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第一話
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アリスは思い出していた。
三日前、彼氏に包丁で刺されて死んでった私だが、転生して中学二年くらいの時に遊んでた乙女ゲーム「GAMELAVEMISSION」の悪役令嬢・アリス・クローゼンに転生していた、っていう転生系ラノベでよく見る展開になっていた。
転生してから私は考えていた。
普通の転生系ラノベとは違う事をしようじゃないか!
そこで私は前世の記憶を持っている人を探した。調べ方はなんとなく恥ずかしいので割愛する。
最初は家族や知人から調べていたのだが、灯台下暗しと言う通り、案外身近に居るものである。私の世話係となる、ナース・アーランが前世の記憶、しかもGAMELAVEMISSIONの作者だったのだ! このゲームの作者の名前は七野明日香で、このゲーム以外にも多くのゲームにも携わっていた。しかし、私が死ぬ一か月前程、ファンに暗殺されこの世を去ってしまった。
私もファンの一人として、来世だとしても出会えたのは嬉しい。その明日香、ナースにいくつか質問をした。
まず、転生した時にどう思ったか。答えは、「なんかすごい。でも脇役だし残念」だった。
二つ目。始めに何をしようと思ったか。答えは、「アリスを論破したかった。でもそれも前世持ってるし残念」と、キャラクターを物としか思っていない発言を残した。
最後の質問。この世界に前世の記憶を持つ人物が二人も居る事について。答えは、「別にいいんじゃない? デメリットないでしょ」と供述。
とりあえず、前世の記憶を持つ人がもう一人居たのは結構特殊な状況だと思う。
「あ、そうそう。アリス、未来変えといたから多分死なないよ」
急にナースが言ってきた。未来変えるとはどういうことだ? そんな特殊な能力持ってたっけ?
「あ、困惑してそうだねー。私、ゲームの作者だし未来くらい変えれるよ。それにしてもこれはデカいねー」
謎の理論だが、これも特殊。普通の転生系ラノベとは違う事が出来そうだ。
「一つ良い?」
私がそう言う。
「何?」
「あのさ、主人公のアリカじゃなくて、ユーナがハーレム状態になるようにする事ってできる?」
「ああ、学園までもう残り一年か。早いなあ。まあ出来るよ。やってみる?」
「うん」
その会話の後、私は少し気分が高くなった。
なぜかは分からない。
その日の夜。
一応婚約者となっているザース・ゴロレンと出会った。
そして通り過ぎる直前、彼にある手紙を渡した。昼に作った婚約破棄書だ。まあ、親から何て言われるか分かる。相手は高位貴族だ。でもザースが居たら上手くいかない。離れる必要がある。
ザースは読んで何を思うだろう。元から政略結婚だ。賛成するに違いない。あっちの親は親バカだから、子供の事ばっか聞く。なのに我儘に育たないザースがおかしいくらいだ。とにかく婚約破棄は確実だ。ほぼ確実だ。そう思った。
部屋に戻ると、ベッドに飛び込んだ。今日は疲れた。婚約破棄書の言葉選びが大変すぎる。明日どうなるかが楽しみだ。布団を被り、瞼を閉じていく。ちょっとした言葉選びで、ただ寝るという動作がかっこよく表現できる。これは、今日私が得た知識だ。
三日前、彼氏に包丁で刺されて死んでった私だが、転生して中学二年くらいの時に遊んでた乙女ゲーム「GAMELAVEMISSION」の悪役令嬢・アリス・クローゼンに転生していた、っていう転生系ラノベでよく見る展開になっていた。
転生してから私は考えていた。
普通の転生系ラノベとは違う事をしようじゃないか!
そこで私は前世の記憶を持っている人を探した。調べ方はなんとなく恥ずかしいので割愛する。
最初は家族や知人から調べていたのだが、灯台下暗しと言う通り、案外身近に居るものである。私の世話係となる、ナース・アーランが前世の記憶、しかもGAMELAVEMISSIONの作者だったのだ! このゲームの作者の名前は七野明日香で、このゲーム以外にも多くのゲームにも携わっていた。しかし、私が死ぬ一か月前程、ファンに暗殺されこの世を去ってしまった。
私もファンの一人として、来世だとしても出会えたのは嬉しい。その明日香、ナースにいくつか質問をした。
まず、転生した時にどう思ったか。答えは、「なんかすごい。でも脇役だし残念」だった。
二つ目。始めに何をしようと思ったか。答えは、「アリスを論破したかった。でもそれも前世持ってるし残念」と、キャラクターを物としか思っていない発言を残した。
最後の質問。この世界に前世の記憶を持つ人物が二人も居る事について。答えは、「別にいいんじゃない? デメリットないでしょ」と供述。
とりあえず、前世の記憶を持つ人がもう一人居たのは結構特殊な状況だと思う。
「あ、そうそう。アリス、未来変えといたから多分死なないよ」
急にナースが言ってきた。未来変えるとはどういうことだ? そんな特殊な能力持ってたっけ?
「あ、困惑してそうだねー。私、ゲームの作者だし未来くらい変えれるよ。それにしてもこれはデカいねー」
謎の理論だが、これも特殊。普通の転生系ラノベとは違う事が出来そうだ。
「一つ良い?」
私がそう言う。
「何?」
「あのさ、主人公のアリカじゃなくて、ユーナがハーレム状態になるようにする事ってできる?」
「ああ、学園までもう残り一年か。早いなあ。まあ出来るよ。やってみる?」
「うん」
その会話の後、私は少し気分が高くなった。
なぜかは分からない。
その日の夜。
一応婚約者となっているザース・ゴロレンと出会った。
そして通り過ぎる直前、彼にある手紙を渡した。昼に作った婚約破棄書だ。まあ、親から何て言われるか分かる。相手は高位貴族だ。でもザースが居たら上手くいかない。離れる必要がある。
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部屋に戻ると、ベッドに飛び込んだ。今日は疲れた。婚約破棄書の言葉選びが大変すぎる。明日どうなるかが楽しみだ。布団を被り、瞼を閉じていく。ちょっとした言葉選びで、ただ寝るという動作がかっこよく表現できる。これは、今日私が得た知識だ。
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