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今日は珍しく早く帰ってきた伯父様から、ラティオス殿下やミーシャ嬢それから一緒に私を断罪しようとした子息たちの処分を聞いた。
当たり前のように夕食も一緒に食べて私の隣で話しを聞いていたルフランも黙って頷いている。
ラティオス殿下の処分は重すぎるのでは、と思ってしまうが、これが王族としての責任の取り方だと言われたら何も言えなくなる。
これからヒロインではなくなったミーシャ嬢はどうなるのだろうか?
そんな事を考えていたらアランがレイのところから帰ってきたと執事から報告があった。
サロンで待ち構える私、伯父様、伯母様、そしてルフラン。
アランもサロンに入って私たちの顔を見ると「ただいま帰りました。ご報告します。」
早く!早く!わくわくが止まらない!
「ビジョップ侯爵家のレイチェル嬢へ婚約を申し込んでいい返事を頂きました。」
そう笑ったアランに伯母様と一緒に抱きついてしまった。
「良くやったわアラン!おめでとう」
「おめでとうアラン。レイが私の義妹になるのね!嬉しい~」
伯父様もアランにおめでとうと言いながら頭をクシャクシャに撫でている。
ルフランの口の端も上がっている。
屋敷の使用人たちも喜んでくれている。
そこからはビジョップ家での婚約の申し込みから何から何まで根掘り葉掘り質問攻めにされるアランは困った顔をしながらも嬉しそうに答えてくれた。
私もブラコン卒業かと思うと寂しくなるけど、アランが幸せならそれでいい。
明日は学院も休みだということで、ルフランも泊まっていくことになった。
夜通しルフランと話し明かすと言ってアランがルフランを連れて行ってしまった。
これって男同士の男子会?
私も今度レイと女子会をしよう!
嬉しい報告にワクワクと落ち着かないままベッドに入った。
~アラン視点~
エリーがやってくれた。
そのお陰でレイを僕の婚約者にする事が出来る。
まだ、両親の許可は出ていないが反対されることはないだろう。
レイのご両親に婚約のお願いをする時はさすがに緊張したが、ご両親も『アラン殿ありがとう。レイをお願いします』とあっさりと許してくれた。
まだ会ったことのなかったレイの兄、クラウド殿には『レイを泣かせるようなことをしたらウインティア王国まで迎えに行くからな』
と笑って握手をしながら激励の言葉をくれた。
結局、僕が動かなくてもエリーのお陰でレイはゲームの断罪から逃れることができた。
あとは僕がレイを幸せにするだけだ。
僕の目の前のソファには分厚いメガネを外し、赤い髪をオールバックにしたルフランが長い足を組んでいる。
ただそこにいるだけで王者の風格を纏った彼には威厳がある。
もうエリーは気づいているだろう。
伯父夫婦にも正体がバレていると思う。
それなのにルフランだけがまだバレていないと思って、まだ平民のフリをしているところが痛い。
優秀な人なのに、そんな鈍いところはエリーと同じだ。
夏季休暇でウインティア王国に帰る前に学園の現状を話すべきだと思った。
ビジョップ家を出る前にレイとも相談して、もう話す方がいいと決めた。
もちろんゾルティー殿下との手紙のやり取りで話す許可は得ている。
信じるだろうか?
信じて欲しい。
それでも断罪後のエリーの事は話さない方がいいと、レイとゾルティー殿下の意見は一致している。
特に継承権放棄のことは話せない。
「ルフラン殿下。今から信じられない話しをしますが最後まで黙って聞いていただけますか?」
僕の殿下呼びに眉を寄せながら、「それがエリーにとって大事なことなら俺は信じる」
その顔を見てゲームの僕がエリーを彼に任せたことは間違いなかったと嬉しなった。
この人は本当にエリーを思ってくれている。
さて、どこから話そうか。
ゆっくり深呼吸をしてから話し始めた。
まず、エリーとレイには前世の記憶があることから話した。
そして今、ウインティア王国の学園で起こっていることを話し、レイから聞いたゲームの内容、エリーが何故アトラニア王国まで逃げてきたのか、ずっと黙って聞いてくれてはいたが、話が進むにつれルフラン殿下の眉間のシワも深くなり、爪がくい込むほど拳には力が入っていた。
最後はエリーが断罪されたところで話しを終わらせた。
「こんな話しを信じていただけますか?」
「ああ、信じられない話ではあるが辻褄は合う。エリーとレイには前世の記憶があるんだな?短い付き合いだがレイは信じられる人間だ。・・・だからエリーはここまで逃げてきたのか・・」
「信じていただけてありがとうございます」
「確認だが、俺はあの時の女に本当に恋をしたわけではないんだな?フリだったんだよな?」
気になるのはそこ?
「はい、殿下には一途に想う人がいましたから。」
「ではゲームの世界の俺も、現実の俺も想い人は同じだな」
って、口の端が上がった。
「エリーが俺の婚約者候補・・・なぜ候補なんだ?婚約者でいいだろ・・・」
心の声が漏れていますよ。
今のルフラン殿下にもゾルティー殿下にも婚約者はいない。
ルフラン殿下の方は候補すらいない。
ここもゲームとは違う。
「エリーと僕の行動で少しずつゲームの内容と現実が変わってきています。この先どんな結果になるのかは僕たちにも分かりません。」
まだエリーのその後の事も、養子の話しもしていない。
もう、ゲームと同じ結末にはならないだろう。
当たり前のように夕食も一緒に食べて私の隣で話しを聞いていたルフランも黙って頷いている。
ラティオス殿下の処分は重すぎるのでは、と思ってしまうが、これが王族としての責任の取り方だと言われたら何も言えなくなる。
これからヒロインではなくなったミーシャ嬢はどうなるのだろうか?
そんな事を考えていたらアランがレイのところから帰ってきたと執事から報告があった。
サロンで待ち構える私、伯父様、伯母様、そしてルフラン。
アランもサロンに入って私たちの顔を見ると「ただいま帰りました。ご報告します。」
早く!早く!わくわくが止まらない!
「ビジョップ侯爵家のレイチェル嬢へ婚約を申し込んでいい返事を頂きました。」
そう笑ったアランに伯母様と一緒に抱きついてしまった。
「良くやったわアラン!おめでとう」
「おめでとうアラン。レイが私の義妹になるのね!嬉しい~」
伯父様もアランにおめでとうと言いながら頭をクシャクシャに撫でている。
ルフランの口の端も上がっている。
屋敷の使用人たちも喜んでくれている。
そこからはビジョップ家での婚約の申し込みから何から何まで根掘り葉掘り質問攻めにされるアランは困った顔をしながらも嬉しそうに答えてくれた。
私もブラコン卒業かと思うと寂しくなるけど、アランが幸せならそれでいい。
明日は学院も休みだということで、ルフランも泊まっていくことになった。
夜通しルフランと話し明かすと言ってアランがルフランを連れて行ってしまった。
これって男同士の男子会?
私も今度レイと女子会をしよう!
嬉しい報告にワクワクと落ち着かないままベッドに入った。
~アラン視点~
エリーがやってくれた。
そのお陰でレイを僕の婚約者にする事が出来る。
まだ、両親の許可は出ていないが反対されることはないだろう。
レイのご両親に婚約のお願いをする時はさすがに緊張したが、ご両親も『アラン殿ありがとう。レイをお願いします』とあっさりと許してくれた。
まだ会ったことのなかったレイの兄、クラウド殿には『レイを泣かせるようなことをしたらウインティア王国まで迎えに行くからな』
と笑って握手をしながら激励の言葉をくれた。
結局、僕が動かなくてもエリーのお陰でレイはゲームの断罪から逃れることができた。
あとは僕がレイを幸せにするだけだ。
僕の目の前のソファには分厚いメガネを外し、赤い髪をオールバックにしたルフランが長い足を組んでいる。
ただそこにいるだけで王者の風格を纏った彼には威厳がある。
もうエリーは気づいているだろう。
伯父夫婦にも正体がバレていると思う。
それなのにルフランだけがまだバレていないと思って、まだ平民のフリをしているところが痛い。
優秀な人なのに、そんな鈍いところはエリーと同じだ。
夏季休暇でウインティア王国に帰る前に学園の現状を話すべきだと思った。
ビジョップ家を出る前にレイとも相談して、もう話す方がいいと決めた。
もちろんゾルティー殿下との手紙のやり取りで話す許可は得ている。
信じるだろうか?
信じて欲しい。
それでも断罪後のエリーの事は話さない方がいいと、レイとゾルティー殿下の意見は一致している。
特に継承権放棄のことは話せない。
「ルフラン殿下。今から信じられない話しをしますが最後まで黙って聞いていただけますか?」
僕の殿下呼びに眉を寄せながら、「それがエリーにとって大事なことなら俺は信じる」
その顔を見てゲームの僕がエリーを彼に任せたことは間違いなかったと嬉しなった。
この人は本当にエリーを思ってくれている。
さて、どこから話そうか。
ゆっくり深呼吸をしてから話し始めた。
まず、エリーとレイには前世の記憶があることから話した。
そして今、ウインティア王国の学園で起こっていることを話し、レイから聞いたゲームの内容、エリーが何故アトラニア王国まで逃げてきたのか、ずっと黙って聞いてくれてはいたが、話が進むにつれルフラン殿下の眉間のシワも深くなり、爪がくい込むほど拳には力が入っていた。
最後はエリーが断罪されたところで話しを終わらせた。
「こんな話しを信じていただけますか?」
「ああ、信じられない話ではあるが辻褄は合う。エリーとレイには前世の記憶があるんだな?短い付き合いだがレイは信じられる人間だ。・・・だからエリーはここまで逃げてきたのか・・」
「信じていただけてありがとうございます」
「確認だが、俺はあの時の女に本当に恋をしたわけではないんだな?フリだったんだよな?」
気になるのはそこ?
「はい、殿下には一途に想う人がいましたから。」
「ではゲームの世界の俺も、現実の俺も想い人は同じだな」
って、口の端が上がった。
「エリーが俺の婚約者候補・・・なぜ候補なんだ?婚約者でいいだろ・・・」
心の声が漏れていますよ。
今のルフラン殿下にもゾルティー殿下にも婚約者はいない。
ルフラン殿下の方は候補すらいない。
ここもゲームとは違う。
「エリーと僕の行動で少しずつゲームの内容と現実が変わってきています。この先どんな結果になるのかは僕たちにも分かりません。」
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もう、ゲームと同じ結末にはならないだろう。
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