100 / 207
獅子国編
白炎の計画と白光1
しおりを挟む
我がミュンを皇妃にする計画を立案したものの、不安があったので相談をしようとして王族専用の牢へ行ったのだが、白角はいなかった。
白角のいた牢のある部屋の片付けをしていた者がいたので、ここにいた者が何処へ行ったのかを聞いてみたのだが、「お屋敷で幽閉される決定がされた事だけしか聞いていません。」と、にべもなく答えて、片付けに戻ってしまった。
仕方なく屋敷へ戻ったと言う白角の屋敷へ、皇帝である我からの使いを出したのだが、
「宰相も辞して王城からも引退致しましたし、屋敷で静かに余生を過ごそうと思っております。一昨日、離婚された揚句に処刑までされた娘の葬儀を済ませたばかりです。そぉっとしておいて欲しい心境でいます。今は何も考えられません。」と、使いに出した者がそう返事をされたと帰ってきただけであった。
たしかに、赤雪と離婚したから舅でもなくなったし、宰相を辞したから宰相でもない。白角が元臣下であった事だけになった。
…赤雪が離婚された後に処刑もされて、その遺体が帰って来て葬儀をしたばかりなのか。
それなら、我の新しい妃を迎える計画には賛同してくれないだろう。
白角は新たな妃となるミュンに関係する相談をしにくい相手だったのかと今更ながら、気付いたのだった。
それなら、子供である白星を呼んで相談しようとしたが、「父である皇帝がする仕事を皇太子である私がこなしていますので、余裕はありません。むしろ、私の方が父上に仕事でのご相談をしながら、皇帝の仕事を進めたい位です。」と、仕事を理由に断られてしまった。
いつも相談出来ていた白獅子様は旅に出ておられるし、次代様は国を守る仕事以外は相談出来ないと前もって言われている。我は今、誰にも相談が出来ない事に気付いたのであった。
ミュンも密偵や探索に長けている者を使い、探しているのに一向に見つからないでいる。まさに、八方塞がりで、どうにも出来ぬのだ。
はぁーと大きな溜め息をついて、白炎はもう一度、考え始めた。
新しくミュンを皇妃にする計画をし直して、我が自分で動けばよいのではないかと。
計画を自分が動いて実行すれば、ミュンを見つけるのに他人任せにしないで済むし、ヤキモキしないで済むのではないか。
仕事は白星がしているし、国も皇帝である我が抜け出しても、相手にしないと騒ぐ様な妻もいないし、問題はない筈だ。
他人が捜すから、他人任せだから、ミュンが見付からないのだと、計画を始めから練り直していった。
その皇帝の様子を見ている白光が、呆れたように呟いた。
『困るっすよね~。炎はまた計画を練り直しているんですか。ふぅ。おいらは暇じゃないって言っているのに。』
どこからともなく白光に女神の声が響いてくる。
『そんな苦労性の白光に朗報だ。白輝が仕事をサボってばかりだからな、特別待遇で白光に弟子をつけようと思ってな。名を白洸と言う。白光の後に白獅子になる者だ。』
『ひかり兄貴、宜しくです。』
おお~!!女神さまからのご褒美だ~!!白輝様がいない今、仕事を教えながら仕込むのにも丁度良い!!
『おいらが白洸よりも先に白獅子になる、次代の白獅子なんっすよ。仕事を教えるから、分かんないとこはすぐ聞くっすよ!』
『はい!ひかり兄貴!』
白輝は白獅子で赤い目、白光は白獅子で黄色い目、白洸は白獅子で緑色の目であったな。たしか、日本では信号と言うモノと同じ目の色であるな。しばらくは3人態勢で獅子国を担ってもらおうかと、女神は考えていた。
『女神さま~!!ありがとうございます!!』
『よいよい。白輝が仕事をし無さ過ぎであるのは誰から見ても明白であった。3人で仲良くするのだぞ。』と、女神さまが去って行った。
おいらは女神さまに感謝をしつつ、仕事を教える前に白洸の部屋になる場所へ案内をした。
『聖獣の住む家は、一般市民が住む家と同じに見える様に偽装した、大きな家をその国の首都に女神さまから与えられているんすよ。机上の空論よりも、見て聞く事や経験が物を言うっすね。
中は異次元空間に繋がっているので、部屋を好きな様に改造出来るのが良い点です。
まずは、仕事を始める明日以降に備えて、部屋の中を想像して作って、上役であるおいらに見せるとこから始めるのが良いと思っているっす。部屋が出来たら、おいらを呼ぶんすよ!』
白洸に説明をしてから、仕事に戻ったおいらであった。聖獣としての仕事をしながら、皇帝の様子を見ているっす。
炎は執務室の机の上に頭を乗せて、考え込んでいるようっすね。
2、3日が過ぎ、白洸の部屋が出来たと呼ばれたのと、炎が「計画出来た!」と叫んだのが一緒だった事に不安を感じた白光であったが、白洸の部屋を見て、「独創的だな」と何とか褒めてから、女神に送る炎の計画の報告書を作ったのだった。
白角のいた牢のある部屋の片付けをしていた者がいたので、ここにいた者が何処へ行ったのかを聞いてみたのだが、「お屋敷で幽閉される決定がされた事だけしか聞いていません。」と、にべもなく答えて、片付けに戻ってしまった。
仕方なく屋敷へ戻ったと言う白角の屋敷へ、皇帝である我からの使いを出したのだが、
「宰相も辞して王城からも引退致しましたし、屋敷で静かに余生を過ごそうと思っております。一昨日、離婚された揚句に処刑までされた娘の葬儀を済ませたばかりです。そぉっとしておいて欲しい心境でいます。今は何も考えられません。」と、使いに出した者がそう返事をされたと帰ってきただけであった。
たしかに、赤雪と離婚したから舅でもなくなったし、宰相を辞したから宰相でもない。白角が元臣下であった事だけになった。
…赤雪が離婚された後に処刑もされて、その遺体が帰って来て葬儀をしたばかりなのか。
それなら、我の新しい妃を迎える計画には賛同してくれないだろう。
白角は新たな妃となるミュンに関係する相談をしにくい相手だったのかと今更ながら、気付いたのだった。
それなら、子供である白星を呼んで相談しようとしたが、「父である皇帝がする仕事を皇太子である私がこなしていますので、余裕はありません。むしろ、私の方が父上に仕事でのご相談をしながら、皇帝の仕事を進めたい位です。」と、仕事を理由に断られてしまった。
いつも相談出来ていた白獅子様は旅に出ておられるし、次代様は国を守る仕事以外は相談出来ないと前もって言われている。我は今、誰にも相談が出来ない事に気付いたのであった。
ミュンも密偵や探索に長けている者を使い、探しているのに一向に見つからないでいる。まさに、八方塞がりで、どうにも出来ぬのだ。
はぁーと大きな溜め息をついて、白炎はもう一度、考え始めた。
新しくミュンを皇妃にする計画をし直して、我が自分で動けばよいのではないかと。
計画を自分が動いて実行すれば、ミュンを見つけるのに他人任せにしないで済むし、ヤキモキしないで済むのではないか。
仕事は白星がしているし、国も皇帝である我が抜け出しても、相手にしないと騒ぐ様な妻もいないし、問題はない筈だ。
他人が捜すから、他人任せだから、ミュンが見付からないのだと、計画を始めから練り直していった。
その皇帝の様子を見ている白光が、呆れたように呟いた。
『困るっすよね~。炎はまた計画を練り直しているんですか。ふぅ。おいらは暇じゃないって言っているのに。』
どこからともなく白光に女神の声が響いてくる。
『そんな苦労性の白光に朗報だ。白輝が仕事をサボってばかりだからな、特別待遇で白光に弟子をつけようと思ってな。名を白洸と言う。白光の後に白獅子になる者だ。』
『ひかり兄貴、宜しくです。』
おお~!!女神さまからのご褒美だ~!!白輝様がいない今、仕事を教えながら仕込むのにも丁度良い!!
『おいらが白洸よりも先に白獅子になる、次代の白獅子なんっすよ。仕事を教えるから、分かんないとこはすぐ聞くっすよ!』
『はい!ひかり兄貴!』
白輝は白獅子で赤い目、白光は白獅子で黄色い目、白洸は白獅子で緑色の目であったな。たしか、日本では信号と言うモノと同じ目の色であるな。しばらくは3人態勢で獅子国を担ってもらおうかと、女神は考えていた。
『女神さま~!!ありがとうございます!!』
『よいよい。白輝が仕事をし無さ過ぎであるのは誰から見ても明白であった。3人で仲良くするのだぞ。』と、女神さまが去って行った。
おいらは女神さまに感謝をしつつ、仕事を教える前に白洸の部屋になる場所へ案内をした。
『聖獣の住む家は、一般市民が住む家と同じに見える様に偽装した、大きな家をその国の首都に女神さまから与えられているんすよ。机上の空論よりも、見て聞く事や経験が物を言うっすね。
中は異次元空間に繋がっているので、部屋を好きな様に改造出来るのが良い点です。
まずは、仕事を始める明日以降に備えて、部屋の中を想像して作って、上役であるおいらに見せるとこから始めるのが良いと思っているっす。部屋が出来たら、おいらを呼ぶんすよ!』
白洸に説明をしてから、仕事に戻ったおいらであった。聖獣としての仕事をしながら、皇帝の様子を見ているっす。
炎は執務室の机の上に頭を乗せて、考え込んでいるようっすね。
2、3日が過ぎ、白洸の部屋が出来たと呼ばれたのと、炎が「計画出来た!」と叫んだのが一緒だった事に不安を感じた白光であったが、白洸の部屋を見て、「独創的だな」と何とか褒めてから、女神に送る炎の計画の報告書を作ったのだった。
0
お気に入りに追加
148
あなたにおすすめの小説
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
婚約者すらいない私に、離縁状が届いたのですが・・・・・・。
夢草 蝶
恋愛
侯爵家の末姫で、人付き合いが好きではないシェーラは、邸の敷地から出ることなく過ごしていた。
そのため、当然婚約者もいない。
なのにある日、何故かシェーラ宛に離縁状が届く。
差出人の名前に覚えのなかったシェーラは、間違いだろうとその離縁状を燃やしてしまう。
すると後日、見知らぬ男が怒りの形相で邸に押し掛けてきて──?
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる