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し、知らない!
そんなこと言ってなかったじゃない!
わ、私が、お姫様抱っこで運ばれたですって?
確かにレオニールに運ばれたって聞いていたけれど・・・お、お姫様抱っこって、小さくて可愛い子がされるものなのに・・・
その場に居たばかりにデカい女を運ぶことになってしまったなんて可哀想なレオニール・・・申し訳ない!
「ねえ、フィオナ?男性が女性を運ぶ方法なんて他に何があるって言いますの?」
「え!そりゃあ丸太を担ぐように?ジンは私が動けなくなるとそうやって運んでたよ。それか投げられるとか?」
「はあ?貴女そんな扱いを受けていましたの?クッ~、次に会ったらあの男が大切にしている趣味のガラクタを目の前で壊してさしあげますわ!」
大変!エル姉様がご立腹だわっ!
でもあれはガラクタじゃないよ!
ロマンだよ!
「コホンッ・・・失礼。ですから明日の昼食後はきちんとお礼を言い行きますからね」
「は~い」
翌朝、教室に入るなりリオネル殿下が声をかけてきた。
またか・・・懲りないな。
「3人ともおはよう」
呆れながらも失礼のないように挨拶を返した。
「もう体調は良くなったのかい?フィオナ嬢に連れ添ってエルシア嬢とアルバンまで早退したから余程悪いのかと心配していたんだよ」
今日はお誘いじゃなかったのね。
「ご心配をお掛けして申し訳ごさいません。もうすっかり良くなりましたのよ。お心遣い感謝致しますわ」
素っ気なくエル姉様が先に返事をしちゃった。
「もう大丈夫です。殿下ありがとうございます」
実は最近少しだけ、ホンの少~しだけ殿下が可哀想になってきたんだよね。
リオネル殿下は普段から温厚で権力も使わなければ、エル姉様に軽くあしらわれても不敬だと怒ることもしないんだよね。
だからと言って私がエル姉様とリオネル殿下の仲を取り持つつもりは全くないんだけどね。
それよりも私たちが教室に入ってきてからクラスの女子生徒たちからの視線がキツイ。
入学初日の時の視線と今日の彼女たちの視線は種類が違う気がする。
「妬んでいるだけだからフィオナは気にしなくてもいいわよ」
妬んでいる?何で?
よく分からないけどエル姉様がそう言うならそうなんだろう。
別に彼女たちとは親しくしているワケじゃないからいいか。
「さあ、食べ終わったらなら行きましょうか」
「は~い」
個室があるのは王族と公爵家だけだと聞いていたけれど、生徒会用にも個室があると教えてくれた。
どうもレオニールは生徒会に入っているようで、そっちを利用しているらしい。
確かにドアに『生徒会専用』と札がついている。
ノックをするとすぐに返事がありドアが開いた。
私を見て驚いた顔の青い髪の美形。
彼だ。
ああ、またフラッシュバックする・・・
何度人生を繰り返してもレオニールはフィオナの婚約者だった。
寡黙だけれど誠実で優しい彼とフィオナは仲睦まじく過ごしていた。
二度目までは・・・
毎回、次期公爵である彼を狙っている令嬢は多かったけれどレオニールはまったく相手にしない人だった。
フィオナは初めて転生者に会った時から増悪を向けられても、自分がレオニールの婚約者だからだと気にしなかった。
それまでにも転生者は婚約者のいる男たちと必要以上に親しくしていると噂になっており、そのせいで何組もの婚約をダメにしたと有名だったから。
転生者はフィオナの婚約者のレオニールにも目を付けたがまったく相手にされなかった。
それが面白くなかったのかどんどんレオニールに執着するように・・・
一度目も二度目もフィオナが殺される前にレオニールは不自然に命を落としていた・・・
ショックで立ち直れないフィオナは一度目は階段から突き飛ばされて殺された。
訳が分からないまま二度目の人生を送っていたフィオナ。
そしてレオニールの二度目の謎の死。
ある日転生者に学院の屋上に呼び出され告白された。
『最初からアンタが嫌いだった。だからアンタの苦しみ泣き叫ぶ顔が見たくてレオニールを殺したの。でも、それだけでは足りないみたい。やっぱりアンタの存在自体が許せないの。それに、アンタが居たらあたしが一番になれないの。だからね、消えてちょうだい』
これが二度目の最後・・・
だから三度目を繰り返す事になったフィオナはレオニールと距離を置いた。
すると、毒を飲まされて三度目の死を迎えた時にはレオニールは生きていた。
彼の腕に抱かれながら、四度目があれば次は負けないと決意して息絶えた。
どんなに抗っても転生者に先を読まれ、裏をかかれて・・・四度目、五度目、六度目・・・の死。息が止まる直前には一番に駆け付けてくれた彼に抱きしめられながらその腕の中で死んでしまう。
何度彼の泣き顔を見たことか・・・
でも、心が壊れた最後だけは学院内じゃなかったから彼の泣き顔を見ずにすんだ。
ねえフィオナ?貴女が距離を置いても、レオニールがずっと見守ってくれていたのを気づいていたよね?
彼を巻き込みたくなかったんだよね。
今、私の目の前にいる彼が好きだったんだね。
いい人を好きになったね。
フィオナ大丈夫だよ。
今回は婚約を回避したからね。
レオニールがフィオナを見守ることはないよ。
だから安心してね。
そんなこと言ってなかったじゃない!
わ、私が、お姫様抱っこで運ばれたですって?
確かにレオニールに運ばれたって聞いていたけれど・・・お、お姫様抱っこって、小さくて可愛い子がされるものなのに・・・
その場に居たばかりにデカい女を運ぶことになってしまったなんて可哀想なレオニール・・・申し訳ない!
「ねえ、フィオナ?男性が女性を運ぶ方法なんて他に何があるって言いますの?」
「え!そりゃあ丸太を担ぐように?ジンは私が動けなくなるとそうやって運んでたよ。それか投げられるとか?」
「はあ?貴女そんな扱いを受けていましたの?クッ~、次に会ったらあの男が大切にしている趣味のガラクタを目の前で壊してさしあげますわ!」
大変!エル姉様がご立腹だわっ!
でもあれはガラクタじゃないよ!
ロマンだよ!
「コホンッ・・・失礼。ですから明日の昼食後はきちんとお礼を言い行きますからね」
「は~い」
翌朝、教室に入るなりリオネル殿下が声をかけてきた。
またか・・・懲りないな。
「3人ともおはよう」
呆れながらも失礼のないように挨拶を返した。
「もう体調は良くなったのかい?フィオナ嬢に連れ添ってエルシア嬢とアルバンまで早退したから余程悪いのかと心配していたんだよ」
今日はお誘いじゃなかったのね。
「ご心配をお掛けして申し訳ごさいません。もうすっかり良くなりましたのよ。お心遣い感謝致しますわ」
素っ気なくエル姉様が先に返事をしちゃった。
「もう大丈夫です。殿下ありがとうございます」
実は最近少しだけ、ホンの少~しだけ殿下が可哀想になってきたんだよね。
リオネル殿下は普段から温厚で権力も使わなければ、エル姉様に軽くあしらわれても不敬だと怒ることもしないんだよね。
だからと言って私がエル姉様とリオネル殿下の仲を取り持つつもりは全くないんだけどね。
それよりも私たちが教室に入ってきてからクラスの女子生徒たちからの視線がキツイ。
入学初日の時の視線と今日の彼女たちの視線は種類が違う気がする。
「妬んでいるだけだからフィオナは気にしなくてもいいわよ」
妬んでいる?何で?
よく分からないけどエル姉様がそう言うならそうなんだろう。
別に彼女たちとは親しくしているワケじゃないからいいか。
「さあ、食べ終わったらなら行きましょうか」
「は~い」
個室があるのは王族と公爵家だけだと聞いていたけれど、生徒会用にも個室があると教えてくれた。
どうもレオニールは生徒会に入っているようで、そっちを利用しているらしい。
確かにドアに『生徒会専用』と札がついている。
ノックをするとすぐに返事がありドアが開いた。
私を見て驚いた顔の青い髪の美形。
彼だ。
ああ、またフラッシュバックする・・・
何度人生を繰り返してもレオニールはフィオナの婚約者だった。
寡黙だけれど誠実で優しい彼とフィオナは仲睦まじく過ごしていた。
二度目までは・・・
毎回、次期公爵である彼を狙っている令嬢は多かったけれどレオニールはまったく相手にしない人だった。
フィオナは初めて転生者に会った時から増悪を向けられても、自分がレオニールの婚約者だからだと気にしなかった。
それまでにも転生者は婚約者のいる男たちと必要以上に親しくしていると噂になっており、そのせいで何組もの婚約をダメにしたと有名だったから。
転生者はフィオナの婚約者のレオニールにも目を付けたがまったく相手にされなかった。
それが面白くなかったのかどんどんレオニールに執着するように・・・
一度目も二度目もフィオナが殺される前にレオニールは不自然に命を落としていた・・・
ショックで立ち直れないフィオナは一度目は階段から突き飛ばされて殺された。
訳が分からないまま二度目の人生を送っていたフィオナ。
そしてレオニールの二度目の謎の死。
ある日転生者に学院の屋上に呼び出され告白された。
『最初からアンタが嫌いだった。だからアンタの苦しみ泣き叫ぶ顔が見たくてレオニールを殺したの。でも、それだけでは足りないみたい。やっぱりアンタの存在自体が許せないの。それに、アンタが居たらあたしが一番になれないの。だからね、消えてちょうだい』
これが二度目の最後・・・
だから三度目を繰り返す事になったフィオナはレオニールと距離を置いた。
すると、毒を飲まされて三度目の死を迎えた時にはレオニールは生きていた。
彼の腕に抱かれながら、四度目があれば次は負けないと決意して息絶えた。
どんなに抗っても転生者に先を読まれ、裏をかかれて・・・四度目、五度目、六度目・・・の死。息が止まる直前には一番に駆け付けてくれた彼に抱きしめられながらその腕の中で死んでしまう。
何度彼の泣き顔を見たことか・・・
でも、心が壊れた最後だけは学院内じゃなかったから彼の泣き顔を見ずにすんだ。
ねえフィオナ?貴女が距離を置いても、レオニールがずっと見守ってくれていたのを気づいていたよね?
彼を巻き込みたくなかったんだよね。
今、私の目の前にいる彼が好きだったんだね。
いい人を好きになったね。
フィオナ大丈夫だよ。
今回は婚約を回避したからね。
レオニールがフィオナを見守ることはないよ。
だから安心してね。
応援ありがとうございます!
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