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芽ぐむ日
第十九話 視線の先
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恋に落ちたイザベラは、恋する乙女の勢いのまま、アロイスに対してアピールを始めた。毎日お見舞いに行き、彼の世話を焼き始めたのだ。
その際に、彼女はレナとイヴァンに頭を下げた。曰く、ダンジョンアタックを早めに切り上げたい、とのことだった。
イザベラは伯爵令嬢だが、結婚相手は自分でゲットするしかない身の上だ。イヴァンとレナはネモとチアンも巻き込んで相談し、その結果、午前中でダンジョンアタックを切り上げることとなった。
これはもちろんイザベラのためではあるが、箱入り令嬢の純粋培養な好意は、アロイスにも何かしら良い影響があるのではないかと思ったからだ。
そうしてイザベラの恋を応援する方向へ舵をとったわけだが――
「なんだか、手ごたえがありませんの……」
リハビリをするアロイスを遠目に眺めながら、イザベラがぼやく。
「嫌われているわけではなさそうなのですけど、私のアピールは上滑りして流されているみたいで……」
どうすれば良いのかしら、と悩むイザベラに、レナも一緒になって考える。
「……とりあえず、好みの女性のタイプとか聞いてみる?」
「あっ、そういえば知りませんでしたわ! 聞いてみましょう!」
そんな話をしていると、リハビリを終えたアロイスがこちらに近づいてきた。
「なんだか楽しそうに話していたけど、何を話していたんだ?」
彼が浮かべる微笑みは、以前見た時よりいくらか生気が戻っているように思えた。ネモが言うには、やはり心配してくれている人間が居るのと居ないのでは、心の持ちようが違うそうだ。
「えっと……、そう、恋バナですね! どんな人がタイプか、とか!」
「そ、そうなんですの! その、アロイス様はどんな方がお好きですか?」
レナの発言にイザベラが一瞬動揺するも、しっかり後を継いで質問する。
その質問にアロイスは目を丸くするも、少女達の興味津々といった姿に苦笑しながら答えた。
「好みは特に考えたことは無いな。けど、そうだな……」
アロイスは目を細め、告げた。
「俺を、裏切らない人、かな……」
痛みを堪えるかのような表情に、レナたちはアロイスの心の傷に触れたのだと察した。
それが表情に出てしまったのか、彼は気にするなと言って苦笑した。
「それで、君達はどんな男がタイプなんだ?」
「えっ?」
「私たち、ですか?」
まさか聞かれるとは思わず、レナとイザベラは顔を見合わせるが、アロイスに自分だけ言うなんて不公平だ、と言われてしまえば言うしかない。
レナは少し考え、口を開いた。
「私は誠実な人ですね。それで、優しい人が好きです。ただ、気が多い人は無理!」
まず先にイヴァンを思い浮かべ、次いで初恋の男の子を思い浮かべてレナは眉間に皺を寄せた。
「私も誠実な方が好きです! 不貞をするような方は言語道断ですわね!」
元婚約者たちのことを思い出したのだろう。イザベラの目が据わっている。
そんな少女二人の様子にアロイスもまた何かを察したのか、視線を泳がせるも好奇心には勝てず、何があったのかを聞いた。
そして、二人は怒涛の如く愚痴を吐き出し始めた。
レナは一年における騒動を。イザベラは三人目と四人目の婚約者の不実ぶりを。
アロイスは少女たちの勢いに半ば圧倒されつつも、そうか、大変だったんだな、と相槌を打っていた。
「君たちみたいなお嬢さんでも、色々とあるもんなんだな」
「そりゃ、そうですよ。山も谷も無い人生を送れる人なんて居るはずがありません」
レナの言葉に、アロイスは苦笑いする。
そして、そんなアロイスに、レナは真正面から視線を合わせて言う。
「人生、転んだ後にどう立ち上がるかですよ。お手伝いしますから、頑張りましょうね!」
そう言って、レナはアロイスに手を差し出した。
アロイスはレナの小さな手を恐る恐る握る。その手は暖かくて、やたらと頼もしく思えた。
そして、アロイスはそろりと視線を手の持ち主に合わせる。
アロイスの目に映ったその人は、新緑の目を輝かせ、溌溂とした笑顔を浮かべていた。
彼はそれを見て、眩しそうに目を細めた。
***
アロイスへの最初のお見舞いから一週間の時が流れた。
イヴァン・ウッドは、不満と不安を覚えていた。
「レナさん、いつもありがとう」
「えっ? いえ、気にしないで下さい」
なぜか、アロイスはレナに好意を持つようになってしまっていた。
別に、レナが出しゃばってアロイスの世話を焼いたわけではない。イザベラが中心となって彼の世話を焼き、積極的に声を掛け、サポートし、コミュニケーションを取って来たのだ。
なのに、彼の目はレナを追っている。
このまさかの展開に、イザベラはネモによしよしと慰められている。
レナの姿を視線で追うアロイスを遠目に見ながら、イヴァンとチアンが声を潜めて話す。
「あれって、そういうことですよね? イザベラの方がアロイスさんとよく話して、コミュニケーションを取っていたのに、なんでレナの方にいったんでしょうか?」
「ふむ……。まあ、心当たりはなくもない」
その言葉に、チアンに視線が集まる。
「それって、なんですのぉぉぉ」
涙を瞳一杯に溜めて縋りつくイザベラに、チアンは一瞬動揺しつつも、すぐに体勢を立て直し、ネモに引き取らせた。
そして一つ咳払いをし、改めて言う。
「アロイスを裏切った三人の仲間のうちの一人が女なのだが、それが奴の恋人だったらしい」
「えっ、そうだったの?」
ネモは知らなかったらしく、目を丸くした。
イヴァンもイザベラもそれは初耳で、驚いてチアンを見る。
「アロイスが零した言葉を拾っただけだ。結婚まで考えていた相手らしいぞ」
それにイヴァン達は、複雑そうな表情で顔を見合わせた。
そこまで考える相手に殺されかけたのだ。アロイスの絶望はどれほどだっただろうか。
気まずい空気が流れる中、チアンが更に言葉を重ねる。
「それで、だ。ネモ、あの女の容姿を思い出せ」
チアンの言葉に、ネモは瞳を瞬かせ、少し考えるそぶりを見せ、「あっ」と小さく声を上げた。
そして、気まずそうにイザベラを見る。
「まさか……」
「その、まさかだろう」
不穏な言葉に、イザベラが不安そうな顔をした。
「あの、どうしましたの?」
ネモが、アンタが言え、とばかりにチアンに指で指示を出し、チアンは一つ溜息をついて改めてイザベラを見た。
「実はな、アロイスの元恋人のタイプが、そなたと似ているのだ」
「へ?」
チアンの言葉に、イザベラが間の抜けた声を出す。
アロイスの元恋人は、イザベラと同じ色っぽいタイプの美女なのだという。その彼女に殺されかけるというトラウマ級の扱いを受けたアロイスアは、イザベラを恋愛対象として見ることが出来なくなっているのだろう、というのがチアンの推測だった。
「だから、全く違うタイプのレナに目が行っちゃったんですか……」
「そうなるな。まあ、それでレナよりも奴の面倒を見ているネモに気を持たない辺り、女の趣味が良い」
「どういう意味よ!」
チアンがネモに尻を蹴飛ばされているのを尻目に、イザベラはさめざめと泣いたのだった。
***
さて、まさかアロイスに好意を寄せられるようになるとは夢にも思っていないレナは、イザベラの恨めしげな視線に首を傾げ、先輩たちに苦笑いを返される日々を送っていた。
そして春休みも終わりに近づき、王都へ戻る日が近づいていた。
イザベラは名残惜しそうにアロイスにそのことを告げ、改めて王都へ誘った。
「退院しても、暫くは危険な仕事は出来ませんでしょう? 王都ですと、錬金術師や薬師がしょっちゅう薬草採取の依頼を出していますのよ。薬草採取で体を慣らすのがよろしいかと。それに、王都でしたら私も色々お手伝いが出来ると思いますの!」
それにアロイスは暫し考え込むように俯き、再び顔を上げると、その視線をレナに向けた。
レナは驚き、思わず身じろぎすると、彼は淡く微笑み、言った。
「そうだな。王都も、良いかもしれない」
アロイスの内にある何かを透かし見れるような表情だった。
思わぬ反応に、レナは挙動不審になり、隣に立つイヴァンは黒い瘴気を発してアロイスを睨んだ。そして、彼を誘ったイザベラは、ネモに抱き着いてよしよしされている。
混沌としだした場に、チアンは一騒動起きそうだな、と溜息をついたのだった。
その際に、彼女はレナとイヴァンに頭を下げた。曰く、ダンジョンアタックを早めに切り上げたい、とのことだった。
イザベラは伯爵令嬢だが、結婚相手は自分でゲットするしかない身の上だ。イヴァンとレナはネモとチアンも巻き込んで相談し、その結果、午前中でダンジョンアタックを切り上げることとなった。
これはもちろんイザベラのためではあるが、箱入り令嬢の純粋培養な好意は、アロイスにも何かしら良い影響があるのではないかと思ったからだ。
そうしてイザベラの恋を応援する方向へ舵をとったわけだが――
「なんだか、手ごたえがありませんの……」
リハビリをするアロイスを遠目に眺めながら、イザベラがぼやく。
「嫌われているわけではなさそうなのですけど、私のアピールは上滑りして流されているみたいで……」
どうすれば良いのかしら、と悩むイザベラに、レナも一緒になって考える。
「……とりあえず、好みの女性のタイプとか聞いてみる?」
「あっ、そういえば知りませんでしたわ! 聞いてみましょう!」
そんな話をしていると、リハビリを終えたアロイスがこちらに近づいてきた。
「なんだか楽しそうに話していたけど、何を話していたんだ?」
彼が浮かべる微笑みは、以前見た時よりいくらか生気が戻っているように思えた。ネモが言うには、やはり心配してくれている人間が居るのと居ないのでは、心の持ちようが違うそうだ。
「えっと……、そう、恋バナですね! どんな人がタイプか、とか!」
「そ、そうなんですの! その、アロイス様はどんな方がお好きですか?」
レナの発言にイザベラが一瞬動揺するも、しっかり後を継いで質問する。
その質問にアロイスは目を丸くするも、少女達の興味津々といった姿に苦笑しながら答えた。
「好みは特に考えたことは無いな。けど、そうだな……」
アロイスは目を細め、告げた。
「俺を、裏切らない人、かな……」
痛みを堪えるかのような表情に、レナたちはアロイスの心の傷に触れたのだと察した。
それが表情に出てしまったのか、彼は気にするなと言って苦笑した。
「それで、君達はどんな男がタイプなんだ?」
「えっ?」
「私たち、ですか?」
まさか聞かれるとは思わず、レナとイザベラは顔を見合わせるが、アロイスに自分だけ言うなんて不公平だ、と言われてしまえば言うしかない。
レナは少し考え、口を開いた。
「私は誠実な人ですね。それで、優しい人が好きです。ただ、気が多い人は無理!」
まず先にイヴァンを思い浮かべ、次いで初恋の男の子を思い浮かべてレナは眉間に皺を寄せた。
「私も誠実な方が好きです! 不貞をするような方は言語道断ですわね!」
元婚約者たちのことを思い出したのだろう。イザベラの目が据わっている。
そんな少女二人の様子にアロイスもまた何かを察したのか、視線を泳がせるも好奇心には勝てず、何があったのかを聞いた。
そして、二人は怒涛の如く愚痴を吐き出し始めた。
レナは一年における騒動を。イザベラは三人目と四人目の婚約者の不実ぶりを。
アロイスは少女たちの勢いに半ば圧倒されつつも、そうか、大変だったんだな、と相槌を打っていた。
「君たちみたいなお嬢さんでも、色々とあるもんなんだな」
「そりゃ、そうですよ。山も谷も無い人生を送れる人なんて居るはずがありません」
レナの言葉に、アロイスは苦笑いする。
そして、そんなアロイスに、レナは真正面から視線を合わせて言う。
「人生、転んだ後にどう立ち上がるかですよ。お手伝いしますから、頑張りましょうね!」
そう言って、レナはアロイスに手を差し出した。
アロイスはレナの小さな手を恐る恐る握る。その手は暖かくて、やたらと頼もしく思えた。
そして、アロイスはそろりと視線を手の持ち主に合わせる。
アロイスの目に映ったその人は、新緑の目を輝かせ、溌溂とした笑顔を浮かべていた。
彼はそれを見て、眩しそうに目を細めた。
***
アロイスへの最初のお見舞いから一週間の時が流れた。
イヴァン・ウッドは、不満と不安を覚えていた。
「レナさん、いつもありがとう」
「えっ? いえ、気にしないで下さい」
なぜか、アロイスはレナに好意を持つようになってしまっていた。
別に、レナが出しゃばってアロイスの世話を焼いたわけではない。イザベラが中心となって彼の世話を焼き、積極的に声を掛け、サポートし、コミュニケーションを取って来たのだ。
なのに、彼の目はレナを追っている。
このまさかの展開に、イザベラはネモによしよしと慰められている。
レナの姿を視線で追うアロイスを遠目に見ながら、イヴァンとチアンが声を潜めて話す。
「あれって、そういうことですよね? イザベラの方がアロイスさんとよく話して、コミュニケーションを取っていたのに、なんでレナの方にいったんでしょうか?」
「ふむ……。まあ、心当たりはなくもない」
その言葉に、チアンに視線が集まる。
「それって、なんですのぉぉぉ」
涙を瞳一杯に溜めて縋りつくイザベラに、チアンは一瞬動揺しつつも、すぐに体勢を立て直し、ネモに引き取らせた。
そして一つ咳払いをし、改めて言う。
「アロイスを裏切った三人の仲間のうちの一人が女なのだが、それが奴の恋人だったらしい」
「えっ、そうだったの?」
ネモは知らなかったらしく、目を丸くした。
イヴァンもイザベラもそれは初耳で、驚いてチアンを見る。
「アロイスが零した言葉を拾っただけだ。結婚まで考えていた相手らしいぞ」
それにイヴァン達は、複雑そうな表情で顔を見合わせた。
そこまで考える相手に殺されかけたのだ。アロイスの絶望はどれほどだっただろうか。
気まずい空気が流れる中、チアンが更に言葉を重ねる。
「それで、だ。ネモ、あの女の容姿を思い出せ」
チアンの言葉に、ネモは瞳を瞬かせ、少し考えるそぶりを見せ、「あっ」と小さく声を上げた。
そして、気まずそうにイザベラを見る。
「まさか……」
「その、まさかだろう」
不穏な言葉に、イザベラが不安そうな顔をした。
「あの、どうしましたの?」
ネモが、アンタが言え、とばかりにチアンに指で指示を出し、チアンは一つ溜息をついて改めてイザベラを見た。
「実はな、アロイスの元恋人のタイプが、そなたと似ているのだ」
「へ?」
チアンの言葉に、イザベラが間の抜けた声を出す。
アロイスの元恋人は、イザベラと同じ色っぽいタイプの美女なのだという。その彼女に殺されかけるというトラウマ級の扱いを受けたアロイスアは、イザベラを恋愛対象として見ることが出来なくなっているのだろう、というのがチアンの推測だった。
「だから、全く違うタイプのレナに目が行っちゃったんですか……」
「そうなるな。まあ、それでレナよりも奴の面倒を見ているネモに気を持たない辺り、女の趣味が良い」
「どういう意味よ!」
チアンがネモに尻を蹴飛ばされているのを尻目に、イザベラはさめざめと泣いたのだった。
***
さて、まさかアロイスに好意を寄せられるようになるとは夢にも思っていないレナは、イザベラの恨めしげな視線に首を傾げ、先輩たちに苦笑いを返される日々を送っていた。
そして春休みも終わりに近づき、王都へ戻る日が近づいていた。
イザベラは名残惜しそうにアロイスにそのことを告げ、改めて王都へ誘った。
「退院しても、暫くは危険な仕事は出来ませんでしょう? 王都ですと、錬金術師や薬師がしょっちゅう薬草採取の依頼を出していますのよ。薬草採取で体を慣らすのがよろしいかと。それに、王都でしたら私も色々お手伝いが出来ると思いますの!」
それにアロイスは暫し考え込むように俯き、再び顔を上げると、その視線をレナに向けた。
レナは驚き、思わず身じろぎすると、彼は淡く微笑み、言った。
「そうだな。王都も、良いかもしれない」
アロイスの内にある何かを透かし見れるような表情だった。
思わぬ反応に、レナは挙動不審になり、隣に立つイヴァンは黒い瘴気を発してアロイスを睨んだ。そして、彼を誘ったイザベラは、ネモに抱き着いてよしよしされている。
混沌としだした場に、チアンは一騒動起きそうだな、と溜息をついたのだった。
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