上 下
6 / 42

6 レオン視点

しおりを挟む
俺の妹は可愛い

3歳の時に母上のお腹が大きくなった。
「レオンに弟か妹ができるのよ」っと、お腹を撫でながら母上が俺に教えてくれてから毎日お腹に声をかけた。
もう、産まれる前からまだ見た事のない弟か妹が可愛い存在だった。

そして、その時は来た!

庭で侍女達と遊んでいるとすごい勢いで馬車が入ってきた。いつも仕事で忙しい父上が王城から帰ってきたようだ。
俺を見つけると父上は俺を抱き上げて「母上が大変だ!」と俺を抱いたまま母上のところに行った。
俺はわけも分からず怖くなった。
母上の部屋には入れず、会うこともできなくたまに部屋から母上の苦しそうな声が聞こえて怯えることしかできなかった俺を父上はずっと「大丈夫!大丈夫」と抱き締めてくれていた。
どのくらい時間がたったのかも分からないそんな時泣き声が聞こえた。
「産まれた!」と父上が言った。そっと父上を見上げると目に涙が浮かんでた。

少しして部屋のドアが開くと、「可愛い女の子ですよ」と医者のような人が教えてくれた。
父上はすごい勢いで母上のところに行くと「ありがとう、ありがとう」「体は大丈夫か?」と泣きながら母上の髪を優しく撫でていた。
そんな様子を見て、俺は妹が生まれるための時間だったのだと理解した。
部屋の入口でつったたままの俺に母上が「レオンお兄様になったのよ。会ってあげて」と声をかけてくれた。
恐る恐る近ずいて母上の腕の中にいる赤ちゃんを見た時、天使かと思った。本当に天使だと思った。
髪は薄かったが銀色の髪に窓からの光が当たって妹が輝いているかのように思えた。
父上が「レオンの妹だぞ、これからはお兄様になったのだから守ってあげるんだぞ」って言った。

そこからの俺は妹をいつでも守れるように、3歳で剣術を始め、何でも答えられるように色々な分野も学んだ。

2歳になる頃には「にいたま、にいたま」とよちよち歩きで俺の所まで歩いてきては足に抱きつく、そして俺が抱き上げると同じ色の目を真っ直ぐに俺に向けてニッコリと笑うんだ。その笑顔を誰からも守る、そう決めた。
それは父上も同じで「嫁にはやらん」が口癖になってる。当然だな!

それからは我が邸の中で大事に大事に見守りながら元気に育ってくれた。

それが、妹が11歳の時初めてのお使いで王城に来た時にあのアホ王子に見初められようだが、妹と庭園を歩いてる時に聞いた「そんなワガママで傲慢な女なんかたとえ婚約者になったとしても大事にすることもないし、いつか婚約破棄してやるよ!」の声に会ったこともない人から悪意を向けられた妹が目に涙を溜めているのを見て抱き上げて帰路についた。
もちろん父上にも報告済みだ。

いつか後悔させてやるからな!と決めた!

何故か世間では妹は病弱のくせにワガママで傲慢だと噂が流れているが、それは父上が誰にも見せたくないがために流した噂だ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】愛しい人、妹が好きなら私は身を引きます。

王冠
恋愛
幼馴染のリュダールと八年前に婚約したティアラ。 友達の延長線だと思っていたけど、それは恋に変化した。 仲睦まじく過ごし、未来を描いて日々幸せに暮らしていた矢先、リュダールと妹のアリーシャの密会現場を発見してしまい…。 書きながらなので、亀更新です。 どうにか完結に持って行きたい。 ゆるふわ設定につき、我慢がならない場合はそっとページをお閉じ下さい。

一番悪いのは誰

jun
恋愛
結婚式翌日から屋敷に帰れなかったファビオ。 ようやく帰れたのは三か月後。 愛する妻のローラにやっと会えると早る気持ちを抑えて家路を急いだ。 出迎えないローラを探そうとすると、執事が言った、 「ローラ様は先日亡くなられました」と。 何故ローラは死んだのは、帰れなかったファビオのせいなのか、それとも・・・

ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?

望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。 ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。 転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを―― そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。 その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。 ――そして、セイフィーラは見てしまった。 目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を―― ※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。 ※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)

あなたの嫉妬なんて知らない

abang
恋愛
「あなたが尻軽だとは知らなかったな」 「あ、そう。誰を信じるかは自由よ。じゃあ、終わりって事でいいのね」 「は……終わりだなんて、」 「こんな所にいらしたのね!お二人とも……皆探していましたよ…… "今日の主役が二人も抜けては"」 婚約パーティーの夜だった。 愛おしい恋人に「尻軽」だと身に覚えのない事で罵られたのは。 長年の恋人の言葉よりもあざとい秘書官の言葉を信頼する近頃の彼にどれほど傷ついただろう。 「はー、もういいわ」 皇帝という立場の恋人は、仕事仲間である優秀な秘書官を信頼していた。 彼女の言葉を信じて私に婚約パーティーの日に「尻軽」だと言った彼。 「公女様は、退屈な方ですね」そういって耳元で嘲笑った秘書官。 だから私は悪女になった。 「しつこいわね、見て分かんないの?貴方とは終わったの」 洗練された公女の所作に、恵まれた女性の魅力に、高貴な家門の名に、男女問わず皆が魅了される。 「貴女は、俺の婚約者だろう!」 「これを見ても?貴方の言ったとおり"尻軽"に振る舞ったのだけど、思いの他皆にモテているの。感謝するわ」 「ダリア!いい加減に……」 嫉妬に燃える皇帝はダリアの新しい恋を次々と邪魔して……?

見捨てられた逆行令嬢は幸せを掴みたい

水空 葵
恋愛
 一生大切にすると、次期伯爵のオズワルド様に誓われたはずだった。  それなのに、私が懐妊してからの彼は愛人のリリア様だけを守っている。  リリア様にプレゼントをする余裕はあっても、私は食事さえ満足に食べられない。  そんな状況で弱っていた私は、出産に耐えられなくて死んだ……みたい。  でも、次に目を覚ました時。  どういうわけか結婚する前に巻き戻っていた。    二度目の人生。  今度は苦しんで死にたくないから、オズワルド様との婚約は解消することに決めた。それと、彼には私の苦しみをプレゼントすることにしました。  一度婚約破棄したら良縁なんて望めないから、一人で生きていくことに決めているから、醜聞なんて気にしない。  そう決めて行動したせいで良くない噂が流れたのに、どうして次期侯爵様からの縁談が届いたのでしょうか? ※カクヨム様と小説家になろう様でも連載中・連載予定です。  7/23 女性向けHOTランキング1位になりました。ありがとうございますm(__)m

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

前世と今世の幸せ

夕香里
恋愛
幼い頃から皇帝アルバートの「皇后」になるために妃教育を受けてきたリーティア。 しかし聖女が発見されたことでリーティアは皇后ではなく、皇妃として皇帝に嫁ぐ。 皇帝は皇妃を冷遇し、皇后を愛した。 そのうちにリーティアは病でこの世を去ってしまう。 この世を去った後に訳あってもう一度同じ人生を繰り返すことになった彼女は思う。 「今世は幸せになりたい」と ※小説家になろう様にも投稿しています

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

処理中です...