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新たな脅威⑪ ※後半にギリギリ本番ではないですがエロ有
しおりを挟む「ルディ! バフ、かけろ!」
ラムが怒鳴る。だがしかし、それは彼への怒りではなく、他の者を正気に戻す為のもの。命令に従い、ルディは三つの呪文を唱える。
「テンションアップ(中)、速度上昇(中)、攻撃力上昇(中)」
一拍して、味方全員の能力が引き上げられる。全身の骨と筋肉が僅かに悲鳴を上げる。
得物を握り直す。
赤いのっぺらぼう達は動かない。
早く整えろと言わんばかりに全員が腕を組み、ふんぞり返る。
強者としての余裕か、それとも万全の状態を叩き潰し、より絶望を与える為か。
「(いや多分両方だな)」
ラムは内心で舌打ちを溢した。
残念ながら脳内記憶に人から魔物に転じた情報はない。
つまりはほぼ未知。
辛うじて知り得ているのは冒険者と悪徳貴族達を殺した手口のみ。
骨すら残らない、内部から全て溶けたような血海だ。
あの時はまず真っ先に既存の毒薬は弾いた。水酸化ナトリウムではあれほどまでに人体を溶かす事は不可能。ましてや生きてる人間に仕込むとなると相当量と手段がない。
では他には何があるか。
ぱっと思い浮かぶのは魔物による新種の毒、もしくは固有能力だ。
証言と支部での出来事から共通しているのは彼等は多量の血液を流した後にああなったという点。
であれば恐らく傷をつける事で発動するもの、とみていいだろう。
「一先ず固まって各個撃破だ。間違っても攻撃は喰らうな。それから念の為に風上から動くな。あと暴走はすんな」
主にレオとオズ。
そう付け加えると、レオは俯きながらも了承し、オズに至っては不機嫌丸出しで舌を打つ。
釘を刺さなければ行くつもりだったのだろう。少しだけ頭が痛い。
「それで作戦会議は終わりかぁ?」
奥の本体が下卑た眼差しを贈る。
「あぁ。待たせてすまねえな」
「いんやぁ? もっとゆっくりしても構わねえぜ。何せテメェ等が生き延びる時間と、あの御方がユニちゃんを愛でる時間が増えるだけだしな」
「あ゛?」
「あ゛?」
「挑発ダ。乗るナ」
「挑発ぅ? こっちは事実を言ってるまでだぜ。ご愁傷様だな、レ~オ」
「くっ」
「そうだ! なんならお前だけ連れて行ってやろうか。恋人が別の男に股開いて気持ちよ~く犯されている現場によぉ」
「殺す!!」
「レオ、待てっ!」
レオが飛び出したのを皮切りに、赤い分体達が襲い掛かる。
ある者は血のような曲刀を、ある者は斧を、またある者は槍を。人間だった頃の男が使用していなかった武器を手にしている。
寸でのところでレオを捕まえたラムが彼を後ろにやり、分体の攻撃を受け止める。それだけではない。方々で金属と金属の撃ち合う音が木霊した。
そうこうすると、前にレオとラム、その後ろをオズとグノー、真ん中にルディを囲い、殿はロキの陣形が完成する。外の間中、取り決めて何度か実践した成果か、何時の間にか全員が息の合った動きを見せていた。
「ヒュー。即席パーティにしちゃ、まあまあな動きじゃねえか」
本体である男は何処からか出した土の椅子に悠然と座り、頬杖をつく。
「鬱陶しいんだよ!」
分体を横一文字に切り裂いたオズが、苛立ち混じりに吐き捨てる。
それもその筈。
通常、物を横一文字に切り裂いた場合、上と下に分断されて終わる。なのに目の前のそれは断面から鮮血を噴き出すでもなく、二つに分裂したのだ。
他の面々に至っても同じだ。
「き、斬った先から増えてます」
「ですが、サイズは都度小さくなっていってますね」
「それが余計面倒臭ぇんだよ!」
斬ると増える。
けれど防戦一方では勝てない。
悶々としている間に、三十近くだった数が何時の間にか百を優に越えるまでになっていた。
的が縮むに比例して、レオ達の警戒範囲と疲労が大きくなっていく。
「ほぉら。頑張れ頑張れ!」
唯一男だけが手を打ち鳴らし、愉しそうだ。
「クソッタレが!」
「こっ、このままじゃ」
いずれ押し切られて負ける。
誰もが理解していた。
けれど明確な打開策がない。
ラムの頭の中に撤退が過ったその時――。
「きゃっ!」
「危ない!」
警戒網を抜けた小さな一体がルディへと迫り、それを庇ったロキの腕に裂傷が入る。
「ロキっ!」
「ゴホッ」
口から吐き出したのは血液だった。
ラムの読みは当たりらしい。
ロキがその場に膝を突き、戦線は崩れ、グノーがフォローに入るがやはり捌ききれない。
「……ハハッ」
「ロッ、ロキさん、回復薬を」
「大丈夫ですよ」
「大丈夫じゃないですよ!」
涙目で叫ぶルディに対し、口の中の血を吐ききったロキは徐に立ち上がる。次いで自身の眼帯を取る。
涙目のルディに対し、口内の血を吐いたロキは徐に立ち上がる。続けて片目を覆う眼帯を取り外し、かっと目を見開く。
途端、辺りの温度が数度下がる。
眼帯の下に輝くは金色の虹彩と人間にはあり得ない縦に割れた瞳孔。
「では、そろそろ幕引きと致しましょうか」
そう告げると、彼は細剣を素早く、大きく横へ振るう。静寂一拍。
ぶわり。見えない熱波が赤い分体を通り抜けて、軈て消える。
「あっつ!」
座した男があまりの熱さにその場から引く。直後、驚愕に染まる顔面。
「これは……」
赤い分体達が一斉に崩れた。
まるで焦げたクッキーが砂のように粉々になる。
「アイツ等が消え……た?」
「ク……クク……ハーハッハッ。ヤベエな。こっちより化物じゃねえか」
「おや、化物に化物と言われるとは心外ですね」
怪しく光る虹彩に男が怯む。
「ま、まあいい。約束は約束だ。外のアンデッドは俺じゃねえ」
そしてまた男は床に溶け始める。
「テメエ、逃げんのか!?」
「ハッ。逃げんじゃねえ。次の場所でお前等を待つんだよ」
高らかな笑い声とともに奴が消える。そうして完全に気配がなくなると、再び眼帯を付け直したロキが苦しげにその場に蹲る。
「ろ、ロキさん!?」
「大丈夫か!」
「……ハァハァ。問題、ありません」
「問題ないという顔じゃないゾ」
その顔は青を通り越して白に変わっていた。血色のいい唇も今は紫だ。
「それよりさっきのは何だ」
得物を手にしたまま、オズが問う。
「それは」
「それは?」
「秘密です」
「巫山戯てんのか、テメエ!」
「ふざけてませんよ」
幾分か呼吸を整えた彼が口元だけ笑みを作る。
「……チッ」
「おい、レオ。何処に行く気だ」
「何処って先に」
「止めろ。全員まだ疲弊してる。先に進むのは休憩をとってからだ」
「けどっ!……いや、なんでもない」
*・*・*
「は……ぅ……あ……ん」
艶やかな声が響く。
火の橙色に照らされた石台の上に、ユニはいた。意識はなく、されど何かの刺激により、唇は絶えず甘い吐息を溢し続けている。
露わになった全身は、今は極めて扇情的な踊り子のような装飾を身に纏い、横向きにされている。
「ふむ……これでも起きぬか」
ユニの尻を器具のような物で暴いていたヘルブリンは詰まらなさそうに呟き、それを捨てる。
からんと無機質な音が鳴る。
「反応を見たかったがまあ良いか」
ヘルブリンが前を寛げる。
ぶるんと音を鳴らし、淫水焼けした長大な陰茎が顔を出した。
散々お預けを食らっていたのか、二十㎝は膨らんだであろうそれは先走りに濡れ、灯りを受けて、てらてらと輝いていた。
ヘルブリンは石台に乗り、仰向けにしたユニの足を大きく開く。
「……あ……」
「さぁ、いくぞ」
泥濘んだ穴に先端を押し当てる。
くちゅという音とともに鈴口が埋まり、圧迫感を感じたユニが眉を顰めて呻いた。
「んぅ!」
「……ほぅ。善いか」
新たな反応と心地に、笑んだヘルブリンは態と出入りを繰り返す。
くちゅ、くちゅ、くちゅ。
少しずつ、少しずつ、入れる深さを広げては愉しむ。
「そら、そら。もう少しで半分ほど挿入ってしまうぞ」
「う……あ……ふ」
ヘルブリンが上唇を舐める。
引いた腰をもう一度前へ進ませようとした矢先、その動きが止まる。
「この気は……」
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