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40 ケンカしない 後
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心地好い。
オレは変化が生み出す快感に酔いしれる。
ダメだと思いながらも、気持ちの良さに身体が震える。
全身の白い毛皮が月の光を感じ取る。
月の祝福が降り注ぎ、今、オレは白く輝いているはずだ。
オレはゆっくりと目を閉じる。
その瞬間に、視界が切り替わる。人間の視界から、獣の視界に。
ごう!と。
オレは月に向かって短く吠えた。
オレの正体。オレの本当の姿。
オレは、真っ白な毛皮の、一匹の虎に姿を変えた。
体長三メートル近く。体重も数百キロ。
この質量が一体どこから来ているのかオレにも分からない。この世には物理法則すら意味が無い不思議なことなんて山ほどある。
虎としても大型で、身体の強度も普通の虎より強い。
柔らかに風に揺らぐ毛皮すら、刃物を通さない強さを示す。
四本の足で踏みしめれば、丈夫なはずのヘリポートの地面にも爪痕が付いた。
それはオレがただの虎でない証。
オレが虎ですらないバケモノの証拠。
「さあ、獣の戦い方を教えてやる」
オレがそう呟いて長谷川に目をやると。
「…………」
長谷川は無言で怯えていた。
長谷川は動かない。いや、動けないと言った方が正しいだろうか。
震える足だけはその場に留まっているのに、全身は逃げ出そうとして腰が引けている。
そりゃ、自分より一回り以上大きなやつが現れたら怯えるよな。
実のところ、大型のネコ科の中でも最大の種は虎なんだよ。マンティコアの胴体になってるライオンなんて格下だ。動物園に行ってみれば一目で分かる。
しかもライオンの狩りは群れで行い、虎は単独だ。
比べる方が間違ってる。
長谷川は腰が引けたことで低くなった姿勢のまま、オレを上目遣いに見ている。
怯えて黄金色の鬣すら、しょぼくれている。
「黙示録の獣だっけか?地上の王になるんだろう?」
「ひいぃ!!」
オレが再び声を掛けると、長谷川は逃げ出した。
戦略的撤退なんてものじゃない、ただの逃走。完全に尻を向け、ただ真っ直ぐにオレから遠ざかるために走る。
「なさけねぇな」
尻を見せられると追いたくなるのは本能だろうか?
いや、性癖な本能じゃないぞ?女性相手ならともかく長谷川にそんな物を感じるはずがない。
獲物を狩る、獣の本能だ。
オレは地面を蹴った。
長谷川が見せたような後ろ足だけで跳ぶ、無様な跳躍じゃない。
四足歩行はクラウチングスタートじゃないんだよ。
前足にも力を籠め蹴る。
そして全身の筋肉を使い、最高のバランスを作り出す。尾すらも使う。
宙に身体が浮いている間も、姿勢が崩れることはない。
動いている間も耳と目、鼻、あらゆる感覚を使って獲物の動きを追う。
体勢が崩れていないから、着地と同時に次の動作にすぐに移れる。獲物の動きを見失っていないから、相手の動きも予測できる。
三回ほど軽く地面を蹴るだけで、オレは長谷川に追いついた。
そのまま後ろからズタズタにしてやっても良いんだが、それだけじゃ面白くない。
「ほらよ」
オレは長谷川を斜め後ろから肩で軽く押した。
「あひゃぁ!」
四本の足で走るのに慣れていない長谷川は、足をもつれさせて横倒しになった。
オレは前足で倒れた長谷川を抑え込む。
「来るな!来るなぁ!!」
来るなと言われても、もう押さえ込んでるんだが?
オレの足の下で、横倒しになった長谷川が暴れる。
足で押さえ込んでいてもネコ科の動物の身体は柔らかい。身を捻るだけで、長谷川の爪はオレの身体に届いた。
……なんて、弱い爪だ。
オレの毛皮が強く、生半可な刃物では傷がつかないのも理由だろうが、それにしても爪の使い方がなってない。
人間は爪に力をかけるような真似は、滅多にしないからな。
「爪を立てるってのは、こうやるんだ」
オレは押え付けている前足の爪を出し、長谷川の毛皮に食い込ませた。
実践教育だな。OJTってやつだっけ?
「うぎゃぁああああ!!」
爪はあっさりと毛皮を貫き、長谷川の皮膚へと潜っていく。
潜り込ませる速度を変えることで悲鳴の高さが変わるので、まるで楽器を演奏している気分になった。
視界の端で、黒い物がのたうっている。
マンティコアの特徴の一つである、サソリの尾だ。
あれ、毒針とか付いてるんだよな?なんで使わないんだろう?十分にオレに届く長さはあるのに。
鋭い針なら、オレの毛皮も貫ける可能性があるのに。
やっぱり、取り乱して人間の時になかった器官は頭から吹っ飛んでいるのか。せっかくの武器なのに勿体ない。
頭から吹っ飛んでると言えば……。
「いてっ」
余計な事を考えていると、オレの前足に鋭い痛みが走ってオレは思わず声を上げた。
なんだ、ようやく自分の最大の武器を思い出したのか。
オレは痛みの走った前足に目を向ける。
長谷川は鋭く細かい牙が並んだ口で、オレの前足に噛みついていた。
「そうそう、獣の最大の武器は牙だ。忘れるなよ」
思惑通り自分の武器を思い出してくれたことに嬉しくなって、オレは笑った。
その笑みを見て、長谷川はなぜか瞳に絶望の色を浮かべる。
オレが長谷川を押え込んでいる位置は、前足も首も自由に動くところだ。自分の武器を自覚してもらいたくて、あえてそこに前足を置いた。
オレは獲物に反撃させない押さえ方を心得ている。
いや、オレだけじゃないな。狩りをする獣であれば、そう言った部位を心得ているのは当然なんだ。
何かを襲う時は、命懸けで反撃をされるものだ。逆襲される時のことを考えないといけない。
それを知らない人間の方が特別だ。
「もっとしっかり噛めよ」
長谷川の牙は辛うじてオレの毛皮に穴を開けたものの、骨を砕くどころか肉を噛み千切ることもできない。
ああ、そうか。マンティコアの頭は人間の頭。牙を使うのには適していない。
なんでライオンの身体に人間の頭なんてムダな構造をしてるんだ?互いの持ち味を殺してるじゃん。
まあ、そういう理不尽な構造だからこその怪物なのか。
「残念だ」
そう呟いてから、オレは自分の言葉に疑問を覚える。
何が残念なのだろう?オレは、何を求めていたのか?
自分で自分の感情がよく分からない。
今までも完全に虎になると思考が人間と違うものに引っ張られる感覚があったが、今日は特に変だ。
熱く茹ったような思考の中で、少しだけ冷静な部分が戻ってくる。
そうか、オレは仲間かもしれないと思った者が、仲間じゃなかったと知って残念がっているのか。
バケモノの仲間……。
オレが長年求めていたもの。
意思を通わせられる、バケモノ。
オレは長谷川が仲間かもしれないと喜び、笑い、そして今、違ったことを悟って絶望している。
怪物の身体を持ちながら精神まで怪物になりきっていない長谷川は、オレの仲間ではない。
「……殺してやらないとな」
そうだ、最初から決めていたじゃないか。
バケモノなら、殺してやらないといけない。
それが敵だろうと、仲間だろうと。
敵は殺す。仲間も、人間世界でバケモノが生きるのは不幸な事だ。それはオレが一番知っている。
だから、殺してやらないといけない。
「最後のレッスンだ。ちゃんと冥途の土産になるように覚えとけよ。牙の使い方を教えてやる」
「ひぃぃぃいい!!」
オレが押さえていた前足を緩めると、それを感じた長谷川は噛み付いていた口を離して身を捩らせて逃げ出した。
オレの爪がまだ食い込んでいるにお構いなしだ。毛皮が裂け、縦に大きく傷が出来る。
長谷川の激しい動きに、血が飛び散る。
宙を舞う血に、月の光が反射して美しかった。
「来るなぁ!来るなーーー!!」
獲物の悲鳴というのは、どうしてこんなに興奮させるのだろう?
なんとか体勢を立て直した長谷川が走り出したのを見てから、オレは追いかける。
短い距離。
狙うは、首筋。
意識を向けたと同時に、体が動き出す。
プツリ……と、オレの牙が長谷川の首筋を捉えてから、自分の身体が目的を達したと察するくらい、一瞬の出来事。
思考すら追いつかないくらいの早業。
さらに顎に力を込めると、バキリという音と共に心地好い歯ごたえが伝わってくる。
長谷川に死が訪れた手応え。
長谷川の命は、断末魔すら上げることを許されずに終わった……。
終わった。
口に広がって来る血の味は甘い。
オレはそのまま肉を貪り食いたい衝動を必死で抑えた。
オレは変化が生み出す快感に酔いしれる。
ダメだと思いながらも、気持ちの良さに身体が震える。
全身の白い毛皮が月の光を感じ取る。
月の祝福が降り注ぎ、今、オレは白く輝いているはずだ。
オレはゆっくりと目を閉じる。
その瞬間に、視界が切り替わる。人間の視界から、獣の視界に。
ごう!と。
オレは月に向かって短く吠えた。
オレの正体。オレの本当の姿。
オレは、真っ白な毛皮の、一匹の虎に姿を変えた。
体長三メートル近く。体重も数百キロ。
この質量が一体どこから来ているのかオレにも分からない。この世には物理法則すら意味が無い不思議なことなんて山ほどある。
虎としても大型で、身体の強度も普通の虎より強い。
柔らかに風に揺らぐ毛皮すら、刃物を通さない強さを示す。
四本の足で踏みしめれば、丈夫なはずのヘリポートの地面にも爪痕が付いた。
それはオレがただの虎でない証。
オレが虎ですらないバケモノの証拠。
「さあ、獣の戦い方を教えてやる」
オレがそう呟いて長谷川に目をやると。
「…………」
長谷川は無言で怯えていた。
長谷川は動かない。いや、動けないと言った方が正しいだろうか。
震える足だけはその場に留まっているのに、全身は逃げ出そうとして腰が引けている。
そりゃ、自分より一回り以上大きなやつが現れたら怯えるよな。
実のところ、大型のネコ科の中でも最大の種は虎なんだよ。マンティコアの胴体になってるライオンなんて格下だ。動物園に行ってみれば一目で分かる。
しかもライオンの狩りは群れで行い、虎は単独だ。
比べる方が間違ってる。
長谷川は腰が引けたことで低くなった姿勢のまま、オレを上目遣いに見ている。
怯えて黄金色の鬣すら、しょぼくれている。
「黙示録の獣だっけか?地上の王になるんだろう?」
「ひいぃ!!」
オレが再び声を掛けると、長谷川は逃げ出した。
戦略的撤退なんてものじゃない、ただの逃走。完全に尻を向け、ただ真っ直ぐにオレから遠ざかるために走る。
「なさけねぇな」
尻を見せられると追いたくなるのは本能だろうか?
いや、性癖な本能じゃないぞ?女性相手ならともかく長谷川にそんな物を感じるはずがない。
獲物を狩る、獣の本能だ。
オレは地面を蹴った。
長谷川が見せたような後ろ足だけで跳ぶ、無様な跳躍じゃない。
四足歩行はクラウチングスタートじゃないんだよ。
前足にも力を籠め蹴る。
そして全身の筋肉を使い、最高のバランスを作り出す。尾すらも使う。
宙に身体が浮いている間も、姿勢が崩れることはない。
動いている間も耳と目、鼻、あらゆる感覚を使って獲物の動きを追う。
体勢が崩れていないから、着地と同時に次の動作にすぐに移れる。獲物の動きを見失っていないから、相手の動きも予測できる。
三回ほど軽く地面を蹴るだけで、オレは長谷川に追いついた。
そのまま後ろからズタズタにしてやっても良いんだが、それだけじゃ面白くない。
「ほらよ」
オレは長谷川を斜め後ろから肩で軽く押した。
「あひゃぁ!」
四本の足で走るのに慣れていない長谷川は、足をもつれさせて横倒しになった。
オレは前足で倒れた長谷川を抑え込む。
「来るな!来るなぁ!!」
来るなと言われても、もう押さえ込んでるんだが?
オレの足の下で、横倒しになった長谷川が暴れる。
足で押さえ込んでいてもネコ科の動物の身体は柔らかい。身を捻るだけで、長谷川の爪はオレの身体に届いた。
……なんて、弱い爪だ。
オレの毛皮が強く、生半可な刃物では傷がつかないのも理由だろうが、それにしても爪の使い方がなってない。
人間は爪に力をかけるような真似は、滅多にしないからな。
「爪を立てるってのは、こうやるんだ」
オレは押え付けている前足の爪を出し、長谷川の毛皮に食い込ませた。
実践教育だな。OJTってやつだっけ?
「うぎゃぁああああ!!」
爪はあっさりと毛皮を貫き、長谷川の皮膚へと潜っていく。
潜り込ませる速度を変えることで悲鳴の高さが変わるので、まるで楽器を演奏している気分になった。
視界の端で、黒い物がのたうっている。
マンティコアの特徴の一つである、サソリの尾だ。
あれ、毒針とか付いてるんだよな?なんで使わないんだろう?十分にオレに届く長さはあるのに。
鋭い針なら、オレの毛皮も貫ける可能性があるのに。
やっぱり、取り乱して人間の時になかった器官は頭から吹っ飛んでいるのか。せっかくの武器なのに勿体ない。
頭から吹っ飛んでると言えば……。
「いてっ」
余計な事を考えていると、オレの前足に鋭い痛みが走ってオレは思わず声を上げた。
なんだ、ようやく自分の最大の武器を思い出したのか。
オレは痛みの走った前足に目を向ける。
長谷川は鋭く細かい牙が並んだ口で、オレの前足に噛みついていた。
「そうそう、獣の最大の武器は牙だ。忘れるなよ」
思惑通り自分の武器を思い出してくれたことに嬉しくなって、オレは笑った。
その笑みを見て、長谷川はなぜか瞳に絶望の色を浮かべる。
オレが長谷川を押え込んでいる位置は、前足も首も自由に動くところだ。自分の武器を自覚してもらいたくて、あえてそこに前足を置いた。
オレは獲物に反撃させない押さえ方を心得ている。
いや、オレだけじゃないな。狩りをする獣であれば、そう言った部位を心得ているのは当然なんだ。
何かを襲う時は、命懸けで反撃をされるものだ。逆襲される時のことを考えないといけない。
それを知らない人間の方が特別だ。
「もっとしっかり噛めよ」
長谷川の牙は辛うじてオレの毛皮に穴を開けたものの、骨を砕くどころか肉を噛み千切ることもできない。
ああ、そうか。マンティコアの頭は人間の頭。牙を使うのには適していない。
なんでライオンの身体に人間の頭なんてムダな構造をしてるんだ?互いの持ち味を殺してるじゃん。
まあ、そういう理不尽な構造だからこその怪物なのか。
「残念だ」
そう呟いてから、オレは自分の言葉に疑問を覚える。
何が残念なのだろう?オレは、何を求めていたのか?
自分で自分の感情がよく分からない。
今までも完全に虎になると思考が人間と違うものに引っ張られる感覚があったが、今日は特に変だ。
熱く茹ったような思考の中で、少しだけ冷静な部分が戻ってくる。
そうか、オレは仲間かもしれないと思った者が、仲間じゃなかったと知って残念がっているのか。
バケモノの仲間……。
オレが長年求めていたもの。
意思を通わせられる、バケモノ。
オレは長谷川が仲間かもしれないと喜び、笑い、そして今、違ったことを悟って絶望している。
怪物の身体を持ちながら精神まで怪物になりきっていない長谷川は、オレの仲間ではない。
「……殺してやらないとな」
そうだ、最初から決めていたじゃないか。
バケモノなら、殺してやらないといけない。
それが敵だろうと、仲間だろうと。
敵は殺す。仲間も、人間世界でバケモノが生きるのは不幸な事だ。それはオレが一番知っている。
だから、殺してやらないといけない。
「最後のレッスンだ。ちゃんと冥途の土産になるように覚えとけよ。牙の使い方を教えてやる」
「ひぃぃぃいい!!」
オレが押さえていた前足を緩めると、それを感じた長谷川は噛み付いていた口を離して身を捩らせて逃げ出した。
オレの爪がまだ食い込んでいるにお構いなしだ。毛皮が裂け、縦に大きく傷が出来る。
長谷川の激しい動きに、血が飛び散る。
宙を舞う血に、月の光が反射して美しかった。
「来るなぁ!来るなーーー!!」
獲物の悲鳴というのは、どうしてこんなに興奮させるのだろう?
なんとか体勢を立て直した長谷川が走り出したのを見てから、オレは追いかける。
短い距離。
狙うは、首筋。
意識を向けたと同時に、体が動き出す。
プツリ……と、オレの牙が長谷川の首筋を捉えてから、自分の身体が目的を達したと察するくらい、一瞬の出来事。
思考すら追いつかないくらいの早業。
さらに顎に力を込めると、バキリという音と共に心地好い歯ごたえが伝わってくる。
長谷川に死が訪れた手応え。
長谷川の命は、断末魔すら上げることを許されずに終わった……。
終わった。
口に広がって来る血の味は甘い。
オレはそのまま肉を貪り食いたい衝動を必死で抑えた。
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