入れたいのに入れたいのに入れたいのに「ピュルッ」と出てしまう「元ショタ勇者」の物語

人外倫理

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第一部

スーの誘惑と、ポチタロウの告白(前)

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 おじいさんのヒゲマユクジラから飛び去った後、僕らはゆっくりと、下降を続けていた。眼下に目をやると、夜の帳の中、町の明かりがチラホラと見えてきた。「帰ってきたんだなぁ・・・」・・・そう、しみじみと実感した。



 クジラの中にいたのは、半日にも満たなかったのに、随分と長い間、あそこにいた気がする。・・・ほんとに、色々あった。



 くじらに吸い込まれて、ゴールのわからない灼熱の通路を歩いた。おじいさんとの舌戦では、返ってくるブーメランで瀕死になり、その後、お互いの性癖をさらしあった。終始振り回されっぱなしだったけど、いい思い出になるだろう・・・。



いつかきっと・・・。



・・・
・・・
・・・。



「ポチにぃ、おしっこ。急降下」
「え? うわーーーーっ!」



 感慨はふいに破られた。



 スーは帆布に風を送るのをやめ、僕を下方へと引っ張った。ほとんど自由落下に近い感じで、僕らは落ちていく。ものすごい風の抵抗を受けて、しゃべることすらままならない。



(スー、止まって。止まって!)



 願いもむなしく重加速と、スー加速は続いた。地表近くでスーが帆布に風を入れるまで。



ー バサーーーーッ! ギシッ! ー



 ちぎれることなく、なんとかロープが、衝撃を受け止めてくれて、僕らは元の飛行体勢に戻った。・・・あー怖かった。今のは、ワフルが喜びそうだけど、またふっとんでいっちゃいそうだから、内緒にしておこう・・・。



■■■■■■
□□□□□□


スーの誘惑と、ポチタロウの告白(前)


■■■■■■
□□□□□□



 スーが降りたのは岩場に近い草原だった。町からはまだ、かなり距離がありそうだ。スーは周りをキョロキョロと確認した後、僕に言った。



「ポチにぃ。ボク、今から、おしっこ、するから。ちゃんと、見といてね」
「うん、見ないように後ろ向いと・・・え!?」
 今、スー、見といてって言った!?



「ボクは『見といて』って言ったの!」
 スーが、ぷくーっと、ほっぺたを膨らませて怒る。やっぱり「見といて」で正解だったよ!



 僕は、似た状況になった、あの日のことを思い出した。



ーーーーーー



 魔王討伐の旅の途中で、僕はスーがおしっこしている所を、見ちゃったことがある。野営の時に、薪を拾ってきて、草むらをかき分けたら、スーの放尿シーンに出くわしたのだ。1本スジが開くこともなく、黄色い液体が出てくるその様に、僕は魅入られて動けなくなってしまった。



 その不思議な光景と、生のおまんこを前に、ただただ僕はそれを、マジマジと見続けてしまった。当然、スーに見つかり「ポチにぃのエッチ!」とほっぺたを膨らませて怒られた。



 今回のぷくーっは、あれ以来だ。



 あの時は「見てしまって」怒られて、今回は「見て欲しい」と怒られている。わけがわからない。・・・きっと僕らの関係が、ちょっとずつ「変わってきた」ってことなんだろう。・・・なんで見て欲しいのか? は理解不能だけど、お望みどおり、見せてもらうことにしよう。見たくないわけがない。



「ごめんね、スー。ちゃんと見とくから」
「うん、ポチにぃ」



 スーは、丈の長いローブをグイッとたくし上げると、急いでパンツをおろした。そのまましゃがみ込んで、もう一度、言った。



「・・・見ててね」
「・・・うん。見てる」



 なるべくキリッとした顔で、そう言ったけど、内心ドキドキした。僕の真正面を向いてスーがパンツを下ろしたので、あそこが丸見えだ。お風呂の時とはまた違う背徳感が、僕を襲う。



「んっ」



・・・チョロッ・・・チョロ・・・



ドバババ・・・ジョワワワワーーーーーーーーーーー・・・



 スーが盛大に放尿を始め、飛び散っていたそれが一つにまとまっていった。この量は、結構ギリギリまで耐えてたのかもしれない。まだ放出は続いている。


 
「ふぅぅぅぅ・・・んんっ・・・」



 スーは気持ちよさそうな顔で、気持ちよさそうな声を出した。白い肌が上気し、頬が赤らんで、何か色っぽい。「スーの赤らんだ気持ちよさそうな顔」・・・それだけでも夜のオカズになりそうなのに、あそこまで、丸見えときている。・・・最高だ。



 僕は「ガラケー」で、その瞬間をカメラに収めようとポケットに手を入れ、そこで手を止めた。おじいさんに忠告されたことを思い出したのだ。



「あまりこの世界で、そのオーバーテクノロジー(ガラケーだけど)を、誰かに見せびらかさん方が良いかものぉ・・・特にスーちゃんには・・・。・・・その子がこれを理解したら、この世界が大幅に変わってしまうかもしれん・・・お主も、前の世界より、今の世界の方が好きなんじゃろ?」



 「世界が変わる」は、さすがに言い過ぎな気がしたけど、おじいちゃんの言わんとすることも、なんとなくわかった。ガラケーから、派生で何か創りそうなくらいスーは賢い。下手に僕のせいで、ブレイクスルーなんかが起きて、この世界の、ゆるやかな時の流れが、変わってしまうのは、望むところではない。



 あと。もっと別の、俗物的な懸念もあった。



 スーならガラケーの使い方くらいは簡単に理解してしまうと思う。もし僕がおしっこ写真を撮って、何かのきっかけで、スーにそれを見られたら、なんて弁解したらいいのか、全くわからない。そっちはそっちで、僕の望むところではない。たとえ世界は変わらなくても、僕への好感度は変わりそうだ。・・・悪い方へと。



 前におしっこを見ちゃった時だって、スーをなだめるのは、とても大変だったのだ。



「どうだった?」
「へ?」



 ふいにスーにそう聞かれて、僕はまた、まぬけな声をあげてしまった。



「ボ、ボクの、おしっこを、見た感想・・・」
「え、えーーーっと・・・」



 スーはとても恥ずかしそうに、でもしっかりと、そう聞いてきた。この場合、なんて答えるのが正解なんだろう・・・? 少なくとも、僕が今までやってきたギャルゲーやエロゲーで「おしっこの感想を聞かれる」ことはなかった・・・。これ、なんて無理ゲー?



「た、大変、よかったと思います・・・」
「むぅ・・・」



 スーは不服そうだ。てか、ほんとに何が正解か? わからない。助けて。



「・・・ポチにぃは、エッチな気持ちに、ならなかったの?」
「な、ならなかったよ。ならなかった」
 僕は両手をふりつつ反射的に答えた。



「むぅ・・・」
 やっぱりスーは不服そうだ。今のは「なった」って答えた方がよかったパターンなの!? ほんとに無理ゲーだ。リアルの女の子は、ほんとに何を考えているのか? わからない。



 スーは、しばらく「むぅ」と、うなっていたが、布切れであそこを拭き、パンツを上げながら、立ち上がった。ローブでバサッと下半身を覆い隠すと、手でパンパンとはたく。そうしてから気を取り直したように、話し出した。



「・・・いこっか、ポチにぃ。今日のお宿、探すんでしょ?」
「うん。どっかにいいとこ、あるといいんだけど・・・」
「ボクに、まかせて。心当たり、あるよ」
「うん。じゃあ、スーにまかせる。お願いね」
「うん!」



 僕は全幅の信頼で、スーにお任せすることにした。スーの方が僕より地理に詳しいし、一度行った場所なら、ほとんど忘れない。相手の得意なことなら、頼りにして、お願いしてしまった方がいい。



「じゃあ、いこ、ポチにぃ」
「姫のおおせのままに」


 
 こうして僕は、スーに引っ張られる形で、また飛行ユニットに座り、宿をめざすことになった。



ーーーーーー



「ポチにぃ、こっちだよ」
「うんうん。スーはすごい」



 今度の着陸先は、往路に立ち寄った港町近くだった。郊外で降下して、飛行ユニットを隠した後、スーの案内で、街中まで歩いてきた。僕が右手に灯した、わずかな炎だけで、よくもまあ、迷わずに進めるものだ。



「ハンバーガ、おいしかったね」
「うん、おいしかったねぇ・・・」
「ポチにぃも、アレ、作れる?」
「たぶん・・・材料があれば・・・ってより、スーがまた食べたいなら、僕は作るよ?」



「ありがと。ポチにぃ」
「いいよ。大切なお姫様の頼みだもの」
「・・・うん。じゃあ、みんなでまた食べようね」
「僕は・・・いいゾ」
「ふふ・・・それ、ワフルの真似? 全然、似てない」



 「似てない」とは言いながらも、スーは笑ってくれた。なんとか機嫌が直ったみたいで良かった。その後も僕らは、他愛もない話をしながら、街道に沿っていった。スーはどんどん明るい方へ進み、すぐに僕が火を灯す必要もなくなった。



 ・・・それは良かったんだけど。なんか、ちょっとその、明かりの色がピンクピンクしてきた。通り過ぎてく建物達も、どこか怪しい雰囲気を醸し出している。ああ、今度は、呼び込みしてるお姉さんまでいる・・・ここって、もしかしなくても、歓楽街じゃ・・・。



 スーは僕を引っ張って、迷いなく歩いて行く。迷いなく歩いて行く。



■■■■■■



・・・
・・・
・・・。



 僕らは今、いかがわしい宿の前にいた。



 俗に言う「ラブホテル」というやつだ。休憩と宿泊の二択があるし、今もカップルが僕らを通り越して入っていった。この世界のラブホに間違いない。昼にもそれらしい建物を見かけて素通りしたけど、やっぱり夜に見るそれは、何倍もエッチな感じがする。



「ス、スー、ここって?」
「ポチにぃは、ボクには、エッチなこと、してくれないの?」



 上目遣いに、スーがそう問いかけてきた。



■■■■■■



 また、なんて答えたらいいのか? わからない質問が来た。



 スーからの問いに、思わず「ゲームでこういうシチュエーションって、なかったかなぁ?」なんて、記憶の中を検索し始める僕がいた。



「えーっと・・・それは・・・」



 言葉をつなぎながら、選択肢を探す。答えがどこかにあるかのように、あたりを見回してみた。看板、建物、月、地面。・・・彷徨わせていた視界にスーが入り、ふいに、そのスーと目が合った。スーは首をかしげたままで、僕を見つめていた・・・。



 まっすぐにずっと、僕を見続けていた。



ーーーーーー



 「ガツンッ!!!」と強い衝撃を受けた気がした。



ーーーーーー



ー この大馬鹿野郎が!!!!!!!!!!! ー



 僕は自分を殴りたくなった! 叫びたくなった! 恥ずかしくなった! ・・・こんなにもこの子は、一途に僕を見ていてくれるのに・・・! 何、ゲーム気分で調子に乗ってたんだよ! スーは、目の前にちゃんと存在している女の子なんだぞ?



 ・・・今はふざけてる場合じゃない。・・・ここはゲームの中でもない。・・・お姫様プレイでごまかすところでもない。・・・ちゃんと自分の言葉で答えなきゃ。・・・こないだ「想いをちゃんと伝えていこう」って、そう決めたばっかだったのに! もう僕は、忘れちゃってるよ!



「・・・(くっそ!)」



 とんでもない自己嫌悪に嵌まりこみそうになった。この場にしゃがみこみたくなった。ギリギリで踏みとどまれたのは、目の前にスーがいるのを思い出したからだ。



ふいに、おじいさんが、でっかい声で放った、あの言葉が聞こえた気がした。



ー パンツを脱げ! 明日太くん! ー



 今思っても、なんともひどい表現だった・・・。でも、言わんとしていることが、やっと少しはわかった気がする。こういう時は、僕の裸の想いを、恥ずかしくてもちゃんと伝えるべきなんだ。



 まっすぐ見つめてくれているこの子に、僕も、ちゃんとまっすぐ。苦手でも自分の言葉を返さなきゃ。僕は意を決して、スーの目を見て、向き合った。



「ス、スーにエッチなことがしたくないわけじゃないんだ・・・。むしろしたいと思ってるよ・・・」
「うん・・・」



「ただ、僕は、実は・・・ちょっと苦手なんだ・・・自分の言葉で伝えるの・・・」
「うん。実は、ちょっと、知ってた・・・」



 ・・・知られてたんだ・・・恥ずかしい。・・・でもそれでも好きで、いてくれるんだ。・・・いろんな想いがこみあげてきて、胸が熱くなる。



「時間がかかるかもしれないけど・・・僕の言葉で説明するから・・・スー、聞いてくれるかい?」
「うん。ボク、聞くよ。・・・聞きたいよ」



 嬉しい言葉だった。感無量だ。



 スーに「なんでエッチなことをしなかった」のか、話してちゃんと「エッチなことがしたい」って告げて、エッチなことをしよう・・・。ちょうど目の前には、そういうお宿がある。



ー 大好きなこの子に、愛してるってちゃんと伝えよう ー
ー いろいろ言い訳つけてるけど、ただただお前が、このロリっこと、ヤリたいだけだろ? ー



 まだ僕の中には相反する想いが存在していた。こんな自分が情けない。それでも僕はスーの手をとった。



「スー、ここに、入るけど・・・いい?」
「うん、その為に、ポチにぃを、連れてきた」
「いくよ、スー」
「うん、ポチにぃ」



 今度は僕が、スーをひっぱって、ホテルの門をくぐった。



 心臓がバクバクした。これが正しい選択肢ではないのかもしれない。でもゲームの中にいるかのような考え方で、楽をして最短攻略を目指したりするのはやめるんだ。



 ・・・そう思っててもまた、おんなじ過ちだって繰り返しちゃうと思う。こんなバカな僕を嫌になる・・・。



 それでも。それすら、乗り越えられるようになりたいと思った。「ただまっすぐに僕を見つめてくれる、この子に釣り合う奴になりたい。」僕はそう思った。


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