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ナーオ・ロウ国編Ⅰ
お見合いと年齢話
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昼になる少し前、ショウさんが昼食の誘いに来ました。その際、ロートもリヨウさんも一緒にと言われて、
「王族が食べるちゅう昼食が食べれる機会を逃す筈ないやろ。ユーイお嬢はんのお零れで、美味いもんが食べれますわ。おおきに。」と、ロートが喜んでいました。
いつもは執務室で昼食を食べているショウさんと一緒の昼食は嬉しかったし、王城に来てからは食べるのを楽しみにする程の美味しい料理が毎食、食べられるようになりましたから。今日も美味しい昼食で大満足でした。
食後のお茶を飲んでいると、リヨウさんがソワソワして落ち着きません。
「リヨウ、預かった物を渡した方がいい。」
「分かってるって。」
「あー、リヨウさん、どしたんですか。」
ロートにまで言われたのが利いたのか、私の前に薄いピンク色の封筒を差し出しました。
「この前の土産のお礼を書いたそうだ。受け取ってやってくれ。」と言ったので、受け取りました。
「朝、リヨウに相談されたんだよ。私からよりも、リヨウの婚約者殿からの手紙はリヨウが渡せばいいと言ったんだ。だから、その、文通するのに丁度良いと思う相手なんだ。」
「俺からも頼む。ジャンヌ嬢の様に、取り巻きは出来ても、同年代の友人が出来難い立場なんだ。」
「ユーイも同じ様な立場だから、私も、丁度いい相手だと思っていたんだ。前からリヨウにも話していたし、土産が良いキッカケになったから。」
「リヨウ様、お手紙ありがとうございますって、婚約者様に、まずはお伝え下さいね。」
「婚約者に会いに行くキッカケにさせてもらうよ。」
リヨウさんのソワソワもなくなったので、昨日の陛下のお見合いはどうなったのかを聞いてみました。
「ええと、それは、5人と見合いをしたんだけど、そのうち3人からはその日のうちに辞退の連絡が来たんだ。」
「俺も聞いたけど、残り2人と王城庭園でのデートをして、お茶会を重ねていって、1人に決めるんだってさ。」
王様だとお見合いも大変なんだー。5人と一斉にお見合いなんて、凄まじいなぁ。
「陛下とお相手の年齢はどうなんです?」ロートの素朴な疑問が質問となって口から出たようです。
「ショウ、陛下って幾つだったけ?」
「たしか、100才ぐらい?」
「相手も再婚だって言っていた方が残ったようで、俺もイッチェン殿から聞いたんだけど、80才と110才の方だってさ。」とリヨウさんが言うと、
「辞退してきたのは、初婚で行き遅れた70才と90才、チャレンジャーな40才の方だって聞いている。」とショウさんが言った。
日本とは寿命が違うから、聞いていると混乱する。日本では100才で長寿だけど、ここでは200才が寿命って言われているんだよね。子供が中々出来難いって聞いているから、違和感はないけれど。
「ユーイ、ここでは成人期が長いから、年齢をあまり気にしないんだよ。初婚か再婚かは王族では気にするけれど、身籠っていないと確認できれば貴族でも気にしないんだよ。ただし、1夫1妻が基本だけどね。」
ショウさんの言葉を聞いたので、何となく納得出来ました。
「番がいるって聞いていたので、日本と同じだとは思っていたのでいいんですが、日本より寿命が長い分、再婚する方は多いんですか?」と、私の疑問に思っていた事を聞いてみましたよ。
「人それぞれなんだ。」ショウさんはそう言うけど、もう少し説明が欲しいな。
「俺の周りもそうなんだけどさ、再婚する人はするけど、しない人はしない。陛下は仕事上、私生活部分と公的部分での支えが必要なんだよ。国を切り盛りするからさ。」
リヨウさんの追加説明で、疑問の答えを理解出来ました。そうなんだって。
「でもさ、ロートの番ってまだ見つかってないんだろ?獅子国やワーオランドーラでは見つかんなかったんだろ、ナーオ・ロウに居て、突然出会ったりしたら面白いな。」
「リヨウさん、堪忍して下さいな。わい、まだまだ若いんやから、のんびりしたいんですわ。」
「ロートって幾つなんだ?」
「30過ぎた辺りですわ。40にはなってへんよ。計算するんが面倒だけやし。」
「そっか、じゃあ、イッチェン殿とも俺とも変わらないって事か。」
「へ?」ちょっと待って!あれ?!
「ああ、俺達は知っていて当たり前だったから言ってなかったけどさ、ユーイ様は知らないか。
こっちで年齢固定注射をしたから、日本では大丈夫だったけど、イッチェン殿と俺はこっちでの年齢が30過ぎなんだよ。もちろん、カーナ様も同じぐらいの年齢なんだよ。」
「知らなかったです。」
「ちなみに、日本ではショウと同い年だと思われていましたが、俺はここでの年齢が日本にいた時のショウと同い年だったんで。こっちで年齢固定注射を受けてますから、注射をしてなかったら、日本では60才過ぎになるんだったかな。」
「ふえええええ!!!!」えええええ!!!!
「ユーイに年齢を話すのを忘れていたからね、驚くのも無理はないかな。」サラッとショウさんが流した。
そうなんだ。そうか、でないと役職についている年齢で言えば、納得する。ここではまだ16才のショウさんと変わらないのに役職についているのがヘンなんだよね。
年齢話で、ビックリさせられた私は、その日の事を忘れない様にとノートへ書き綴っておきました。
「王族が食べるちゅう昼食が食べれる機会を逃す筈ないやろ。ユーイお嬢はんのお零れで、美味いもんが食べれますわ。おおきに。」と、ロートが喜んでいました。
いつもは執務室で昼食を食べているショウさんと一緒の昼食は嬉しかったし、王城に来てからは食べるのを楽しみにする程の美味しい料理が毎食、食べられるようになりましたから。今日も美味しい昼食で大満足でした。
食後のお茶を飲んでいると、リヨウさんがソワソワして落ち着きません。
「リヨウ、預かった物を渡した方がいい。」
「分かってるって。」
「あー、リヨウさん、どしたんですか。」
ロートにまで言われたのが利いたのか、私の前に薄いピンク色の封筒を差し出しました。
「この前の土産のお礼を書いたそうだ。受け取ってやってくれ。」と言ったので、受け取りました。
「朝、リヨウに相談されたんだよ。私からよりも、リヨウの婚約者殿からの手紙はリヨウが渡せばいいと言ったんだ。だから、その、文通するのに丁度良いと思う相手なんだ。」
「俺からも頼む。ジャンヌ嬢の様に、取り巻きは出来ても、同年代の友人が出来難い立場なんだ。」
「ユーイも同じ様な立場だから、私も、丁度いい相手だと思っていたんだ。前からリヨウにも話していたし、土産が良いキッカケになったから。」
「リヨウ様、お手紙ありがとうございますって、婚約者様に、まずはお伝え下さいね。」
「婚約者に会いに行くキッカケにさせてもらうよ。」
リヨウさんのソワソワもなくなったので、昨日の陛下のお見合いはどうなったのかを聞いてみました。
「ええと、それは、5人と見合いをしたんだけど、そのうち3人からはその日のうちに辞退の連絡が来たんだ。」
「俺も聞いたけど、残り2人と王城庭園でのデートをして、お茶会を重ねていって、1人に決めるんだってさ。」
王様だとお見合いも大変なんだー。5人と一斉にお見合いなんて、凄まじいなぁ。
「陛下とお相手の年齢はどうなんです?」ロートの素朴な疑問が質問となって口から出たようです。
「ショウ、陛下って幾つだったけ?」
「たしか、100才ぐらい?」
「相手も再婚だって言っていた方が残ったようで、俺もイッチェン殿から聞いたんだけど、80才と110才の方だってさ。」とリヨウさんが言うと、
「辞退してきたのは、初婚で行き遅れた70才と90才、チャレンジャーな40才の方だって聞いている。」とショウさんが言った。
日本とは寿命が違うから、聞いていると混乱する。日本では100才で長寿だけど、ここでは200才が寿命って言われているんだよね。子供が中々出来難いって聞いているから、違和感はないけれど。
「ユーイ、ここでは成人期が長いから、年齢をあまり気にしないんだよ。初婚か再婚かは王族では気にするけれど、身籠っていないと確認できれば貴族でも気にしないんだよ。ただし、1夫1妻が基本だけどね。」
ショウさんの言葉を聞いたので、何となく納得出来ました。
「番がいるって聞いていたので、日本と同じだとは思っていたのでいいんですが、日本より寿命が長い分、再婚する方は多いんですか?」と、私の疑問に思っていた事を聞いてみましたよ。
「人それぞれなんだ。」ショウさんはそう言うけど、もう少し説明が欲しいな。
「俺の周りもそうなんだけどさ、再婚する人はするけど、しない人はしない。陛下は仕事上、私生活部分と公的部分での支えが必要なんだよ。国を切り盛りするからさ。」
リヨウさんの追加説明で、疑問の答えを理解出来ました。そうなんだって。
「でもさ、ロートの番ってまだ見つかってないんだろ?獅子国やワーオランドーラでは見つかんなかったんだろ、ナーオ・ロウに居て、突然出会ったりしたら面白いな。」
「リヨウさん、堪忍して下さいな。わい、まだまだ若いんやから、のんびりしたいんですわ。」
「ロートって幾つなんだ?」
「30過ぎた辺りですわ。40にはなってへんよ。計算するんが面倒だけやし。」
「そっか、じゃあ、イッチェン殿とも俺とも変わらないって事か。」
「へ?」ちょっと待って!あれ?!
「ああ、俺達は知っていて当たり前だったから言ってなかったけどさ、ユーイ様は知らないか。
こっちで年齢固定注射をしたから、日本では大丈夫だったけど、イッチェン殿と俺はこっちでの年齢が30過ぎなんだよ。もちろん、カーナ様も同じぐらいの年齢なんだよ。」
「知らなかったです。」
「ちなみに、日本ではショウと同い年だと思われていましたが、俺はここでの年齢が日本にいた時のショウと同い年だったんで。こっちで年齢固定注射を受けてますから、注射をしてなかったら、日本では60才過ぎになるんだったかな。」
「ふえええええ!!!!」えええええ!!!!
「ユーイに年齢を話すのを忘れていたからね、驚くのも無理はないかな。」サラッとショウさんが流した。
そうなんだ。そうか、でないと役職についている年齢で言えば、納得する。ここではまだ16才のショウさんと変わらないのに役職についているのがヘンなんだよね。
年齢話で、ビックリさせられた私は、その日の事を忘れない様にとノートへ書き綴っておきました。
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