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ふっふふん!ふふふ~ん!
ひっさしぶりだ~!
久っしぶりのダンジョンだ~!
オルセロー嬢の警戒は怠らないまま夏季休暇に入ってすぐ、私はジンとサラと一緒にダンジョンに潜ることにした。
家族から外泊は認められず日帰りだ。
約半年間、死と隣り合わせの特訓から遠ざかっていたため、肩慣らしに以前攻略したダンジョンに潜ることに決まった。
「気を引き締めなさいフィー!」
「そうだぞ~ダンジョン舐めるなよ~死ぬぞ~」
相変わらず厳しいサラと、すっかりサラの尻に敷かれているジン。
「分かってるって!ちょっとテンションが上がってるけど、ダンジョンを舐めたりしないわ」
そう、初ダンジョンでは体力と魔力の分配を誤って悔しい思いをしたし、その後もジンとサラには何度も命を助けられたもの。
高ランクの冒険者でも、ダンジョンでは浅い階でも気を抜くと簡単に命を落とすことは、実際に見てきた私は知っている。
うん⋯⋯自分がSランクだからと調子に乗っていた。
ダンジョンは遊び場じゃない。
一瞬の気の緩みが命取りになる。
「もう大丈夫!行くよ!ジン!サラ!」
⋯⋯⋯⋯。
目の前にはリオネル殿下、ラシュベル様、グレン様が意識を手放して倒れている⋯⋯
満身創痍だけれど唯一立っているのがレオニール様だ。
どうしてこんな事になったのか⋯⋯
あの日気合いを入れ直してダンジョンに潜った。
今回も身体強化以外の魔法は使わず、体術と剣技だけで魔物を屠っていた。⋯⋯そういう縛りをジンとサラに付けられたからね!
順調に60階層を超えたところまで進んだ。
まだまだここからが本番というところで、魔物に囲まれたパーティーがいた。
助け舟を出すか?と思ったところでよく見るとメンバー全員に焦りも慌てた様子もなく、連携も取れている。なかなか高レベルのパーティーだ。
⋯⋯てか、あれって⋯生徒会のメンバーだよね?
「ん?アイツら見たことのある顔だな」
「前に連れて帰ってあげた子たちよ」
「⋯⋯(そうです)」
「ああ!アイツらか!」
「結構やるわね」
「まだまだヒヨっ子だ!俺はあの歳の頃もっと強かった!」
こんな小さなことでヤキモチ妬くなんて、ジンって器が小さいな。
「だが、4人ともかなりポテンシャルが高いな」
4人? ああ、アンバー様が居ないんだ。
そう言えば学園でもアンバー様は私たちと一緒に摂っていなかったな。
う~ん⋯⋯噂の絶えない彼だからいろんな令嬢と食べていたのかもしれないね。
暫く見物しているとすべての魔物を倒したようで、やっと私たちが居ることに気付いたようで一瞬驚いた顔をしたあと駆け寄ってきた。
『あの時は助けて頂きありがとうございます』
4人いっせいに頭を下げてお礼を言われたが、1人は我が国の第2王子だ。
恐れ多くて慌てて止めようとしてやめた。
だって今の私は変装中だし、誰もフィオナだって気付いていなさそうだったから。
⋯⋯いや、レオニールは気付いているのかもしれない。
最近見慣れた優しい目で見つめられているから。
ひっさしぶりだ~!
久っしぶりのダンジョンだ~!
オルセロー嬢の警戒は怠らないまま夏季休暇に入ってすぐ、私はジンとサラと一緒にダンジョンに潜ることにした。
家族から外泊は認められず日帰りだ。
約半年間、死と隣り合わせの特訓から遠ざかっていたため、肩慣らしに以前攻略したダンジョンに潜ることに決まった。
「気を引き締めなさいフィー!」
「そうだぞ~ダンジョン舐めるなよ~死ぬぞ~」
相変わらず厳しいサラと、すっかりサラの尻に敷かれているジン。
「分かってるって!ちょっとテンションが上がってるけど、ダンジョンを舐めたりしないわ」
そう、初ダンジョンでは体力と魔力の分配を誤って悔しい思いをしたし、その後もジンとサラには何度も命を助けられたもの。
高ランクの冒険者でも、ダンジョンでは浅い階でも気を抜くと簡単に命を落とすことは、実際に見てきた私は知っている。
うん⋯⋯自分がSランクだからと調子に乗っていた。
ダンジョンは遊び場じゃない。
一瞬の気の緩みが命取りになる。
「もう大丈夫!行くよ!ジン!サラ!」
⋯⋯⋯⋯。
目の前にはリオネル殿下、ラシュベル様、グレン様が意識を手放して倒れている⋯⋯
満身創痍だけれど唯一立っているのがレオニール様だ。
どうしてこんな事になったのか⋯⋯
あの日気合いを入れ直してダンジョンに潜った。
今回も身体強化以外の魔法は使わず、体術と剣技だけで魔物を屠っていた。⋯⋯そういう縛りをジンとサラに付けられたからね!
順調に60階層を超えたところまで進んだ。
まだまだここからが本番というところで、魔物に囲まれたパーティーがいた。
助け舟を出すか?と思ったところでよく見るとメンバー全員に焦りも慌てた様子もなく、連携も取れている。なかなか高レベルのパーティーだ。
⋯⋯てか、あれって⋯生徒会のメンバーだよね?
「ん?アイツら見たことのある顔だな」
「前に連れて帰ってあげた子たちよ」
「⋯⋯(そうです)」
「ああ!アイツらか!」
「結構やるわね」
「まだまだヒヨっ子だ!俺はあの歳の頃もっと強かった!」
こんな小さなことでヤキモチ妬くなんて、ジンって器が小さいな。
「だが、4人ともかなりポテンシャルが高いな」
4人? ああ、アンバー様が居ないんだ。
そう言えば学園でもアンバー様は私たちと一緒に摂っていなかったな。
う~ん⋯⋯噂の絶えない彼だからいろんな令嬢と食べていたのかもしれないね。
暫く見物しているとすべての魔物を倒したようで、やっと私たちが居ることに気付いたようで一瞬驚いた顔をしたあと駆け寄ってきた。
『あの時は助けて頂きありがとうございます』
4人いっせいに頭を下げてお礼を言われたが、1人は我が国の第2王子だ。
恐れ多くて慌てて止めようとしてやめた。
だって今の私は変装中だし、誰もフィオナだって気付いていなさそうだったから。
⋯⋯いや、レオニールは気付いているのかもしれない。
最近見慣れた優しい目で見つめられているから。
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