51 / 122
ウインティア王国編
51
しおりを挟む
アランにプレゼントを預けて1ヶ月ほどした頃、エリーからお礼の手紙が届いた。
初めてのエリーからの手紙・・・
開ける前からわくわくする。
はやる気持ちを落ち着かせ、丁寧に手紙を開く。
ほのかに懐かしいエリーの香りがする。
中には1枚の手紙と・・・なんだ画用紙か?
『ルフラン元気に過ごしていますか?
私は元気ですよ~』
エリーらしい軽い文面に頬が緩む。
それにきれいな字だ。
『アランから聞いたと思いますが私は子犬を飼い始めました。
ルフランの瞳と同じ金色の瞳なの。その瞳を見る度にあなたを思い出します。』
毎日俺を思い出してくれているってことだよな。
嬉しさが込み上げてくる。
俺も毎日エリーを思っているよ。
『ルフランから貰った髪留めは私のお気に入りです。とても素敵なプレゼントをありがとう』
気に入ってくれたんだな。
着けている姿を見てみたいな。
『ランにまでプレゼントをありがとう。でもね、今のランにはピッタリ合う首輪のサイズだけど、もう少ししたら合わなくなると思うの。だってランは大型犬なのよ?ルフランみたいに大きく育てる予定だからこのサイズより大きい首輪が必要になると思うの。』
大型犬・・・大きく育てると聞いていたが小型犬サイズしかイメージしていなかった。
でもこの文面は大型犬用の首輪を俺に催促してるんだよな?
なんだよ!この可愛い催促は!
またプレゼントできる!
『ランも日を追うごとに元気になってきて、今では走ることもできるようになったのよ。
それに食事の量も増えてきたの。いつも私の後ろをついてくるランはとっても可愛いの』
エリーが一生懸命世話をしたからだろう。
俺だって側にいたらついて行くよ。
『ルフランのように、大きく強く育てるわ』
ああ、俺も強くなるよ。
『大きいサイズの首輪をイメージしやすいように、今のランの絵を描きました。私の力作です。参考にしてね』
画用紙はランの絵だったのか。
画用紙を開いて固まった。
・・・・・・力・・作?
白い毛に金の瞳は分かった。
それにプレゼントした首輪をしている動物らしき絵が今のランだと?絶対に違う!
馬?いやポニー?サイズだぞ!
なんでその背にエリーらしき人物?が乗っているんだ?
これでイメージしろと?
ははは・・・刺繍は苦手だと言っていたが、絵もダメだったんだな。
もうエリーの事なら何もかもが愛しい。
こんなに笑ったのは何時ぶりだ?
また1つエリーのことを知ることができた。
分かったよ。
エリーはポニーぐらいの大きさまで育てるつもりなんだよな。
すぐに首輪を注文するよ。
大型犬用をな。
まず普通の大型犬用の首輪を作ろう。
サイズが合わなくなったら催促してくれ。
喜んでまた注文するよ。
それなら2回渡せるもんな。
今度プレゼントを送る時には手紙を付けるよ。
新しい首輪をつけたランの絵も催促だ。
前と同じカードだけのプレゼントなんて味気無いよな。
エリーの上手くない絵でも俺は本当に嬉しい。
一生の宝物だ。
でも、メイドの目もある私室内にこの絵を飾ることはエリーの尊厳を損なうよな。
毎日俺だけが見れるようにそっと机の中に隠そう。
これでエリーの尊厳は守られる。
会えなくても、こんな幸せな気持ちになれるんだな。
ラン、早く大きく強くなってエリーを守ってくれよ。
幸せな気分に浸っていたのに、学園に到着した途端気分が急降下した。
毎朝、俺とゾルティーの乗る馬車が到着するとセルティ公爵令嬢が目の前に立っている。
後ろには取り巻きを引き連れて。
俺の婚約者気取りで隣を歩こうとするのも煩わしい。
この計算高い令嬢は昔から、俺に自分が選ばれるのは当然だと皆に触れ回っていたようだ。
俺とゾルティー、ゾルティーの側近候補2人の4人がまるでセルティ嬢を守っているように見えるとガルザークが言っていたな。
そう周りに見えるように隣に並ぼうとする。
これもセルティ嬢の計算だろう。
勝手な思い込みが度が過ぎていて、気味の悪さを感じる。
俺の拒絶する態度すらセルティ嬢は別の解釈をする。『ルフラン殿下を癒せるのはわたくしだけなのです』そう言っているのをゾルティーが聞いたそうだ。
俺を癒せるのはエリーだけだ。
お前ではエリーの変わりは無理なんだよ!
俺の目から見るとセルティ嬢が何故そんなに自分に自信があるのか分からない。
皆が同じ制服を着る学園では、セルティ嬢も普通の令嬢だ。
取り巻きといるとどれがセルティ嬢かすら分からない。
頭は優秀だと聞いていたが、エリーと比べると格段に落ちる。
そういえば昔から俺の婚約者にと、しつこく娘を勧めていたのはセルティ公爵だったな。
何のために王家主催でお茶会を開いていたのか親子で理解できてないのだろう。
『マイ』よりも別の意味で気持ち悪い。
あのお茶会で隠していた本性がバレてからは『マイ』も大人しくなったが、それもほとぼりが冷めるまでの演技だろう?
新学期そうそうアランを探し回っていたもんな。
ゾルティーにも側近候補たちに阻止されて近づけないんだよな。
あの女の中ではまだゲームが続いているようだ。
一年学園に通って学んだことなどあるのだろうか?
文字の読み書きは教会が教えたと聞いた。
その程度の頭で、高位貴族に嫁ぐことが無理なことすら理解していないだろう。
教会が世話をするのは学園を卒業するまでだ。
その後は自分の力で生きていかなければならない。
まあ行き着く先は娼館か、良くてどこかの貴族の妾ぐらいだな。
それもこれ以上何も仕出かさなかったらの話だ。
自分の命が大事なら大人しくしている事だな。
初めてのエリーからの手紙・・・
開ける前からわくわくする。
はやる気持ちを落ち着かせ、丁寧に手紙を開く。
ほのかに懐かしいエリーの香りがする。
中には1枚の手紙と・・・なんだ画用紙か?
『ルフラン元気に過ごしていますか?
私は元気ですよ~』
エリーらしい軽い文面に頬が緩む。
それにきれいな字だ。
『アランから聞いたと思いますが私は子犬を飼い始めました。
ルフランの瞳と同じ金色の瞳なの。その瞳を見る度にあなたを思い出します。』
毎日俺を思い出してくれているってことだよな。
嬉しさが込み上げてくる。
俺も毎日エリーを思っているよ。
『ルフランから貰った髪留めは私のお気に入りです。とても素敵なプレゼントをありがとう』
気に入ってくれたんだな。
着けている姿を見てみたいな。
『ランにまでプレゼントをありがとう。でもね、今のランにはピッタリ合う首輪のサイズだけど、もう少ししたら合わなくなると思うの。だってランは大型犬なのよ?ルフランみたいに大きく育てる予定だからこのサイズより大きい首輪が必要になると思うの。』
大型犬・・・大きく育てると聞いていたが小型犬サイズしかイメージしていなかった。
でもこの文面は大型犬用の首輪を俺に催促してるんだよな?
なんだよ!この可愛い催促は!
またプレゼントできる!
『ランも日を追うごとに元気になってきて、今では走ることもできるようになったのよ。
それに食事の量も増えてきたの。いつも私の後ろをついてくるランはとっても可愛いの』
エリーが一生懸命世話をしたからだろう。
俺だって側にいたらついて行くよ。
『ルフランのように、大きく強く育てるわ』
ああ、俺も強くなるよ。
『大きいサイズの首輪をイメージしやすいように、今のランの絵を描きました。私の力作です。参考にしてね』
画用紙はランの絵だったのか。
画用紙を開いて固まった。
・・・・・・力・・作?
白い毛に金の瞳は分かった。
それにプレゼントした首輪をしている動物らしき絵が今のランだと?絶対に違う!
馬?いやポニー?サイズだぞ!
なんでその背にエリーらしき人物?が乗っているんだ?
これでイメージしろと?
ははは・・・刺繍は苦手だと言っていたが、絵もダメだったんだな。
もうエリーの事なら何もかもが愛しい。
こんなに笑ったのは何時ぶりだ?
また1つエリーのことを知ることができた。
分かったよ。
エリーはポニーぐらいの大きさまで育てるつもりなんだよな。
すぐに首輪を注文するよ。
大型犬用をな。
まず普通の大型犬用の首輪を作ろう。
サイズが合わなくなったら催促してくれ。
喜んでまた注文するよ。
それなら2回渡せるもんな。
今度プレゼントを送る時には手紙を付けるよ。
新しい首輪をつけたランの絵も催促だ。
前と同じカードだけのプレゼントなんて味気無いよな。
エリーの上手くない絵でも俺は本当に嬉しい。
一生の宝物だ。
でも、メイドの目もある私室内にこの絵を飾ることはエリーの尊厳を損なうよな。
毎日俺だけが見れるようにそっと机の中に隠そう。
これでエリーの尊厳は守られる。
会えなくても、こんな幸せな気持ちになれるんだな。
ラン、早く大きく強くなってエリーを守ってくれよ。
幸せな気分に浸っていたのに、学園に到着した途端気分が急降下した。
毎朝、俺とゾルティーの乗る馬車が到着するとセルティ公爵令嬢が目の前に立っている。
後ろには取り巻きを引き連れて。
俺の婚約者気取りで隣を歩こうとするのも煩わしい。
この計算高い令嬢は昔から、俺に自分が選ばれるのは当然だと皆に触れ回っていたようだ。
俺とゾルティー、ゾルティーの側近候補2人の4人がまるでセルティ嬢を守っているように見えるとガルザークが言っていたな。
そう周りに見えるように隣に並ぼうとする。
これもセルティ嬢の計算だろう。
勝手な思い込みが度が過ぎていて、気味の悪さを感じる。
俺の拒絶する態度すらセルティ嬢は別の解釈をする。『ルフラン殿下を癒せるのはわたくしだけなのです』そう言っているのをゾルティーが聞いたそうだ。
俺を癒せるのはエリーだけだ。
お前ではエリーの変わりは無理なんだよ!
俺の目から見るとセルティ嬢が何故そんなに自分に自信があるのか分からない。
皆が同じ制服を着る学園では、セルティ嬢も普通の令嬢だ。
取り巻きといるとどれがセルティ嬢かすら分からない。
頭は優秀だと聞いていたが、エリーと比べると格段に落ちる。
そういえば昔から俺の婚約者にと、しつこく娘を勧めていたのはセルティ公爵だったな。
何のために王家主催でお茶会を開いていたのか親子で理解できてないのだろう。
『マイ』よりも別の意味で気持ち悪い。
あのお茶会で隠していた本性がバレてからは『マイ』も大人しくなったが、それもほとぼりが冷めるまでの演技だろう?
新学期そうそうアランを探し回っていたもんな。
ゾルティーにも側近候補たちに阻止されて近づけないんだよな。
あの女の中ではまだゲームが続いているようだ。
一年学園に通って学んだことなどあるのだろうか?
文字の読み書きは教会が教えたと聞いた。
その程度の頭で、高位貴族に嫁ぐことが無理なことすら理解していないだろう。
教会が世話をするのは学園を卒業するまでだ。
その後は自分の力で生きていかなければならない。
まあ行き着く先は娼館か、良くてどこかの貴族の妾ぐらいだな。
それもこれ以上何も仕出かさなかったらの話だ。
自分の命が大事なら大人しくしている事だな。
181
お気に入りに追加
4,559
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢が死んだ後
ぐう
恋愛
王立学園で殺人事件が起きた。
被害者は公爵令嬢 加害者は男爵令嬢
男爵令嬢は王立学園で多くの高位貴族令息を侍らせていたと言う。
公爵令嬢は婚約者の第二王子に常に邪険にされていた。
殺害理由はなんなのか?
視察に訪れていた第一王子の目の前で事件は起きた。第一王子が事件を調査する目的は?
*一話に流血・残虐な表現が有ります。話はわかる様になっていますのでお嫌いな方は二話からお読み下さい。
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
婚約破棄を望むなら〜私の愛した人はあなたじゃありません〜
みおな
恋愛
王家主催のパーティーにて、私の婚約者がやらかした。
「お前との婚約を破棄する!!」
私はこの馬鹿何言っているんだと思いながらも、婚約破棄を受け入れてやった。
だって、私は何ひとつ困らない。
困るのは目の前でふんぞり返っている元婚約者なのだから。
【完結】用済みと捨てられたはずの王妃はその愛を知らない
千紫万紅
恋愛
王位継承争いによって誕生した後ろ楯のない無力な少年王の後ろ楯となる為だけに。
公爵令嬢ユーフェミアは僅か10歳にして大国の王妃となった。
そして10年の時が過ぎ、無力な少年王は賢王と呼ばれるまでに成長した。
その為後ろ楯としての価値しかない用済みの王妃は廃妃だと性悪宰相はいう。
「城から追放された挙げ句、幽閉されて監視されて一生を惨めに終えるくらいならば、こんな国……逃げだしてやる!」
と、ユーフェミアは誰にも告げず城から逃げ出した。
だが、城から逃げ出したユーフェミアは真実を知らない。
ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?
望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。
ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。
転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを――
そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。
その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。
――そして、セイフィーラは見てしまった。
目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を――
※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。
※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)
戻る場所がなくなったようなので別人として生きます
しゃーりん
恋愛
医療院で目が覚めて、新聞を見ると自分が死んだ記事が載っていた。
子爵令嬢だったリアンヌは公爵令息ジョーダンから猛アプローチを受け、結婚していた。
しかし、結婚生活は幸せではなかった。嫌がらせを受ける日々。子供に会えない日々。
そしてとうとう攫われ、襲われ、森に捨てられたらしい。
見つかったという遺体が自分に似ていて死んだと思われたのか、別人とわかっていて死んだことにされたのか。
でももう夫の元に戻る必要はない。そのことにホッとした。
リアンヌは別人として新しい人生を生きることにするというお話です。
前世と今世の幸せ
夕香里
恋愛
幼い頃から皇帝アルバートの「皇后」になるために妃教育を受けてきたリーティア。
しかし聖女が発見されたことでリーティアは皇后ではなく、皇妃として皇帝に嫁ぐ。
皇帝は皇妃を冷遇し、皇后を愛した。
そのうちにリーティアは病でこの世を去ってしまう。
この世を去った後に訳あってもう一度同じ人生を繰り返すことになった彼女は思う。
「今世は幸せになりたい」と
※小説家になろう様にも投稿しています
今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~
コトミ
恋愛
結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。
そしてその飛び出した先で出会った人とは?
(できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)
hotランキング1位入りしました。ありがとうございます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる