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異世界転生編
第五話 妖精2
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「なんじゃい、喋るくらいするわい」
「いや、たくみ君達は喋らなかったから……」
呆れたように片眉を上げて見せるノームに、オベロンは気まずそうに目を逸らした。
オベロンの素っ頓狂な声を聴いて、何事かとたくみ達も集まってくる。
どうかしたのか、と視線で尋ねてくるたくみ達に、ノームも成る程、と頷く。
「ふむ。たくみ殿達はシャイなようじゃの」
二人の視線を受けて、キャッ、ともじもじしているムキムキ達を目の前にしながら、ノームは平然としている。ノームの心臓は鋼で出来ているに違いない。
「えっと、あー……。うん」
一つ咳払いをし、オベロンはノームに向き直る。
「取り合えず、初めまして。俺の名はオベロン。昨日、この地に来たんだ」
「そうじゃの。初めまして、我等が王よ。儂はノームじゃ」
気を取り直して、けれども少し気まずげに挨拶するオベロンに、ノームも飄々と挨拶を返した。
「それから、たくみ君達も。キッチンとか、家具を作ってくれたのは君達だよね? 遅れたけど、ありがとう。とても助かったよ」
キッチンや家具に関しては、たくみの鑑定結果から推測したが、どうやら正解だったらしく、たくみ達は嬉しそうな笑顔を浮かべ、頷きながらソワソワと体を揺らした。
「一晩であそこまで作れるなんて、凄いね」
「ほう、一晩でか。凄い種族が生まれたもんじゃの」
オベロンの褒め言葉に、ノームは感心したようにまじまじとたくみ達を見つめ、たくみ達は照れてぐねぐねと身をひねっている。なかなかの暴力的な光景であった。
ちょっと遠い目をしたオベロンは、ふと、ノームの言葉に違和感を覚えた。
「ん……? 生まれた?」
今、ノームは凄い種族が生まれた、と言わなかったか?
「生まれたって、どういう事?」
首を傾げるオベロンに、ノームも意味が分からないのか、首を傾げる。
「ああ、そうだ。それに、妖精。アルテシア様は妖精は絶滅した、って言ってたのに……。ノーム達は生きて、ここに居る。……絶滅していなかったのか?」
ノームはオベロンの言葉に合点がいったのか、そういう事か、と頷いた。
「いや、妖精は確かに絶滅したぞ。ただ、妖精の生まれは特殊での。妖精は、精霊が進化した姿でな、精霊がその気になれば、いつでも妖精として生まれることが出来る」
「は?」
ポカン、と呆けるオベロンに、「知らなかったのか」とノームは呟き、説明してくれた。
「ふむ。そうじゃな、最初から説明しようか。そもそも、精霊と妖精は、世界とは切っても切れない関係にある。女神様のお力を世界に行き渡らせ、循環させる役割を担っている。そして、妖精はその力を活性化させる。精霊も妖精も、女神様のお力に関わる役割を担っている訳だ」
ノームの言葉に、オベロンは頷く。
「精霊は実態を持たず、世界中を巡って力を循環させ、力が弱い地域や、気に入った土地を見付けたりすると実体化する。これが、妖精となるのじゃ」
「ああ、成る程……」
効率的に世界を運営する為に、そういう風に妖精は生まれるのだ。
「しかし、人間達の殆どはその事は知らんからの。知る者も欲に負けて口を噤み、我等の『妖精珠』を狙って、我等を狩り尽くした。そうなれば、我等も実体化しようなどとは思わん。故に、妖精は絶滅したのじゃ」
そして、その結果、世界は緩やかに滅びに向かったのだ。
「女神様も人間にはほとほと愛想が尽きたと、世界の滅びを決定した……。しかし、我等の王が女神様の手によりお生まれになった」
ノームが嬉しそうに微笑む。
「誠に、幸いな事よ。しかも、ただの妖精ではない、『妖精王』だ。精霊は喜び勇んで我等が王お仕えせんと、妖精へと進化を開始した。そのうち、この地は妖精で溢れるぞ」
つまり、ノームはアルテシア様が再び世界に目を向けたことが嬉しいのだろう。
それに対し、オベロンは少し申し訳なくなった。何故なら、オベロンが『妖精王』として生を受けたのは、アルテシア様が再び世界に目を向けたわけではなく、罪滅ぼしからなのだ。
「えっと……」
気まずそうな表情をするオベロンに、ノームは笑う。
「いや、分かっておるぞ。女神様はこの世界に再び関心を向けたわけではないと。女神様の絶望は、そんな軽いものでは無かったからな」
ノームの言葉に、オベロンはぱちり、と目を瞬いた。
「儂が喜んでおるのはの、これが切掛けになるかもしれんからだ。最早滅びしかないと思っていたら、まさかのチャンスが訪れた。これを喜ばぬ者はおらんよ」
ぽかん、と呆けるオベロンに、ノームは嬉し気に言う
「女神様の事じゃ。貴方を作って、それで終わりとはせんよ。必ず、貴方の様子を定期的に窺うようになる。その時、世界がどう動いているかが大切じゃの。まあ、我ら妖精が再び生まれただけで、世界の滅びは遠のく。じっくり時間をかけてやれば良い」
言外に、気負わず時間をかけても良いのだとノームは言う。
まあ、確かにすぐにどうこうできる問題では無いので、まずは自分が生活できるようにするのが先だろう。
「……そっか。分かったよ。……それはそうと、ノーム達は何処に住むんだ? 俺と同じような家で良ければ、作ろうか?」
オベロンの提案に、たくみ達は大丈夫だと首を横に振り、ノームは洞窟に住むから心配するなと笑った。
「そっか。……えっと、それじゃあ、まあ、これからよろしくな」
「おお、よろしく。我等が王よ」
少し照れ臭そうに微笑むオベロンに、ノーム達も笑顔でそう返し、たくみ達も嬉しそうにパタパタと身振りで歓迎の意を表した。
「いや、たくみ君達は喋らなかったから……」
呆れたように片眉を上げて見せるノームに、オベロンは気まずそうに目を逸らした。
オベロンの素っ頓狂な声を聴いて、何事かとたくみ達も集まってくる。
どうかしたのか、と視線で尋ねてくるたくみ達に、ノームも成る程、と頷く。
「ふむ。たくみ殿達はシャイなようじゃの」
二人の視線を受けて、キャッ、ともじもじしているムキムキ達を目の前にしながら、ノームは平然としている。ノームの心臓は鋼で出来ているに違いない。
「えっと、あー……。うん」
一つ咳払いをし、オベロンはノームに向き直る。
「取り合えず、初めまして。俺の名はオベロン。昨日、この地に来たんだ」
「そうじゃの。初めまして、我等が王よ。儂はノームじゃ」
気を取り直して、けれども少し気まずげに挨拶するオベロンに、ノームも飄々と挨拶を返した。
「それから、たくみ君達も。キッチンとか、家具を作ってくれたのは君達だよね? 遅れたけど、ありがとう。とても助かったよ」
キッチンや家具に関しては、たくみの鑑定結果から推測したが、どうやら正解だったらしく、たくみ達は嬉しそうな笑顔を浮かべ、頷きながらソワソワと体を揺らした。
「一晩であそこまで作れるなんて、凄いね」
「ほう、一晩でか。凄い種族が生まれたもんじゃの」
オベロンの褒め言葉に、ノームは感心したようにまじまじとたくみ達を見つめ、たくみ達は照れてぐねぐねと身をひねっている。なかなかの暴力的な光景であった。
ちょっと遠い目をしたオベロンは、ふと、ノームの言葉に違和感を覚えた。
「ん……? 生まれた?」
今、ノームは凄い種族が生まれた、と言わなかったか?
「生まれたって、どういう事?」
首を傾げるオベロンに、ノームも意味が分からないのか、首を傾げる。
「ああ、そうだ。それに、妖精。アルテシア様は妖精は絶滅した、って言ってたのに……。ノーム達は生きて、ここに居る。……絶滅していなかったのか?」
ノームはオベロンの言葉に合点がいったのか、そういう事か、と頷いた。
「いや、妖精は確かに絶滅したぞ。ただ、妖精の生まれは特殊での。妖精は、精霊が進化した姿でな、精霊がその気になれば、いつでも妖精として生まれることが出来る」
「は?」
ポカン、と呆けるオベロンに、「知らなかったのか」とノームは呟き、説明してくれた。
「ふむ。そうじゃな、最初から説明しようか。そもそも、精霊と妖精は、世界とは切っても切れない関係にある。女神様のお力を世界に行き渡らせ、循環させる役割を担っている。そして、妖精はその力を活性化させる。精霊も妖精も、女神様のお力に関わる役割を担っている訳だ」
ノームの言葉に、オベロンは頷く。
「精霊は実態を持たず、世界中を巡って力を循環させ、力が弱い地域や、気に入った土地を見付けたりすると実体化する。これが、妖精となるのじゃ」
「ああ、成る程……」
効率的に世界を運営する為に、そういう風に妖精は生まれるのだ。
「しかし、人間達の殆どはその事は知らんからの。知る者も欲に負けて口を噤み、我等の『妖精珠』を狙って、我等を狩り尽くした。そうなれば、我等も実体化しようなどとは思わん。故に、妖精は絶滅したのじゃ」
そして、その結果、世界は緩やかに滅びに向かったのだ。
「女神様も人間にはほとほと愛想が尽きたと、世界の滅びを決定した……。しかし、我等の王が女神様の手によりお生まれになった」
ノームが嬉しそうに微笑む。
「誠に、幸いな事よ。しかも、ただの妖精ではない、『妖精王』だ。精霊は喜び勇んで我等が王お仕えせんと、妖精へと進化を開始した。そのうち、この地は妖精で溢れるぞ」
つまり、ノームはアルテシア様が再び世界に目を向けたことが嬉しいのだろう。
それに対し、オベロンは少し申し訳なくなった。何故なら、オベロンが『妖精王』として生を受けたのは、アルテシア様が再び世界に目を向けたわけではなく、罪滅ぼしからなのだ。
「えっと……」
気まずそうな表情をするオベロンに、ノームは笑う。
「いや、分かっておるぞ。女神様はこの世界に再び関心を向けたわけではないと。女神様の絶望は、そんな軽いものでは無かったからな」
ノームの言葉に、オベロンはぱちり、と目を瞬いた。
「儂が喜んでおるのはの、これが切掛けになるかもしれんからだ。最早滅びしかないと思っていたら、まさかのチャンスが訪れた。これを喜ばぬ者はおらんよ」
ぽかん、と呆けるオベロンに、ノームは嬉し気に言う
「女神様の事じゃ。貴方を作って、それで終わりとはせんよ。必ず、貴方の様子を定期的に窺うようになる。その時、世界がどう動いているかが大切じゃの。まあ、我ら妖精が再び生まれただけで、世界の滅びは遠のく。じっくり時間をかけてやれば良い」
言外に、気負わず時間をかけても良いのだとノームは言う。
まあ、確かにすぐにどうこうできる問題では無いので、まずは自分が生活できるようにするのが先だろう。
「……そっか。分かったよ。……それはそうと、ノーム達は何処に住むんだ? 俺と同じような家で良ければ、作ろうか?」
オベロンの提案に、たくみ達は大丈夫だと首を横に振り、ノームは洞窟に住むから心配するなと笑った。
「そっか。……えっと、それじゃあ、まあ、これからよろしくな」
「おお、よろしく。我等が王よ」
少し照れ臭そうに微笑むオベロンに、ノーム達も笑顔でそう返し、たくみ達も嬉しそうにパタパタと身振りで歓迎の意を表した。
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