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第一部
ポチタロウと、トリックアートなおじいさん:3
しおりを挟む「ポチタロは嫌なのか?」
ワフルがそう問う。
「・・・うん。・・・嫌だな、僕は。・・・ごめんね」
ー 自分の想いを告げられるようになろう ー
昨日、そう決意したばかりだった僕は、少し迷った後、正直に答えた。・・・うん。どう考えても「僕の為」って練習して、みんなが処女喪失しちゃったら、僕も自身を喪失しちゃいそうだ。
決意したところで、よかった>< さすがに決意してなくてもこれは、言えたのかな?
でも、これだけ明確なNOを言えたのは、初めてだと思う。否定的な意見を誰かに伝えるのは、特に苦手だったから。
・・・
・・・
・・・。
みんなが驚いた顔で、絶句してる。
無理もない。
いつもの僕ならこんなこと言わない。
・・・いたたまれない。なんとかしなきゃ。
僕は取り繕おうと言葉を探して、すぐにそれをやめた。逆にみんなに「どうして嫌か?」を、ちゃんと伝えようって思った。たとえ、うまく言えなくても「伝えて」いこう。
「・・・僕の為に努力しようとしてくれるのは、すごく嬉しいんだ。・・・でも、僕以外の誰かや何かが、みんなの中に入る・・・のは、なんか、すごく嫌だ」
「勇者様・・・」
「そっカ。わかっタ」
「ボクも」
「・・・こ、これ、捨ててくるね、ポチ・・・」
リリが、慌ててディルドーを拾いながら言う。
ー それをすてるなんてとんでもない! ー
僕の頭の中のエロ担当大臣? が叫んだ。
(捨てるのは、もったいないって! 自分でおちんちんを挿れた後で、アレをリリに突っ込むのはどうだ?)
(・・・うん。アリだ!)
「それを捨てるなんて、とんでもない! せっかく買ったんだろうし、捨てたりしないで、それはリリが持ってて。僕がリリに入った後で、僕がそれを、リリに入れてあげるから」
僕はそう言って、ニコッとほほえんだ。
「う、うん」
リリの赤面がすごいことになる。
(ニコリと、サラリと、とんでもない発言をしたなー)
・・・なんて、僕も後になって赤面した。あと、ド○クエの警告文、そのまましゃべっちゃったよ・・・。
「と、とにかく。屋敷が出来上がったら、みんなに伝えたいことがあるから。・・・ちゃんと言うから。・・・待っててね」
「はい・・・。勇者様」
「おぅ。ワフルはいいゾ」
「うん」
「・・・わ、わかった」
そうしてその場は収まり、ドタバタといろいろありながらも、日々は過ぎていった。
屋敷が出来上がるとすぐさま、僕は改めてみんなに「大好き」だって告げた。そんでから「エッチなことも、していきたい!」って、宣言したのだった。
ディルドを持ったまま、おあずけを食らう形になったリリは、それまで、かなり身もだえたという。てか、ディルドって、この世界でも売ってたんだね・・・。
■■■■■■
□□□□□□
ポチタロウとトリックアートなおじいさん:3
■■■■■■
□□□□□□
脱線しちゃったけど、話を戻そう。
スーを起こした僕は「大精霊を宿してくれた、おじいちゃんのところへ行ってくる」と、他のみんなに告げた。大きくなった僕を見て、みんなビックリしてたけど、案外すんなり受け入れてくれた。・・・リリを除いて。
「あ、あ、あ、あんた。 何、おっきくなっちゃってんのよ! ひょっとして、お、お、お、おちんちんも? は、入るかな・・・」
最近、頭がすっかり、真ピンクのリリは、しきりにそれを気にしてた。
いや。僕もそれが、気になるのもあって、おじいさんのところへ行くのだ。決してリリを笑えたもんではない。気を取り直して旅の準備を進めていく。
しばらくして・・・
飛行ユニットと旅の荷物を整えた僕らは、草原の丘に立っていた。
「勇者様・・・お気をつけて」
「ポチタロ、また話、聞かせてくれナ」
「今回のおみやげは、ポチでいいから! ちゃんと帰ってきなさいよ!」
「うん。じゃあ、行ってくるね。・・・スー、お願いできる?」
「らじゃ」
こうして僕はみんなに見送られて、ド○ゴンレーダー片手に、飛行ユニットに乗り込んだ。・・・乗り込むって言っても、ブランコみたいのに腰掛けるだけだけど。
「いいよ。スー」
「わかったポチ兄ぃ」
スーの風を受けて、僕の帆布がドバンと広がる。
「いってらっしゃーい」
「ポチタロもスーも、頑張れヨー!」
「ちゃんと戻るのよーーー!!」
みるみる空へ登り、みんなの見送りの声がどんどん遠ざかっていく。
さあ、新しい冒険の始まりだ。
これからどんな物に出会い、どんなことが起こるんだろう? なんだか勇者になって第一歩を踏み出した瞬間を思い出す。ドキドキ半分、ワクワク半分だ。
懸念はある。ドラゴ○レーダーもどきには、高度の位置情報を知る術はなかった。半端なく高低差のある「空の旅」なのに、である。おじいさんが無茶苦茶、上空を彷徨ってたりしたら、見つけるのに骨が折れそうだ。
でも。
怖がってばかりじゃ、始まらない。
やってみなけりゃ、わからない。
使い古されて、すり切れそうな、その言葉を頼りに、僕は前へ進むのだ。
大丈夫。
スーがいる今、僕に吹く風はリアルな意味で、順風満帆だ。
7人いないとしても、願いが叶わないとしても、とにかく、おじいちゃんを探しに行こう。
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