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ラーン・ビット国編
新たな動き2 蠢(うごめ)くモノと神
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私の予想以上に、穢れたモノが寄って来ている。
その件をまとめた報告書だけでは上の神達が動かなかった。地球だけの事だと笑い飛ばされたのだ。
だが、女神の世界の方でも神力で浄化出来ないモノが活動を始めた事と、他の世界にも、その余波が出始めて処理して欲しいと言う報告書が出た事で、腰の重い上の者達も動かざるを得なくなったのだ。
地球の白獅子のなれの果てを封じている社へ行くと、先程話をしたばかりのあいつと、他に3人の神がいた。
皆、真剣な顔付きで寄って来た黒い靄や悪意あるモノの浄化をするが、1度では消えず、違う者が浄化した後をそのまた違う者が浄化しないと、浄化出来なかったのだ。
分かり易く言うと、神が黒いモノを2回浄化しても消えずに残っているので、もう一人の神が浄化すると消える。浄化には2人の神が必要になるのだ。それも、大量に寄って來るモノをだ。
「聞きしに勝るものだ。」「これ程とは。」「凄まじい。」
「ここまで酷いんじゃあ、報告書を書き上げて、上で浄化して欲しいと頼むのが当たり前だし、神として正解だ。今まで、よく耐えていたな。凄い。」
「女神の前では、強くありたいのさ。それも、私が渡した魂のせいで、だからな。」
「神である地球神が見抜けなかったんだ。本能的に擬態していたんだろうな。稀にしか現れないから、誰にも気付けなかったし。仕方がないよ。」
「油断すると、界渡りをしたものが寄って來る。気を抜くな!!」
「そこまでか!」「「そんなに!?!」」
「わっちゃあー!そこまで酷いの!?!」
「言ってる傍から、だ。来たぞ!」
…浄化を終えて、疲労の色を隠せない3人の神が白獅子のなれの果てを社から出して、上の世界へ連れて行った。
この場に残るのは、あいつと私だけだ。なれの果てが入っていた社を浄化して清めるが、2人の神でないと浄化出来ないので、あいつも浄化を手伝ってくれたのだった。
「ほれ、報酬の女神の小さい頃の写真だ。」
「ありがとう。」
「根本が片付いたら、映像と、小さい頃の秘蔵の写真を渡す。」
「妻がね、中々、私に小さい頃の写真を見せてくれないものだから、助かるよ。」
「私の女神の方から、地球の衣装、水着や浴衣みたいな民族衣装を着た姿の写真を手に入れておく。女神の方からの報酬はそれでいいな。」
「ああ!それがいい!永久保存にするよ!」
「それでは、その様に手配する。女神の為にも、頼む。」
「ああ。仕事の方も円滑に出来るし、私も自分の妻の写真も手に入る。私の方こそ、感謝するよ。」
「浄化したのに、またこの社に向けて、何か来るな。」
「そのようだな。罠を仕掛けるか?」
「一網打尽と言うやつを仕掛けるか?」
「そうだな、その前に応援を呼ぼうか。この分じゃ、違う世界からも集まって来ているようだし。」
「…またか。いや、まだか…。」
「当分は、交代で応援を呼んでおくよ。まさか、まだ影響があるとは思わなかった…。浄化した直後なのにな…。」
社の上の空がどす黒く、社の周りから漂う空気も重く息苦しいモノに変化している。
遠くの方から、応援に呼んだ神々がもの凄い勢いで駆け付けて来ているが、何人かの神が上に上がっていった。応援の応援を呼びに行ったのだろう。
浄化の後にまた浄化だとは、骨が折れる仕事だと、2人してやれやれと目線を交わして、浄化を始めたのだった。
その件をまとめた報告書だけでは上の神達が動かなかった。地球だけの事だと笑い飛ばされたのだ。
だが、女神の世界の方でも神力で浄化出来ないモノが活動を始めた事と、他の世界にも、その余波が出始めて処理して欲しいと言う報告書が出た事で、腰の重い上の者達も動かざるを得なくなったのだ。
地球の白獅子のなれの果てを封じている社へ行くと、先程話をしたばかりのあいつと、他に3人の神がいた。
皆、真剣な顔付きで寄って来た黒い靄や悪意あるモノの浄化をするが、1度では消えず、違う者が浄化した後をそのまた違う者が浄化しないと、浄化出来なかったのだ。
分かり易く言うと、神が黒いモノを2回浄化しても消えずに残っているので、もう一人の神が浄化すると消える。浄化には2人の神が必要になるのだ。それも、大量に寄って來るモノをだ。
「聞きしに勝るものだ。」「これ程とは。」「凄まじい。」
「ここまで酷いんじゃあ、報告書を書き上げて、上で浄化して欲しいと頼むのが当たり前だし、神として正解だ。今まで、よく耐えていたな。凄い。」
「女神の前では、強くありたいのさ。それも、私が渡した魂のせいで、だからな。」
「神である地球神が見抜けなかったんだ。本能的に擬態していたんだろうな。稀にしか現れないから、誰にも気付けなかったし。仕方がないよ。」
「油断すると、界渡りをしたものが寄って來る。気を抜くな!!」
「そこまでか!」「「そんなに!?!」」
「わっちゃあー!そこまで酷いの!?!」
「言ってる傍から、だ。来たぞ!」
…浄化を終えて、疲労の色を隠せない3人の神が白獅子のなれの果てを社から出して、上の世界へ連れて行った。
この場に残るのは、あいつと私だけだ。なれの果てが入っていた社を浄化して清めるが、2人の神でないと浄化出来ないので、あいつも浄化を手伝ってくれたのだった。
「ほれ、報酬の女神の小さい頃の写真だ。」
「ありがとう。」
「根本が片付いたら、映像と、小さい頃の秘蔵の写真を渡す。」
「妻がね、中々、私に小さい頃の写真を見せてくれないものだから、助かるよ。」
「私の女神の方から、地球の衣装、水着や浴衣みたいな民族衣装を着た姿の写真を手に入れておく。女神の方からの報酬はそれでいいな。」
「ああ!それがいい!永久保存にするよ!」
「それでは、その様に手配する。女神の為にも、頼む。」
「ああ。仕事の方も円滑に出来るし、私も自分の妻の写真も手に入る。私の方こそ、感謝するよ。」
「浄化したのに、またこの社に向けて、何か来るな。」
「そのようだな。罠を仕掛けるか?」
「一網打尽と言うやつを仕掛けるか?」
「そうだな、その前に応援を呼ぼうか。この分じゃ、違う世界からも集まって来ているようだし。」
「…またか。いや、まだか…。」
「当分は、交代で応援を呼んでおくよ。まさか、まだ影響があるとは思わなかった…。浄化した直後なのにな…。」
社の上の空がどす黒く、社の周りから漂う空気も重く息苦しいモノに変化している。
遠くの方から、応援に呼んだ神々がもの凄い勢いで駆け付けて来ているが、何人かの神が上に上がっていった。応援の応援を呼びに行ったのだろう。
浄化の後にまた浄化だとは、骨が折れる仕事だと、2人してやれやれと目線を交わして、浄化を始めたのだった。
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