーここから学園に通えばいい!」

「母上、兄上ダメですよ」

「俺はウォルシュ侯爵さえ反対しなければいいと思うぞ」

「いえ、その結婚するまでは・・・」

「大丈夫だ!分かっている。結婚するまではエリーの純潔を奪ったりしない!」

「あ、兄上ストレート過ぎますよ」

「あら!わたくしは別に先に子供が出来てもいいと思うわよ」

「母上!」

さっきからゾルティー煩いぞ!

「エリーの純潔は奪わないが毎晩エリーを抱きしめて一緒に寝られるな」

「兄上!」

ゾルティー今は黙っていてくれ!

「えっと、家族と相談してから・・・」

ん?エリー家族から反対されると思っているのか?

「大丈夫だ!エリー安心しろ!ウォルシュ侯爵は俺が説得する!」

「ルフィ?」

あっ・・・ヤバい?
笑顔のままエリーが怒っているような?
目が怖いぞ・・・



ちょっと調子に乗ってしまった気はするが、俺は毎日エリーと過ごしたかっただけなんだ。


「エリー悪かった!開けてくれ!部屋に入れてくれ!」

「煩い!ルフィも早く寝なさい!」

『後でね』そんな甘い時間は俺には訪れなかった・・・

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