入れたいのに入れたいのに入れたいのに「ピュルッ」と出てしまう「元ショタ勇者」の物語

人外倫理

文字の大きさ
上 下
2 / 91
第一部

ポチタロウ、回想する(前)

しおりを挟む
僕ら勇者パーティ4人は、5歳の時にお城に連れてこられて、6歳で魔王討伐の旅に出た。



「え?6歳で魔王討伐!?」
・・・なんて、最初は耳を疑ったけど、そこには理由があった。



世界的に高名な預言者が、こう書き記したのだ。



魔王を倒せるのは、次の者のみ。
ー 四大精霊を宿した、4人の聖徒 ー



大精霊を宿せるのは、次の者のみ。
ー 精通前、もしくは初潮前の男女 ー 



聖徒たる資格があるのは、次の者のみ。
ー 童貞、または処女 ー 



どんな預言だよ。どんなペド縛りだよ。そんで。その預言を採用するのかよ。



預言書には、さらに細かい指示や注意書きが、何枚もあって、その条件に見合う者だけが、お城に連れてこられたという。その数4人。ドラ○エなんかで定番の人数だ。



ちなみに僕はこの「お城に連れてこられた時」に前世の記憶を取り戻した。いわゆる「異世界転生者」だ。



ーーー



「ポチタロウ殿、聞こえておられますか?」

「へ・・・?」

「・・・ポチタロウ殿?」



記憶を取り戻して気がついたら、大きなお城で、小さな身体になっていた。お尻のあたりはモフモフで、見るとそこには、尻尾。どうやら僕の尻尾らしい・・・。なんか動く・・・。



他のみんなが、話を聞き、相づちを打ったり、神妙な顔をしている中、僕だけ一人、ワニワニ大パニック。



動転して、質問しては、偉い人達の話の腰をポキポキ、ポキポキ、へし折りまくってしまった・・・。その説は、ほんと、すみませんでしたm(_ _)m



話自体は、5歳から6歳まで、訓練を受けて魔王討伐に出る・・・なんかそんな感じの内容だった。



僕以外で選ばれたのは、3人の女の子。
人間、エルフ、ドワーフ。
みんな種族は違えども、みんな幼く可愛かった。



僕はこの時、この世界に来て初めて、未来に希望を持った。・・・いろんな意味で。



僕だけ何故か、男で、何故か僕だけ、異世界転生者。5歳頃の前世の体に、犬っぽい耳と尻尾付き。種族は獣人。名前はポチタロウ・・・。



・・・・・ポチタロウて・・・。
・・・・・獣人て・・・。



当時の僕は、いくぶんか嘆いた。さすがにもう慣れたけどね・・・。



こうして僕は、異世界ものでありがちな、中世ヨーロッパ風のファンタジー世界で、3人の可愛い仲間達とめぐり会ったのだった。



■■■■■■
□□□□□□



僕らはお城での謁見の後、すぐに大精霊の力を宿された。そんでもって5歳から6歳まで、様々な指導を受けた。



野営方法、火起こし。料理に洗濯・・・。
簡単な作法に、地図の読み方、初歩の性教育に、性的禁則事項、旅での精霊魔法の活用方法・・・等々。僕らはとにかく、学んだ。



預言の内容が内容だけに「性的禁則事項」の縛りは特に厳しかった。



万が一でも穢れないように・・・と。冒険中の、大人達との接触が禁じられた。



「動物を乗り物にする」なんてことすらNGだった。発情した動物にいわゆる、ぶっかけとかされたら精霊の力が乱れるとかなんとか・・・。



僕らは自力で、自分たちの足で、魔王の元へたどりつく必要があると思い知った。



「この4人で、なんとかしなきゃ・・・だねぇ・・・。」
「おー! 一緒に頑張るゾ。」



「おー」



おのずと、責任感と団結力が芽生えていった。僕らは大精霊の加護の元、ぐんぐん強くなり、若さの加護?の元、知識もどんどん吸収していった。



一年が過ぎ・・・。



特訓が終わると、各国の偉い人達が、成果を見に来た。僕らは精霊の力を、苦もなく操って見せた。すぐさまゴーサインが出て、魔王討伐へと出発することになった。



濃厚だった一年に反比例するかのように、あっさりと、出発は決まった。



僕がチャ○ズだったら、あまりの展開の早さに、ここらへんでもう置いて行かれていたことだろう・・・。



・・・チ○オズじゃなくてよかった・・・。



ーーー



旅立ちの際。
「案内役」として、新たな仲間が、パーティーに加わった。



名前はリリ。小さな妖精さんで、体長25センチくらい。赤髪、赤目。良く飛び回る元気っ子。



勝ち気な感じだけど、リリも他の子に負けず劣らず可愛い子だった。冒険に出発する前に、さいかわロリパーティー(僕以外)が完成した。



「あたしにまっかせなさーいっ!無事に魔王のところまで、連れてってあげる!」



「まかせて大丈夫かな?」なんて、逆に心配になる、そんなリリの言葉と共に、僕らの冒険は始まった。



■■■■■■
□□□□□□



「こっちこっちーー!」

「お。本当だ・・・。」

「リリ、すっごーーい!」

「ふっ、ふーーん♪」

「リリ、また、調子のってる・・・」



リリの道案内と、事前に聞いていた数々の預言のおかげで、旅の道中で迷うことはなかった。


敵の強さも魔王の城に近づくたびに、徐々に上がっていく、テンプレ的展開で、僕らもそれに合わせて、強くなっていけた。



「これって、一本道RPG?」
・・・ってくらいに基本、順調だった。



リリだけは、ちょくちょく、先行しすぎて、たまに魔物に捕捉された。調子に乗ると道案内を頑張りすぎるのだ・・・。



何故かリリは、必ず「むんず」と体を捕まれる。その度に僕は、全速力で魔物に突っ込んで行くことになった・・・。「妖精陵辱イベント」を目の前で見せつけられるなんて、まっぴらごめんだったからね。



「ごめんね、ポチ・・・。」
捕まるたびに殊勝になるリリだったが、3羽ばたきもすれば、忘れた・・・。ちっちゃな妖精さんは、なんというか、アホの子だった。



ーーー



僕らの冒険は「移動」が、かなりの時間を占めた。文明的な移動手段は発達してなかったし、転移の魔法なんてのもなかった。



預言書で、細かく指示がされていたので、やっぱり僕らに乗れる乗り物もなかった。・・・なので基本、てくてくと、歩いていくことになった。



「乗り物に乗って、優雅に旅をしてみたいねぇ。」
・・・冒険の当初こそ、こんな言葉をみんなと言ってたけど・・・。



幸いなことに大精霊の力で、僕らの足は早く、疲れのたまりは遅かった。最終的には「街道を歩いてて、馬車を追い抜く」くらいの速度になった。僕がIKK○さんなら「大精霊さんどんだけー」って、言ってたと思う。



とにもかくにも。
僕らは魔王城への道を、一歩ずつ踏みしめていった。



・・・ただし、すごい速度で。



■■■■■■
□□□□□□



1年8ヶ月の歳月をかけて、僕らは魔王の城にたどりついた。ギリギリの戦いを強いられたけど、なんとか魔王も倒せた。ここまで来る間に、培ってきた経験や技術、連携が生きた。



「グボァァァァァァーーーーッッッッ!!!!!」
魔王の断末魔が大地を轟かした。



・・・
・・・
・・・



「やっっ・・・たぁーーー!」

「わふー!」

「おー。」

「・・・勇者さま・・・。」



僕らは魔王を倒して歓声をあげ、ひとしきりみんなで労いあった。そして、一息ついたところで、僕は気づいた。



「・・・。あれ?帰りも徒歩?・・・。」



そう。魔王城から、最初のお城に帰るのも、普通に歩いて帰る必要があったのだ。いや。当たり前なんだけどね?それでもちょっとシュールに感じた。ゲームなら「ぎゅーん」で、お城だものねぇ・・・。



「ポチタロ?どうした?お腹減ったか?」



「いこ。ポチにぃ。あったか、おふとん、待ってるよ。」



・・・仲間達が呼んでる。
うん。しょーもないことで、たそがれてる場合じゃなかったね。



一緒に歩いてきた。一緒に歩いてく。



「・・・帰ろっか。」

「「「うん!」」」

「おー。」



そうして僕らは、帰路を歩き始めた。
・・・ゆっくりと、踏みしめるように。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...