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五章 新し世界の始まり
変人、襲来
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ロアたちと望郷がアマダンの街に戻ってきた時には、夕日が差す時間になっていた。
「え?応接室?なんで?個室で取引するほど珍しい素材だったのか?」
冒険者ギルドの納品窓口で、ディートリヒは間の抜けた声を上げた。
ディートリヒたち望郷は、依頼された素材を引き渡して依頼完了報告をしてそのまま帰ろうとした。
だが、なぜか応接室へ行って欲しいと言われてしまったのだ。
通常、依頼された素材は納品窓口で引き渡して終了だ。品質の確認も、依頼主とのやり取りもギルドがやってくれる。
希少な素材の場合は若干の確認時間は必要になるが、それでも応接室などの個室で対応するようなことは無い。
あるとすれば、依頼主が何か質問をしたい時ぐらいだろう。
「ロアは希少だけど、手に入りにくい物じゃないって……」
そこまで言ってから、ディートリヒは不安になる。
希少だけど、手に入りにくくないって何だよ……。と、自分で思ってしまった。ロアがそう言うならと普通に受け入れてしまっていたが、手に入りにくいからこそ希少なのだ。
ロアは自己評価の低さから、自分が手に入れた物の評価を低く見積もる傾向がある。自分なんかが手に入るのだから、たいした物ではないと考えてしまうのだ。
今回もその類いなのだろう。
ディートリヒはそう考えて、問い詰めようと背後を振り向いた。だが、そこにロアの姿はない。
「そうか、先に帰ったんだったな」
ロアはせっかく森に入ったのだからと、自分が使う素材も大量に採取していた。
その中には早く処理をした方がいい素材も含まれていたたため、納品を望郷に任せて従魔たちと共に先に帰ってしまった。
共同で受けた依頼だが、主となるのはランクの高い望郷の方だ。報告が望郷だけでも全く問題ない。だが、個室に通される状況になると、採取の中心だったロアの意見も必要だろう。
「詳しい話は、私にも分かりません。ただ、望郷の皆様が帰って来られたら、個室の方に通して欲しいとの指示があっただけで……」
困ったように言う納品窓口の担当者に向けて、ディートリヒは大きくため息をついた。
「……仕方がないか」
何も知らない担当者を、これ以上困らせても意味がない。
もし何か質問されるようなら、素直に分からないと答えるしかないと、ディートリヒは諦めた。
「それでは、六番の応接室に……。あ、案内は必要ですか?」
話は決まったとばかりに、担当者は愛想笑いを向けてくる。面倒なことにならずに良かったと言いたげな表情だった。
「いや、必要ない」
ディートリヒたちが、ここのギルドの応接室を使うのは二度目。だいたいの位置関係は分かっている。
冒険者ギルドは原因不明の倒壊を起こして建て直されたが、間取りはほぼ以前のままだ。早急に再建するために、魔法建築の基礎部分を以前のまま使ったのだろう。
ディートリヒは、新しくなっている以外は以前と変わらない廊下を進みながら、初めて応接室を使った時のことを思い返した。
「あの時は、ロアに泣かれたんだったな」
最初に応接室を使ったのは、ロアと出会った時だ。
懐かしい記憶だ。もっとも、まだ一年も経っていないのだが。
ディートリヒが、ロアが泣き出した時のことを思い浮かべて口元を緩めた時。
「うおっ!」
廊下に並ぶ扉の一つ。ちょうどディートリヒの横にあった扉が開いた。
同時に中から手が伸び、彼の首筋を掴むと部屋の中に引きずり込む。その手は素早く、ディートリヒですら反応できない。
「リーダー!」
「なんだ!?」
すぐ後ろを歩いていたコルネリアとクリストフが、咄嗟に手を伸ばす。だが、その手は届かない。
あっけなく、ディートリヒは部屋の中に引きずり込まれ、無情にも扉は閉じられた。
望郷はAランク冒険者。日々魔獣を相手取り、唐突な出来事に対処する能力を鍛えている。いくら油断をしていたとしても、何もできずに終わるなどありえない。
それなのに、扉が再び閉じられるまで望郷のメンバーは何もできなかった。
「ぐふぅ!」
閉められた扉の向こうから、ディートリヒの悲鳴とも呻き声ともつかない声が聞こえた。
「リーダー!」
コルネリアが扉に体当たりをするが、びくともしない。ありえないほどの硬さに魔法で強化されている。
建物ごと崩れた反省から全ての建材を限界まで強化したのか、それともディートリヒを部屋の中に引き込んだ連中の仕業か?
コルネリアが全力で身体強化してもう一度体当たりをすると、さすがに扉が軋みを上げた。
「鍵は開いてますよ。普通に入ってください」
「へ?」
さらにもう一度体当たりをしようとしたところで、中から声が聞こえた。
女性の声だ。落ち着いた、よく通る声だった。
コルネリアは他のメンバーと顔を見合わせると、軽く息を吸って落ち着かせてから扉の取っ手を掴んだ。
扉はよくあるレバー式。取っ手を下げれば、内部の掛け金が外れて開く。本当に鍵は掛かっていないようだ。
「お久しぶりですね」
警戒しながらゆっくりと開ける。同時に、にこやかな笑顔が視界に飛び込んできた。
二十代前半くらいの、長い黒髪でツリ目の美女だ。胸の下で腕を組み、その手には鞄を握っている。
「……あ、あなたは……あっ、リーダー!」
見覚えのある美女に挨拶をしようとしたが、彼女の背後にとんでもない物が目に入りコルネリアは声を上げた。
コルネリアが見た物。
それは、全裸で床に転がされているディートリヒの姿だ。
……いや、全裸ではない。辛うじてパンツだけは死守している。見苦しい太腿に、可愛らしい双子の肉球型の火傷痕があるので本人で間違いない。
ディートリヒは気絶しているのか、だらしなく四肢を投げ出していた。
「うちのクズ師匠がすみません。とりあえず、中にどうぞ。そこで寝ている人は、助けない方がいいですよ。巻き込まれて、貴方たちも床で寝ることになりますから」
「……」
笑顔のまま怖い事を平気で言う美女。
彼女の名前は、ソフィア。
その事を認識して、望郷のメンバーたちは、誰がこの異常な状況を生み出したのか察した。
「おおおおおお!これがオレの弟子が打った剣か!!なるほど!独学でこの形にたどり着くなんて、さすがオレの弟子!ふんふん、鋼の選定と組み合わせも悪くない。身体強化は微妙な調整が難しくなるから鍛錬で使わない方がいいんだが……さすが錬金術師だ、上手くできてる。焼き入れもちゃんとできてるな!研ぎは日々手入れをやってるだけあって完璧か!オレの弟子とはいえ、生意気な出来栄えだ!」
部屋の中心で、舐め回しそうな勢いで剣を見ている男。
全体的に太く大きく脂肪太りの様な印象なのに、服の上からでも筋肉の塊なのが分かる身体。嬉しそうに歪めている口元からは牙の様な犬歯が覗き、髭に覆われた顔と合わせて獣じみて見える。
「よしよし、こんなバカ野郎用なのは気に食わないが、ちゃんと体格や扱い方に合わせてるな。オレが打つ剣には数段劣るし素人ぽいところもあるが、悪くない。発想だけなら満点だな!バカには勿体ない!!」
通称、暴力鍛冶屋。
自称、ロアの師匠。
鍛冶屋のブルーノだ。
ブルーノの仕業だと理解した時点で、望郷のメンバーたちの顔色は悪くなる。
ブルーノは歩く理不尽。鍛冶屋なのにこの街では間違いなく最強。
ディートリヒですら一撃で床に転がされ、全裸にされる相手だ。残りの望郷のメンバー全員でかかっても手も足も出ないだろう。
「……あの、私たち用があって……」
この場を乗り切る方法は一つ。用事を思い出して逃げ出すしかない。
幸い、他の応接室への呼び出しを受けてるのだから、用があるのは嘘ではない。こんなところで無駄な時間を使える状況ではないのだ。
「大丈夫ですよ。応接室への呼び出しは、この変態が仕組んだことです。ロアくん……弟弟子が打った剣が見たいからと、暴力と言う名のコネを使って段取りして、どうせ素直に見せてもらえないからと、別の部屋に隠れて野党の様に奪ったんです。ホント、人として最低ですよね。人かどうかも怪しいです。私も多少は躾をしようと思ってるんですが、蹴り飛ばしてもまったく懲りない畜生以下の知能の礼儀知らずで困ります」
ソフィアが形の良い目を細めて毒を吐く。
ソフィアはブルーノの弟子だ。だが、平然と師匠をこき下ろし続ける。
ある意味、コルネリアはブルーノよりもこの女性の方が怖かった。きっと蹴り飛ばすとのも事実なのだろう。
その証拠に……。
「師匠、挨拶」
予備動作なく、ソフィアはブルーノの尻を蹴り飛ばした。格闘家すら逃げ出しそうな鋭い蹴りだ。
安全のために鉄板が埋め込まれた作業靴は、吸い込まれるようにブルーノの尻に突き刺さる。
「お、そうか!」
痛がる素振りもなく、なぜか嬉しそうにブルーノは答えた。
コルネリアは軽く頭を抱えた。本当に、この二人の関係はよく分からない。
「よう!」
ブルーノは望郷のメンバーの方を振り向くと、軽く手を上げた。
それだけだ。それだけして、もう挨拶は終わったとばかりにまた熱心に剣を見つめる。愛想も何もない。
彼が熱心に見ている剣は、ロアがディートリヒのために打った物だ。
いつも、ディートリヒは二本の剣を腰に帯びている。
主として使っているのは、魔法銀の剣。これはネレウスの女王から下賜され、長年変わりない。
そしてもう一本。
以前はブルーノが打ってくれた物だったが、アダドから帰ってからは、ロアが打ってくれた物を常に持ち歩いていた。
それをブルーノがどこかで聞きつけ、今回の凶行に出たのだろう。
ロアに「師匠」と呼ばれない癖に、自称師匠を名乗り続けているこの暴力男は、それだけロアに執心している。
「……剣を見るだけなら、こんなことをしなくても」
「こいつ、ロアの家に入りびたって滅多に街に出てこなかっただろうが」
熱心に剣を見つめつつも、話は聞いているらしい。クリストフが不満げに漏らした小さな呟きに、ブルーノは即座に答えた。
「それならロアの家に行けばよかったんじゃ」
「嫌だ」
ブルーノは駄々っ子の様に不満げに応える。ブルーノとロアの関係は良好だったはずだ。家を訪ねるのに何の問題もなかったはずだと、クリストフは首を傾げた。
「最近の師匠はロアくんを避けているようなんです。ロアくんが鍛冶場に訪ねて来ても、姿を隠して合わないんですよ。今回も、望郷の皆さんだけだったら応接室に通すように指示してましたし、まったく、何が気に食わないんでしょうね?野生動物の考えることは分かりません」
「……」
クリストフとコルネリアは内心で「貴方の考えてることも分からないよ」と考えながら、師匠に対して毒舌を発揮し続けるソフィアを見つめた。
二人の背後にいるベルンハルトは、同じ変人だけあって彼らの奇行が気にならないのか、暇そうに大きな欠伸を漏らした。
「ああ、そうでした。貴方に渡しておかなければいけないものがあったんですよ」
二人の呆れた視線をものともせず、ソフィアは良い笑顔をコルネリアに向ける。
「これです」
そう言って、持っていた鞄に手を突っ込むソフィア。どうやらそれは、魔法の鞄だったらしい。
まず出てきたのは、コルネリアの背よりも長い槍だ。柄まで金属製に見えるが、彼女が扱えているということは軽量な金属なのだろう。
「私の見立てでは、貴方は槍、剣、ナイフ、斧、ハンマー、弓の経験はありますよね?」
ソフィアは、言った武器を次々に鞄から取り出していく。彼女の見立ては適格だ。並べられた武器は、過去にコルネリアが扱った経験があるものばかりだ。
「珍しい赤い腕輪を手に入れられたそうで。これらの武器が役に立つはずです。持ち帰ってくださいね」
「え?赤い腕輪?」
コルネリアは自分の手首に視線を落とした。彼女が言っているのは、間違いなくダンジョンコアの一部の事だ。
彼女は何かを知っている。それも、助けになる情報を。そう考えると同時に、コルネリアはソフィアへと詰め寄った。
「あなた、この腕輪について何か……」
「自分で調べず、他人から聞いて済ませようとするようなやつは、ロクなやつじゃないよな?」
コルネリアが何か知っているのか尋ねようとしたところに、ブルーノの声が飛んだ。
「ヒントはやる。自分で考えろ」
吐き捨てるように言われ、コルネリアはそれ以上は言葉を続けられなかった。
他人に頼り切りは良くないと言われれば、理解はできる。自分で調べ、考えることは重要だ。だが、いきなり言われては腹が立つのも事実だ。
コルネリアはそっと唇を噛み締めた。
「腹が立つ言い方ですよね?悔しいですよね。もっと優しくしても良いのにと思いません?自分勝手ですよね。一発殴ってやりたいですよね?でも、岩みたいに頑丈で手を痛めますから止めた方がいいですよ。蹴りがおすすめです」
コルネリアの心の中の不満を見透かしたように、ソフィアがまくし立てる。
この時になってコルネリアは、自分が一つもまともな会話ができていないことに気が付いた。全て、先回りして話してしまう鍛冶屋師弟の所為だ。ほとんど「え?」とか「あ?」とかしか言えてない。
「そうだ、鞭!鞭なんていかがです?扱ったことは?ない?鞭は良いですよ、魔法が使えなくても中距離の攻撃が出来ますし、正しく振れば先端は音の速さを超えて、魔獣の皮膚も軽々裂けます。私も最近練習してるんですよ。ね、あの分厚い面の皮を引き裂いてみません?」
「……」
興奮した様子で魔法の鞄から取り出した鞭を押し付けられ、コルネリアは困惑した。
もう無茶苦茶だ。変人にはベルンハルトで慣れているつもりだったが、度を越している。
どこの世界に自分の師匠を鞭で叩けと言う弟子がいるのだろうか?それを、師弟の上下関係が厳しいペルデュ王国で目にすることになるとは思わなかった。
こいつら、自由過ぎる。生産者ギルドに入れないのも当然だ。
「ぐ……」
コルネリアが困っていると、ディートリヒが呻き声を上げた。目を覚ましかけているらしい。
「なんだ、もう復活しやがったのか。もう少しゆっくり見たかったんだがな。仕方がない、こいつが目を覚ますと話がややこしくなるからな。今日はこれくらいで退散してやるか」
やっとブルーノは、望郷をこの奇妙な状況から解放してくれる気になったらしい。
コルネリアとクリストフは、ホッと安堵の息を吐いた。
「オレはこれで帰ってやるが、お前らはこれからが大変だぞ。今頃、弟子のところに教会の連中が行ってるはずだ。無茶な要求をされないように、ハゲと一緒に弟子を守ってやれ!」
「はあ!?」
「え!!?」
安心したところに、突然の重大情報。容赦が無さ過ぎる。
驚きから息を一気に吸い込み、コルネリアとクリストフは盛大に咳き込んだのだった。
「え?応接室?なんで?個室で取引するほど珍しい素材だったのか?」
冒険者ギルドの納品窓口で、ディートリヒは間の抜けた声を上げた。
ディートリヒたち望郷は、依頼された素材を引き渡して依頼完了報告をしてそのまま帰ろうとした。
だが、なぜか応接室へ行って欲しいと言われてしまったのだ。
通常、依頼された素材は納品窓口で引き渡して終了だ。品質の確認も、依頼主とのやり取りもギルドがやってくれる。
希少な素材の場合は若干の確認時間は必要になるが、それでも応接室などの個室で対応するようなことは無い。
あるとすれば、依頼主が何か質問をしたい時ぐらいだろう。
「ロアは希少だけど、手に入りにくい物じゃないって……」
そこまで言ってから、ディートリヒは不安になる。
希少だけど、手に入りにくくないって何だよ……。と、自分で思ってしまった。ロアがそう言うならと普通に受け入れてしまっていたが、手に入りにくいからこそ希少なのだ。
ロアは自己評価の低さから、自分が手に入れた物の評価を低く見積もる傾向がある。自分なんかが手に入るのだから、たいした物ではないと考えてしまうのだ。
今回もその類いなのだろう。
ディートリヒはそう考えて、問い詰めようと背後を振り向いた。だが、そこにロアの姿はない。
「そうか、先に帰ったんだったな」
ロアはせっかく森に入ったのだからと、自分が使う素材も大量に採取していた。
その中には早く処理をした方がいい素材も含まれていたたため、納品を望郷に任せて従魔たちと共に先に帰ってしまった。
共同で受けた依頼だが、主となるのはランクの高い望郷の方だ。報告が望郷だけでも全く問題ない。だが、個室に通される状況になると、採取の中心だったロアの意見も必要だろう。
「詳しい話は、私にも分かりません。ただ、望郷の皆様が帰って来られたら、個室の方に通して欲しいとの指示があっただけで……」
困ったように言う納品窓口の担当者に向けて、ディートリヒは大きくため息をついた。
「……仕方がないか」
何も知らない担当者を、これ以上困らせても意味がない。
もし何か質問されるようなら、素直に分からないと答えるしかないと、ディートリヒは諦めた。
「それでは、六番の応接室に……。あ、案内は必要ですか?」
話は決まったとばかりに、担当者は愛想笑いを向けてくる。面倒なことにならずに良かったと言いたげな表情だった。
「いや、必要ない」
ディートリヒたちが、ここのギルドの応接室を使うのは二度目。だいたいの位置関係は分かっている。
冒険者ギルドは原因不明の倒壊を起こして建て直されたが、間取りはほぼ以前のままだ。早急に再建するために、魔法建築の基礎部分を以前のまま使ったのだろう。
ディートリヒは、新しくなっている以外は以前と変わらない廊下を進みながら、初めて応接室を使った時のことを思い返した。
「あの時は、ロアに泣かれたんだったな」
最初に応接室を使ったのは、ロアと出会った時だ。
懐かしい記憶だ。もっとも、まだ一年も経っていないのだが。
ディートリヒが、ロアが泣き出した時のことを思い浮かべて口元を緩めた時。
「うおっ!」
廊下に並ぶ扉の一つ。ちょうどディートリヒの横にあった扉が開いた。
同時に中から手が伸び、彼の首筋を掴むと部屋の中に引きずり込む。その手は素早く、ディートリヒですら反応できない。
「リーダー!」
「なんだ!?」
すぐ後ろを歩いていたコルネリアとクリストフが、咄嗟に手を伸ばす。だが、その手は届かない。
あっけなく、ディートリヒは部屋の中に引きずり込まれ、無情にも扉は閉じられた。
望郷はAランク冒険者。日々魔獣を相手取り、唐突な出来事に対処する能力を鍛えている。いくら油断をしていたとしても、何もできずに終わるなどありえない。
それなのに、扉が再び閉じられるまで望郷のメンバーは何もできなかった。
「ぐふぅ!」
閉められた扉の向こうから、ディートリヒの悲鳴とも呻き声ともつかない声が聞こえた。
「リーダー!」
コルネリアが扉に体当たりをするが、びくともしない。ありえないほどの硬さに魔法で強化されている。
建物ごと崩れた反省から全ての建材を限界まで強化したのか、それともディートリヒを部屋の中に引き込んだ連中の仕業か?
コルネリアが全力で身体強化してもう一度体当たりをすると、さすがに扉が軋みを上げた。
「鍵は開いてますよ。普通に入ってください」
「へ?」
さらにもう一度体当たりをしようとしたところで、中から声が聞こえた。
女性の声だ。落ち着いた、よく通る声だった。
コルネリアは他のメンバーと顔を見合わせると、軽く息を吸って落ち着かせてから扉の取っ手を掴んだ。
扉はよくあるレバー式。取っ手を下げれば、内部の掛け金が外れて開く。本当に鍵は掛かっていないようだ。
「お久しぶりですね」
警戒しながらゆっくりと開ける。同時に、にこやかな笑顔が視界に飛び込んできた。
二十代前半くらいの、長い黒髪でツリ目の美女だ。胸の下で腕を組み、その手には鞄を握っている。
「……あ、あなたは……あっ、リーダー!」
見覚えのある美女に挨拶をしようとしたが、彼女の背後にとんでもない物が目に入りコルネリアは声を上げた。
コルネリアが見た物。
それは、全裸で床に転がされているディートリヒの姿だ。
……いや、全裸ではない。辛うじてパンツだけは死守している。見苦しい太腿に、可愛らしい双子の肉球型の火傷痕があるので本人で間違いない。
ディートリヒは気絶しているのか、だらしなく四肢を投げ出していた。
「うちのクズ師匠がすみません。とりあえず、中にどうぞ。そこで寝ている人は、助けない方がいいですよ。巻き込まれて、貴方たちも床で寝ることになりますから」
「……」
笑顔のまま怖い事を平気で言う美女。
彼女の名前は、ソフィア。
その事を認識して、望郷のメンバーたちは、誰がこの異常な状況を生み出したのか察した。
「おおおおおお!これがオレの弟子が打った剣か!!なるほど!独学でこの形にたどり着くなんて、さすがオレの弟子!ふんふん、鋼の選定と組み合わせも悪くない。身体強化は微妙な調整が難しくなるから鍛錬で使わない方がいいんだが……さすが錬金術師だ、上手くできてる。焼き入れもちゃんとできてるな!研ぎは日々手入れをやってるだけあって完璧か!オレの弟子とはいえ、生意気な出来栄えだ!」
部屋の中心で、舐め回しそうな勢いで剣を見ている男。
全体的に太く大きく脂肪太りの様な印象なのに、服の上からでも筋肉の塊なのが分かる身体。嬉しそうに歪めている口元からは牙の様な犬歯が覗き、髭に覆われた顔と合わせて獣じみて見える。
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ディートリヒですら一撃で床に転がされ、全裸にされる相手だ。残りの望郷のメンバー全員でかかっても手も足も出ないだろう。
「……あの、私たち用があって……」
この場を乗り切る方法は一つ。用事を思い出して逃げ出すしかない。
幸い、他の応接室への呼び出しを受けてるのだから、用があるのは嘘ではない。こんなところで無駄な時間を使える状況ではないのだ。
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ソフィアが形の良い目を細めて毒を吐く。
ソフィアはブルーノの弟子だ。だが、平然と師匠をこき下ろし続ける。
ある意味、コルネリアはブルーノよりもこの女性の方が怖かった。きっと蹴り飛ばすとのも事実なのだろう。
その証拠に……。
「師匠、挨拶」
予備動作なく、ソフィアはブルーノの尻を蹴り飛ばした。格闘家すら逃げ出しそうな鋭い蹴りだ。
安全のために鉄板が埋め込まれた作業靴は、吸い込まれるようにブルーノの尻に突き刺さる。
「お、そうか!」
痛がる素振りもなく、なぜか嬉しそうにブルーノは答えた。
コルネリアは軽く頭を抱えた。本当に、この二人の関係はよく分からない。
「よう!」
ブルーノは望郷のメンバーの方を振り向くと、軽く手を上げた。
それだけだ。それだけして、もう挨拶は終わったとばかりにまた熱心に剣を見つめる。愛想も何もない。
彼が熱心に見ている剣は、ロアがディートリヒのために打った物だ。
いつも、ディートリヒは二本の剣を腰に帯びている。
主として使っているのは、魔法銀の剣。これはネレウスの女王から下賜され、長年変わりない。
そしてもう一本。
以前はブルーノが打ってくれた物だったが、アダドから帰ってからは、ロアが打ってくれた物を常に持ち歩いていた。
それをブルーノがどこかで聞きつけ、今回の凶行に出たのだろう。
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「……剣を見るだけなら、こんなことをしなくても」
「こいつ、ロアの家に入りびたって滅多に街に出てこなかっただろうが」
熱心に剣を見つめつつも、話は聞いているらしい。クリストフが不満げに漏らした小さな呟きに、ブルーノは即座に答えた。
「それならロアの家に行けばよかったんじゃ」
「嫌だ」
ブルーノは駄々っ子の様に不満げに応える。ブルーノとロアの関係は良好だったはずだ。家を訪ねるのに何の問題もなかったはずだと、クリストフは首を傾げた。
「最近の師匠はロアくんを避けているようなんです。ロアくんが鍛冶場に訪ねて来ても、姿を隠して合わないんですよ。今回も、望郷の皆さんだけだったら応接室に通すように指示してましたし、まったく、何が気に食わないんでしょうね?野生動物の考えることは分かりません」
「……」
クリストフとコルネリアは内心で「貴方の考えてることも分からないよ」と考えながら、師匠に対して毒舌を発揮し続けるソフィアを見つめた。
二人の背後にいるベルンハルトは、同じ変人だけあって彼らの奇行が気にならないのか、暇そうに大きな欠伸を漏らした。
「ああ、そうでした。貴方に渡しておかなければいけないものがあったんですよ」
二人の呆れた視線をものともせず、ソフィアは良い笑顔をコルネリアに向ける。
「これです」
そう言って、持っていた鞄に手を突っ込むソフィア。どうやらそれは、魔法の鞄だったらしい。
まず出てきたのは、コルネリアの背よりも長い槍だ。柄まで金属製に見えるが、彼女が扱えているということは軽量な金属なのだろう。
「私の見立てでは、貴方は槍、剣、ナイフ、斧、ハンマー、弓の経験はありますよね?」
ソフィアは、言った武器を次々に鞄から取り出していく。彼女の見立ては適格だ。並べられた武器は、過去にコルネリアが扱った経験があるものばかりだ。
「珍しい赤い腕輪を手に入れられたそうで。これらの武器が役に立つはずです。持ち帰ってくださいね」
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吐き捨てるように言われ、コルネリアはそれ以上は言葉を続けられなかった。
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この時になってコルネリアは、自分が一つもまともな会話ができていないことに気が付いた。全て、先回りして話してしまう鍛冶屋師弟の所為だ。ほとんど「え?」とか「あ?」とかしか言えてない。
「そうだ、鞭!鞭なんていかがです?扱ったことは?ない?鞭は良いですよ、魔法が使えなくても中距離の攻撃が出来ますし、正しく振れば先端は音の速さを超えて、魔獣の皮膚も軽々裂けます。私も最近練習してるんですよ。ね、あの分厚い面の皮を引き裂いてみません?」
「……」
興奮した様子で魔法の鞄から取り出した鞭を押し付けられ、コルネリアは困惑した。
もう無茶苦茶だ。変人にはベルンハルトで慣れているつもりだったが、度を越している。
どこの世界に自分の師匠を鞭で叩けと言う弟子がいるのだろうか?それを、師弟の上下関係が厳しいペルデュ王国で目にすることになるとは思わなかった。
こいつら、自由過ぎる。生産者ギルドに入れないのも当然だ。
「ぐ……」
コルネリアが困っていると、ディートリヒが呻き声を上げた。目を覚ましかけているらしい。
「なんだ、もう復活しやがったのか。もう少しゆっくり見たかったんだがな。仕方がない、こいつが目を覚ますと話がややこしくなるからな。今日はこれくらいで退散してやるか」
やっとブルーノは、望郷をこの奇妙な状況から解放してくれる気になったらしい。
コルネリアとクリストフは、ホッと安堵の息を吐いた。
「オレはこれで帰ってやるが、お前らはこれからが大変だぞ。今頃、弟子のところに教会の連中が行ってるはずだ。無茶な要求をされないように、ハゲと一緒に弟子を守ってやれ!」
「はあ!?」
「え!!?」
安心したところに、突然の重大情報。容赦が無さ過ぎる。
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※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
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パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
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何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
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高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
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半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
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アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
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三話完結です。
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楽しく読んでいます♪
更新ご苦労さまです♪
凄腕テイマー爆誕ですかね〜〜??
楽しく読んでいます
更新ご苦労さまです♪♪
続きありがとうございます!
頼まれていたアレ。気になります。
次の話が楽しみです3