150 / 246
閑話
クリストフ・レポート 6(書籍四巻前半ダイジェスト)
しおりを挟む
これはクリストフの回顧録である。
※これはクリストフから見た物語のダイジェストになります。クリストフ視点のため、メインストーリーでない部分が中心であったり、物語中に無いシーンが含まれていたりします。また、クリストフがその時点で知りえない情報は含まれていません。
※文中の『バカ』『バカリーダー』『リーダー』は全てディートリヒのことです。また、『陰険グリフォン』『悪質グリフォン』などは全てグリおじさんのことです。
●月●日
オレたち『望郷』はペルデュ王国と北方連合国との国境近くにある、北方連合国側の砦から城塞迷宮に入った。
城塞迷宮入りを確認する北方連合国の役人とのやり取りはあっさりと終わったが、その後にとんでもないことが判明した。
バカリーダーのやつ、申請書類に何が書いてあるか確認すらしてなかった!
城塞迷宮に入るための申請書類には本当の名前や地位などが書いてある。他国とやり取りする公文書なのだから、当然だ。
なのにバカはそのことすら把握していなかった。
書類を読まず、サインだけしていたのが丸わかりだ!!
オレがそのことを指摘するとリーダーは焦りだしたが、問題はそこじゃない。
許可を出してもらうために、本国に交換条件を出されていたのだ。
すでにオレたち……いや、サインしたのはバカリーダーだから、リーダーがその交換条件を呑んだことになっている。
今更やっぱりダメとは言えない。
それに、交換条件はオレたちだけの問題じゃなく、ロアが大きく関わっている。
……うん。オレは知らん!
バカリーダーが全部の作業を俺に押し付けて、サインする書類すら読まなかったのが悪い!オレはもう限界だ。何が起こっても知らん!!
オレはリーダーに責任を丸投げすることにした。
●月●日
城塞迷宮の周辺地域に入ってからというもの、引っ切り無しに不死者が襲ってくるようになった。
古戦場だっただけあって、出てくるのはほとんど古い鎧を身に着けた動く骸骨だ。
スケルトンは弱いが、倒してもすぐに復活して、仲間を呼び寄せる。
完全に浄化されるまで、ひたすら増え続ける最悪の魔獣だ。
ただ、オレたちは安全に旅ができていた。
すべてロアのおかげだ。
ロアが持たせてくれた清浄結界の魔道具は、アンデッドが近寄ってこないようにできる。
さらにスケルトンを浄化するための治癒魔法薬も使い切れないくらいにある。
死んだ人間の魂や肉体に魔素が作用して生まれたアンデッドは、治癒魔法や治癒魔法薬で浄化することができる。
闇の存在であるやつらには治癒効果が裏返り、消滅させる効果となるのだ。
オレたちはアンデッドの素早い倒し方を練習できるくらいに、余裕をもって旅を進めることができた。
マジでロアには頭が上がらない。
事前にロアに渡された魔法の鞄には色々な魔法薬が入っていた。
即死魔法を回避できる魔法薬なんていう新薬もあって、絶対に城塞迷宮に近付く前に飲んでくれという指示のメモが付いていた。
オレたちはそれを迷うことなく飲んだ。
新薬だろうが、ロアの作ったものを疑うやつはいない。
●月●日
アンデットの大きな戦闘の気配があり、そちらに向かって進むことにした。
今、公式にこの場所に入っているのはオレたちと、ロアたちがいる城塞迷宮調査団だけのはずだ。
大きな戦闘があったとすれば、そこにロアがいると思って間違いない。
向かう途中で人面禿鷲に襲われた。
空を飛ぶ魔獣の対処は難しいが、やっと登場したアンデッド以外の魔獣にむしろオレたちは胸が弾んだ。
ハッキリ言って、ひたすらアンデッドの相手をするのに飽きていたのだ。
ハーピーは三匹。
ベルンハルトが魔法で羽を焼いて落としてから、残りの三人で倒す作戦を取った。
逆襲されると思っていなかったのか、ハーピーはまっすぐにオレたちめがけて襲ってきたため、二匹は比較的楽に落として倒すことができた。
しかし、残り一匹を手負いの状態で逃がしてしまった。
「私がやるわ」
コルネリアが武器を槍に持ち替える。
コルネリアはこの旅に出てからは、ブルーノという鍛冶屋の弟子が作った戦槌を主に武器に使っていた。
なんでもやたら使いやすいらしい。
オレも同じように弟子が作ったアサシンナイフを貰ったが、やたら切れ味が良くて扱いやすいナイフだったので、気持ちは分かる。
あのブルーノって鍛冶屋のことは、情報だけだがオレは知っていた。
顔を合わせた時には思い出せなかったが、伝説の聖工と呼ばれている男だ。
『聖』という言葉と、あのオッサンの風貌と性格が一致しなかったせいで思い出せなかったのだ。
あれで『聖』とか言われても納得できるはずがない。あれじゃ邪工だろう。
思い出せなかったのも仕方ない。
とにかく、コルネリアはウォーハンマーを使っていたが、さすがに空にいる魔獣相手では不利すぎるので、遠距離を攻撃できる投てき武器の槍に持ち替えたのだった。
逃げたハーピーを追いかけていくと、別の何かを狙う体制に入ったのに気づいた。
それ目掛けて、コルネリアが槍を投げる。
普通なら届く距離じゃないが、身体強化をしたコルネリアが投げた槍は一直線にハーピーに向かって飛んで行った。
槍が翼に当たってハーピーが硬直したところに、ベルンハルトの雷撃の魔法でトドメだ。
落ちていくハーピーの姿を見つめていると、ハーピーが狙っていたものが目に入った。
どこかの軍隊だ。
間違いない。目当ての城塞迷宮調査団だろう。
オレは慌ててその中からロアを探す。
いた。
陰険グリフォンが目立ってすぐ見つけられた。
こうして、オレたちはロアと合流できたのだった。
※これはクリストフから見た物語のダイジェストになります。クリストフ視点のため、メインストーリーでない部分が中心であったり、物語中に無いシーンが含まれていたりします。また、クリストフがその時点で知りえない情報は含まれていません。
※文中の『バカ』『バカリーダー』『リーダー』は全てディートリヒのことです。また、『陰険グリフォン』『悪質グリフォン』などは全てグリおじさんのことです。
●月●日
オレたち『望郷』はペルデュ王国と北方連合国との国境近くにある、北方連合国側の砦から城塞迷宮に入った。
城塞迷宮入りを確認する北方連合国の役人とのやり取りはあっさりと終わったが、その後にとんでもないことが判明した。
バカリーダーのやつ、申請書類に何が書いてあるか確認すらしてなかった!
城塞迷宮に入るための申請書類には本当の名前や地位などが書いてある。他国とやり取りする公文書なのだから、当然だ。
なのにバカはそのことすら把握していなかった。
書類を読まず、サインだけしていたのが丸わかりだ!!
オレがそのことを指摘するとリーダーは焦りだしたが、問題はそこじゃない。
許可を出してもらうために、本国に交換条件を出されていたのだ。
すでにオレたち……いや、サインしたのはバカリーダーだから、リーダーがその交換条件を呑んだことになっている。
今更やっぱりダメとは言えない。
それに、交換条件はオレたちだけの問題じゃなく、ロアが大きく関わっている。
……うん。オレは知らん!
バカリーダーが全部の作業を俺に押し付けて、サインする書類すら読まなかったのが悪い!オレはもう限界だ。何が起こっても知らん!!
オレはリーダーに責任を丸投げすることにした。
●月●日
城塞迷宮の周辺地域に入ってからというもの、引っ切り無しに不死者が襲ってくるようになった。
古戦場だっただけあって、出てくるのはほとんど古い鎧を身に着けた動く骸骨だ。
スケルトンは弱いが、倒してもすぐに復活して、仲間を呼び寄せる。
完全に浄化されるまで、ひたすら増え続ける最悪の魔獣だ。
ただ、オレたちは安全に旅ができていた。
すべてロアのおかげだ。
ロアが持たせてくれた清浄結界の魔道具は、アンデッドが近寄ってこないようにできる。
さらにスケルトンを浄化するための治癒魔法薬も使い切れないくらいにある。
死んだ人間の魂や肉体に魔素が作用して生まれたアンデッドは、治癒魔法や治癒魔法薬で浄化することができる。
闇の存在であるやつらには治癒効果が裏返り、消滅させる効果となるのだ。
オレたちはアンデッドの素早い倒し方を練習できるくらいに、余裕をもって旅を進めることができた。
マジでロアには頭が上がらない。
事前にロアに渡された魔法の鞄には色々な魔法薬が入っていた。
即死魔法を回避できる魔法薬なんていう新薬もあって、絶対に城塞迷宮に近付く前に飲んでくれという指示のメモが付いていた。
オレたちはそれを迷うことなく飲んだ。
新薬だろうが、ロアの作ったものを疑うやつはいない。
●月●日
アンデットの大きな戦闘の気配があり、そちらに向かって進むことにした。
今、公式にこの場所に入っているのはオレたちと、ロアたちがいる城塞迷宮調査団だけのはずだ。
大きな戦闘があったとすれば、そこにロアがいると思って間違いない。
向かう途中で人面禿鷲に襲われた。
空を飛ぶ魔獣の対処は難しいが、やっと登場したアンデッド以外の魔獣にむしろオレたちは胸が弾んだ。
ハッキリ言って、ひたすらアンデッドの相手をするのに飽きていたのだ。
ハーピーは三匹。
ベルンハルトが魔法で羽を焼いて落としてから、残りの三人で倒す作戦を取った。
逆襲されると思っていなかったのか、ハーピーはまっすぐにオレたちめがけて襲ってきたため、二匹は比較的楽に落として倒すことができた。
しかし、残り一匹を手負いの状態で逃がしてしまった。
「私がやるわ」
コルネリアが武器を槍に持ち替える。
コルネリアはこの旅に出てからは、ブルーノという鍛冶屋の弟子が作った戦槌を主に武器に使っていた。
なんでもやたら使いやすいらしい。
オレも同じように弟子が作ったアサシンナイフを貰ったが、やたら切れ味が良くて扱いやすいナイフだったので、気持ちは分かる。
あのブルーノって鍛冶屋のことは、情報だけだがオレは知っていた。
顔を合わせた時には思い出せなかったが、伝説の聖工と呼ばれている男だ。
『聖』という言葉と、あのオッサンの風貌と性格が一致しなかったせいで思い出せなかったのだ。
あれで『聖』とか言われても納得できるはずがない。あれじゃ邪工だろう。
思い出せなかったのも仕方ない。
とにかく、コルネリアはウォーハンマーを使っていたが、さすがに空にいる魔獣相手では不利すぎるので、遠距離を攻撃できる投てき武器の槍に持ち替えたのだった。
逃げたハーピーを追いかけていくと、別の何かを狙う体制に入ったのに気づいた。
それ目掛けて、コルネリアが槍を投げる。
普通なら届く距離じゃないが、身体強化をしたコルネリアが投げた槍は一直線にハーピーに向かって飛んで行った。
槍が翼に当たってハーピーが硬直したところに、ベルンハルトの雷撃の魔法でトドメだ。
落ちていくハーピーの姿を見つめていると、ハーピーが狙っていたものが目に入った。
どこかの軍隊だ。
間違いない。目当ての城塞迷宮調査団だろう。
オレは慌ててその中からロアを探す。
いた。
陰険グリフォンが目立ってすぐ見つけられた。
こうして、オレたちはロアと合流できたのだった。
124
お気に入りに追加
32,128
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。