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10巻
10-1
しおりを挟む第四十一話 入れ替わり、入れ替え
アダド地下大迷宮。
迷宮とは、本来は城などの建造物の地下空間を指す言葉である。それが、今現在では森や広場、海にかかわらず魔獣が多く潜む場所を指す言葉になっていた。
そのような使われ方をする発端となったのが、このアダド地下大迷宮だ。
アダド地下大迷宮は、その名の通りアダドの帝都の城の地下にある。元々は鍾乳洞だった物を、古代の技術で改造して作られた巨大な空間だ。
とある天才錬金術師が、古代遺跡の土台を利用して当時新興国家だったアダドの城を建て、地下に存在していた巨大な空間に自分の実験施設を作ったのが始まりだった。
つまり、ここは本来の意味でのダンジョンだ。
天才錬金術師は、地下空間に魔獣を放して冒険者と戦わせた。また、冒険者はダンジョン内で栽培している薬草の採取も行った。
冒険者から得た素材で錬金術師は新しい魔法薬や魔道具を作り、冒険者へと渡す。冒険者は魔獣との戦いで魔道具を使ったり、傷付いた身体を魔法薬で治療したりする。そして、錬金術師に魔道具の使用感や魔法薬の効き目を報告した。
こうして錬金術師は、膨大な実験や観察の記録を得ていった。
もちろん冒険者にもこの場所は重宝された。絶えず魔獣を狩ることができ、金銭を得られ、最新の魔道具や魔法薬が試せる場所。魔獣は飼育され増やされているので、仕事が尽きることもない。
ダンジョン内は階層で区切られて、魔獣の強さは段階的に変わるように管理されている。自分の強さを見誤らない限りは、冒険者にとっても比較的安全に魔獣と戦うことが可能だ。
当然のように冒険者は集まり続け、集まった冒険者を管理、補助するためにギルドが発足した。
ダンジョンとは、魔獣を狩り、冒険者が収入を得られる場所。そういった認識が生まれて、冒険者は他の魔獣の集まる場所もダンジョンと呼ぶようになっていったのだった。
アダド地下大迷宮の今の迷宮主の名は、カラカラ。
ダンジョンを作り上げた天才錬金術師は、三百年以上前に死亡している。
カラカラは、四百年ほど前に天才錬金術師によって作られた錬金生物の、生産系お手伝い妖精だった。彼は、主の死後もダンジョンを守り続けた。
今は国の方針とカラカラの希望が上手く噛み合い、表立ってカラカラがダンジョンマスターだと知られることはない。むしろ、隠されている。
知っているのは、ごく一部の人間だけ。アダド帝国の人間ですら、国家運営に関わる一部の者たちしか知らない。皇子にまで隠されていた。
ダンジョンに関わりが深い冒険者でも、知っているのはギルド上層部のみ。一般的な冒険者からすれば、アダド地下大迷宮は、どんなに狩っても魔獣が尽きることがなく、薬草も採取できる便利で不思議な場所という認識でしかなかった。
ダンジョンマスターのカラカラは生産系お手伝い妖精だったが、天才錬金術師が持てる技術の粋を尽くして作り出したため、戦闘力も高かった。
カラカラは、アダド全体の魔獣の王となった。
それはダンジョンに供給する魔獣を集めるために、様々な魔獣と戦い従えた結果なのだが、カラカラは自然と知性がある魔獣たちから妖精王と呼ばれるようになった。
だが、カラカラは不満だった。彼の本質は、お手伝い妖精。人間の……それも生産を生業とする主に奉仕する存在である。自らが主に成り代わるつもりはない。
カラカラは主を求め続けていた。
妖精王と呼ばれるほどの力を持つカラカラに見合う有能な主人はなかなか見つからず、気付けば三百年以上の時が過ぎていた。
そして、やっと見つけたのが、ロアだ。
ロアの錬金術の腕前に惚れ込んだカラカラは、自分の主人になってもらいたい欲求を満たすために彼を誘拐してしまった。
そのことが切っ掛けになり、今まで平穏に維持されてきた地下大迷宮が揺るがされるほどの騒動が起ころうとしている……。
「卑怯者の妖精王め、悪質な罠を仕掛けよって。出会ったら、翅をむしり取ってやらねばならぬな」
アダド地下大迷宮の中で、ダンジョンマスターの妖精王カラカラに向けて毒づいている声があった。
その声はグリおじさんのような口調だが、ディートリヒの口から出ていた。ディートリヒは浅い落とし穴のような罠の中で座り込み、不満げに顔を歪めている。
その横にはグリおじさん。同じく罠の中で腰が抜けたように身体を伏せていた。
ここは三十一層。
グリおじさんと双子の魔狼、そして冒険者パーティー『望郷』の四人は、妖精王カラカラに誘拐されたロアを救い出すため、ダンジョンを攻略している最中だ。
三十層までは洞窟を加工したような場所だったが、今いるところはそうではない。
左右を石の壁で囲まれた通路。通路は複雑に曲がっており、多数の横道によって別の通路と繋がっていた。しかも不定期に壁が動き道が変わってしまうという、まさに迷宮という作りになっていた。
今までの層がダンジョン入門編なら、ここは本格的なダンジョンということになるだろう。
さらには、この層には多数の罠が仕掛けられていた。
「あの泥の罠といい、妖精王の性格の悪さが出ておる!」
「あれはロアが作ったって言ってただろ……」
どう考えても口調はグリおじさんなのに、ディートリヒが話している。その違和感に首を傾げながらも、脇で見ていたクリストフは反論した。コルネリアとベルンハルトも怪訝な表情だ。
ここに来る途中、ダンジョンの中に多数仕掛けられていた罠のほとんどはロアの作品だと、グリおじさんたちは推測していた。罠の性質というか、仕掛け方や作りがロアの作り出す物としか思えなかったからだ。
その中心になっていたのは、前述の泥の罠。引っ掛かると泥玉が飛んでくるだけの罠だ。
泥だらけになるだけという子供のイタズラのような結果だが、巧妙に仕掛けられていて索敵に長けているグリおじさんですら避けられなかった。
おかげで、罠にかかったディートリヒとグリおじさんは全身泥塗れだ。それ以外の被害はないが、逆にバカにされている気分になって、余計に腹立たしく精神を削るのだ。
「小僧……いや、確かに小僧が作った罠だが、ここに仕掛けたのは妖精王であろう! 悪いのは妖精王だ!」
拳を握って、ディートリヒはグリおじさんの口調で力説した。
「おまけにチェンジリングの罠だぞ? 悪質過ぎるではないか。妖精王の底意地の悪さが罠にまで現れておる」
「えっと、リーダー? さっきから何言ってるの? チェンジリング?」
腹立たしげにしているディートリヒに向かって、コルネリアが不思議そうに聞いた。彼女の知識にはない言葉だったからだ。
「……」
だが、ディートリヒは答えない。無視したというよりは、自分が問い掛けられたことに気付いていないらしい。
ディートリヒは一通り言い終わると気が済んだのか、罠にかかって座り込んだままの姿勢で、上半身を大きく伸ばしたり縮めたりを繰り返し始めた。全身の動きを確かめているようだ。
罠のせいで全身泥だらけで、動く度に泥の雫が周囲に飛び散った。
「ヒューイ‼」
ディートリヒの代わりに答えるように、グリおじさんが大きく鳴いた。
グリおじさんは立ち上がろうとしているが、翼の重みで体勢が定まらないのか、すぐに転んでしまう。まるで立ち方を知らない生まれたての小鹿だ。
「おい! リーダー、グリおじさん、大丈夫か? 罠の中に毒が仕掛けられてたのか? 様子が変だぞ?」
コルネリアの問い掛けに答えないディートリヒに違和感を覚え、クリストフも声を掛ける。
「毒ではないから安心するがいい。チェンジリングだと言っているであろう」
ディートリヒはやっと答えを返したものの、やっぱり様子がおかしい。何かが変だ。言いようのない違和感がある。
「だから、チェンジリングって何って聞いてるの!」
コルネリアはわけの分からないことを言っているディートリヒに詰め寄ろうとしたが、すぐに足を止めた。
声を荒らげたことで向けられた、ディートリヒの目。
威圧を感じる。仲間を見る目ではなかった。
異常を感じたコルネリアは、即座に身体を引いて間合いを取る。攻撃されても逃げ切れる程度の間合い。正体の分からない魔獣への対処と同じだ。
「……チェンジリングも知らぬのか、うるさい女は無知だな」
「…………妖精のイタズラの一種……だったか?」
顎に手を当てて考えながら、クリストフが呟いた。態度が変なディートリヒも気になるが、その発言も気になった。
入れ替え子。
妖精がするイタズラの一つ。クリストフは実際に見たことはないが、知識として知っていた。
言わば、妖精に関わる伝承の一つだ。
妖精が、イタズラで人間の赤ん坊と、適当な生き物の精神を入れ替えてしまうことがあるという。精神を入れ替えられた赤ん坊の身体は、乳を飲むこともできずに衰弱して死んでしまう。
実際、死んだ赤ん坊が妖精に精神を入れ替えられた記録はないが、地方の農村などでまことしやかに語られていた。
クリストフは、これを赤ん坊を死なせてしまった両親への救済だと考えていた。
赤ん坊は繊細なものだ。原因も分からず、衰弱して死んでしまうことも少なからずある。
赤ん坊の両親は、自分たちの不手際で殺してしまったと悔いることだろう。原因が分からない限り、周囲の人間がどんなに責任はないと言い聞かせても、両親は聞く耳を持とうとせずに、自分自身を責め続ける。
チェンジリングは、そういった両親たちの心を安定させるべく作られた、都合の良い救済のための嘘の言い訳だ。
赤ん坊が死んだ原因は妖精のイタズラだ、手に負えない魔獣の仕業なのだから仕方がなかった。両親は悪くない。そう言い聞かせることで死なせてしまった自責の念から救うのだ。
……そんな風に考えていたが、どうやら違ったらしい。チェンジリングは実在していたのだ。
クリストフはやっと現状を把握した。チェンジリングの罠にかかったというのが正しいなら、今、ディートリヒとグリおじさんの精神は入れ替えられている。
ディートリヒの身体の中にはグリおじさんの精神が、グリおじさんの身体の中にはディートリヒの精神が。
グリおじさんのような口調でディートリヒが話しているのも、それで説明がつく。
「チェンジリング‼」
ベルンハルトが突然叫びを上げた。目は爛々と輝き、楽しい研究対象を見つけたように、じっくり、ねっとりと一人と一匹に視線を這わせた。喜びの形に歪んだ口元からは、今にも涎が流れ落ちそうだ。
ディートリヒは細事と気にも留めず、グリおじさんは迷惑そうに顔を歪めた。
「そうだ。妖精が赤子の心を小動物と入れ替えるイタズラだな。記憶と空間の魔法を本能で使い、他者の迷惑も顧みず、快楽目的で悪質な行動をする! 性格の悪い妖精らしい、実に悪質なイタズラだ!」
ディートリヒは、言い切ってから望郷のメンバーの反応を見ることもなく立ち上がる。
最初は大きく股を広げて中腰で、膝に手を添えてゆっくりと。脚も震えていてまるで二本足で立ったばかりの赤ん坊のような様子だったが、それもわずかな間だけで、すぐに脚を閉じて背筋を伸ばした。
真っ直ぐに立ってから、ディートリヒ……いや、説明の通りなら、中身はグリおじさん……は、口元を歪めて嫌な笑みを浮かべた。
「ふむ。意外と覚えているものだな。二本足は久しぶりだが問題はなさそうだ」
足の動きを確かめるように、軽く足踏みをしてみせる。
「……リーダー?」
「寝坊助ではないと言っておろうが。脳筋女は理解が遅くて困る」
不思議そうに問い掛けるコルネリアに、ディートリヒは面倒臭そうに視線を向けた。
「未熟な妖精では、赤子や小動物などの精神的に未発達な者の心を入れ替えることしかできない。だが、高位の妖精なら不意を突けば、成熟した精神の持ち主すら入れ替えることができる。さらに妖精王は、その魔法を魔道具にして罠として仕掛けることもできる。このようにな」
ディートリヒが爪先で自分たちが落ちた浅い穴の底をほじくり返すと、人間の拳ほどの丸い物体が掘り出された。
それが、件の魔道具なのだろう。
「素晴らしい‼」
今までディートリヒとグリおじさんを観察していたベルンハルトが、大きな叫びを上げた。喜びに震えて見開かれた目には、狂気の色が浮かんでいた。
ベルンハルトはディートリヒの下に駆け寄ると、足元に転がる魔道具を拾い上げた。
「こ、これが! そのチェンジリングの魔道具なのですね! ぜひ私めに調査を! 精神を入れ替える魔法! 初めて聞いた! 聞きました‼ 素晴らし過ぎる! 発動はどのように? 発動時の魔力はどこから? そのような大魔法、魔晶石に溜められる魔力では足りませんよね⁉ 脳を入れ替えているのですか? それとも精神だけを? 魔法の解除の条件は? いや、解除するなど勿体ない‼ ぜひ実験を! 精神が入れ替わっているということは、肉体の感覚も入れ替わっているのですよね? ディートリヒの身体が傷付けばどうなりますか? 炎で焼いてもよろしいですか? 魔法の発動は? 魔法を使った場合、魔力は精神と肉体のどちらに由来するのですか⁉」
いつ息をしているのかという勢いで話しながら、ベルンハルトは詰め寄った。もはや縋り付くと言った方が良い。いつもはグリおじさんを崇拝している彼だが、今はその身体が気安い仲のディートリヒだから、歯止めが利かなくなっているのだろう。
「魔道具は好きにするがいい」
「はいぃっ!」
言われた瞬間に、ベルンハルトは持っていた魔道具を懐にしまって上から両腕で抱きしめた。もう絶対に誰にも奪わせないという姿勢だ。玩具を独り占めにした子供のようだ。
「入れ替わっているのは、精神だけだな。正しくは、精神が入れ替わっているように誤認させている、と言った方が良さそうだ。繋がりは魔力回廊に近いものを感じるが、魔法式は推測すらできぬ。妖精の特性である、記憶と空間の魔法を併用しているのだろう。寝坊助の肉体は我の身体同然に動かせ、あらゆる感覚を感じるが、元の身体とは完全に関わりを断ち切られている。魔力も同様だ。今の我が使えるのは、寝坊助の微々たる魔力だけだな」
確かめるように手足を動かしながら、ベルンハルトの質問に答えた。素直に答えたのは、グリおじさん自身が、この魔法に興味があるためだろう。検証結果を確認するついでに、声に出しただけだ。
「発動の源は罠に落ちた者たちの魔力だな。それゆえにこの罠は、発動に足りる魔力がない者が掛かっても、発動せぬはずだ。被害者はほとんどおらぬだろうな。そして、このチェンジリングの魔法を維持しているのも我らの魔力だ。発動してしまえば、それほど維持に魔力は必要としないようだがな」
「そ、それは! では、罠にかかった者の魔力が尽きぬ限りは、魔法は維持されるということですか?」
「その通りだな」
「素晴らしい‼」
「ちょっと待ってくれ!」
聞き捨てならない会話が聞こえ、クリストフは口を挟んだ。
「魔力が尽きない限り維持って……それって、リーダーと性悪グリフォンの魔力が空にならないとチェンジリングの魔法が解けないってことか?」
「そう考えても良かろう」
咄嗟のことで性悪グリフォンと呼んでしまったが、当の本人は気にした様子もなく答えて返す。
「それは……」
クリストフの顔色が青く染まった。それは、最悪の事態ではないのか?
「さっき、あんたは自分の……グリフォンの身体の魔力は使えないって言ったよな?」
「そうだな。チャラいの、気付いたか? 珍しく察しが良いな」
やはり最悪だ。クリストフは頭を抱えた。
ディートリヒと身体を入れ替えられた性悪グリフォンがどうして平然としていられるのか分からないくらいに、事態は最悪だった。
「他に魔法を解除する手段は?」
「我と寝坊助が魔法の有効範囲以上に離れれば、解除されるだろうな」
「じゃあ、離れれば!」
「我の膨大な魔力で魔法自体も強化されておるからな、どちらが一方がここに留まるなら、もう一方はダンジョンの外……いや、帝都を出るくらい離れねばならぬな」
「…………」
ダンジョンの外へ出ないといけないほど離れるということは、また最初からダンジョン攻略をやり直すということと同義だ。大幅にロアの救出が遅れる。性悪グリフォンがそれを許すはずがない。
性悪グリフォンは、強引にこのままダンジョン攻略を進めようとするだろう。クリストフはこの面倒な状況が継続し続けるのかと、絶望した。
……だがしかし、そこまで考えてクリストフは気付いた。今なら、何とかできるかもしれないと。
先ほどの言葉が正しいなら、今のグリおじさんはディートリヒの魔力しか使えない。魔法が使えないも同然だ。腕力もグリフォンの身体ほどは強くないし、爪も嘴もない。
二人がかりなら何とかなるかも? と、希望を見出す。
珍しい魔法を目にして興奮状態のベルンハルトの協力は望めないだろうが、コルネリアと二人で不意を突いて、後ろから殴りつければ気絶させられる。
そして一度外に出てチェンジリングを解除してから、再びダンジョンに……ロアの救出を再挑戦すればいい。あとで性悪グリフォンに文句を言われるだろうが、今のわけの分からない状態のままダンジョンを進むよりは良い。
「チャラいの、良からぬことを考えておるようだが、我は剣技にも精通しておる。もしその考えを実行する気なら、その時は覚悟するがいい」
「…………」
完全に心を読まれていた。焦っていて顔に出ていたのだろう。鋭い目で見つめられ、クリストフは大きく首を横に振って、実行するつもりはないと示す。
グリおじさんの剣技。今代の剣聖と戦って勝てるほどの腕前だ。グリフォンの身体から人間の身体になったとして、どれほど動きが落ちているかなど予測がつかない。
いや、逆か。剣はそもそも人間の身体で扱うようにできている武器だ。グリフォンの身体で扱うには無理がある。
それなのに剣聖と戦って勝てる技量を見せたのだから、人間の身体になったのなら、さらに強くなっている可能性の方が高い。
「ねえ、どういうこと?」
コルネリアは二人の会話についていけていないようだった。クリストフの脇腹を肘で突いて問い掛けてきた。
「まず、リーダーと極悪グリフォンの精神が、チェンジリングの魔法で入れ替わったのは理解したな?」
「……うん」
まだ納得していないようだが、状況を見て受け入れるしかなかったのだろう。コルネリアは素直に頷いた。
「チェンジリングの魔法を解除するには、リーダーと性悪グリフォン両方の魔力が尽きる必要があるのは分かるか?」
「そう言ってたわね? 何が問題なの? 魔力が尽きるまで魔法を使えばいいだけでしょ? 元に戻った後、グリおじさんの魔法が一時的に使えなくなるだろうけど、今なら問題ないわよね? 私たちだけで十分戦えてるんだし、リーダーは元々滅多に魔法なんて使わないから、魔力がなくなっても問題ないでしょ?」
ここに来るまでの戦闘に、グリおじさんは手を貸していない。鍛錬にちょうど良いと言って、全部の戦いを望郷のメンバーに押し付けていた。
そのことを踏まえれば、今の時点なら、グリおじさんが魔力を使い切って魔法が使えなくなっても問題はない。
「魔力を尽きさせるためには、魔力が尽きるような魔法を使う必要があるんだよ」
「それは、そうよね?」
当たり前だ。魔力のまま放出する方法もあるにはあるが、普段から索敵に大量の魔力を撒き散らして平気な顔をしているグリおじさんだ。それだけで尽きさせるというのは無理がある。むしろ回復する速度の方が速いくらいだろう。
ならば、大きな魔法を放って使い切るしかない。
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