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それでも、すべてをレオニールに話す訳にはいかないだろう。
「今から衛兵に彼女を引き渡す」
「さあ、夜も遅いわ。みんな疲れているでしょう?今日は解散しましょう」
「「「はい」」」
「ですが⋯⋯」
「レオニール⋯⋯解決済みだ」
「⋯⋯」
納得のいかないレオニールはまだ何か言いたげだけれど、お父様に言い切られればそれ以上何も言えず、馬車に乗り込むまで私の手を握ったままだった。
レオニールを見送って元の居た部屋に戻ると床に転がされたまま、まだ意識の戻らないオルセロー嬢を皆んなで囲んでいた。
「で、どうするよこの女」
「フィオナに決めさせる」
「⋯⋯」
~クスター・オルセロー男爵令嬢視点~
フィオナの邸に押入ってしまえば簡単に目的が遂げられると思っていた。
やっと目障りな存在のフィオナを消去できると⋯⋯でもそれは失敗に終わり、あたしはルーク様に助けを求めた。
それにルーク様が応えてくれたと思ったら、次に目を覚ました時には自分のベッドの中だった。
すべて夢だったの?
いえ、あたしは昨日間違いなくフィオナを殺す気であの子の邸に行った。
心の中でルーク様を呼んでみたけれど、何も反応がない。
それどころか存在すら感じられない。
まさか!
つ、使えない⋯⋯
影だけじゃない。魔法が使えない。
てか、身体中どこを探しても魔力がな⋯い?
信じられない!嘘よ!
⋯⋯どうしよう?
何度試してみても魔法が使えない。
あたしの魔力はどこにいったの?
自慢の全属性は?もう魔法は使えないの?
魔力もない、魔法も使えない⋯⋯こんなんじゃあ学園なんて行けない。
「ねえ!ルーク!どこにいるの?ねえ!あたしを助けてよ!」
どうしよう。この間、慰謝料の件で怒らせたお父様には相談できない。
義母や義兄はもっと無理だ。
今の学園にあたしの相談に乗ってくれるような男もいない。
どうして?どうして昨日まで使えていた魔法が使えなくなったの?
直接あたしに触れたのは、あのブサイクだけ。
もしかして、ブサイクに何かされた?
よく思い出すのよ。
あそこで何があった?
『どうしたの?』
フィオナ!
『うふふっ』
「何が可笑しいのよ!」
うっ!ごほっ⋯⋯ごほっごほっ⋯⋯
突然の喉の痛みに何かが込み上げてきた。手で押さえても止めどなく血が溢れてくる。
く、苦しい⋯⋯フィ、フィオナに毒を盛られた?そこであたしの意識は暗転した。
ガタッ、ガッ、ガガッ⋯⋯
な、なに?何が起こったの?
身体中が痛い。意識が朦朧とするあたしを階段の上から見下ろしてフィオナが笑っている⋯⋯
『ふふふっ』
地面がどんどん近付いて⋯⋯ドッサ⋯⋯あ、あたしは、だ、誰かに⋯⋯
『ふふっ』
校舎の屋上からフィオナが笑っている。
何回?何十回?何百回? 何千回?⋯⋯目覚める度にあたしは死ぬ。
もう、数え切れないほどあたしは殺されている。
最初は夢かと思っていた。
でも、痛みも、苦しさも、落ちる時の風も肌に感じる。
あたしを毎回殺すのはフィオナだ。
彼女はあたしが痛みに悶え、苦しさに涙し、恐怖に怯えながら死ぬのを笑って見ている。
も、もうやめて!
お願い!何でも言うことを聞くから!
もう、殺そうとしないから!
もう、二度とアナタに関わらないから!
お願い!
もう⋯⋯もう⋯⋯やめて下さい。
お願いします。
ごめんなさい⋯⋯ごめんなさい⋯⋯ごめんなさい⋯⋯
『ふふふっ許すわけないでしょう?』
お願い。もう⋯⋯本当に殺して⋯⋯
あたしはヒロインだったはずなのに⋯⋯
「今から衛兵に彼女を引き渡す」
「さあ、夜も遅いわ。みんな疲れているでしょう?今日は解散しましょう」
「「「はい」」」
「ですが⋯⋯」
「レオニール⋯⋯解決済みだ」
「⋯⋯」
納得のいかないレオニールはまだ何か言いたげだけれど、お父様に言い切られればそれ以上何も言えず、馬車に乗り込むまで私の手を握ったままだった。
レオニールを見送って元の居た部屋に戻ると床に転がされたまま、まだ意識の戻らないオルセロー嬢を皆んなで囲んでいた。
「で、どうするよこの女」
「フィオナに決めさせる」
「⋯⋯」
~クスター・オルセロー男爵令嬢視点~
フィオナの邸に押入ってしまえば簡単に目的が遂げられると思っていた。
やっと目障りな存在のフィオナを消去できると⋯⋯でもそれは失敗に終わり、あたしはルーク様に助けを求めた。
それにルーク様が応えてくれたと思ったら、次に目を覚ました時には自分のベッドの中だった。
すべて夢だったの?
いえ、あたしは昨日間違いなくフィオナを殺す気であの子の邸に行った。
心の中でルーク様を呼んでみたけれど、何も反応がない。
それどころか存在すら感じられない。
まさか!
つ、使えない⋯⋯
影だけじゃない。魔法が使えない。
てか、身体中どこを探しても魔力がな⋯い?
信じられない!嘘よ!
⋯⋯どうしよう?
何度試してみても魔法が使えない。
あたしの魔力はどこにいったの?
自慢の全属性は?もう魔法は使えないの?
魔力もない、魔法も使えない⋯⋯こんなんじゃあ学園なんて行けない。
「ねえ!ルーク!どこにいるの?ねえ!あたしを助けてよ!」
どうしよう。この間、慰謝料の件で怒らせたお父様には相談できない。
義母や義兄はもっと無理だ。
今の学園にあたしの相談に乗ってくれるような男もいない。
どうして?どうして昨日まで使えていた魔法が使えなくなったの?
直接あたしに触れたのは、あのブサイクだけ。
もしかして、ブサイクに何かされた?
よく思い出すのよ。
あそこで何があった?
『どうしたの?』
フィオナ!
『うふふっ』
「何が可笑しいのよ!」
うっ!ごほっ⋯⋯ごほっごほっ⋯⋯
突然の喉の痛みに何かが込み上げてきた。手で押さえても止めどなく血が溢れてくる。
く、苦しい⋯⋯フィ、フィオナに毒を盛られた?そこであたしの意識は暗転した。
ガタッ、ガッ、ガガッ⋯⋯
な、なに?何が起こったの?
身体中が痛い。意識が朦朧とするあたしを階段の上から見下ろしてフィオナが笑っている⋯⋯
『ふふふっ』
地面がどんどん近付いて⋯⋯ドッサ⋯⋯あ、あたしは、だ、誰かに⋯⋯
『ふふっ』
校舎の屋上からフィオナが笑っている。
何回?何十回?何百回? 何千回?⋯⋯目覚める度にあたしは死ぬ。
もう、数え切れないほどあたしは殺されている。
最初は夢かと思っていた。
でも、痛みも、苦しさも、落ちる時の風も肌に感じる。
あたしを毎回殺すのはフィオナだ。
彼女はあたしが痛みに悶え、苦しさに涙し、恐怖に怯えながら死ぬのを笑って見ている。
も、もうやめて!
お願い!何でも言うことを聞くから!
もう、殺そうとしないから!
もう、二度とアナタに関わらないから!
お願い!
もう⋯⋯もう⋯⋯やめて下さい。
お願いします。
ごめんなさい⋯⋯ごめんなさい⋯⋯ごめんなさい⋯⋯
『ふふふっ許すわけないでしょう?』
お願い。もう⋯⋯本当に殺して⋯⋯
あたしはヒロインだったはずなのに⋯⋯
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