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ヒロインはざまぁされた
第九話 暴走
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何故、こんなことになったのか。
アリスは遠い目をしながら思う。
「オーッホッホッホッホ!」
ダンジョンに、野太くも高くけたたましい笑い声が響く。
「そんな脆弱な守りで、アタシの情熱の炎を防げるとでも?」
舐めるように広がる赤い炎が、魔物達を次々に灰へと変えていく。
先ほどまで新鮮な肉だと魔物が群がってきていたのだが、今は目の前の化け物から少しでも離れなければと必死になって逃げ回っている。その光景は正に阿鼻叫喚。地獄の炎に焼かれる罪人のごとし。
「ワァ……」
アリスはそんな光景を、悟りを開いたかのような目で見つめていた。
さて、何故こんなことになっているかというと、全てはアリスの予想外の才能が発覚したからだ。
アリスは一階層から五階層まで魔物を危うげなく狩り、余力まで残していたことから、ローズに下層を少し見学してみないか、と提案されたのだ。
「もちろん、魔物を狩れだなんて無茶は言わないし、いざという時はアタシがアリスちゃんを守るわ。ただ、下層の魔物のレベルを実際にその目で見ておいてほしいの」
そう言われ、確かに下層のレベルを一度目にしておいた方がいいかもしれないと思い、アリスはローズと共に第六層に降りることにした。
第六層でまず目にしたのは、古い城内を思わせるような、石造り真っ直ぐな回廊だった。
ローズは回廊を見て、うーん、と首をかしげてしばし悩み、アリスに尋ねる。
「確か、この先は結構な広さのある空間になってるのよね?」
「はい。闘技場のような造りになっているそうです」
このコニア男爵領のダンジョンは流行ってはいないが、挑戦者がいないわけではない。
ダンジョンの情報を冒険者ギルドが買い取っているため、それなりの数の冒険者がこのダンジョンへ入り、情報を冒険者ギルドに売っていた。冒険者ギルドは買い上げた情報を纏め、マップなどにしたりして売っているのだ。
そのため、アリスもこのダンジョンのマップや情報などを冒険者ギルドから仕入れていた。だから、六階層がどういう所なのかを知っていた。
「出現する魔物は、A~B級クラスが一匹ずつランダムで出てくるそうです。ただし、五匹以上斃すと一気に十匹以上の魔物が出現するそうなので、一匹斃したらすぐに闘技場から出た方がいいみたいですね」
アリスの情報に、ローズが「アラ、練習にはおあつらえ向きね」と笑う。
「そうね。それなら、まず戦い方の見本としてアタシが戦うわ。アナタには指一本触らせるつもりはないけど、一応、すぐに撤退できるように警戒はしておいてね」
「はい。わかりました」
そうして、アリスとローズは闘技場に向けて足を踏み出した。
***
「さて、アリスちゃん。よぉく、アタシの戦い方を見ておくのよ!」
「はい、ローズ様!」
足を踏み入れたそこは、いかにも朽ちた古代の円形闘技場といった風情の場所だった。
アリスは闘技場入り口に待機し、ローズは闘技場の真ん中まで足を進める。そして、真ん中まで差し掛かったところで、数メートル先に魔法陣が浮かび上がり、魔物が出現した。
「アラ、いかにもといった感じね」
出現した魔物は、獅子と山羊、そしてドラゴンの頭を持ち、尾が蛇の三つ首の化け物、キマイラだ。
キマイラが威嚇の唸り声をあげてローズを見つめる。対するローズは薄っすらと笑みを浮かべ、余裕の表情だ。
「さあ、遊んであげるわ、子猫ちゃん!」
「グギャォォォォォォ!!」
ローズの挑発を合図に、両者は駆けだした。
キマイラの剛腕が空気を切り裂き迫るが、ローズはそれを難なく避けて獅子の横面に拳を叩き込む。
しかし、その拳に嚙みつこうとドラゴンの頭が牙をむく。
すぐさま拳を引き戻そうとするが、それは少し遅く、そのまま噛みつかれそうになり――愛と情熱の大精霊は己の拳を燃やした。
驚いたドラゴンの頭は慌てて身を引き、両者は距離を取った。
「アリスちゃん、今のは見ていたわね! 情熱の炎は攻撃以外にも、こうして不意を突いた防御としても使えるから、覚えておいてね!」
愛と情熱――もとい、炎の大精霊たるローズや、その契約者であるアリスは炎を自在に操れるため、炎を身に纏っても怪我をすることはない。それどころか、自分が操る炎であれば、髪や服も燃えないのだ。
キマイラは炎を纏う拳を警戒してこちらに対して唸るだけだった。しかし、強い魔物は頭がいい。ローズの炎が自身に決定的な傷をつける程の威力は無いと看破し、襲い掛かってきた。
だが、それもローズは想定していた。
すぅぅ、とローズが息を吸うと同時に、腕の筋肉に力が張る。そして――
「我が情熱、その身に受けるがいい!」
炎が白く燃え上がる。
「≪炎熱極拳≫!!」
ルビと地の文が明らかに合っていないだろう技は、獅子の頭を吹き飛ばし、その余波で二つの頭も吹き飛ばした。
どう、と重い音を立ててキマイラの躯が闘技場の床に転がる。そして、その体は魔素の塊と化して散ってゆき、後にはドロップアイテムであるキマイラの皮が残った。
ローズはドロップアイテムを拾い上げ、アリスに「あげるわ」と言って渡す。
「え、でも……」
「ほら、アタシにかかる生活費がわりにでもしてちょうだい」
それに、毛皮って好みじゃないのよねぇ、とローズは逞しい肩を竦める。
「気になるなら、アタシに似合いそうなものでもドロップしたら、それをくれたらいいわよ」
そう言って笑うが、実のところ、精霊はあまり物欲がない。なにせ、自然の中から誕生し、その中で生きる存在である。物は邪魔にしかならない。せいぜい、身を飾るような物しか持たないのだ。
アリスはローズの厚意をありがたく受け取り、このドロップアイテムを売ったお金でローズに似合いそうなアクセサリーを買おうと思った。人間社会での買い物は精霊のローズでは難しく、人間のアリスだからできることだ。これもまた、金銭の循環の一つであり、持ちつ持たれつというものだろう。
そうしてローズと話しているうちに、二体目の魔物が現れる。
アリスはすぐに安全圏まで退避し、ローズは魔物に向き直る。
見取り稽古の第二戦が始まった。
さて、突然だが、ここで一つ精霊の性格の特徴を記したいと思う。
実は精霊には属性ごとに性格の特徴というものがあった。
水の精霊であれば慈しみぶかく、寛容だが、怒れば手が付けられなく、全てを台無しにするような怒り方をする。
風の精霊は気まぐれで、ひとところに留まることはなく、悪戯好きだ。
大地の精霊はのんびり屋だが、活発に動き出したら、周りを巻き込むような大騒動を起こす。
そして火の精霊は明るく活発で、好戦的な性格であり、夢中になると周りが見えなくなることがある。
――そう。ローズもまた、そんな火の精霊の性質を持つ大精霊だったのだ。
「≪大炎獄殺陣≫!!」
「うわぁ……」
アリスは安全圏から、ローズの暴走を遠い目をしながら見守る。
ローズは炎の大精霊だ。彼女ももちろん、同類たる火の精霊の性質を持っていた。
最初は良かったのだ。ローズは順調にアリスに戦い方を教えるべく魔物を一匹ずつ狩っていた。しかし、四匹目あたりから怪しくなっていっていた。
好戦的な性質のままに、彼女は魔物を屠るのにテンションが上がって行き、ついに五匹目を斃した後、それが爆発した。
「魔物の大量発生でテンションがふり切れちゃったのね……」
一匹ずつ現れていた魔物だったが、六戦目でいきなり二十匹もの魔物が現れ、ローズは興奮のままに高笑いを上げ、大火力で魔物達を滅殺した。
それまでローズの強さに純粋に凄いと瞳を輝かせていたアリスだったが、流石にAランク相当の魔物達が炎に呑まれて炭と化していく光景を見れば顔が引きつる。もしかして、戦うのが楽しくてある意味我を忘れていらっしゃるのでは?
アリスはローズの状況をすぐさま察し、己の身を守るべく更なる安全圏へと退避した。
それからはもう、ローズだけが楽しいキャンプファイヤーの始まりである。
魔物達は出現する傍から次々に炎に呑まれ、ドロップしたアイテムは炭と化し、地獄絵図の真ん中でゴリマッチョオネェが高笑いしている。地獄に咲く薔薇があるのなら、きっとローズくらい逞しいのだろう。
アリスはドロップした高級肉が炭と化すのを見ながら、己の唇の端が引きつるのを感じた。
「これ、私はどうすればいいのかしら……」
そんなことを呟きつつ、アリスはなんとも言えぬ顔でそれを眺めることしかできなかった。
アリスは遠い目をしながら思う。
「オーッホッホッホッホ!」
ダンジョンに、野太くも高くけたたましい笑い声が響く。
「そんな脆弱な守りで、アタシの情熱の炎を防げるとでも?」
舐めるように広がる赤い炎が、魔物達を次々に灰へと変えていく。
先ほどまで新鮮な肉だと魔物が群がってきていたのだが、今は目の前の化け物から少しでも離れなければと必死になって逃げ回っている。その光景は正に阿鼻叫喚。地獄の炎に焼かれる罪人のごとし。
「ワァ……」
アリスはそんな光景を、悟りを開いたかのような目で見つめていた。
さて、何故こんなことになっているかというと、全てはアリスの予想外の才能が発覚したからだ。
アリスは一階層から五階層まで魔物を危うげなく狩り、余力まで残していたことから、ローズに下層を少し見学してみないか、と提案されたのだ。
「もちろん、魔物を狩れだなんて無茶は言わないし、いざという時はアタシがアリスちゃんを守るわ。ただ、下層の魔物のレベルを実際にその目で見ておいてほしいの」
そう言われ、確かに下層のレベルを一度目にしておいた方がいいかもしれないと思い、アリスはローズと共に第六層に降りることにした。
第六層でまず目にしたのは、古い城内を思わせるような、石造り真っ直ぐな回廊だった。
ローズは回廊を見て、うーん、と首をかしげてしばし悩み、アリスに尋ねる。
「確か、この先は結構な広さのある空間になってるのよね?」
「はい。闘技場のような造りになっているそうです」
このコニア男爵領のダンジョンは流行ってはいないが、挑戦者がいないわけではない。
ダンジョンの情報を冒険者ギルドが買い取っているため、それなりの数の冒険者がこのダンジョンへ入り、情報を冒険者ギルドに売っていた。冒険者ギルドは買い上げた情報を纏め、マップなどにしたりして売っているのだ。
そのため、アリスもこのダンジョンのマップや情報などを冒険者ギルドから仕入れていた。だから、六階層がどういう所なのかを知っていた。
「出現する魔物は、A~B級クラスが一匹ずつランダムで出てくるそうです。ただし、五匹以上斃すと一気に十匹以上の魔物が出現するそうなので、一匹斃したらすぐに闘技場から出た方がいいみたいですね」
アリスの情報に、ローズが「アラ、練習にはおあつらえ向きね」と笑う。
「そうね。それなら、まず戦い方の見本としてアタシが戦うわ。アナタには指一本触らせるつもりはないけど、一応、すぐに撤退できるように警戒はしておいてね」
「はい。わかりました」
そうして、アリスとローズは闘技場に向けて足を踏み出した。
***
「さて、アリスちゃん。よぉく、アタシの戦い方を見ておくのよ!」
「はい、ローズ様!」
足を踏み入れたそこは、いかにも朽ちた古代の円形闘技場といった風情の場所だった。
アリスは闘技場入り口に待機し、ローズは闘技場の真ん中まで足を進める。そして、真ん中まで差し掛かったところで、数メートル先に魔法陣が浮かび上がり、魔物が出現した。
「アラ、いかにもといった感じね」
出現した魔物は、獅子と山羊、そしてドラゴンの頭を持ち、尾が蛇の三つ首の化け物、キマイラだ。
キマイラが威嚇の唸り声をあげてローズを見つめる。対するローズは薄っすらと笑みを浮かべ、余裕の表情だ。
「さあ、遊んであげるわ、子猫ちゃん!」
「グギャォォォォォォ!!」
ローズの挑発を合図に、両者は駆けだした。
キマイラの剛腕が空気を切り裂き迫るが、ローズはそれを難なく避けて獅子の横面に拳を叩き込む。
しかし、その拳に嚙みつこうとドラゴンの頭が牙をむく。
すぐさま拳を引き戻そうとするが、それは少し遅く、そのまま噛みつかれそうになり――愛と情熱の大精霊は己の拳を燃やした。
驚いたドラゴンの頭は慌てて身を引き、両者は距離を取った。
「アリスちゃん、今のは見ていたわね! 情熱の炎は攻撃以外にも、こうして不意を突いた防御としても使えるから、覚えておいてね!」
愛と情熱――もとい、炎の大精霊たるローズや、その契約者であるアリスは炎を自在に操れるため、炎を身に纏っても怪我をすることはない。それどころか、自分が操る炎であれば、髪や服も燃えないのだ。
キマイラは炎を纏う拳を警戒してこちらに対して唸るだけだった。しかし、強い魔物は頭がいい。ローズの炎が自身に決定的な傷をつける程の威力は無いと看破し、襲い掛かってきた。
だが、それもローズは想定していた。
すぅぅ、とローズが息を吸うと同時に、腕の筋肉に力が張る。そして――
「我が情熱、その身に受けるがいい!」
炎が白く燃え上がる。
「≪炎熱極拳≫!!」
ルビと地の文が明らかに合っていないだろう技は、獅子の頭を吹き飛ばし、その余波で二つの頭も吹き飛ばした。
どう、と重い音を立ててキマイラの躯が闘技場の床に転がる。そして、その体は魔素の塊と化して散ってゆき、後にはドロップアイテムであるキマイラの皮が残った。
ローズはドロップアイテムを拾い上げ、アリスに「あげるわ」と言って渡す。
「え、でも……」
「ほら、アタシにかかる生活費がわりにでもしてちょうだい」
それに、毛皮って好みじゃないのよねぇ、とローズは逞しい肩を竦める。
「気になるなら、アタシに似合いそうなものでもドロップしたら、それをくれたらいいわよ」
そう言って笑うが、実のところ、精霊はあまり物欲がない。なにせ、自然の中から誕生し、その中で生きる存在である。物は邪魔にしかならない。せいぜい、身を飾るような物しか持たないのだ。
アリスはローズの厚意をありがたく受け取り、このドロップアイテムを売ったお金でローズに似合いそうなアクセサリーを買おうと思った。人間社会での買い物は精霊のローズでは難しく、人間のアリスだからできることだ。これもまた、金銭の循環の一つであり、持ちつ持たれつというものだろう。
そうしてローズと話しているうちに、二体目の魔物が現れる。
アリスはすぐに安全圏まで退避し、ローズは魔物に向き直る。
見取り稽古の第二戦が始まった。
さて、突然だが、ここで一つ精霊の性格の特徴を記したいと思う。
実は精霊には属性ごとに性格の特徴というものがあった。
水の精霊であれば慈しみぶかく、寛容だが、怒れば手が付けられなく、全てを台無しにするような怒り方をする。
風の精霊は気まぐれで、ひとところに留まることはなく、悪戯好きだ。
大地の精霊はのんびり屋だが、活発に動き出したら、周りを巻き込むような大騒動を起こす。
そして火の精霊は明るく活発で、好戦的な性格であり、夢中になると周りが見えなくなることがある。
――そう。ローズもまた、そんな火の精霊の性質を持つ大精霊だったのだ。
「≪大炎獄殺陣≫!!」
「うわぁ……」
アリスは安全圏から、ローズの暴走を遠い目をしながら見守る。
ローズは炎の大精霊だ。彼女ももちろん、同類たる火の精霊の性質を持っていた。
最初は良かったのだ。ローズは順調にアリスに戦い方を教えるべく魔物を一匹ずつ狩っていた。しかし、四匹目あたりから怪しくなっていっていた。
好戦的な性質のままに、彼女は魔物を屠るのにテンションが上がって行き、ついに五匹目を斃した後、それが爆発した。
「魔物の大量発生でテンションがふり切れちゃったのね……」
一匹ずつ現れていた魔物だったが、六戦目でいきなり二十匹もの魔物が現れ、ローズは興奮のままに高笑いを上げ、大火力で魔物達を滅殺した。
それまでローズの強さに純粋に凄いと瞳を輝かせていたアリスだったが、流石にAランク相当の魔物達が炎に呑まれて炭と化していく光景を見れば顔が引きつる。もしかして、戦うのが楽しくてある意味我を忘れていらっしゃるのでは?
アリスはローズの状況をすぐさま察し、己の身を守るべく更なる安全圏へと退避した。
それからはもう、ローズだけが楽しいキャンプファイヤーの始まりである。
魔物達は出現する傍から次々に炎に呑まれ、ドロップしたアイテムは炭と化し、地獄絵図の真ん中でゴリマッチョオネェが高笑いしている。地獄に咲く薔薇があるのなら、きっとローズくらい逞しいのだろう。
アリスはドロップした高級肉が炭と化すのを見ながら、己の唇の端が引きつるのを感じた。
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