1 / 1
第一話
しおりを挟む
アリスは思い出していた。
三日前、彼氏に包丁で刺されて死んでった私だが、転生して中学二年くらいの時に遊んでた乙女ゲーム「GAMELAVEMISSION」の悪役令嬢・アリス・クローゼンに転生していた、っていう転生系ラノベでよく見る展開になっていた。
転生してから私は考えていた。
普通の転生系ラノベとは違う事をしようじゃないか!
そこで私は前世の記憶を持っている人を探した。調べ方はなんとなく恥ずかしいので割愛する。
最初は家族や知人から調べていたのだが、灯台下暗しと言う通り、案外身近に居るものである。私の世話係となる、ナース・アーランが前世の記憶、しかもGAMELAVEMISSIONの作者だったのだ! このゲームの作者の名前は七野明日香で、このゲーム以外にも多くのゲームにも携わっていた。しかし、私が死ぬ一か月前程、ファンに暗殺されこの世を去ってしまった。
私もファンの一人として、来世だとしても出会えたのは嬉しい。その明日香、ナースにいくつか質問をした。
まず、転生した時にどう思ったか。答えは、「なんかすごい。でも脇役だし残念」だった。
二つ目。始めに何をしようと思ったか。答えは、「アリスを論破したかった。でもそれも前世持ってるし残念」と、キャラクターを物としか思っていない発言を残した。
最後の質問。この世界に前世の記憶を持つ人物が二人も居る事について。答えは、「別にいいんじゃない? デメリットないでしょ」と供述。
とりあえず、前世の記憶を持つ人がもう一人居たのは結構特殊な状況だと思う。
「あ、そうそう。アリス、未来変えといたから多分死なないよ」
急にナースが言ってきた。未来変えるとはどういうことだ? そんな特殊な能力持ってたっけ?
「あ、困惑してそうだねー。私、ゲームの作者だし未来くらい変えれるよ。それにしてもこれはデカいねー」
謎の理論だが、これも特殊。普通の転生系ラノベとは違う事が出来そうだ。
「一つ良い?」
私がそう言う。
「何?」
「あのさ、主人公のアリカじゃなくて、ユーナがハーレム状態になるようにする事ってできる?」
「ああ、学園までもう残り一年か。早いなあ。まあ出来るよ。やってみる?」
「うん」
その会話の後、私は少し気分が高くなった。
なぜかは分からない。
その日の夜。
一応婚約者となっているザース・ゴロレンと出会った。
そして通り過ぎる直前、彼にある手紙を渡した。昼に作った婚約破棄書だ。まあ、親から何て言われるか分かる。相手は高位貴族だ。でもザースが居たら上手くいかない。離れる必要がある。
ザースは読んで何を思うだろう。元から政略結婚だ。賛成するに違いない。あっちの親は親バカだから、子供の事ばっか聞く。なのに我儘に育たないザースがおかしいくらいだ。とにかく婚約破棄は確実だ。ほぼ確実だ。そう思った。
部屋に戻ると、ベッドに飛び込んだ。今日は疲れた。婚約破棄書の言葉選びが大変すぎる。明日どうなるかが楽しみだ。布団を被り、瞼を閉じていく。ちょっとした言葉選びで、ただ寝るという動作がかっこよく表現できる。これは、今日私が得た知識だ。
三日前、彼氏に包丁で刺されて死んでった私だが、転生して中学二年くらいの時に遊んでた乙女ゲーム「GAMELAVEMISSION」の悪役令嬢・アリス・クローゼンに転生していた、っていう転生系ラノベでよく見る展開になっていた。
転生してから私は考えていた。
普通の転生系ラノベとは違う事をしようじゃないか!
そこで私は前世の記憶を持っている人を探した。調べ方はなんとなく恥ずかしいので割愛する。
最初は家族や知人から調べていたのだが、灯台下暗しと言う通り、案外身近に居るものである。私の世話係となる、ナース・アーランが前世の記憶、しかもGAMELAVEMISSIONの作者だったのだ! このゲームの作者の名前は七野明日香で、このゲーム以外にも多くのゲームにも携わっていた。しかし、私が死ぬ一か月前程、ファンに暗殺されこの世を去ってしまった。
私もファンの一人として、来世だとしても出会えたのは嬉しい。その明日香、ナースにいくつか質問をした。
まず、転生した時にどう思ったか。答えは、「なんかすごい。でも脇役だし残念」だった。
二つ目。始めに何をしようと思ったか。答えは、「アリスを論破したかった。でもそれも前世持ってるし残念」と、キャラクターを物としか思っていない発言を残した。
最後の質問。この世界に前世の記憶を持つ人物が二人も居る事について。答えは、「別にいいんじゃない? デメリットないでしょ」と供述。
とりあえず、前世の記憶を持つ人がもう一人居たのは結構特殊な状況だと思う。
「あ、そうそう。アリス、未来変えといたから多分死なないよ」
急にナースが言ってきた。未来変えるとはどういうことだ? そんな特殊な能力持ってたっけ?
「あ、困惑してそうだねー。私、ゲームの作者だし未来くらい変えれるよ。それにしてもこれはデカいねー」
謎の理論だが、これも特殊。普通の転生系ラノベとは違う事が出来そうだ。
「一つ良い?」
私がそう言う。
「何?」
「あのさ、主人公のアリカじゃなくて、ユーナがハーレム状態になるようにする事ってできる?」
「ああ、学園までもう残り一年か。早いなあ。まあ出来るよ。やってみる?」
「うん」
その会話の後、私は少し気分が高くなった。
なぜかは分からない。
その日の夜。
一応婚約者となっているザース・ゴロレンと出会った。
そして通り過ぎる直前、彼にある手紙を渡した。昼に作った婚約破棄書だ。まあ、親から何て言われるか分かる。相手は高位貴族だ。でもザースが居たら上手くいかない。離れる必要がある。
ザースは読んで何を思うだろう。元から政略結婚だ。賛成するに違いない。あっちの親は親バカだから、子供の事ばっか聞く。なのに我儘に育たないザースがおかしいくらいだ。とにかく婚約破棄は確実だ。ほぼ確実だ。そう思った。
部屋に戻ると、ベッドに飛び込んだ。今日は疲れた。婚約破棄書の言葉選びが大変すぎる。明日どうなるかが楽しみだ。布団を被り、瞼を閉じていく。ちょっとした言葉選びで、ただ寝るという動作がかっこよく表現できる。これは、今日私が得た知識だ。
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜
自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成!
理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」
これが翔の望んだ力だった。
スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!?
ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる