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10 仕事仲間とは仲良くしよう 中
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「人間では……ないかもしれん……」
「ああ……」
さっきから妙に言い難そうな空気を醸し出していたのは、そのせいか。
「それは認識してる」
「ぐぅ……」
オレがさらりと言うと、オーナーは喉から奇妙な音を出して息を呑んだ。
見た目と相まってカエルみたいだ。
オレはここに来てから二体の異形の怪物を相手している。
とっくに相手が人間じゃないのは認識済みだ。
「問題でも?」
「……豪胆なのだな。たしかに、君が見事な手腕で怪物を処理したと報告も受けているが……」
あ、今思い出した。
ここにいるボディーガードの内の三人は、オレが異形の怪物を相手にした時に発砲してきたやつらだ。
キザ男のせいで印象が薄かったので忘れてた。
だからオレは部屋に入ってからずっと睨まれているのか。
逆恨みじゃね?
「……椎名。あれを」
オーナーの指示でボディーガードの一人がオレに封筒を差し出した。
何の変哲もない茶封筒だ。中身を見ろということだろう。
オーナーの顔色は蒼白に近くなっている。
こういう青白いカエルがいたなぁ。
封筒の中身を確かめると、中には写真が数枚入っていた。
それを見て、オレはオーナーが言ったことの意味を理解した。なるほど、人間じゃないかもしれないというのはそういうことか。これは……。
「猿?原始人かな?」
ビクリと、オレの言葉と同時にオーナーが身体を揺らした。
写真に写っていたのは猿と人間を混ぜたような、異形の物の死体だった。拳銃で撃たれたのか、胸から血を流している。
オレの大事な車を破壊した異形の怪物を見て、オレは直感的に狒々だと思った。
狒々と言うのは、マントヒヒなどアフリカの大型の猿を指して言うこともあるが、元々は日本の妖怪のことだ。
巨大な猿の様な妖怪をそう呼ぶ。
あの怪物には野生動物と違う特徴が多くあったため、オレは妖怪の様だと思い狒々だと判断した。
写真に写っている死骸は猿の特徴を持ちながらも、人間に近い。猿系の特徴を持ちながら、狒々とはまた違った異形だ。
だからオレは原始人と表現した。
それに。
「背広を着た原始人とはオシャレだな」
そう、写真の原始人ぽい物は、しっかりと服を着ていた。服を着てるなら、人だろう。
オレはできるだけ平然を装って言ったが、内心は気持ち悪さにモヤモヤしている。
ラミアモドキを見た時の嫌な考えに、裏付けが取れてしまった。
「映画の撮影の小道具とかじゃないよな?」
何も返してくれないオーナーにオレは言葉を重ねる。
写真の中の原始人の服は、所々裂けている。
映画やアニメなんかで、マッチョなキャラクターが筋肉に力を入れるとボタンが弾けて服が裂けるような、そんな感じだ。
肉体の変化に、服が耐え切れなかったのだろう。
「……私を、襲ってきたものだ」
「ふうん」
オーナーは探るような目でオレを見たが、どんな言葉が返ってくるのを期待したのだろうか?
素っ気ないオレの態度に少し残念そうだった。
「私のホテルの警備員だった男だ。知った人間の話や入社時の資料ではごく普通の風貌の男だったよ。この死体を警察が調べてくれたが、遺伝子的にも人間だと言われた。ごく普通の人間だったはずなんだ。なのに、バケモノになって私を襲ってきたんだ!」
弱々しくも、オーナーは机を拳で叩く。青白かった顔色は興奮で赤みが戻ってきていた。
信号機みたいなやつだ。
黄色くもなるんだろうか?黄色なら黄疸か。デブで不摂生そうだから肝臓もそのうち悪くなりそうな雰囲気だし、青黄赤の信号機カラーに顔色を変えてくれる日も近いかもしれない。
そういや、病気によっては汗をかきにくくなると聞いたことがあるな。さっきから汗もかかずにハンカチで額を拭っていたが、すでになんらかの病気なんじゃね?
「失礼。と、とにかく、このバケモノが私を襲ってきたのだ。そして死ぬ間際に「まだまだ続くぞ」と言ったのだ。警察にも言ったが、どうすることもできないと言われた。バケモノになった男の身元を調べて、組織的関与はないと判断してそれで捜査を打ち切られたよ」
悲痛な感じだが、恐怖番組で怪談を語るタレントみたいで、少し面白い。
「バケモノが襲ってくるかどうかも分からないのに、警察の人員は割けないと言われた。このバケモノの正体すら……どうして普通の人間だったはずのものが、バケモノになったか分からないのにだぞ!」
「ふうん」
バケモノ連呼するなよ。ちょっとイラッとするぞ?
ここの警察は典型的な事なかれ主義だったんだな。
世の中には意外と怪奇事件は起こってるからな。ちなみにオレ調べ。
警察は答えの出ない怪奇事件を調査するくらいなら、無かったことにして普通の不審死として終わらせることも多い。
たまに連続殺人なんかに発展して、手に負えなくなったお偉いさんから俺たちの下に調査依頼が来たりするけど、すでに終わった話ならそこまでされることなんて事はまず無い。
警察の検視官なんて怪物の検死と幽霊を見て、その上で全てを見なかったことにして一人前だと言われてるらしい。
それにしても、オレの嫌な考え……怪物たちは人間が変化したものだという確証を得てしまった。
しかも、真犯人に操られている疑惑までほぼ証明されてしまったらしい。
オレは喉の奥に苦い物を感じる。
気分が悪い……。
「……それで、懇意にしている国会議員に相談したら、君たちのことを紹介されたのだ。どうか、私を護ってくれ。君たちは調査も一流だと聞いた。私の警護よりもそちらを優先させてほしい」
オーナーは祈るように机の上に両手を組んで、そこに頭を載せると大きく息を吐いた。
調査も一流って、どこからそんなデマが出たんだ?
確かに、オレの組には探偵になった方が良いんじゃないかという奴も混ざっているが、ほとんどは荒事専門だぞ?
異常なほど脳筋率が高いんだ。
それに、オレは調査なんて習ったことすらない。
見当違いだ。
デマについて考えることで、オレは思考を横に逸らして気分の悪さを抑え込む。
誤魔化しだってことは、自分でも分かってる。
だが、今は考えたくない。
「わかった。引き受けよう」
それでもオレは引き受けることにした。
敵の存在が気になり過ぎる。
人間を怪物に変え、それを操れる存在。
長年オレが求めていた答えを、欠片程度かもしれないが、持っているかもしれない。
「……助かる」
オーナーは大きく息を吐きだした。
「それで、オレが調査している間の護衛はそちらの方々に任せっきりってことでいいんだよな?怪物相手に銃をバンバン撃つしかできない連中みたいだけど」
オレは周囲にいるボディーガードに視線を這わす。
こいつらには銃撃された恨みがある。嫌味を結うくらいは許してくれ。
「ガキが!」
一人が声を荒げた。
よし、釣れた。手を出して来たら一発殴って、それで銃撃されたことも許してやろう。
そう思ったのに、オーナーの手前だからか睨み付けるだけで誰も手を出してくることはなかった。
面白くない。
「冗談だよ。怖い顔は止めてくれ。小心者なんだからさ」
そう言って、アメリカホームドラマよろしく嫌みったらしく肩をすくめても、誰も乗って来てくれなかった。
ホント、面白くない。
「オーナーさんの警護はボディーガードの方々と、奥の部屋で聞き耳を立てている人に任せることにするよ」
オレが期待外れにため息を付きつつそう言うと、オーナーの顔色が変わった。
「気が付いていたのか……」
オーナーが驚きの声を上げたが、これくらい想定内だろ?
いるはずの人間がいなかったんだ。警戒位する。
警戒していれば、気配を消していても隣の部屋の存在に気付くって。
実はこの部屋に入った瞬間から、部屋の奥……この部屋とドア一枚で繋がっているオーナーのプライベートルームらしき部屋に、もう一人いるのは気が付いていた。
そして、その人物が誰なのかも見当はついている。
「さすがだな。白石虎児くん」
扉が開き、キザったらしい姿を現したのは、当然ながらキザ男。
「ああ……」
さっきから妙に言い難そうな空気を醸し出していたのは、そのせいか。
「それは認識してる」
「ぐぅ……」
オレがさらりと言うと、オーナーは喉から奇妙な音を出して息を呑んだ。
見た目と相まってカエルみたいだ。
オレはここに来てから二体の異形の怪物を相手している。
とっくに相手が人間じゃないのは認識済みだ。
「問題でも?」
「……豪胆なのだな。たしかに、君が見事な手腕で怪物を処理したと報告も受けているが……」
あ、今思い出した。
ここにいるボディーガードの内の三人は、オレが異形の怪物を相手にした時に発砲してきたやつらだ。
キザ男のせいで印象が薄かったので忘れてた。
だからオレは部屋に入ってからずっと睨まれているのか。
逆恨みじゃね?
「……椎名。あれを」
オーナーの指示でボディーガードの一人がオレに封筒を差し出した。
何の変哲もない茶封筒だ。中身を見ろということだろう。
オーナーの顔色は蒼白に近くなっている。
こういう青白いカエルがいたなぁ。
封筒の中身を確かめると、中には写真が数枚入っていた。
それを見て、オレはオーナーが言ったことの意味を理解した。なるほど、人間じゃないかもしれないというのはそういうことか。これは……。
「猿?原始人かな?」
ビクリと、オレの言葉と同時にオーナーが身体を揺らした。
写真に写っていたのは猿と人間を混ぜたような、異形の物の死体だった。拳銃で撃たれたのか、胸から血を流している。
オレの大事な車を破壊した異形の怪物を見て、オレは直感的に狒々だと思った。
狒々と言うのは、マントヒヒなどアフリカの大型の猿を指して言うこともあるが、元々は日本の妖怪のことだ。
巨大な猿の様な妖怪をそう呼ぶ。
あの怪物には野生動物と違う特徴が多くあったため、オレは妖怪の様だと思い狒々だと判断した。
写真に写っている死骸は猿の特徴を持ちながらも、人間に近い。猿系の特徴を持ちながら、狒々とはまた違った異形だ。
だからオレは原始人と表現した。
それに。
「背広を着た原始人とはオシャレだな」
そう、写真の原始人ぽい物は、しっかりと服を着ていた。服を着てるなら、人だろう。
オレはできるだけ平然を装って言ったが、内心は気持ち悪さにモヤモヤしている。
ラミアモドキを見た時の嫌な考えに、裏付けが取れてしまった。
「映画の撮影の小道具とかじゃないよな?」
何も返してくれないオーナーにオレは言葉を重ねる。
写真の中の原始人の服は、所々裂けている。
映画やアニメなんかで、マッチョなキャラクターが筋肉に力を入れるとボタンが弾けて服が裂けるような、そんな感じだ。
肉体の変化に、服が耐え切れなかったのだろう。
「……私を、襲ってきたものだ」
「ふうん」
オーナーは探るような目でオレを見たが、どんな言葉が返ってくるのを期待したのだろうか?
素っ気ないオレの態度に少し残念そうだった。
「私のホテルの警備員だった男だ。知った人間の話や入社時の資料ではごく普通の風貌の男だったよ。この死体を警察が調べてくれたが、遺伝子的にも人間だと言われた。ごく普通の人間だったはずなんだ。なのに、バケモノになって私を襲ってきたんだ!」
弱々しくも、オーナーは机を拳で叩く。青白かった顔色は興奮で赤みが戻ってきていた。
信号機みたいなやつだ。
黄色くもなるんだろうか?黄色なら黄疸か。デブで不摂生そうだから肝臓もそのうち悪くなりそうな雰囲気だし、青黄赤の信号機カラーに顔色を変えてくれる日も近いかもしれない。
そういや、病気によっては汗をかきにくくなると聞いたことがあるな。さっきから汗もかかずにハンカチで額を拭っていたが、すでになんらかの病気なんじゃね?
「失礼。と、とにかく、このバケモノが私を襲ってきたのだ。そして死ぬ間際に「まだまだ続くぞ」と言ったのだ。警察にも言ったが、どうすることもできないと言われた。バケモノになった男の身元を調べて、組織的関与はないと判断してそれで捜査を打ち切られたよ」
悲痛な感じだが、恐怖番組で怪談を語るタレントみたいで、少し面白い。
「バケモノが襲ってくるかどうかも分からないのに、警察の人員は割けないと言われた。このバケモノの正体すら……どうして普通の人間だったはずのものが、バケモノになったか分からないのにだぞ!」
「ふうん」
バケモノ連呼するなよ。ちょっとイラッとするぞ?
ここの警察は典型的な事なかれ主義だったんだな。
世の中には意外と怪奇事件は起こってるからな。ちなみにオレ調べ。
警察は答えの出ない怪奇事件を調査するくらいなら、無かったことにして普通の不審死として終わらせることも多い。
たまに連続殺人なんかに発展して、手に負えなくなったお偉いさんから俺たちの下に調査依頼が来たりするけど、すでに終わった話ならそこまでされることなんて事はまず無い。
警察の検視官なんて怪物の検死と幽霊を見て、その上で全てを見なかったことにして一人前だと言われてるらしい。
それにしても、オレの嫌な考え……怪物たちは人間が変化したものだという確証を得てしまった。
しかも、真犯人に操られている疑惑までほぼ証明されてしまったらしい。
オレは喉の奥に苦い物を感じる。
気分が悪い……。
「……それで、懇意にしている国会議員に相談したら、君たちのことを紹介されたのだ。どうか、私を護ってくれ。君たちは調査も一流だと聞いた。私の警護よりもそちらを優先させてほしい」
オーナーは祈るように机の上に両手を組んで、そこに頭を載せると大きく息を吐いた。
調査も一流って、どこからそんなデマが出たんだ?
確かに、オレの組には探偵になった方が良いんじゃないかという奴も混ざっているが、ほとんどは荒事専門だぞ?
異常なほど脳筋率が高いんだ。
それに、オレは調査なんて習ったことすらない。
見当違いだ。
デマについて考えることで、オレは思考を横に逸らして気分の悪さを抑え込む。
誤魔化しだってことは、自分でも分かってる。
だが、今は考えたくない。
「わかった。引き受けよう」
それでもオレは引き受けることにした。
敵の存在が気になり過ぎる。
人間を怪物に変え、それを操れる存在。
長年オレが求めていた答えを、欠片程度かもしれないが、持っているかもしれない。
「……助かる」
オーナーは大きく息を吐きだした。
「それで、オレが調査している間の護衛はそちらの方々に任せっきりってことでいいんだよな?怪物相手に銃をバンバン撃つしかできない連中みたいだけど」
オレは周囲にいるボディーガードに視線を這わす。
こいつらには銃撃された恨みがある。嫌味を結うくらいは許してくれ。
「ガキが!」
一人が声を荒げた。
よし、釣れた。手を出して来たら一発殴って、それで銃撃されたことも許してやろう。
そう思ったのに、オーナーの手前だからか睨み付けるだけで誰も手を出してくることはなかった。
面白くない。
「冗談だよ。怖い顔は止めてくれ。小心者なんだからさ」
そう言って、アメリカホームドラマよろしく嫌みったらしく肩をすくめても、誰も乗って来てくれなかった。
ホント、面白くない。
「オーナーさんの警護はボディーガードの方々と、奥の部屋で聞き耳を立てている人に任せることにするよ」
オレが期待外れにため息を付きつつそう言うと、オーナーの顔色が変わった。
「気が付いていたのか……」
オーナーが驚きの声を上げたが、これくらい想定内だろ?
いるはずの人間がいなかったんだ。警戒位する。
警戒していれば、気配を消していても隣の部屋の存在に気付くって。
実はこの部屋に入った瞬間から、部屋の奥……この部屋とドア一枚で繋がっているオーナーのプライベートルームらしき部屋に、もう一人いるのは気が付いていた。
そして、その人物が誰なのかも見当はついている。
「さすがだな。白石虎児くん」
扉が開き、キザったらしい姿を現したのは、当然ながらキザ男。
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