入れたいのに入れたいのに入れたいのに「ピュルッ」と出てしまう「元ショタ勇者」の物語

人外倫理

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第一部

スーの誘惑と、ポチタロウの告白(後)

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 スーと手をつないでホテルの扉をくぐると、桃の甘い香りが漂ってきた。お香でも焚いているのだろう・・・たぶんだけど。何しろ前世、今世、通算で、初めてのラブホテルなのだ。とりあえず入り口からして、すでにエッチな感じがした。
 


 初ラブホかつ、幼女連れ・・・。



 「エッチなことをする場所」ってドキドキと「通報されたりしないよね?」ってドキドキが合わさって、心臓がやばいくらいに早鐘を打ち続けている。こっちの世界では向こうの世界ほどうるさく年の差恋愛そういうのを咎めてくる人はいないって、わかってはいるつもりなんだけど・・・。



 扉を入ってすぐ左手に、受付らしき場所があった。木の仕切りで、顔が見えなくしてあり、誰かの手の辺りだけが見えている。



 受付の上部には木製のパネルがついていた。上段に6個、下段にも6個。パネルは全部で12個あって「部屋のイメージ図と名前」が彫られたパネルと、ただ「使用中」とだけ彫られたパネルがあった。パネル部分がクルリと回って切り替えられるのだろう。たぶん・・・。



 ローテク世界の工夫にちょっとテンションが上がった。「何かの遊びに使えそうだなぁ」と子供みたいに思ってしまった。最近はほとんど、遊んで暮らしていたので、どうしても脳が遊びに向かってしまう。パネルに添えられた注意書きにはこう書いてあった。



ー ※部屋を選んで、お支払いを ー



 ふむ。先払いと・・・。空いてる部屋は・・・。



使用中
使用中
ぬるぬるスライムの間 
使用中
使用中
使用中



じっくりしっとりの間
使用中
使用中
使用中
使用中
使用中



 二部屋しか空いてない。うん。さっき見た時知ってた。何回見ても、二部屋は、二部屋だ。残った部屋は「ぬるぬるスライムの間」と「じっくりしっとりの間」だけ・・・。



「・・・すみません。じ、じっくりしっとりの間で・・・」
「はい」



 僕は受付でお金を払って「201」と書かれた鍵を受け取った。初めてのラブホで「ぬるぬるスライム」はハードルが高すぎたので「じっくりしっとり」一択だった。それですら、口に出すのは恥ずかしかった。



 「これからこの子と、じっくりしっとりヤッてきます」って宣言してるようなものだし・・・。顔が隠れてるタイプの受付でよかった・・・。てかシステムおかしくない!? ここは強制、性癖公開の場なの? てかさっき、おじいちゃんとこで、性癖公開してきたばっかだよ? 今日はそういう日なんだろうか?



「スー、いこっか」
「うん」



 僕は気を取り直して、再びスーと手をつないだ。勝手がさっぱりわからない場所だけど、ちゃんとスーをエスコートしよう。王子様お姫様ロールプレイではなくて「僕」でこの子をエスコートしよう。



■■■■■■
□□□□□□


スーの誘惑と、ポチタロウの告白(後)


■■■■■■
□□□□□□



 迷宮のような建物の中、なんとか無事に部屋にたどり着いた。パネルの位置と部屋番号的に「2階のどっちかの端だな」と当たりをつけておいたのが功を奏した。



 ドアの外側は「201」とだけ書かれたシンプルな扉だった。壁紙も単色の白だ。「ガチャリ」と鍵を開けて中に入ると、照明がともり、室内はやたらと明るくなった。部屋にはムーディーなBGMが控えめに流れている。精霊魔術の応用だろうか? 部屋の中はやたらとハイテクだ。



 部屋の内装は、外観からは想像もつかないほど、きらびやかだった。壁はピンクで天井にはシャンデリア。絨毯はフカフカで、靴のままでいいのかな? って躊躇してしまうくらいだ。外とのギャップがものすごかった。



 右手側の壁はガラス張りで、中にゆったり二人で入れそうな、大きいお風呂が見えた。通路を進むと8畳ほどの部屋があり、部屋の真ん中には、丸くておっきなベッドが置いてある。ベッドの周りの壁3面が、鏡張りで、自分たちの行為を、まざまざと見せつけてくるスタイルだ。


これがラブホか・・・。



・・・ふう。さてと。・・・



これからどうしよう・・・?



「この子に釣り合う奴になりたい」・・・そう思ったばっかなのに、さっそく僕は、どうすればいいのか、わからなくなった。とりあえず話をしたいんだけど、この「エロを前面に押し出されたスペース」の、どこでそれをすればいいのか? が、わからない。



 この「エロを前面に押し出されたスペース」では、いっそのこと段取りすっとばして、エッチなことをしてしまおうか? なんて、短絡的な考えまで出てきてしまう。決意しても、決意しても、なんかエロ方面では、僕の意志は、すぐフニャフニャになる・・・。



「・・・ポチにぃ?」
「あ、ああ。ごめんね、スー」



 僕は首をふった。パンツを脱げ・・・だ。ちゃんと正直にスーに話そう。よくわからなくなったなら「よくわからない」って言ってしまおう。



「こういうとこに来たことないから、緊張してさ・・・いろいろ、よくわからなくなってたんだ。・・・スーはその・・・まだ僕の話を聞きたい? ・・・それとも僕がスーにエッチなことをしたら、ずっとエッチなことをしたかったんだ、って、わかってもらえる?」
「両方。話、聞かせてほしいし、その後、エッチなこともして欲しい・・・」



 さすがのスー、知識欲旺盛で貪欲だ。てか、忘れてたけど、スーに二択をせまると、だいたい両方を欲しがるんだった。「リンゴとミカンどっち食べる?」「どっちも」・・・てな具合に。二択から、3つめの答えを選び出すことが出来る。スーはそんな子だ。



「・・・わかった。じゃあ、えーっと。汗もかいたし、お風呂で話を・・・って、お湯、張らなきゃか・・・」
 一瞬いいアイデアだと思ったんだけど、お風呂にお湯が入ってなかった。なんというか、やっぱりこういう時、僕は段取りが悪い。



「お湯、張りながら、話、聞く。お湯が入ったら、お風呂でも、聞く」
 スーはそう言うと、丸いおっきなベッドに腰掛けた。



「わかった。じゃあそれで。・・・お風呂入れてくるね」
「うん」
 


 僕はお湯を張りに浴室へ行った。王宮で見て以来、初めて見たけど、ここも精霊の力で、お湯が出るタイプの蛇口だった。いつもみたいに自分で沸かさなくていいのは、今はすごく助かる。湯加減とか気にしてる余裕は今の僕にはないのだ。



 蛇口をひねって、温度を調整して、部屋に戻ると、スーがベッドに乗っかって座っていた。僕も靴を脱いでそこに上がりこんだ。



 僕はあぐらをかいて、女の子座りのスーと、真っ正面から向かい合った。・・・こうしてみると、目線の高さが、今までと随分、変わっているのがわかる。僕がおっきくなったのも相まって、スーの小ささがより顕著になった。



 こんな小さな子に欲情をいだいてしまうことに、罪悪感を感じてしまう僕がいて・・・純粋に、欲情を向けて欲しいと望んでくれているスーがいて・・・


 
 前の世界の記憶が邪魔をして、僕は今、自分がとても歪んだモノになってしまっている気がした。前の世界のことなんて、忘れちゃって、素直に愛してるって示せればいいのに・・・。



 なのに、それは、いつまでも纏わりついてくる・・・。



「・・・僕とおじいちゃんには、別の世界の記憶があるんだ」



 気がつくと僕は「異世界人であること」をスーに告白していた。



ーーーーーー



「僕らの元いた世界はね・・・スーみたいなちっちゃい子に、エッチなことをしようとすると、牢屋に入れられちゃうところだったんだ」
「好き同士でも?」



「うん・・・好き同士でも・・・」
「そっか。・・・でも、おじいちゃんの、持ってた本だと、普通にエッチなこと、してたよ?」



「あ、あれは、うーんと。・・・禁止されてるからこそ、そういうことがしたい人が、いっぱいいたから、あういう本に需要があったというか・・・」
「もうちょっと、時間があったら、言葉も、わかったのに・・・」



 何それ? スーさん? すごすぎない? エロ本読んで、日本語、解読しかけてたの!?



「ポチにぃは、だから、ボクに、エッチなこと、してくれなかったの?」
「うん、それもある。・・・好き同士の二人が、お互いの同意の上で愛し合う。それはきっと悪いことじゃないハズなんだ。きっと素晴らしいことなんだろうな・・・って思いもするんだけど・・・」



「前の記憶が、邪魔を、するの?」
「うん・・・みんなが大好きだから、エッチなこともしたいんだけど、前の常識的にそれが『悪いこと』のような気がしちゃって・・・みんなにエッチなことをしちゃいけないって思っちゃったりするんだ」



「でもワフルは、ポチにぃのおちんちん、ピュッピュした、って言ってたよ?」
「うぐ・・・ワフルに聞いたの?」
「うん」



 やっぱりか。女の子達の間でそういう情報交換をされててもおかしくないとは思ってたよ。そんでも実際に聞かされると、ちょっとくるものがある。「ピュルッ」っで終わっちゃった一件も、スーは知ってたりするんだろうか・・・。なんか聞くに聞けない。



「ワ、ワフルの時は、ワフルからそういう提案をしてくれて・・・そうなったというか・・・えーと・・・さっき言った「前世の記憶」のも理由の一つだけど・・・きっと一番の問題は・・・僕が臆病なことなんだ。そのせいで、自分からエッチなことをしたいって、言い出せなかったんだよ」



 しゃべりながら、根本の問題がわかった気がした。ようするに僕はみんなに嫌われるのが怖くて、臆病だっただけなのだ。



「ポチにぃが、臆病なのも、知ってた。戦う時、怖がってた。でもポチにぃは、がんばって、きた」
「スー・・・」



 ・・・見てくれてたんだ。そんなに僕のことを・・・。怖がりながらも魔王だって倒してきたんだ、ここで勇気を示さなければ、勇者なんかじゃない! ってより、僕はちゃんとこの子に釣り合う奴になるんだ。



「ちゃんと言うよ、スー。僕はスーが大好きだよ。・・・エッチなことがしたいよ。ずっと、ずっと、したかったよ・・・言うのが遅くなってごめんね・・・」
「・・・ありがと、ポチにぃ。ちゃんと言ってくれて」



 僕はスーを抱き寄せると、そのまま軽いキスをして、ベッドにゆっくり押し倒した。



 ・・・「そういやお風呂、入れてたんだっけ?」・・・一瞬そんなことが、頭によぎったけど、今はこの子と向き合うのが先だ。お風呂を入れてたことを考えるより、スーに挿れるのが先だ。


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