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ナーオ・ロウ国編Ⅱ

リンクス王の再々婚について

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 今は亡き弟の忘れ形見である、私の養子にしていた白花の婚約、この場合は結婚相手と言うべきか、その相手がすんなりと決まってしまった。

 息子であるショウも、ユーイ殿となんだかんだと仲良くしているようだし、宰相から、私の再々婚をとせっつかされている。

 ミュン元王妃は、再婚して幸せに子育てをしていると報告が、その再婚相手のバルバドスから、のろけを垂れ流しながら詳細に幸せなんですと報告される。

 私は、傷心を癒す暇もないのかと宰相であるカッツェにも嘆いたのだが、私の再々婚がされないと、カッツェの妻が領地から帰ってこないので頼みますと、泣かれたのだった。

 だから、今、妻には別居を強いられているんです。産まれても孫にも会わせてもらえないと宣言もされているので、と血の涙を零すのが不憫になり、宰相補佐で息子であるイッチェンに話を振ったら、「母上とカーナに愛想を尽かされ、私が自分の子に会えなくなりますので、父の味方にはなれません。」と、見事にキッパリと断られてしまったのだった。

 王太后である母上に話をしたら、「夫としてミュンにした仕打ちを自分がされたらと考えてから、口に出せ。」と、小さい子が悪さをした時の様に、尻を真っ赤にされるまで、母上に手で叩かれたのだった。

 ヒリヒリする尻を治癒魔法で治しながら王宮へ戻ろうとしたが、母上お得意の魔法をキャンセルする魔法で治せなくされていたので、自室へ帰るまで、尻がヒリヒリと痛むのを気取られない様にしたのだが、王家の影の元締めをしている弟は、私の事を見て笑い転げるのを我慢して震えているのだろうと思い、情けなくて、泣きたくなった。

 案の定、自室には、「薬です。痛みがやわらぎます。」と書いた紙と薬とガーゼが置いてあったのだ。

 弟に、兄としてカッコイイ姿を見せるつもりが全く出来ていないので、部屋の中で泣いてしまった。翌朝には、目が腫れない様にと気遣ったのか、冷えた濡れタオルが何枚も用意されていて、ガックリきたのだが。

 見合いをするが、私にトキメキが起きないのだ。

 イイ年した男だからこそ、その気持ちこそが大事なのだと声を大にして言いたい。

 この相手となら、穏やかに生きていけそうだと言う気持ちこそが大切に思う起点なのだ。

 実は、その相手になりそうな女性とお忍びで行った城下で会ったのだが、よりによって、その相手が、バルバドスに告白した女性で、ミュンの友人だと言うではないか。

 ま、まぁ、そのおかげで、相手の名が「苑」と言う名の未亡人だと判ったのだが、今は獅子国へ帰ってしまっているというではないか。

 一度、その話を母上との茶会でしたら、お茶を噴いて、体調不良で出て来なくなってしまったのだが、陰である弟も、相手の女性の素性を掴めないとの事で、暗礁に乗り上げてしまっているのだ。

 代替わりをしたばかりの黒大猫様にも尋ねてみたが、『にゃんにゃう?(あたいにはまだその手の事は分っかんなーいよ?)』と逃げてしまわれたのだ。

 それから諦めきれずにいたので、何度か、黒大猫様経由で獅子国の白獅子様から相手の女性へ話をしてもらったのだが、「苑はリンクス王とは再婚する気も交際する気も全くないと言っていた。」と断りの返事が来てしまったので、宰相の勧める相手との見合いが再開されたのであった。

 母上には、黒大猫様経由で聞いた話をした時も、微妙な表情で話を聞いていた。但し、母上の手が小刻みに震えていたのだが。

 その後、弟から、「「母上が笑い死ぬと言っていました。王としては優秀だが、私生活がポンコツ過ぎるわ。」と兄上を評していましたが、何をしたのでしょう。」と聞くので、母上に話した事を聞かせたら、「そうですか。」と帰って行ったのだが。

 後日、「母上からも話を聞きました。私は兄上が再々婚をしてもしなくても、私の兄上に代わりはありませんので。」と、慰めてくれたのだが、「男色には走らないで下さいね。」と、謎の言葉を言っていた。
 すかさず、「私は女性でないと無理だから。」と答えたら、「良かったです。」と言って帰って行った。

 弟も息子も私が再々婚をしなくてもいいと言っているので、宰相にそれを言うと、「私に妻と離婚しろというのですか!!」と、話にならなかったので、母上経由で宰相の妻へ話を通してもらい、宰相が私に再々婚について五月蠅く言わなくなった。

 だが王命で、私の再々婚がされないと王太子である息子とユーイ殿が結婚出来ないとしたので、それをどうするかを悩んでいるのであった。

 宰相も私がどうしてその王命を出すのに至ったのかを知っているし、その王命の半分は、宰相のせいでもあるので、2人して悩んでいる。通常の仕事が済んでからだがな。

 そこへ、宰相家から急ぎの者がやって来た。嫁であるカーナ殿の出産が始まったと。正確には、陣痛が起こったと、カッツェとイッチェンに知らせに来たのだ。

 2人は慌てて、家に帰って行ったようだが。産まれた後の知らせを聞いてから、祝いの品を送ればいいだろう。

 私としては、その知らせを聞いて、王命をすり替える様に出来るのではないかと思い付いた事があった。

 母上にもその相談をしてみようと、控えている騎士へ母上に伝言を頼み、母上へ取次ぎをしてもらえるように頼んだ私であった。
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