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1巻
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「あら、アレッタから?」
先代当主夫人のポーリーンがおっとりと小首を傾げた。
「はい。ベルクハイツ子爵はお元気です、と。それから、怪我に気をつけて、とのことです」
「あらあら、まあまあ」
嬉しそうにポーリーンが微笑み、他の者もくすり、と笑う。
そして礼を言った後、ベルクハイツ夫人がポツリと呟く。
「あの子も元気そうで良かったわ」
その言葉には娘に他を気にかける余裕があって良かったという安堵が含まれていた。
***
晩餐が終わり、マデリーンが部屋に戻ると、期待で目を輝かせたメアリーが待機していた。
「晩餐はいかがでしたか?」
「そうねぇ……。悪くはなかったんだけど、グレゴリー様とはあまりお話しできなかったわ」
グレゴリーとはあの後も、あまり話をしなかったのだ。
「まあ、お疲れみたいだったので仕方ないわ。なんといっても、今日は魔物の氾濫を治めたそうだし」
「ああ、それは仕方ないかもしれませんねぇ……」
他の兄弟は平然としていたことや、疲れの主な原因がお説教であろうことは黙っておく。
「お顔は悪くなかったわね。多少強面かもしれないけど、戦士ですもの。王都の貴公子風だったら逆に違和感があったかもね」
「ベルクハイツ家の方ですものね」
強面を超えて覇者の風格を纏っていたが、その程度、マデリーンの矜持を以てすれば、動揺することではない。
「取りあえず、明日はゆっくりお話の場を設けてくださるそうだし、全てはそれからね。もしかすると町に出るかもしれないから、そのつもりでいてちょうだい」
「はい、承知いたしました」
そうして、マデリーンはバスルームで汗を流し、眠りについたのであった。
***
次の日の目覚めは、なかなか良いものだった。
マデリーンはすっきりと目が覚めたし、ナチュラルメイクという名の完全武装のノリも良い。天気は快晴、絶好の散策日和である。
「なかなか良い日になりそうね」
マデリーンの機嫌は良く、体調も万全だ。
彼女は部屋で朝食を済ませ、その後でグレゴリーと改めて顔を合わせた。
彼は良家の子息らしく小ざっぱりとした仕立ての良い服を着ていたが、どう見ても武人の顔が前に出ており、受ける印象は『怖そうな人』だ。
対するマデリーンは柔らかな色合いのドレスを着こなし、意識して優しく微笑めば、良家の子女を超えてお姫様に見える。
まさに、美女と野獣。
そんな二人が向き合って話す内容は、グレゴリーの妹であり、マデリーンの後輩であるアレッタのことであった。
「それでアレッタさんったら、手合わせの際、思わず相手の武器をへし折ってしまったんですって。力加減が難しい、って嘆いていらっしゃいましたわ」
「ああ、学園で領外の人間を相手にすると、最初は必ずやる……んです」
一応和やかに話しているが、グレゴリーはあまり口数が多いほうではなく、少し戸惑いを滲ませていた。普段とは違う話し方をしているのかもしれない。何やら丁寧に話そうとする努力の影がちらつくのだ。
「グレゴリー様。喋りやすい話し方をしていただいても大丈夫ですわよ? 武人の妻になるのですもの、多少荒々しい口調でも気にしませんわ」
マデリーンがそう言って微笑むと、彼はしばし視線を彷徨わせた後、ほんの少し情けない顔になる。
「そうさせてもらえると、助かる」
やはり無理をしていたらしい。
「その、俺はまさか貴女のような淑女と婚約するとは夢にも思っていなかったので、あまりマナーがなっていない。不快に思うことがあったら、遠慮なく言ってほしい」
「分かりましたわ」
己に非があれば言ってほしいなどと、歩み寄る気持ちがあるだけ素晴らしい。
元の婚約者であったシルヴァンのあんぽんたんは、最終的に何を言っても鼻で嗤って蔑んだ目で見てきたのだ。アレとは天と地の差がある。否、比べるのも失礼だ。
良い関係を築きたいものだとさらに微笑むと、グレゴリーも肩の力を抜き、先程まで重かった口を開いた。
「正直、貴女みたいな可憐な方と婚約をすることができてとても嬉しく思っている。ずっと武術一辺倒だったので、気の利いたことは言えないし、やることも外れているかもしれない。ただ、貴女を大切にしたいと心から思っている。だから、どうか、これからよろしく頼む」
「え、あ、はい……」
マデリーンは、なんの前触れもなく火炎弾を撃ち込まれたかのような衝撃を受けた。
誰だ、口数が少ないと思ったのは。いきなり口説かれたぞ。
マデリーンは鉄壁の微笑みの下で動揺する。
彼女は今まで様々な人間と接してきた。口では調子の良いことを言いながら心では蔑んでいる人達、あからさまなおべっかで媚びる誰か。
そういう人間に囲まれて育ったが故に、人を見る目が肥えている。
よって、目の前の男が本気でマデリーンとの婚約を、アルベロッソ家の娘ではなく、マデリーン個人との婚約を喜んでおり、大切にしたいと思っていることを察した。
「さしあたって、貴女のことを知りたいし、俺のことを知ってほしい。貴女は何を好むのか、何を嫌うのか、絶対にしてほしくないことは何か。俺は、貴女に嫌われたくない。だから、教えてほしい」
「あ、はい。えっと……」
マデリーンにとって、未だかつてない事態である。
真摯に、真剣に、口説かれている。しかも、これは無自覚に違いない。
この武術一辺倒の御仁は、正しくそういう人間だろう。裏などなく、腹芸ができず、真っ向から勝負する人間。
そう、真っ向から勝負されているのである。マデリーンを手に入れるために。
「あの……」
「なんだ?」
グレゴリーの表情はあまり変わらない。
しかし、その瞳だけは熱く、甘かった。
遭遇したことのないタイプの男を前に、マデリーンの分厚い淑女の仮面がぐらついていた。
第三章
グレゴリーは己が気の利かないつまらない男であることを自覚している。そのため、マデリーンに対し、なるべく紳士的に振る舞おうと考えていた。
彼女に許しを貰い、口調こそ武人らしく荒いものの、丁寧に大切に接しようとする態度は変えていない。
さて、二人は午前中は屋敷で話をし、そのまま共に昼食を摂った。
「その、午後なんだが、良ければ町を案内したい」
「まあ、嬉しいですわ」
マデリーンとしては、ベルクハイツ領の町は大いに気になっている。
なんせ、あの『深魔の森』の側にある町であり、その環境に負けない人々が暮らす力強い土地だ。馬車で町中を通ったが、それだけで分かるはずもなく、どういう雰囲気の町なのか、自分の知る町とはどう違うのか知りたかった。
付き合いではなく本当に喜ぶ彼女に、グレゴリーも安堵したように小さく微笑む。
そうして取り付けられたデートの誘い。メアリーが張り切ってマデリーンを飾り立て、見事に清楚で美しい令嬢を作り上げる。
支度が終わり、マデリーンが玄関ホールへ向かうと、既にグレゴリーが待っていた。
二人は揃って馬車へ乗り込み、町に出かける。
町へ着くと徒歩で散策に繰り出したが、二人きりというわけではない。当然、離れた場所にマデリーンが連れて来たアルベロッソ家の護衛騎士がついてきていた。
グレゴリーを見た瞬間に騎士達が一瞬浮かべた、俺達は必要なのだろうかと言わんばかりの表情に、マデリーンは思わず噴き出しそうになる。
そうやってマデリーンはグレゴリーとあちこち歩きまわったのだが、まず感じたことは、領主一家の人気の程であった。
「あれ? グレゴリー様だ!」
「グレゴリー様、今日はお休みですか?」
行く先々で声をかけられる。グレゴリーは言葉を返すことこそ少ないが、軽く手を上げてその声に応えていた。
「グレゴリー様は人気者ですのね」
「いや、ちょっと顔を知られているだけだ」
マデリーンの言葉に、彼は少し困った顔になる。
「ベルクハイツ家というだけで、目立つからな」
「あら。でも、嫌な人だと声はかけませんわよ」
マデリーンはにっこり笑って言葉を重ねた。
「グレゴリー様が民にとって、好ましい人間でいらっしゃる証拠ですね」
「……ありがとう」
グレゴリーは視線を彷徨わせ、ポリポリと頬を掻いてそっぽを向く。
一瞬怒らせたかと思ったが、耳が赤くなっているのを見てマデリーンは照れているのだと気づいた。
何やら一矢報いた気がして、にっこりと微笑む。
しかし、マデリーンのその余裕もすぐに失われることになった。
「グレゴリー様の隣にいる方はどなただ?」
「もしかして、あのご令嬢は……」
グレゴリーを見つけたら、当然側にいる人間も目に入る。町の住人達の関心は、グレゴリーと親しげに話す女性に移った。
「美人だ」
「見ろ、ほっそいな~」
視線の中にはぶしつけなものもあるが、彼女にはよくあることなので無視する。
しかし、そのぶしつけな視線を大きな影が遮った。
「そろそろ行こう」
グレゴリーだ。
エスコートするように手を差し出され、マデリーンはそっとその手に自分の手を乗せた。
そのまま寄り添うように歩き出すと、しばらくしてグレゴリーが口を開く。
「……申し訳ない。俺は、少し心が狭いのかもしれない」
「え?」
「貴女が他の男の目に留まるのが面白くなかった」
「っ!?」
突然飛んできた豪速球に、マデリーンは微笑みの仮面を張りつけたまま固まったのだった。
***
ベルクハイツ領の町は、高い城壁で囲まれている。魔物から領民を守るためのそれは、他の町のものより高く、分厚い。
その城壁の上に、マデリーンとグレゴリーはいた。
「ここからだと町が一望できるし、『深魔の森』も少しだが見ることができる」
「まあ、素晴らしいですわね」
普通なら女性を連れてくるような場所ではないのだが、マデリーンは興味津々で辺りを見回した。
城壁の外を見れば、荒野が広がっており、大地には所々穴が開いている。
「戦っていると、魔法が着弾したり、大地を叩き割ってしまったりするから、外はかなり凸凹している。昔は地均しをしていたらしいんだが、きりがないから酷い所だけ均して、後はそのまま戦っている」
「これでは馬を走らせるのは難しいのではありませんの?」
大地を割るってなんだ、とは思ったものの、マデリーンは綺麗にスルーした。その代わり、気になったことを質問してみる。
その質問に、グレゴリーが頷く。
「ああ。確かに難しいから、馬に乗って戦うことはない。兵も将も自分の足で走って戦うんだ。馬を使うのは全てが終わって、屠った魔物を回収する時だな。魔法使いが魔法で地均しして何本か道を作り、そこを馬で荷車を引くんだ」
「まあ……」
戦場で馬を使えないというのは、不利だ。しかし、それでやっていけているのだから凄いし、この領の兵達の頑強さが窺える。
感心したように何度も頷く彼女にグレゴリーが優しげな眼差しを向けていたことに、マデリーンは気づかなかった。
二人は次に城壁内に視線を移す。
城壁内の町は碁盤の目状に綺麗に整備されており、目立つのは砦へ繋がる三つの幅の広い大通りである。
「あの大通りの真ん中のブロックの色が違うのが分かるだろうか?」
「あら? そうですわね、他は砂色なのに、真ん中だけ赤味の強い茶色のブロックですね」
大通りには二色のブロックが敷かれていた。砂色のものと、赤茶色のものである。
「あの赤茶色のブロックの部分は、緊急時に馬を走らせる道なんだ。だから、基本的にあの部分は空けておかなくてはならない」
「なるほど。合理的ですわね」
見ていると、確かに人や馬車は横切る以外その道に入ろうとはせず、横切る時も小走りになったりして急いでその場を離れている。それぞれが気を遣っているみたいだ。
「魔物の氾濫が起きた時、あそこを伝令の馬が走ったり、砦に向かったりする」
つまり、あの道は町の生命線の一つなのだろう。
領民もそれをよく分かっているので、あの道をなるべく空けておくよう個々が注意しているのだ。
「……強い町ですわね」
この町に住む全ての住民が、常に命の危険と向き合い、それでもこの地を離れず生きている。
この地に生きる者は、全てが運命共同体だ。
マデリーンは町の人々から声を掛けられるグレゴリーの姿を思い出す。
町の人間全てが戦士達の勝利を信じてこの地で暮らしているのだ。心の距離は他の町の領主達とは比べものにならないくらい近い。
「皆、戦友ですのね」
きっと領民と兵や、グレゴリー達領主一家の繋がりは、その表現が相応しいだろう。
そんなマデリーンの言葉を聞き、グレゴリーは誇らしげに微笑んだ。
そうして町の様子を城壁の上から眺め区画の説明をしてもらっていると、兵士が申し訳なさそうに近づいてきた。
「あの、申し訳ありません、グレゴリー様。ちょっと、よろしいでしょうか?」
「ん? すまない、マデリーン殿。少し外すが、良いだろうか?」
「ええ、大丈夫ですわ。行ってらして」
そうして少しばかり距離を開けて兵士と話すグレゴリーを見ていると、彼の雰囲気が少し苛立たしげなものになる。
醸し出されるその迫力に、兵士や護衛騎士達の肩が跳ねたが、マデリーンはしれっとした顔で佇んでいた。
何やら護衛騎士から、「マジかよ」と言わんばかりの視線を貰っているが、それは華麗にスルーする。
気の小さい人達ねと思っていたのだが、苛立つグレゴリーの前で平静でいられる令嬢はそうはいないことを、彼女は気づいていない。
兵士との話し合いが終わり、グレゴリーが戻ってきた。その表情は少しばかり難しげなものになっている。
「すまない、マデリーン殿。今日の町の散策はできれば中止したい」
「あら、なぜですの?」
マデリーンの質問に、彼はほんの少し眉を下げた。
「実は、どうも怪しげな連中が町で見られるようになり、子供や女性が数人行方知れずになっているそうなんだ」
「まあ……」
特に若い女性が狙われているので心配だから屋敷に戻ってほしい、とグレゴリーが言う。
「どこでどう情報がねじ曲がるのか、この町を無法者の町と思って流れてくる悪党が時々いるんだ。そういう連中はとにかく厄介だから、マデリーン殿には安全な場所にいてほしい」
「そうですわね……」
ここでマデリーンが我儘を言いグレゴリー達の手を煩わせるのは悪手だ。こういう時の非戦闘員は専門家の指示に従うべきである。
「では、今日のところは帰りましょうか」
「ああ。折角の外出なのに、申し訳ない」
謝るグレゴリーに、マデリーンは首を横に振った。
「いいえ、楽しゅうございましたわ。それに、これきり、というわけではありませんでしょう?」
「ああ。不届き者を捕らえたら、また必ず町を案内する」
その言葉を聞き、にっこりと微笑む。
「楽しみにしていますわ」
引くべき時は引き、次の機会を待つと言った彼女に、グレゴリーもまた目元を緩ませるのだった。
***
「――まあ、そうでしたか。残念でしたね、お嬢様」
湯浴みを終えて寝巻きに身を包んだマデリーンの世話をしながらそう言ったのは、メアリーだった。
ドレッサーの前に座ったマデリーンは、メアリーに髪を梳られている。
「けれど、ベルクハイツ領の城壁に上ったのは良い経験だったわ。あの『深魔の森』をこの目で見られるとは思っても見なかったもの」
グレゴリーとの町の散策が中断され早めに屋敷に戻ったものの、時間があったため、折角なのでと少しお茶をして、この日のデートは終わったのであった。散策の中断は残念だったが、貴重な体験をしたとマデリーンの機嫌は良い。
そして、夕食を一緒にいただいて湯浴みをし、今に至っている。
「『深魔の森』ですか……。あんな恐ろしい森を見てそうやって笑える令嬢は、お嬢様くらいでしょうねぇ……」
敬愛する主の肝の太さをしみじみと感じ、メアリーは遠い目をした。
「何言ってるの。アレッタはその『深魔の森』に行って魔物を狩り、魔物の氾濫の鎮圧にも参加したことがあるのよ。遠目に見るくらい、なんてことはないわ」
「戦闘訓練を受けたご令嬢と一緒にしないでください」
しれっと言い放つマデリーンに、メアリーは困ったような声で否定する。
マデリーンはそうだろうかと小首を傾げつつも、取りあえず話題を変えることにした。
「それで、メアリーのほうはどうだったの? グレゴリー様に関して、いろんな方からお話を聞いてくると言ってたじゃない」
「あ、はい。そうですねぇ……」
するとメアリーは、何かを思い出すような仕草で話し出す。
「ええっと、まずはベルクハイツ家の方々なんですが、普段は意外と温厚みたいです。長男のゲイル様と次男のバーナード様はもう結婚されていて、別邸で暮らしておいでだそうです。昨日の晩餐は、マデリーン様のことが気になってこちらにいらしたようですよ」
「あら、そうなの? 将来の義兄君達の評価が気になるわね」
くすくすと笑うマデリーンに、メアリーは苦笑した。
「それから、三男のディラン様は未婚だそうで、皆さん最初はお嬢様と婚約するのはディラン様だと思っていたそうですよ」
「まあ」
そう言われ、マデリーンは晩餐で会ったディランを思い出す。
ディランは武門のベルクハイツ家の男らしく体格の良い青年だったが、他の兄弟よりは少し線が細く、多少迫力はあれど顔は女性が好みそうな整い方をしていた。
「ですが、ベルクハイツ夫人がグレゴリー様のほうがお嬢様と相性が良いだろうと仰ったそうで、それでグレゴリー様がお嬢様の婚約者になったそうです」
「そうだったの……」
それを聞き、マデリーンはグレゴリーによって引き起こされた心臓の跳ね具合を思い出す。相性が良いというより、彼は心臓に悪い御仁である。それが相性が良いと言うのだ、というツッコミは受け付けない。
「ちなみに、グレゴリー様は誠実で真面目なお人柄とのことです」
そう言い、メアリーが何かを思い出したかのようにくすり、と笑った。
「なぁに? 笑っちゃって、どうしたの?」
「いえ、それが……」
マデリーンの質問に、笑いながら答える。
「お嬢様との婚約が決まってから、グレゴリー様は暇があればマナーブックを読んだり、淑女のエスコートの仕方を勉強なさっているそうですよ」
「まあ……」
何やら女心をくすぐる可愛らしい情報が出てきたぞ、とマデリーンは頬を緩めた。
「あのアレッタ様のお兄様ですし、良い方なのではないかと思います」
「そうねぇ……」
少なくとも、マデリーンの心を揺らす人であることは間違いなかった。
先代当主夫人のポーリーンがおっとりと小首を傾げた。
「はい。ベルクハイツ子爵はお元気です、と。それから、怪我に気をつけて、とのことです」
「あらあら、まあまあ」
嬉しそうにポーリーンが微笑み、他の者もくすり、と笑う。
そして礼を言った後、ベルクハイツ夫人がポツリと呟く。
「あの子も元気そうで良かったわ」
その言葉には娘に他を気にかける余裕があって良かったという安堵が含まれていた。
***
晩餐が終わり、マデリーンが部屋に戻ると、期待で目を輝かせたメアリーが待機していた。
「晩餐はいかがでしたか?」
「そうねぇ……。悪くはなかったんだけど、グレゴリー様とはあまりお話しできなかったわ」
グレゴリーとはあの後も、あまり話をしなかったのだ。
「まあ、お疲れみたいだったので仕方ないわ。なんといっても、今日は魔物の氾濫を治めたそうだし」
「ああ、それは仕方ないかもしれませんねぇ……」
他の兄弟は平然としていたことや、疲れの主な原因がお説教であろうことは黙っておく。
「お顔は悪くなかったわね。多少強面かもしれないけど、戦士ですもの。王都の貴公子風だったら逆に違和感があったかもね」
「ベルクハイツ家の方ですものね」
強面を超えて覇者の風格を纏っていたが、その程度、マデリーンの矜持を以てすれば、動揺することではない。
「取りあえず、明日はゆっくりお話の場を設けてくださるそうだし、全てはそれからね。もしかすると町に出るかもしれないから、そのつもりでいてちょうだい」
「はい、承知いたしました」
そうして、マデリーンはバスルームで汗を流し、眠りについたのであった。
***
次の日の目覚めは、なかなか良いものだった。
マデリーンはすっきりと目が覚めたし、ナチュラルメイクという名の完全武装のノリも良い。天気は快晴、絶好の散策日和である。
「なかなか良い日になりそうね」
マデリーンの機嫌は良く、体調も万全だ。
彼女は部屋で朝食を済ませ、その後でグレゴリーと改めて顔を合わせた。
彼は良家の子息らしく小ざっぱりとした仕立ての良い服を着ていたが、どう見ても武人の顔が前に出ており、受ける印象は『怖そうな人』だ。
対するマデリーンは柔らかな色合いのドレスを着こなし、意識して優しく微笑めば、良家の子女を超えてお姫様に見える。
まさに、美女と野獣。
そんな二人が向き合って話す内容は、グレゴリーの妹であり、マデリーンの後輩であるアレッタのことであった。
「それでアレッタさんったら、手合わせの際、思わず相手の武器をへし折ってしまったんですって。力加減が難しい、って嘆いていらっしゃいましたわ」
「ああ、学園で領外の人間を相手にすると、最初は必ずやる……んです」
一応和やかに話しているが、グレゴリーはあまり口数が多いほうではなく、少し戸惑いを滲ませていた。普段とは違う話し方をしているのかもしれない。何やら丁寧に話そうとする努力の影がちらつくのだ。
「グレゴリー様。喋りやすい話し方をしていただいても大丈夫ですわよ? 武人の妻になるのですもの、多少荒々しい口調でも気にしませんわ」
マデリーンがそう言って微笑むと、彼はしばし視線を彷徨わせた後、ほんの少し情けない顔になる。
「そうさせてもらえると、助かる」
やはり無理をしていたらしい。
「その、俺はまさか貴女のような淑女と婚約するとは夢にも思っていなかったので、あまりマナーがなっていない。不快に思うことがあったら、遠慮なく言ってほしい」
「分かりましたわ」
己に非があれば言ってほしいなどと、歩み寄る気持ちがあるだけ素晴らしい。
元の婚約者であったシルヴァンのあんぽんたんは、最終的に何を言っても鼻で嗤って蔑んだ目で見てきたのだ。アレとは天と地の差がある。否、比べるのも失礼だ。
良い関係を築きたいものだとさらに微笑むと、グレゴリーも肩の力を抜き、先程まで重かった口を開いた。
「正直、貴女みたいな可憐な方と婚約をすることができてとても嬉しく思っている。ずっと武術一辺倒だったので、気の利いたことは言えないし、やることも外れているかもしれない。ただ、貴女を大切にしたいと心から思っている。だから、どうか、これからよろしく頼む」
「え、あ、はい……」
マデリーンは、なんの前触れもなく火炎弾を撃ち込まれたかのような衝撃を受けた。
誰だ、口数が少ないと思ったのは。いきなり口説かれたぞ。
マデリーンは鉄壁の微笑みの下で動揺する。
彼女は今まで様々な人間と接してきた。口では調子の良いことを言いながら心では蔑んでいる人達、あからさまなおべっかで媚びる誰か。
そういう人間に囲まれて育ったが故に、人を見る目が肥えている。
よって、目の前の男が本気でマデリーンとの婚約を、アルベロッソ家の娘ではなく、マデリーン個人との婚約を喜んでおり、大切にしたいと思っていることを察した。
「さしあたって、貴女のことを知りたいし、俺のことを知ってほしい。貴女は何を好むのか、何を嫌うのか、絶対にしてほしくないことは何か。俺は、貴女に嫌われたくない。だから、教えてほしい」
「あ、はい。えっと……」
マデリーンにとって、未だかつてない事態である。
真摯に、真剣に、口説かれている。しかも、これは無自覚に違いない。
この武術一辺倒の御仁は、正しくそういう人間だろう。裏などなく、腹芸ができず、真っ向から勝負する人間。
そう、真っ向から勝負されているのである。マデリーンを手に入れるために。
「あの……」
「なんだ?」
グレゴリーの表情はあまり変わらない。
しかし、その瞳だけは熱く、甘かった。
遭遇したことのないタイプの男を前に、マデリーンの分厚い淑女の仮面がぐらついていた。
第三章
グレゴリーは己が気の利かないつまらない男であることを自覚している。そのため、マデリーンに対し、なるべく紳士的に振る舞おうと考えていた。
彼女に許しを貰い、口調こそ武人らしく荒いものの、丁寧に大切に接しようとする態度は変えていない。
さて、二人は午前中は屋敷で話をし、そのまま共に昼食を摂った。
「その、午後なんだが、良ければ町を案内したい」
「まあ、嬉しいですわ」
マデリーンとしては、ベルクハイツ領の町は大いに気になっている。
なんせ、あの『深魔の森』の側にある町であり、その環境に負けない人々が暮らす力強い土地だ。馬車で町中を通ったが、それだけで分かるはずもなく、どういう雰囲気の町なのか、自分の知る町とはどう違うのか知りたかった。
付き合いではなく本当に喜ぶ彼女に、グレゴリーも安堵したように小さく微笑む。
そうして取り付けられたデートの誘い。メアリーが張り切ってマデリーンを飾り立て、見事に清楚で美しい令嬢を作り上げる。
支度が終わり、マデリーンが玄関ホールへ向かうと、既にグレゴリーが待っていた。
二人は揃って馬車へ乗り込み、町に出かける。
町へ着くと徒歩で散策に繰り出したが、二人きりというわけではない。当然、離れた場所にマデリーンが連れて来たアルベロッソ家の護衛騎士がついてきていた。
グレゴリーを見た瞬間に騎士達が一瞬浮かべた、俺達は必要なのだろうかと言わんばかりの表情に、マデリーンは思わず噴き出しそうになる。
そうやってマデリーンはグレゴリーとあちこち歩きまわったのだが、まず感じたことは、領主一家の人気の程であった。
「あれ? グレゴリー様だ!」
「グレゴリー様、今日はお休みですか?」
行く先々で声をかけられる。グレゴリーは言葉を返すことこそ少ないが、軽く手を上げてその声に応えていた。
「グレゴリー様は人気者ですのね」
「いや、ちょっと顔を知られているだけだ」
マデリーンの言葉に、彼は少し困った顔になる。
「ベルクハイツ家というだけで、目立つからな」
「あら。でも、嫌な人だと声はかけませんわよ」
マデリーンはにっこり笑って言葉を重ねた。
「グレゴリー様が民にとって、好ましい人間でいらっしゃる証拠ですね」
「……ありがとう」
グレゴリーは視線を彷徨わせ、ポリポリと頬を掻いてそっぽを向く。
一瞬怒らせたかと思ったが、耳が赤くなっているのを見てマデリーンは照れているのだと気づいた。
何やら一矢報いた気がして、にっこりと微笑む。
しかし、マデリーンのその余裕もすぐに失われることになった。
「グレゴリー様の隣にいる方はどなただ?」
「もしかして、あのご令嬢は……」
グレゴリーを見つけたら、当然側にいる人間も目に入る。町の住人達の関心は、グレゴリーと親しげに話す女性に移った。
「美人だ」
「見ろ、ほっそいな~」
視線の中にはぶしつけなものもあるが、彼女にはよくあることなので無視する。
しかし、そのぶしつけな視線を大きな影が遮った。
「そろそろ行こう」
グレゴリーだ。
エスコートするように手を差し出され、マデリーンはそっとその手に自分の手を乗せた。
そのまま寄り添うように歩き出すと、しばらくしてグレゴリーが口を開く。
「……申し訳ない。俺は、少し心が狭いのかもしれない」
「え?」
「貴女が他の男の目に留まるのが面白くなかった」
「っ!?」
突然飛んできた豪速球に、マデリーンは微笑みの仮面を張りつけたまま固まったのだった。
***
ベルクハイツ領の町は、高い城壁で囲まれている。魔物から領民を守るためのそれは、他の町のものより高く、分厚い。
その城壁の上に、マデリーンとグレゴリーはいた。
「ここからだと町が一望できるし、『深魔の森』も少しだが見ることができる」
「まあ、素晴らしいですわね」
普通なら女性を連れてくるような場所ではないのだが、マデリーンは興味津々で辺りを見回した。
城壁の外を見れば、荒野が広がっており、大地には所々穴が開いている。
「戦っていると、魔法が着弾したり、大地を叩き割ってしまったりするから、外はかなり凸凹している。昔は地均しをしていたらしいんだが、きりがないから酷い所だけ均して、後はそのまま戦っている」
「これでは馬を走らせるのは難しいのではありませんの?」
大地を割るってなんだ、とは思ったものの、マデリーンは綺麗にスルーした。その代わり、気になったことを質問してみる。
その質問に、グレゴリーが頷く。
「ああ。確かに難しいから、馬に乗って戦うことはない。兵も将も自分の足で走って戦うんだ。馬を使うのは全てが終わって、屠った魔物を回収する時だな。魔法使いが魔法で地均しして何本か道を作り、そこを馬で荷車を引くんだ」
「まあ……」
戦場で馬を使えないというのは、不利だ。しかし、それでやっていけているのだから凄いし、この領の兵達の頑強さが窺える。
感心したように何度も頷く彼女にグレゴリーが優しげな眼差しを向けていたことに、マデリーンは気づかなかった。
二人は次に城壁内に視線を移す。
城壁内の町は碁盤の目状に綺麗に整備されており、目立つのは砦へ繋がる三つの幅の広い大通りである。
「あの大通りの真ん中のブロックの色が違うのが分かるだろうか?」
「あら? そうですわね、他は砂色なのに、真ん中だけ赤味の強い茶色のブロックですね」
大通りには二色のブロックが敷かれていた。砂色のものと、赤茶色のものである。
「あの赤茶色のブロックの部分は、緊急時に馬を走らせる道なんだ。だから、基本的にあの部分は空けておかなくてはならない」
「なるほど。合理的ですわね」
見ていると、確かに人や馬車は横切る以外その道に入ろうとはせず、横切る時も小走りになったりして急いでその場を離れている。それぞれが気を遣っているみたいだ。
「魔物の氾濫が起きた時、あそこを伝令の馬が走ったり、砦に向かったりする」
つまり、あの道は町の生命線の一つなのだろう。
領民もそれをよく分かっているので、あの道をなるべく空けておくよう個々が注意しているのだ。
「……強い町ですわね」
この町に住む全ての住民が、常に命の危険と向き合い、それでもこの地を離れず生きている。
この地に生きる者は、全てが運命共同体だ。
マデリーンは町の人々から声を掛けられるグレゴリーの姿を思い出す。
町の人間全てが戦士達の勝利を信じてこの地で暮らしているのだ。心の距離は他の町の領主達とは比べものにならないくらい近い。
「皆、戦友ですのね」
きっと領民と兵や、グレゴリー達領主一家の繋がりは、その表現が相応しいだろう。
そんなマデリーンの言葉を聞き、グレゴリーは誇らしげに微笑んだ。
そうして町の様子を城壁の上から眺め区画の説明をしてもらっていると、兵士が申し訳なさそうに近づいてきた。
「あの、申し訳ありません、グレゴリー様。ちょっと、よろしいでしょうか?」
「ん? すまない、マデリーン殿。少し外すが、良いだろうか?」
「ええ、大丈夫ですわ。行ってらして」
そうして少しばかり距離を開けて兵士と話すグレゴリーを見ていると、彼の雰囲気が少し苛立たしげなものになる。
醸し出されるその迫力に、兵士や護衛騎士達の肩が跳ねたが、マデリーンはしれっとした顔で佇んでいた。
何やら護衛騎士から、「マジかよ」と言わんばかりの視線を貰っているが、それは華麗にスルーする。
気の小さい人達ねと思っていたのだが、苛立つグレゴリーの前で平静でいられる令嬢はそうはいないことを、彼女は気づいていない。
兵士との話し合いが終わり、グレゴリーが戻ってきた。その表情は少しばかり難しげなものになっている。
「すまない、マデリーン殿。今日の町の散策はできれば中止したい」
「あら、なぜですの?」
マデリーンの質問に、彼はほんの少し眉を下げた。
「実は、どうも怪しげな連中が町で見られるようになり、子供や女性が数人行方知れずになっているそうなんだ」
「まあ……」
特に若い女性が狙われているので心配だから屋敷に戻ってほしい、とグレゴリーが言う。
「どこでどう情報がねじ曲がるのか、この町を無法者の町と思って流れてくる悪党が時々いるんだ。そういう連中はとにかく厄介だから、マデリーン殿には安全な場所にいてほしい」
「そうですわね……」
ここでマデリーンが我儘を言いグレゴリー達の手を煩わせるのは悪手だ。こういう時の非戦闘員は専門家の指示に従うべきである。
「では、今日のところは帰りましょうか」
「ああ。折角の外出なのに、申し訳ない」
謝るグレゴリーに、マデリーンは首を横に振った。
「いいえ、楽しゅうございましたわ。それに、これきり、というわけではありませんでしょう?」
「ああ。不届き者を捕らえたら、また必ず町を案内する」
その言葉を聞き、にっこりと微笑む。
「楽しみにしていますわ」
引くべき時は引き、次の機会を待つと言った彼女に、グレゴリーもまた目元を緩ませるのだった。
***
「――まあ、そうでしたか。残念でしたね、お嬢様」
湯浴みを終えて寝巻きに身を包んだマデリーンの世話をしながらそう言ったのは、メアリーだった。
ドレッサーの前に座ったマデリーンは、メアリーに髪を梳られている。
「けれど、ベルクハイツ領の城壁に上ったのは良い経験だったわ。あの『深魔の森』をこの目で見られるとは思っても見なかったもの」
グレゴリーとの町の散策が中断され早めに屋敷に戻ったものの、時間があったため、折角なのでと少しお茶をして、この日のデートは終わったのであった。散策の中断は残念だったが、貴重な体験をしたとマデリーンの機嫌は良い。
そして、夕食を一緒にいただいて湯浴みをし、今に至っている。
「『深魔の森』ですか……。あんな恐ろしい森を見てそうやって笑える令嬢は、お嬢様くらいでしょうねぇ……」
敬愛する主の肝の太さをしみじみと感じ、メアリーは遠い目をした。
「何言ってるの。アレッタはその『深魔の森』に行って魔物を狩り、魔物の氾濫の鎮圧にも参加したことがあるのよ。遠目に見るくらい、なんてことはないわ」
「戦闘訓練を受けたご令嬢と一緒にしないでください」
しれっと言い放つマデリーンに、メアリーは困ったような声で否定する。
マデリーンはそうだろうかと小首を傾げつつも、取りあえず話題を変えることにした。
「それで、メアリーのほうはどうだったの? グレゴリー様に関して、いろんな方からお話を聞いてくると言ってたじゃない」
「あ、はい。そうですねぇ……」
するとメアリーは、何かを思い出すような仕草で話し出す。
「ええっと、まずはベルクハイツ家の方々なんですが、普段は意外と温厚みたいです。長男のゲイル様と次男のバーナード様はもう結婚されていて、別邸で暮らしておいでだそうです。昨日の晩餐は、マデリーン様のことが気になってこちらにいらしたようですよ」
「あら、そうなの? 将来の義兄君達の評価が気になるわね」
くすくすと笑うマデリーンに、メアリーは苦笑した。
「それから、三男のディラン様は未婚だそうで、皆さん最初はお嬢様と婚約するのはディラン様だと思っていたそうですよ」
「まあ」
そう言われ、マデリーンは晩餐で会ったディランを思い出す。
ディランは武門のベルクハイツ家の男らしく体格の良い青年だったが、他の兄弟よりは少し線が細く、多少迫力はあれど顔は女性が好みそうな整い方をしていた。
「ですが、ベルクハイツ夫人がグレゴリー様のほうがお嬢様と相性が良いだろうと仰ったそうで、それでグレゴリー様がお嬢様の婚約者になったそうです」
「そうだったの……」
それを聞き、マデリーンはグレゴリーによって引き起こされた心臓の跳ね具合を思い出す。相性が良いというより、彼は心臓に悪い御仁である。それが相性が良いと言うのだ、というツッコミは受け付けない。
「ちなみに、グレゴリー様は誠実で真面目なお人柄とのことです」
そう言い、メアリーが何かを思い出したかのようにくすり、と笑った。
「なぁに? 笑っちゃって、どうしたの?」
「いえ、それが……」
マデリーンの質問に、笑いながら答える。
「お嬢様との婚約が決まってから、グレゴリー様は暇があればマナーブックを読んだり、淑女のエスコートの仕方を勉強なさっているそうですよ」
「まあ……」
何やら女心をくすぐる可愛らしい情報が出てきたぞ、とマデリーンは頬を緩めた。
「あのアレッタ様のお兄様ですし、良い方なのではないかと思います」
「そうねぇ……」
少なくとも、マデリーンの心を揺らす人であることは間違いなかった。
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