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序章

プロローグ

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 それは、魅惑の液体。

 その液体は、生命活動に必要なものでは無い。
 信仰に必要なものでも、人を堕落に導くものでもない。
 しかし、魂に染みついた、それを求める声を無視できなかった。
 それを求め、さ迷い歩いた。
 東へ向かって、落胆し。
 南へ向かって、涙をこらえ。
 西へ向かって、膝をつき。
 北へ向かって、怒りをこらえ。
 長く、長く、捜し歩き、手は尽くした。
 残る手段は、この手で作り上げること……
 しかし、作ったとして、己だけでどれだけの量が作れるだろう。
 そして、どれだけの時間と金、そして手間がかかるだろうか。
 けれど、魂が欲するのだ。
 常に供給せよ、と……
 魂の要求のままに、考えた。
 どうすれば、それを常に得られるようになるか。
 材料が必要だ。
 人手が必要だ。
 金が必要だ。
 土地が必要だ。
 権力が必要だ。
 そして、それを欲する魂の叫びへの理解が必要だ。
 だから、探した。
 理解者を。
 共犯者を。
 そして時は流れ、ついに見つけたのだ――!

「だから、『醤油』を作って!」
「お前、まさか、それを言うためだけに、この魔法学園に入学したとか言わないよな!?」
「実に欲望に忠実なことだな」

 ランタナ王国の国立魔法学園。
 その一角で、彼等は出会った。

『白銀の錬金術師』、ネモフィラ・ペンタス。
『ランタナ王国、第三王子』、ヘンリー・ランタナ。
『カンラ帝国、第十八皇子』、チアン・カンラ。

 これが、地球という星にある、日本という国から転生して来た、転生者たちの出会いである。
そして、後に結成する『台所錬金術同好会』の問題児達が巻き起こし、巻き込まれる騒動の始まりでもあった。
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