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獅子国編
白炎の計画と白光2
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白炎はミュンの事を考えた。
王妃にまでなったミュンは、ナーオ・ロウ国の国民に白炎が何かしらの害を及ぼしたら、白炎の存在をいない者とみなし、目が合っても虫けらを見る様な目で見て、ぞんざいに扱うだろうと。
今は亡きリュンは、我をそんな目で見ないだろうし、憐れんで見るだけだったのだろうと想像がつく。
ミュンならばと考えると、燃える様な視線で嫌う事も好きになる事も自由に表現するだろうな。
姉妹でこれだけ性格が違うのにも関わらず、どちらも我を惹き付けるとは運命だったんだ、と考えを横道に逸らしてしまったが、白炎の好みがリュンとミュン姉妹だったのだと白炎は一人で納得して頷いていた。
そのミュンを手に入れるには、人任せにしないで白炎が動く事。
ミュンには嫌われたくないので、国民を巻き込まない事。
ミュンの気を惹かないと何も始まらないので、ミュンの気を惹く事をする事。の3つを決めたのであった。
そこで白炎が考えついたのは、まずは知り合いになってそこから友人になり、その後、恋人もしくは婚約をしてから、最終的には結婚をすると言う計画になったのだ。
今時、日本の中学生や高校生でも考えつくような事を実行する計画を立てていたのには、白光も白洸も忍び笑いをして、白炎の様子を見ていたのだった。
『ひ、ひかり兄貴ー、皇帝って丸っきり馬鹿だとなれない筈ですよね。あはは!炎はどの位でした?』
『あ~、笑った笑った!んー、若い時はマシだったかな~。どこでおかしくなったんだろう?…白輝様のせいかな?!』
『聖獣の村でも、白光様が白輝様の面倒を見ながら仕事をこなしているって皆、知っていたので、白光兄貴は優秀だって言われていました。』
『そ、そう?』照れる白光であった。
『そりゃあもう、代々の皇帝を玩具にして遊んでいる白輝様は最低だって陰では言われていましたから。聖獣の村では、スートーカーの様に好かれている黒大猫様が可哀相だって言う噂も絶えませんでしたし。』
『…白輝様のそこについての話題は、私が弟子である時点で否定も肯定も出来ないです。ノーコメントで。』
『くぅー、やっぱり仕事が出来る男は、上司の悪口を言わないんですねぇ。凄いや。』
白光と白洸が話している間に、白炎が女性の恰好をし始めたのだ。
『とうとう、やっちまったっすか。女性を装って知り合いになれても、結婚には辿りつかないぞ、炎…。』
どうやら、白炎は女性として知り合いになり、何処かで男性だとバラして、恋人から結婚相手になる計画を立てていたのかと、頭が痛くなってきた白光であった。
遅いんだよ、炎。再婚して、子供まで生まれちゃって幸せになっているんで、ミュン元王妃は離婚したり、浮気をしたりしないんだよ。
その上、相手も真面目で一途な元総騎士団団長だから、望みなんて一切ないんだよ!と、怒鳴りたかった。
でも、女神さまからの指示で、様子を見るだけでいいと言われていたのである。
何かあれば、女神から白炎に直接の制裁を加えるからいいのだと言われていたのであったからだ。
白洸にも女神さまからの言葉を伝えて、手を出したくなるけれど、見守るだけを経験して忍耐力を付けてもらうのが良いと言う計算をしたのだった。
『ひかり兄貴、炎って女装してもイイ女に見られるんですね。』
『あ~、元が良いからな、似合うんだろうな。白輝様の玩具にされていなかった皇太子時代は、比較的マトモだった様な気がするっすね。』
炎も計画が失敗すれば落ち着くだろうと、白光も白洸も思っていました。
女神には別の考えがあったので、わざと放置していましたが。それをあえて声には出さないでいました。
化粧道具や着替え、生活必需品をブレスレットに詰め込んでいく白炎。
「仕事は白星へ頼んである。何かあれば、白角が孫である白星の相談に乗るだろう。我は元皇妃が処刑された事で心に傷を負ったから、しばらくは療養に出る事にしたと貴族共には通達し終わったしな。
女性を装うならば、言葉遣いに気を付けなければ!」
『ひかり兄貴!炎に付いて行ったらダメでしょうか?何かあれば、兄貴にすぐにでも連絡しますから。』
『白輝様がいない今、白獅子であるおいらが獅子国からは出れないからなぁ。白洸、頼んだっすよ。』
『はい!初任務に出ます!』
『白洸、他の動物には偽装出来る筈だよな。
次代として、皇帝白炎に私からのお目付け役だと言って、正式に白洸を付ける。
ナーオ・ロウへ行く様だから、子猫になって正式に連れて行かそう。』
『はい!900才だけど、頑張ります!』
あ!炎の荷造りが終わったみたいだ。声をかけよう。
『白炎!どこかに出るのか?』
「次代様ですか?皇妃を娶る為に、我は女性の恰好をしてナーオ・ロウへ入ります。皇帝の姿ではバレますからな。」
『それは不慣れだろう。我の弟子を供として付けようぞ。名前は洸だ。』
炎、女装を誤魔化す理由が上手いよな~。白洸も感心するでない!にゃんと鳴いておけ。虎柄の猫にすれば、ナーオ・ロウでは目立たなくていいからな。
ここで、凸凹コンビが結成されたのだった。
『白光、ナイス突っ込み!』
女神さまに褒められちゃったっす。…炎の足元に白洸がネコ姿でいるっすね。これで、よし。
王妃にまでなったミュンは、ナーオ・ロウ国の国民に白炎が何かしらの害を及ぼしたら、白炎の存在をいない者とみなし、目が合っても虫けらを見る様な目で見て、ぞんざいに扱うだろうと。
今は亡きリュンは、我をそんな目で見ないだろうし、憐れんで見るだけだったのだろうと想像がつく。
ミュンならばと考えると、燃える様な視線で嫌う事も好きになる事も自由に表現するだろうな。
姉妹でこれだけ性格が違うのにも関わらず、どちらも我を惹き付けるとは運命だったんだ、と考えを横道に逸らしてしまったが、白炎の好みがリュンとミュン姉妹だったのだと白炎は一人で納得して頷いていた。
そのミュンを手に入れるには、人任せにしないで白炎が動く事。
ミュンには嫌われたくないので、国民を巻き込まない事。
ミュンの気を惹かないと何も始まらないので、ミュンの気を惹く事をする事。の3つを決めたのであった。
そこで白炎が考えついたのは、まずは知り合いになってそこから友人になり、その後、恋人もしくは婚約をしてから、最終的には結婚をすると言う計画になったのだ。
今時、日本の中学生や高校生でも考えつくような事を実行する計画を立てていたのには、白光も白洸も忍び笑いをして、白炎の様子を見ていたのだった。
『ひ、ひかり兄貴ー、皇帝って丸っきり馬鹿だとなれない筈ですよね。あはは!炎はどの位でした?』
『あ~、笑った笑った!んー、若い時はマシだったかな~。どこでおかしくなったんだろう?…白輝様のせいかな?!』
『聖獣の村でも、白光様が白輝様の面倒を見ながら仕事をこなしているって皆、知っていたので、白光兄貴は優秀だって言われていました。』
『そ、そう?』照れる白光であった。
『そりゃあもう、代々の皇帝を玩具にして遊んでいる白輝様は最低だって陰では言われていましたから。聖獣の村では、スートーカーの様に好かれている黒大猫様が可哀相だって言う噂も絶えませんでしたし。』
『…白輝様のそこについての話題は、私が弟子である時点で否定も肯定も出来ないです。ノーコメントで。』
『くぅー、やっぱり仕事が出来る男は、上司の悪口を言わないんですねぇ。凄いや。』
白光と白洸が話している間に、白炎が女性の恰好をし始めたのだ。
『とうとう、やっちまったっすか。女性を装って知り合いになれても、結婚には辿りつかないぞ、炎…。』
どうやら、白炎は女性として知り合いになり、何処かで男性だとバラして、恋人から結婚相手になる計画を立てていたのかと、頭が痛くなってきた白光であった。
遅いんだよ、炎。再婚して、子供まで生まれちゃって幸せになっているんで、ミュン元王妃は離婚したり、浮気をしたりしないんだよ。
その上、相手も真面目で一途な元総騎士団団長だから、望みなんて一切ないんだよ!と、怒鳴りたかった。
でも、女神さまからの指示で、様子を見るだけでいいと言われていたのである。
何かあれば、女神から白炎に直接の制裁を加えるからいいのだと言われていたのであったからだ。
白洸にも女神さまからの言葉を伝えて、手を出したくなるけれど、見守るだけを経験して忍耐力を付けてもらうのが良いと言う計算をしたのだった。
『ひかり兄貴、炎って女装してもイイ女に見られるんですね。』
『あ~、元が良いからな、似合うんだろうな。白輝様の玩具にされていなかった皇太子時代は、比較的マトモだった様な気がするっすね。』
炎も計画が失敗すれば落ち着くだろうと、白光も白洸も思っていました。
女神には別の考えがあったので、わざと放置していましたが。それをあえて声には出さないでいました。
化粧道具や着替え、生活必需品をブレスレットに詰め込んでいく白炎。
「仕事は白星へ頼んである。何かあれば、白角が孫である白星の相談に乗るだろう。我は元皇妃が処刑された事で心に傷を負ったから、しばらくは療養に出る事にしたと貴族共には通達し終わったしな。
女性を装うならば、言葉遣いに気を付けなければ!」
『ひかり兄貴!炎に付いて行ったらダメでしょうか?何かあれば、兄貴にすぐにでも連絡しますから。』
『白輝様がいない今、白獅子であるおいらが獅子国からは出れないからなぁ。白洸、頼んだっすよ。』
『はい!初任務に出ます!』
『白洸、他の動物には偽装出来る筈だよな。
次代として、皇帝白炎に私からのお目付け役だと言って、正式に白洸を付ける。
ナーオ・ロウへ行く様だから、子猫になって正式に連れて行かそう。』
『はい!900才だけど、頑張ります!』
あ!炎の荷造りが終わったみたいだ。声をかけよう。
『白炎!どこかに出るのか?』
「次代様ですか?皇妃を娶る為に、我は女性の恰好をしてナーオ・ロウへ入ります。皇帝の姿ではバレますからな。」
『それは不慣れだろう。我の弟子を供として付けようぞ。名前は洸だ。』
炎、女装を誤魔化す理由が上手いよな~。白洸も感心するでない!にゃんと鳴いておけ。虎柄の猫にすれば、ナーオ・ロウでは目立たなくていいからな。
ここで、凸凹コンビが結成されたのだった。
『白光、ナイス突っ込み!』
女神さまに褒められちゃったっす。…炎の足元に白洸がネコ姿でいるっすね。これで、よし。
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