入れたいのに入れたいのに入れたいのに「ピュルッ」と出てしまう「元ショタ勇者」の物語

人外倫理

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第二部

ポチタロウと、糸目の男:6

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 僕は(主にサラに言われた言葉で)ヘロヘロになりながら(スーに尻尾を支えてもらいながら)なんとか立っている状態で・・・。



 糸目の男の話を「聞き続けることをやめる」ことにした。これ以上は、耐えられない気がした。



 僕はこの男に「用件がなんなのか?」を再度、聞いてみることを決意した。



 ここまで僕は(より多くの情報を知る為に)糸目に(なるべく)しゃべりたいように、しゃべらせてきた。隙あらば質問をして、さらなる情報を得ようとした。そうしながら、この男が「てこ入れ」について、語り出すのを待っていた。


 
 でも糸目は、肝心の「用件」であろう「てこ入れ」については、ちぃーーーーーっとも話し始めようとしなかった。



 「数字が落ちている」という話から「それを回復させる為」に、この糸目が「何か新しいこと」を、始めようとしている・・・。僕は「てこ入れ」について、そんな当たりを付けていた。



 その「糸目が始めようとしていること」について、僕は知っておきたかった。(ろくなことは企んでいないだろうから)早くそれを知って、何か対策を練りたかった。



 なのに糸目は、その話題については触れてこなかった。「いかに自分がすごいか?」って話のオンパレードだった。しまいには飲み物まで取り出して、ようやく一息ついたかと思えば、また自慢話をしゃべりだした。それが一区切りすると、今度は僕へのディスリが始まった。



 僕は「人の悪意」に対しては、本当に絹豆腐並みなのだ><。メンタルがモロイのだ><。(魔王を倒してきた今となっては)魔物相手よりも、人間相手の方が苦手なくらいだ。しかも相手は(僕があまり関わり合いになりたくないと思っている)前世がらみの関係者ときていた。



 その「前世関係」の糸目に、スーやサラの(おまけにシルの)前で「早漏だの」「ピュル男」だの言いたい放題にされた。さすがにいいかげん、やめさせたかった。


 
 本当は、もう少し早くに、そうしたかったくらいなんだけど、うまく切り出せずにいた。正直に書いてしまうと「ちょっと怖かった」のだ。



 一番最初にこの男に対して、僕が「用件」を切り出した時に、この糸目は「だから君、早漏なんじゃないの?」などと、言葉を浴びせてきた。



 それを聞いた時は「スーと一緒にイケた」すぐ後だったので、ちょっとだけイラッとするだけで済んだ。あの時、僕は「ちょっと自信が持てた」状態だった。



 でもその後で、状況はガラリと変わってしまった。



 糸目の男の「自信満々な態度」と「悪意のある言葉」の前に、僕はまた自信をなくしかけていた。魔物相手と違って、人間相手だと「言葉」や「感情」で責められるのだ。自信ありげに何かを言われると、どうにも僕は「それが正しいことなのかな?」って思ってしまう部分もある。



 相手(人間)の押しに、僕はとても弱いのだ。それも改めて自覚していた。



 そんな状態だったので、僕は「用件」を聞くことをためらっていた。また「早漏よばわり」されそうで嫌だった。でもさすがに、糸目の自慢話やディスりを聞き続けるのに、うんざりもしていた。



 そこにサラの言葉でトドメを差された感じになって、ほとほと疲れ果てていた僕は、やっと「用件を聞く」ことを決めたのだった。正直少し、ヤケになっていたと思う。



(ポチ公、すまねぇ! さっきのは言い過ぎだった! スーに今、お前の「尻尾が大変なことになってる」って怒られた!)



 そんな僕に、サラから(3コンボの)連絡があった。



ーーーーーー



 糸目の話に、適当にあいずちを打ちながら、僕はサラの話を聞いていった。(さっき、サラ自身の言葉で、ダメージを喰らったばかりだったのに)僕はサラの幼女ボイスに、少しだけ、癒やされた。サラの声は舌っ足らずでなんかクセになるのだ。



 男はまた自慢話に戻りつつ、しゃべっていた・・・。



 僕への非難は、早めに終わってくれたけど、すでに僕はもう、心にかなりのダメージを負っていた。糸目の話を、それ以上、聞く気にはなれなかった。(スーがまだちゃんと、尻尾を支えてくれていたので、僕はあいずちを打つのが、おろそかになりすぎないようにと、ギリギリ注意することができた)



 サラの話によると、さっきのサラの言葉の後で、今までで一番、僕の尻尾がショボショボしているのに、スーが気づいたらしい。僕とサラが何か「会話していたのでは?」と察してくれたスーが(シルごしに)サラに「心当たり」を聞いてきたそうだ。



 そうしてサラは「僕に言ったこと」を告げて、スーに怒られたらしい。「今が一番、危ない、と、思う」・・・って(スーを真似たシルに)サラは、言われたそうだ。



 そうしてサラは、急いで僕に、連絡してきてくれたのだった。



(今すぐ、これだけは、言っておかなきゃ、って思った! 明日太・・・。お前がその・・・ケツに棒、ブッ刺されてようが何しようが、それでも俺様は、お前のことがその・・・超大好きだからな!)
(サラ・・・)



 ケツに棒、ブッ刺されてた・・・とかは、やっぱりちょっと余計な気はしたけど、それでもサラが、僕を好きでいてくれていることが再確認できて、ちょっとだけ元気が出た。



(カッコ悪かった・・・で終わっちまって、悪かった! せめてそれでも大好きだ! ってちゃんと伝えとくべきだったよな? ・・・明日太・・・わりぃ)
(ありがとね、サラ、こんな僕をそれでも好きでいてくれて・・・)



 ・・・サラのフォローが、嬉しくもあったんだけど、自信をなくしていた僕は、少し自嘲気味な言葉しか返せなかった。



 そんな僕に、サラは怒りをぶつけてきた。



(「こんな」なんて言うな! 俺様の大好きなお前を・・・お前自身がバカにすんじゃねぇ!!!!)
(・・・)


 
 何も言えなくなってしまった。自身にまた嫌気が差した。サラは言葉を続けた。



(そんな「ケツの穴の小せえ男」が言いそうな言葉は使うなよ! お前のケツの穴は、棒が出し入れできるくらいに、でっけぇハズだ! ・・・ってか「どんなお前」だって俺様がちゃんと、全部まとめて、愛してやる! 超大好きだ!!! だから・・・めげてんじゃねぇ!!!)



 サラの言い草は、滅茶苦茶だった・・・。



 めげちゃったのは「サラの言葉がトドメ」状態だったし、僕のお尻の穴に関しても(やっぱり変わらず)言いたい放題だった。・・・でも。おかげで何かふっきれた感じはした。



 「超大好きだ!!!」とか「めげてんじゃねぇ!!!」の部分には(幼女ボイスでありながらも)サラの熱い想いがちゃんとこもっていた。無茶苦茶、こもっていた。だから、今度はちゃんと、僕に伝わった。



ー 超大好きだ!!! ー



 その言葉で僕は、ちゃんと、超嬉しくなれた。



ー めげてんじゃねぇ!!! ー



 この言葉に、ちゃんと、勇気をもらった。



 僕の中にも熱い想いが伝播した。サラはやっぱり、僕を乗せるのがうまい。



 そうして僕は「この男に負けてはいけない」って思った理由についても思い当たった。ただ単に、糸目の態度が悪かった・・・ってこと以外にも、原因があったことに気づいた。



 僕はこの糸目に「大切な女の子達を取られてしまうかもしれない」と恐れていたのだ・・・。(「おじいちゃんと会った時」と違って、この糸目はまだ「若さ」を保っていた。僕の大切なみんなの「恋愛対象」にならなくもない気がしていた)



 ・・・なんていうんだろうか? あまりうまくは言えないかもしれないし、これは僕の「妬み」なのかもしれないけど・・・。「自信満々」で「男(僕)から見たらイヤな奴だ」って、思ってしまうような人物が(前世の僕の世界では)女の子によくモテたりしていた。



 そこから僕は「自信」という奴はやっぱり必要なのかな? なんて思ってしまう部分があって・・・でもこんな糸目の男みたいに自信満々で、嫌みったらしい奴にはどうしてもなりたくなくて・・・そこらへんの思いを、うまく処理できていなかったんだと思う。



 でも・・・。サラのおかげで、僕は「僕を好きでいてくれる子」がいることを思い出せた。それだけで十分だった。やっと、自分の中のモヤモヤを「言葉として」処理することができた。



 心に少し、余裕もできた。僕には「僕を支えてくれる素敵な仲間がいる」それも思い出せた。(スーはまだ、僕の尻尾をうまいこと上手に、支えてくれていた)



 ・・・そうするとなんだか、サラに言われた話の内容が、ジワジワと僕にまた、染みこんできた。今度は「またなんか、うまいこと言われてしまった部分」が滑稽に思えて、少し笑ってしまった。確かに僕のお尻の穴は(嬉しくはなくとも・・・)でっかいのだ! 



(もう大丈夫だよ。ありがとね、サラ!)
(おぅ!)



 そうして僕は「ヤケになった状態」ではなくて「ちゃんと冷静に」糸目の男の用件を聞く態勢ができた。僕が「ヤケになった状態で」糸目に話を始める前の、ギリギリのタイミングで、サラは「間に合って」くれた。



ー 用件を聞くこと ー 



 この決定に、変わりはなかったけど、心持ちは随分と違っていた。



ー 大好きな女の子からもらった「大好きだ」って言葉 ー



 それだけで、また頑張れる気がした。



 男の子・・・ってか「僕」なんて、そんなものなのだ。
 


■■■■■■
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ポチタロウと、糸目の男:6


■■■■■■
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 完全に元気になった僕は、これ以上この男に、主導権を握らせたままで、いるつもりはなかった。



 少し考えてから、まだしゃべっている男をさえぎって、大きめな声で、こう言った。



「あの~、凄腕の企画屋さん? そろそろご用件を、伺ってもよろしいでしょうか? 早漏もあれですけど、遅漏も女の子に嫌われるって聞きますよ?」



 丁寧な言葉は崩さず、冷静に。



 でも、逆に、少し怒らせてやろうか? なんて思惑も持ちながら・・・。



 早漏については「男がなかなか用件を切り出さないこと」を遅漏に例えて、予防線を張って・・・。



 そんな上での発言だった。僕は今、この男と同じ土俵に上がっていた。



 「相手の土俵で相撲をとる」なんて、おろかなことだろうし「悪口に悪口で返す」なんてのも、褒められたことではないだろう。「同レベル帯でしか争いは起こらない」なんて言葉もある。



 こんな奴と「同じレベルなんて嫌だ」って思いもあったし、それを盾にして・・・言い訳にして・・・この糸目と直接対峙する怖さから、逃げていた部分もあったと思う。そんなことにも気づけたし、ちゃんと受け止めることができた。



 そんな「くだらない盾」を身につけるより、僕は「みんなの盾でありたい」と思い直せた。目の前のこの男を「乗り越えるべき壁」だって、認識した。「成功した」という部分において、この男の方が「上」だと、認めることができた。



・・・
・・・
・・・。



 僕の話を聞いた糸目は、今まで以上に不機嫌になった。糸目が初めて、怒りで言葉を詰まらせていた。糸目の企画屋に「悪意のある目」で見つめながらも、今度は逆に、少し安心できた。



ー この男には幼稚な部分もある。 ー



 それに気づくこともできた。(安心はしたけど)油断はしないように・・・。僕は、糸目が何かを言い出す前に、言葉を続けた。



「数字を上げる為の、何か、素晴らしいアイデアをお持ちなんですよね? できたらそれを、ご教示いただければと思います。・・・その話が『聞くに値する』価値あるものだと・・・とても嬉しいです」



 今までの糸目の男の話が「聞く価値もなかった」・・・言葉にそんなニュアンスを含ませた。



「・・・この・・・ピュル男が・・・!!!」



 糸目のこめかみに、みるみる血管が浮き上がった。そこまで言って、また言葉に詰まった。僕は追い打ちをかけた。



「リリなら『自慢話は、もういいから、用件は?』ってなことを、言ってたでしょうね? リリも『早漏』ですから・・・」



 リリのことを引き合いに出した。リリの「早漏」を男に告げてやった。(リリは、エッチの最中、僕並みに、すぐにイっちゃったのだ)



 しゃべり続ける中で、糸目の男は、リリの「ハチミツの歌」を引用したことがある。その時は認めたくなくて、この考えは封印してしまっていたのだけれども、この糸目はたぶん、僕の大好きな妖精さん、リリのことが気にかかっているハズだ。



 その「認めたくない仮定」も、受け止めることにした。



 「パンチラ」と言えば「空を飛んでる、リリ」だったし、この男も編集しながら、リリのそれを見てきたハズだ。性的に何も感じることがなければ、それを映像に差し挟んだりはしなかっただろうし、たぶんこの男は「リリ」で抜いたことすらあるだろう。



 ・・・だってリリは、可愛いのだ!



 それ自体は考えるのも嫌だったけど、もし糸目がリリで抜いていたとしても、これまた「今さら」で、今の僕にどうこうできるものではない。リリは可愛いし、パンチラが気になりまくったのは、僕だって同じだった。そんなリリと、エッチなことも(途中までだけど)僕はしたことがあるのだ。



 むしろ「可愛いリリ」に欲情する気持ちはわかってしまった。親近感まで沸きそうになってしまった。・・・でも僕は、そんな想いをすぐにかき消して、この糸目に残酷な事実を教えてやった。



ー 僕とリリは、エッチなことを(途中までだけど)した関係で、リリが早漏なことまで、ちゃんと知っている・・・と。 ー



 映像として、それを見ていたであろう、この糸目に「僕は(この身で)それを知っている」のだと、突きつけてやった。



 もう、容赦をする気はなかった。



 何度も書いてきたけど「魔王をたおした勇者が、その人格まで完璧である」とは限らないのだ・・・。



ーーーーーー



 高次の存在であろう、その糸目に、ちょっと言い過ぎな感じではあった。「殺すよ?」などとも言われていたのだ。僕らを殺す手段を実際に、この糸目は、持っているかもしれない。


 それでもこの男は所詮「雇われの身」で、プロンプトで世界を改変するような、大それたことはできない。僕らを使って「まだ」数字を上げようとしている。今すぐ、殺されることまではないだろうと、僕は予測した。



 冷静になれた僕は、サラにお願いして「仕込み」もしておいた。



 準備は整えた。そうして糸目の反応を待った。



「・・・ほんとに君は、こっざか、しぃねぇぇぇぇええ? ・・・いいよ? 教えてあげるさ? 僕の崇高かつ大胆な『てこ入れ』についてをねぇぇぇえ?」



 糸目の男はうまく、僕の煽りに乗ってきた。



 そうしてやっと・・・本当にやーーーーーっとこさ・・・。糸目の男は、自身の用件・・・すなわち「てこ入れ」についてを、話し始めた。



 ・・・のだけれど・・・。



 糸目は、その前に、持っていた飲み物を、全部、飲み干して、新たな飲み物を取り出した。(今度のそれは、明らかに、僕の元いた世界にあった「ワン○ップ大関」だった)



 その蓋をカパッと開けて、半分ほど、一気に飲み干して・・・。男はまた蓋を閉めた。(とあるお笑い芸人さんの「飲んだくれのおっさん漫才」で見た仕草を、僕はリアルに見てしまった)



 それから「ふぅーーーーーーーっ」と、長い息を吐いた後で、糸目は、こんなことを言い出した。



「とりあえず、君、ショタに戻って、大魔王になってよ?」



 糸目の男は、そんな突拍子もないことを、僕に言ってのけた。


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